その日の夜。
ピーンポーン、とチャイムが鳴った。
ここに来るのは今のところ緑谷しかいない。
「こんばんは斉木くん!結果、どうだった!?」
あぁ、無事受かった。緑谷は?
って聞くまでもない表情だが。
「僕も受かったんだ!ヴィランは一体も倒せなかったけど...でもレスキューポイントのおかげで入れたんだ!」
そうか、僕はそのレスキューポイントのせいで悩んだんだがな。
とは口に出さないでおく。
「あっちにオールマイトがいるんだ!一緒に話さないかな!」
うむ。断る必要はなさそうだ。しいて言えば結果のことを言われるのが嫌だが、まぁいい。
ところではっきりとオールマイトと言っちゃってるがいいんだろうか。
「オールマイト―!!」
「しぃー!」
緑谷が叫ぶ。あ、人いるけど大丈夫か。
「リピートアフターミー、人違いでした!」
「あわわ、人違いでした!!」
これで僕に隠し通せてると思っているからすごい。
テレパシーがなくてもわかるぞこれ
「合格おめでとう、二人とも」
オールマイトはそう言って手を出す。
ハイタッチというやつらしい。一応僕もしておく。
「斉木少年が学年トップの成績で入学したときはびっくりしたよ」
なろうと思ってなったわけじゃない。
「え、えぇ?ええぇえええぇえ!?」
緑谷は心底びっくりしたようだ。
「さい、斉木君がトップなんですか!」
「うん、結構な差でね」
信じられない、という顔をした後、目が輝いた。個性について教えてと、目が訴えている。
やれやれ、だからあまり言ってほしくなかったんだが。
「でも、オールマイトが雄英の先生だなんてびっくりしました!だからこっちにいるんですね!だってオールマイトの住所は東京都港区の六本木で...」
「やめなさい!と、というか私はオールマイトではないからね、ね、斉木少年」
ばれてるからいいよもう
「えぇえ!?あぁいやちがう私は...!」
似たもの同士だなこいつら。
そのあとはなんだか僕が聞いてはいけない話なように思えたので、そそくさと家に帰った。
――――――――――――――――
翌日
「はぁ、とうとう僕もここに通えるんだね~!」
夢みたいだ、と緑谷が言った。
「いこ!斉木くん!1年A組はここ...ドア、でか」
巨人でもいるのか?
それはさておき、僕も二度目の高校生活を満喫するとしようじゃないか。
前は濃い友達とはいいがたいクラスメートばかりだったが、今回はどうだろうか。
まぁあそこまで強いメンツはいないと思うが...あれ、これフラグか?
「(怖い人たち、クラス違うといいなぁ)」
緑谷がガラガラとドアを開けた。
その発言もフラグだな...
「机に足をかけるな!」
「あ~?」
「雄英の先輩方に、机の製作者方に、申し訳ないと思わないのか!」
「思わねぇな、てめぇどこ中だよ?ッハ!」
中々に濃いメンツだ。そして怖そうだ。フラグ回収乙。
「俺は私立桑栄中学、飯田天哉だ!」
「はぁー?くそエリートじゃねーか!ぶっ殺し甲斐がありそうだ」
「ぶっ殺し甲斐!?君、ひどいな!本当にヒーロー志望か!?」
ほんとにな。
あ、今爆豪と目が合った。
そして飯田に気付かれた。面倒くさそうだ。
「おはよう!俺は私立...」
「あっ、き、聞いてたよ!僕、緑谷。よろしく、い、飯田くん」
「緑谷君、君はあの実技試験の構造に気付いていたのだな。俺は気づけなかった。君を見誤っていたよ!悔しいが、君のほうが上手だったようだ」
「(ごめん、気づいてなかったよ...)」
あぁ、レスキューポイントについてだな...
「ところでピンクの髪の君は?」
斉木楠雄だ、よろしく。
「斉木くんだな。よろしく頼む」
真面目そうだな。典型的な優等生タイプだ。
「あぁ~!そのもじゃもじゃ頭は!地味めの!」
結構毒舌なんだな。気にしてない緑谷もどうかと思うが。
なんかラブコメが始まったな、先に席に着こう。
「お話してぇだけならよそへ行け」
ささやくぐらいの声量でそういったのはおそらく先生。
寝袋に入っている、全体的にボロボロな...
ていうかホームレスだろなんだこいつ。
みんなも驚きすぎて顔がやばい。
「みんなが静かになるまで8秒かかりました~」
8秒くらいなら別にいいだろ。ていうか暗い。
「担任の相沢消太だ。よろしくね~」
見た目と雰囲気のわりにかわいい口調だなやめろ。
「早速だがこれ着てグラウンドに出ろ」
先生が手に持っているのはジャージのようだ。
雄英のジャージ、っぽいな。
よくわからないが、とりあえず外へ出た。
―――――――――――――――
グラウンドにて。
「「「個性の把握テストぉおぉぉ!?」」」
なるほど、確かにそれは必要なことかもしれない。
一人一人の個性が分からないと指導できる範囲が狭くなってしまうからな。
説明よると、よくあるボール投げだとか、上体起こしだとか、持久走だとか、普通の体育の身体能力テストを個性ありでやってみろとのことだった。
「確か実技テストのトップは斉木だったな?」
「え、あの斉木くん?っていう人がトップだったの?」
「か、彼がそうだったのか...!」
「ッチ!(こいつが俺よりも上だと...?ふざけんな!)」
違います。断じて違いますって言いたい。いやそうなんだが。
ていうか今普通に舌打ちしたやつがいたんだが(もちろん爆豪)
「ボール投げ、個性を使ってやってみろ」
話聞け。
まったく、なんでこんな面倒くさいこと。
いや、どっか飛んで行っても僕の能力ってことにしておけばいいのか。
「はよ。思いっきりな」
やれやれまったく、仕方がない。
本気で投げておけばいんだろ。
構えも何も取らなかったが、とりあえずボールは光の如く宇宙の彼方へ飛んで行ったことだろう。測定不能だ。
「...お前今の個性か?」
個性です。
「今普通に腕の力だけで」
個性の力です。
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その後は特別なことはなかったが、しいて言えば
「8種目トータル最下位の奴は見込みなしとして除籍処分としよう」
と先生が言ったこと。最終的には冗談とされたが、僕には本気だったとわかっていた。テレパシーで。
それと、緑谷の個性(確かオールマイトに授かったって言ってたな)が見れたことも大きいな。
使った後は、使った体の部位が骨折みたいに反動が来るらしい。
つまりはコントロールができないということだな。使うタイミングを見極めないと大変なことになりそうだ。いざとなったら僕の能力で直してやれるが。
さて、そろそろ爆豪が手を出すころか。なぜわかるって?テレパシーだ。
「どういうことだ...訳を言えデクてめぇえ!!!」
まぁ僕が止める必要はないな。
ひっ、と緑谷が後ずさり、腕で顔を隠したとき、爆豪は布につかまっていた。
相澤先生だ。緑谷がボール投げの時ムチャしようとしたのを止めたのを見ていた。確か目をずっと開けていたな。
見ている相手の個性を消すという個性か。瞬きすると解けるんだろう。
「たく、何度も何度も個性使わすなよ...俺はドライアイなんだ!!」
「「「(個性すごいのにもったいない!!)」」」
確かにな。
さて、あの爆豪の自尊心の塊みたいなのはどうするか。いつか問題でも起こしそうだ。
というか僕狙われていないよな?さっきからにらみつけてるけど気のせいだよな?
「(デクも、あの斉木とかいうやつも!全員ぶっ潰してやる!!)」
気ノセイジャ無カッタネー。
面倒なことになりそうだ。