やったぜ!
第32話 新居
〜人間の里〜
「うっわ〜」
俺は人々が忙しなく動く中、一人そう言った
その人間の里入り口、ガヤガヤと木材を担いだ男たちが動き回っている
なぜなら、前回の戦いで壊れた家を直そうとしているのだ
もう完全に俺が悪いな、これ
ごめんね?ごめんね?
俺は男たちを丁寧に避けつつ、民家が無傷の場所まで移動する
周りをキョロキョロ見つつ、うろ覚えで、ある人が住む民家を探す
あっ!み〜つけたっ!
「ごめんくださ〜い」
トントンっとドアを叩き、大きく言う
外の世界じゃ行ったことないよ?この「ごめんくださ〜い」なんて
しばらくしてドンドンと大きな足音が聞こえてくる
てか、『ド』とか『ト』を書きすぎた気がするんだが
「はーい、どちら様ですって、あんたか」
出て来たのは案の定、神楽だった
ドアを開けたはじめこそ作り笑顔を浮かべていたものの、俺を確認するなり気だるそうな、いつもの顔に戻した
「うん、オレオレ。突然なんだけどさ〜お前らって修行してたんだよな?どっかに小屋建ててさ?」
少し前に聞いた話だが、修行が一段落して終わった日、つまり俺と初めて会った日に
小屋を残して実家に帰って来たらしいのだけど、俺にその場所を教えてくれって事と、まぁつまるところ小屋貸してって事を言いにきたのだ
「ん?あぁ小屋?別にいいけど、あっ!場所分かる?ちょっと待ってて、地図持ってくるから」
な〜んか言うだけ言って行ってしまった
閉まるドアの隙間に見える神楽の背中を見つめながら、小さな期待を一つ胸に抱いていた
一人暮らし、聞こえはいいけど実際にはできれば行きたくない
昔はもう中一の五月とかに色々と重なって家を飛び出したんだけど
あの時は大変だったなぁ〜なんてったって一日野宿したもん
その後中学休んで持ち金を全部使ってアパートを借りたんだった
一応貯金には五万あったし、そこそこなとこ借りてる
っと、そんなこと思ってたら神楽が来たっぽい
「ほい、これ地図ね。魔法の森の場所分かるよね?うん、なら良かった。ほいじゃあ」
地図をぽいっと投げ渡した後、ドアをバタンと力強く閉めた
ん?何か声が...
『誰々?誰と喋ってたの?』
『ん?別に?ただの宗教の勧誘だよ?』
『いや、違うでしょ、絶対。だって流楠の声したよ?』
『いや違うから、はいはい玄関から離れましょうねぇ〜』
うん、さりげなく『イギャーーー』って悲痛な叫びが聞こえてくる...
よしっ!聞いてない聞いてない。さっさと魔法の森行こう
〜魔法の森〜
「んで、なんでお前が?」
「ん?気にしないで」
俺は呆れた顔をしながら言った
魔法の森のちょうど入り口、つまり目の前、そこに黒いフードをかぶった男がいたのだ
三年程前、俺にスペルカードを渡した男
なんでこいつがいるのかは不明だ
なんだか嫌な予感がする
「な、なんで付いてくんだよ」
「ダメかい?」
ダメじゃないけど、と俺は返す
ま、まさかこいつっ!“ホモ“なのかっっっ!!
ヤベェ、ヤベェよ。
このままじゃ、部屋に連れ込まれて、犯されて、写真に撮られて、ネットに流される可能性大!!
「なぁ流楠、実は俺、流楠君のことがっっっ」
「ヤメロォ」
「もう我慢できないッ!ハァハァ」
「ギャーーー」
みたいになるに違いない!
「ん?顔に何かついてるか?」
「いいや?別に」
そんなことになるわけないか
考えすぎた
「おっと。ここかな?」
「そうみたいだね」
目の前にあるのはただの家
窓があって屋根があってドアがある、外見からはそれ以外は特に書くことのないただの民家
人間の里にある、それと何ら変わりない
「どうしたの?入らないの?」
「い、いや。こんなしっかりした物だと思ってなかったからちょっとびっくりしてるだけ」
玄関のドアを開けようと、神楽からもらった鍵を取り出してそのまま開ける
「う〜ん。予想通りだ」
外見の見た目はいいが、中身は酷い有様だ
ところどころ埃がたまり、紙が散乱していたり、Gっぽいのがカサカサいたり...etc
「はぁ〜新居ついて一日目のやることは大掃除ってことかな?お前も手伝えよ、黒フード」
「えっ?どうして?あと黒フードって何?」
「だってお前名前教えてくれないんだもん!」
黒フードは“まぁたしかに“と言った後、なんだかんだで手伝おうとしてくれる
この掃除が終わるのはあと何時間後になるだろうか...
遂に一人暮らしが始まりましたね!
魂夢的には、これでちょっと大暴れしても問題なくなったぜ!ってね!