ポケットモンスター サン&ムーン ~出会えてよかった~ 作:モモワ
アローラ!! 今回のポケ問題は私が出題しますね!
では問題です! ジャジャーン! ずばり… 今回のお話で
久しぶりにサトシとの再会を果たす私は一体誰でしょう?
【A:カスミ B:ハルカ C:ヒカリ D:セレナ】
答えは小説の最後で発表しますので 最後まで見てね!
サ「ご馳走様~!!」
ピ「ピカピカッチュウ!」
その日の夜 夕食が終わったサトシは いつものようにソファーに座りながら
膝の上に乗せた相棒の背中を優しくなでていた
ピ「チャアァァ~~♪」
サ「気持ちいいかピカチュウ?」
※「えー それでは続いてのニュースをお伝えいたします」
テレビはちょうどニュースをやっているところだった
もちろんサトシが積極的にニュースを見ることなどほとんどない
ピカチュウの背中をなでながら 普通にニュースの内容を聞き流しているだけだった
しかし…
※「近頃 ホウエン地方にて 1人旅のトレーナーを狙った悪質な犯罪が増えています」
サ「えっ!?」
ピ「ピーカ!?」
普段ならポケモンのこと以外に反応を見せないサトシだが
今流れていた そのニュースの内容に驚き サトシはピカチュウを撫でる手を止めた
※「主な犯行の手口は 人気のない場所で1人旅をするトレーナーを待ち構え
ポケモンを強奪するといったものです ホウエン警察はこれ以上の犯行を防ぐため
パトロールを強化するなどの対策をとる模様です
ホウエン地方を1人で旅される方は人気のない場所を避け
街々の移動は公共の乗り物などを利用されることをおすすめいたします」
ク「1人旅をするトレーナーを狙った犯行か… 随分と悪質だな」
ククイ博士は2人分のコーヒーを手にしながらニュースを聞いていた
ク「しかしポケモントレーナーなら ポケモンをゲットするために
自然の中を進むのが普通だからな それを利用した犯行とは…許せん話だ!」
ククイ博士は普段とは違う険しい顔をしながら 一口コーヒーをすすった
サ「ホウエンで1人旅をするトレーナー…」
ニュースを聞いたサトシの頭の中に浮かんできたのは 最近まで一緒に旅をしていた
とあるトレーナーの少女のことだった
サ「大丈夫かな……………セレナ」
ピ「ピ~カ?」
笑顔が消えた相棒を見て 膝の上にいたピカチュウも心配そうに声をかける
ク「どうしたサトシ?」
サトシの様子がおかしいことに 当然隣に座っているククイ博士も気がついた
ク「いつも”マジカルシャイン”ばりの笑顔のお前にしちゃ珍しいな?」
ロ「サトシ 何か心配事でもあるロト?」
ククイ博士やロトムが尋ねると サトシは一口コーヒーをすすった後 話を始めた
サ「…ここに来る前に俺 カロスを旅してたんですけど その時一緒に旅をしていた
旅仲間の1人が今 ホウエンに行ってるんです ………1人で」
ク「なるほどな! だったら今のニュースを聞いたら 当然心配になるよな?」
サ「はい……… セレナは女の子だし それに… バトルはあんまり得意じゃないんです
もちろんそれでもセレナのポケモンは セレナが大事にして育ててるから
みんなそれなりの強さはあるんですけど…」
ク「リーグ出場を目指すために鍛え上げた屈強なポケモンがいるならまだ安心だが
そういうこととなると 確かに心配にもなってくるってわけだな?」
サ「はい… あいつ………大丈夫かな?」
その日ニュースを聞いてからというものの サトシはセレナのことが心配でたまらず
普段なら爆睡してしまう彼も その日はなかなかすぐに寝付けなかったという
サ「………今日は満月か~」
何気なく窓の外をのぞくと そこにはきれいな満月が夜空を明るく照らし出していた
サ「……あいつも今ごろ ホウエンのどこかで この満月を眺めてるのかな?」
一方こちらは少し前の時間のホウエン地方 とあるポケモンセンターに
1人の少女がジュンサーに連れられ 中に入ってきた
ジ「それじゃあ私はここで! 再びパトロールに行かなくちゃいけないからね」
?「はい! ジュンサーさん 本当にどうもありがとうございました」
ジ「いいのよ それよりあなたも1人旅をするんだったら
なるべく人通りの多い場所を選ぶか 公共の乗り物を利用するようにしてね
またこんなことが起こらないとは限らないから」
ジュンサーは少女に何やら忠告し ポケモンセンターを後にした
?「………ふぅ 今日はありがとうねテールナー」
テ「テナテナ!」
部屋に着いた彼女は相棒のテールナーを出し ねぎらいの言葉をかけた
その少女こそ かつてサトシとカロス地方を共に旅したポケモンパフォーマー
セレナだった
セ「ニュースでは聞いてたけど…まさか実際あんな目にあうなんてね」
それはその日の夕方 セレナが次の街に向け 人気のない道を歩いていた時のことだった
※「よぉよぉよぉ姉ちゃんよー いいポケモン連れてんじゃねーか」
見るからにガラの悪そうな男が セレナに近寄ってきたのだ
セ「何ですかあなた?」
※「見てたぜ! さっきバトルしてたテールナー ありゃなかなかの上玉だ!
手入れも行き届いてるみてーだし さぞかし高値がつきそうだぜ」
その一言でセレナは理解した 目の前にいるのは勝負を挑んできたトレーナーではなく
ポケモンを金儲けの道具としかみていな悪質なトレーナーだと
※「ってことでよ! そのテールナー俺にくれねぇか? それに姉ちゃんもこの辺りじゃ
なかなか目にかけられねぇ美人だし 俺の彼女にしてやってもいいぜ?」
セ「……けっこうです! それにテールナーをあなたなんかに渡す気もありません!」
※「そうかい? じゃあしょうがねぇな! 力づくで奪ってやらぁ!!」
その後セレナは悪質トレーナーとバトルすることとなった
ポケモンコンテストに出場するようになってから ある程度バトルの練習もしていた為
バトルの流れは完全にセレナにむいており 問題なく勝てそうだった
だが…
※「ちっ! 下手に出てりゃつけあがりやがって! これでどうだ!!」
男は手持ちのポケモンを全部出し 一気に攻撃をしかけてきた
その攻撃でテールナーがセレナをかばって大きなダメージを受けてしまう
セ「テールナー!!」
※「さぁ諦めておとなしく俺様の言うことを聞け!!」
男がゆっくりとセレナに迫ってきた しかし…
セ「………諦めるもんですか!」
セレナは怯える様子も見せず キリッとした目で男と向かい合った
セ「最後まで絶対諦めない!! もうあの頃の私とは違う!!」
テ「テ……テナァ!!」
その後テールナーの特性「もうか」が発動し 威力の上がった炎技で相手のポケモンを
全員戦闘不能にしたのだった そして男は愕然とし 逃げようとしたところを
パトロール中のジュンサーに見つかり そのまま現行犯で逮捕された
そしてセレナはジュンサーにポケモンセンターまで送ってもらい 今に至るのだ
セレナは自室でテールナーにブラッシングをしながら 今日のことを思い出していた
セ「(今日は勝てたけど… もしまた同じ目にあった時 私はテールナー達のことを
ちゃんと守ってあげられるのかな?)」
セレナの心の中には不安があった 自分はそれほど強いトレーナーでもない
かつてのように共に旅をしてくれる仲間も今は連れていない
そしてそんな時に彼女の頭の中に思い浮かぶのは いつもそばにいてくれた大切な人…
セ「(サトシ……… カロスを旅した時は サトシがいつも側にいてくれた…
いつも私のこと守ってくれて… 励ましてくれて…
だから私… そんなあなたが振り向いてくれるような魅力的な女の子になりたくて
ここホウエンにやってきて 今は1人で旅をしている…)」
テ「………テナ?」
セレナのブラッシングの手が止まったことに テールナーは不審に思い声をかけた
セ「あっ! ごめんごめん! ちょっと考え事してて…」
セレナはそう言って笑った後 再びテールナーのブラッシングをはじめた
だがテールナーには分かっていた 今セレナが何を考えているのかを…
セ「(ポケモンコンテストにも出場して… リボンもちゃんとゲットできて…
それなりには成長できてるとは思うけど でも……………)」
セレナは再び手を止めた
セ「(やっぱり…………寂しいよ いつも側にいて 明るく笑いかけてくれたあなたが…
今はもういない……… 頼れるあなたが………今は……もう………)」
テ「テナ!! テナテナ!」
テールナーの声でハッと我に返ったセレナ 気がつけば知らない間に
彼女の青い瞳からは一滴の雫が流れ 頬を伝って零れ落ちていた
セ「…ごめんテールナー 何でもない 何でもないの」
テ「テナァ…?」
セ「………ちょっと思い出してただけ サトシのこと…」
テ「テナァ………」
セ「サトシ…………今頃どこで何してるのかな? やっぱり…………夢に向かって
ひたすら前向きに頑張ってるのかな?」
セレナは窓の外を眺めた 今日はきれいな満月が輝いている
セ「今日は満月か… サトシも今ごろ…どこかでこの満月を眺めているのかな?
少しくらい……私の事……思ってくれてると…いいな…………………グスッ」
そう考えだした途端 彼女の目からは涙が止まらなくなった
セ「……グスッ……………いたい………………会いたい…………会いたいよぉ……サトシィ……グスッ」
その後しばらく部屋は静寂となり どちらも一言も声を出せずにいた
そんな時 コンコンと突然セレナの部屋をノックする音が聞こえた
セ「!! は……はい!!」
セレナは手で涙を拭うと返事を返した 部屋を訪ねてきた相手は
どうやらこのポケモンセンターのジョーイさんのようだ
ジョ「セレナさん あなた宛にお電話が繋がっています! 至急1階ロビーまで
お越しいただけますか?」
セ「あ…はい!! すぐ行きます!!」
セレナが返事を返すと ジョーイはそのまま去っていった
セ「電話? 誰からかしら…?」
セレナは部屋を出て ポケモンセンターのロビーまでやってくると
保留になっているテレビ電話の前に座り 保留ボタンを解除した
セ「はい お電話かわりました」
?「久しぶりねセレナ その様子じゃ元気にやってるようね」
セ「!!? ヤ…ヤシオさん!?」
電話の画面に映ったのは 年老いてなお気品のある1人の女性… そう
それはカロスで行われているトライポカロンで かつてカロスクイーンの座を手にし
今なおその業界では名の知れたトライポカロンのプロデューサー ヤシオだった
セ「どうしてヤシオさんが私に!?」
カロスで面識があり 1度は弟子にならないかと誘われたこともあるセレナ
しかし彼女はサトシとの旅を続けたい気持ちから また人に頼るのではなく
自分自身で夢を掴み取りたいという強い気持ちから その誘いを断った
しかしそれでも彼女はセレナのことを高く評価しているらしく
実は彼女がホウエンに来てから出場したコンテストも全て見ていたらしいのだ
ヤ「コンテスト………頑張ってるみたいね この前の大会の演技は素晴らしかったわ」
セ「!!? み…見てたんですか?」
ヤ「ええ もちろん! 私…あなたのファンなんだから」
微笑ましい笑顔でセレナにそれを伝え セレナはかなりの衝撃をうけていた
セ「あ……ありがとうございます」
ヤ「腕が落ちることなく むしろ……これまで以上に伸びていてよかったわ
コンテスト挑戦に関しては何も問題はなさそうね! ただ…」
そこから先はヤシオの顔が真剣になり セレナもゴクッと生唾を飲み込んだ
ヤ「………あなたも知ってると思うけど 今ホウエンじゃ
1人旅をするトレーナーを狙った悪質な犯行が多発しているらしいの」
セ「は……はい…」
まさに今日そんな目にあったなどと さすがにセレナは伝えられなかった
しかし彼女の様子を見たヤシオは 既に気づいていたのかもしれない
ヤ「……あなたは私の弟子でもなければ娘でもない だからこんな事を言うのは
筋違いかもしれないけど でもやっぱり………あなたのホウエンでの1人旅を
このまま黙って黙認するわけにはいかないの…」
セ「ヤシオさん…」
セレナは感じていた まるで自分の娘を心配するかのように
ヤシオは自分の身を心配してくれている だからこそこうしてわざわざ
滞在先のポケモンセンターを突き止めてまで 連絡してきてくれたのだと…
ヤ「もちろん私にあなたの旅をやめさせる権利なんてないわ あなたがこれからも
旅を続けたいというのであれば 私は全力であなたのこと応援したいと思う…」
ヤシオは一呼吸おいた後 再び真剣な目つきでセレナに尋ねた
ヤ「……あなたはどうなの?」
セ「えっ!?」
ヤ「今の旅に………満足はしているの?」
セ「…………」
ヤシオの問いかけに セレナはすぐさま答えを返すことが出来なかった
セ「………も…もちろんです! 初めて目にする物がいっぱいで
い…色々な経験もできて と……とっても旅を楽しんでます!」
ヤ「…………そう」
ヤシオに心配をかけまいと 必死に笑顔でごまかそうとするセレナだったが
相手はトライポカロンのプロデューサーであり セレナのファン
ヤ「………あなたって本当 ウソをつくのが下手ね」
セ「!!」
ヤ「……これでもトライポカロンを長年見守ってきたプロデューサーなのよ?
その涙の跡に気づかないとでも思ったかしら?」
ヤシオは笑みを浮かべながら言った 彼女は全てお見通しだった
セレナのその笑顔がつくった笑顔で 本当はとても今悩んでいるということも全て…
観念したセレナは 先ほどから思っていたことを全てヤシオに話した
ヤ「………よく話してくれたわね ありがとう」
セ「いえ! すいませんヤシオさん…」
ヤ「…謝る必要はないわ むしろあなたの気持ちが聞けて…ホッとしたくらいだし
やはりあなたにとって……彼の存在はそれだけ大きいようね?」
セ「………………はい 私にとってサトシは……誰よりも素敵で 誰よりも頼りになる……
私の…………………憧れの人ですから…」
彼女の発する言葉の1つ1つからも 彼女がいかに彼を必要としているか
いかに彼の事を想っているかが伝わり ヤシオはフッと小さな笑みをこぼした
そしてヤシオは手元にあった書類を取り出し 軽く目を通した後 セレナに問いかけた
ヤ「ところで話は変わるんだけど… セレナ あなたにお願いしたいことがあるの」
セ「えっ!? お願いしたいこと…ですか?」
次の日の正午 ポケモンスクールの教室では クラスメート達が机を寄せ合い
みんなで楽しく会話をしながらお昼ご飯の真っ最中だった
マオ「じゃあ今日はアイナ食堂に集まってハウの歓迎会ってことでいいわね?」
カキ「だな!」
リ「ですね!」
ス「うん!」
ハ「みんなーありがとねー♪」
昨日からサトシ達のクラスに新たに入ってきた 島キング ハラの孫にあたるハウ
その歓迎会のプランが決まり 今日の夕方アイナ食堂で行われようとしていた
ミ「私が来た時もマオちゃん達が歓迎会開いてくれました 私も本当
このクラスに入ることができてよかったと思ってます! ねぇサトシ君?
サトシ君が来た時も…」
サ「………」
どうやらサトシにミヅキの声は届いてなかったようだ いや さらには
今クラスで話し合っていた内容すら聞こえていない可能性が高い
マオ「サトシ! 聞いてる?」
サ「…………えっ!? 何が!?」
マオ「もぉー! ハウの歓迎会を今日やるって話!」
サ「あ! そ…そっか ごめんごめん」
サトシは頭の後ろをかきながら慌てて謝った
リ「珍しいですね サトシならこういう話1番にのってきそうですのに…」
マー「サトシらしくないよねー? さっきからボーっとしちゃって…」
ミ「何か心配事でもあるのサトシ君?」
いつもと違うサトシの様子に クラスメート達が心配し声をかけた
サ「いや……昨日ニュースでさ」
サトシは昨日のニュースのことと かつての旅仲間が1人でホウエンに行っている事を
みんなに伝えた
リ「そうですか… それが心配だったんですねサトシは」
ス「確かにそのニュース 最近よく聞くもんね?」
ロ「昨日の夜のニュースだけでも その内容を放送する番組が5つもあったロト!
また 昨日までのホウエンでその被害にあったという人の割合が…」
マオ「ロトム!!」
マオに叫ばれ ロトムはハッと気がついた 今自分が発表しようとした結果を聞けば
サトシの元気がさらになくなってしまうに違いないと
ロ「…ごめんロト サトシ」
サ「いや 別にお前は悪くないじゃんか! むしろお前って本当何でも知ってて
スゲーなって思ったくらいだよ!」
サトシは笑顔でロトムに言った こういうサトシの優しい部分は尊敬できるなと
その場にいたみんなは思ったという
ミ「そっか… セっちゃんホウエンで頑張ってるみたいだしね でも知らなかった
サトシ君とセっちゃんがカロスで再会して 一緒に旅してたなんてね」
カ「確かに女の子1人でホウエンを旅してるとなると心配にもなるだろうな…
うちのホシがそんなことになったら俺はゼンリョクを持って食い止めるところだ!!」
マオ「……ホシちゃんが行きたいって言っても?」
カ「その時はとーぜん俺も一緒についていくさ!!」
カキが超真剣な顔で言ったため みんなはおかしくなって笑った
サ「いいと思うぜカキ!」
ようやくサトシの顔にも笑顔が戻った
サ「迷ってる暇があるなら まずは自分が動いてみる! 動かないと何も始まらないし
動けば絶対何か結果が残る! 無駄なことなんて何1つないからな!」
サトシのその言葉にクラスメート達は感心した いつもは子供っぽくやんちゃな彼だが
時にこうしたしっかりとした発言をすることもあり その辺はさすがこれまで
各地を旅してきたトレーナーなんだなと 皆は思ったという
マー「あー そういえばニュースで思い出したんだけど 今度の休みの日
ハウオリシティで何か大きなイベントやるみたいだよ? 今朝チラッと紹介されてた」
サ「へぇー ポケモンを使ったイベントかな? だったら見に行きてぇなー!」
そしてポケモンスクールがお休みの日 今日はハウオリシティでマーマネが言っていた
大きなイベントが開かれるということで 早速やってきたサトシ達
サ「どんなイベントなんだろ? 楽しみだなピカチュウ」
ピ「ピカピカ!」
ちなみにその日に集まったメンバーは
サトシ リーリエ スイレン マーマネ ハウの5人だった
他のみんなも楽しみにしていたのだが カキやマオは家の仕事があるため来られず
ミヅキも引越してきたばかりで 今日はすることがあるらしい
リ「それで…今日はどんなイベントがあるんですかマーマネ?」
マー「それなんだけどねー 何でもカロスで行われてるトライポカロンってのを
やるらしいよ?」
サ「トライポカロン!?」
マーマネの説明にサトシが思わず声をあげた
ス「サトシ そういえばカロスを旅してたんだよね? じゃあ今日のイベントでやる事も
知ってるの?」
サ「あぁ! トライポカロンはトレーナーとポケモン達が協力して
色々なパフォーマンスを見せる大会なんだ!」
ハ「へぇー そんな大会があるんだー? 俺もアブリボンと出てみたかったなー」
サ「あー 悪いけどハウは出れないな! トライポカロンって参加者は女性限定だから」
ス「そうなんだ? じゃあハウが出るんなら女装しなくちゃね!」
ハ「そっかー 女装しなきゃいけないのかー」
スイレンに釣られてハウが笑顔でそういった10秒後
ハ「……………えええええぇーーーっ!? 女装なんて無理無理ー
俺リーリエみたいな格好できないよーーーー!!」
驚くハウの言葉に サトシ達はハウがリーリエの格好をしている姿を想像し
そのあまりにも滑稽な姿に大爆笑したとか
ロ「そろそろイベントが始まる時間ロトー 早く席につくロト!」
サトシ達はトライポカロンが行われる野外ステージへと到着し
周りによういされた観客席に座った これで後は開幕時刻を待つだけだと
誰もが思ったその時
ロ「…ところでサトシ 家の鍵はかけてきたロト?」
サ「え?」
ロトムが何気なく気づいたことをサトシに尋ねた
ロ「今日はククイ博士も朝から出かけていて 今家はだれもいないロトよ?」
サ「大丈夫大丈夫! ちゃ~んと鍵かけて 鍵もポケットに…」
サトシはポケットに手を突っ込んで探ったが そこに鍵はなかった
サ「……………忘れてた」
ピ「ピィ~~カァ~~!?」
ロ「何やってるロトー!! じゃあ今博士の家は誰もいないのに
鍵もかかってない状態になってるロトー!? こんな状態じゃ
ドロボウが入って家を荒らされる確立95%ロトよー!!」
サ「悪ぃみんな! すぐ戻ってくるから先に見ててくれ!!」
サトシは大慌てで家へと引き返して言った
マー「もぉー これから始まるって時なのに もったいないなぁー」
ス「サトシらいしよねー?」
リ「そ…そうですね」
ハ「あははー サトシー 急げー!!」
その頃 ハウオリシティで行われるトライポカロンの控え室では
※「すいませんセレナさん まもなくスタートしますんで準備を!」
セ「あ! はい!!」
その控え室にはセレナの姿があった
セ「ヤシオさんの頼みじゃ断れないもんね! それに久しぶりのトライポカロン
腕が落ちたなんて思われないためにも 頑張らなくっちゃ!!」
テ「テナ!!」
?「ヤンチャ!!」
?「フィア~!!」
彼女の手持ちであるテールナー そしてヤンチャムとニンフィアが元気よく叫んだ
ヤシオが彼女に頼んだこと それはトライポカロンを各地に普及させるため
トライポカロンがどんなものかを伝えるイベントを各地で行うので
そのイベントの1つに参加してほしいというものだった
ヤ「それであなたには……アローラ地方ハウオリシティに行ってもらいたいの
飛行機のチケットはこちらで用意するからお願いできるかしら?」
セ「はい! 分かりました」
ヤシオの提案をセレナは快く引き受けた
ヤ「…悪いわね せっかくホウエンに行った矢先 こんな事を頼んじゃって」
セ「いえ 私もトライポカロンがもっといろんな地方で流行ればいいなと思ってたんで
そのお手伝いができるんなら喜んで参加させてもらいます!」
ヤ「……フフッ あなたの演技楽しみにしているわよ」
セ「はい!」
こうしてヤシオはセレナとの連絡を終えた
?「先生も人が悪いですね?」
ヤシオの後ろにいたのは現カロスクイーンのエルだった
彼女もまた ヤシオに気に入られ 彼女から教えを受けた1人なのだ
ヤ「どういう事かしら?」
エ「セレナをアローラ地方に行かせたことですよ! だってあそこには今…」
ヤ「フフフ 何のことかしら? たまたまよ たまたま」
そういうヤシオの顔は どこかイジワルそうな顔に見えたと後にエルは語る
ム「………何よ どうせなら私に声かければいいのに!」
コ「まぁまぁ…」
一方 会場内には アロハシャツにサングラスで変装したロケット団の姿もあった
しかもムサシはふくれっ面で何やら機嫌が悪いご様子
ニ「ニャんでも 主催者のヤシオってプロデューサーが選んだパフォーマーが
今日ここでパフォーマンスを披露するらしいのニャ」
ソ「ソォーーーナンス!!」
ム「……ふん!! だったら何でこのムサビィに連絡が来ないのよ!?
この品行方正な美人パフォーマー ムサビィに真っ先に連絡よこすのが
筋ってもんじゃないの!?」
コ「お前…品行方正の意味知ってんのか?」
ム「知ってますぅぅぅーーーーっ!!」
どうやらムサシは自分にパフォーマンスの依頼が来なかった事に腹を立てているようだ
まぁ来るわけないのだが…
ム「まぁいいわ! どこのポニータの骨だか知らない そのパフォーマーのポケモン
根こそぎ奪ってやろうじゃないの!! 私に出演依頼をよこさなかった罰よ罰!!」
そしてとうとうイベントがスタートする時間となり 司会者がステージの上にあがり
会場に来てくれた観客達に挨拶をした
司「皆さん 本日はハウオリシティにおけるスペシャルイベントにお集まりいただき
まことにありがとうございます! 今回は はるか遠くはカロス地方で行われている
ポケモンパフォーマー達による演技を披露する大会 トライポカロンについて
是非アローラの皆様にも知っていただこうという思いから
このようなイベントをご用意したわけでありまして…」
ス「いよいよ始まるね!」
ア「アウッアウッ!」
リ「とっても楽しみです! ねぇシロン?」
シ「コーン!」
スイレンの膝の上にいるアシマリや リーリエの腕の中にいるシロンも
今日のイベントが楽しみだったのか とても嬉しそうだった
マ「もう始まっちゃったけど… サトシまだかな~?」
ト「マチュチュチュ~?」
そんな事を話してる間に 司会は今日のイベントやトライポカロン
そしてポケモンパフォーマーとはどういうものかといった簡単な説明を終え
いよいよ本日のメインゲストの登場となった
司「それではご紹介いたしましょう! 本日皆様の前で素敵なパフォーマンスを
披露してくれるのは こちらの方ー!! カロスで行われたトライポカロン
そのマスタークラスで おしくも優勝を逃したものの 素晴らしい演技を披露してくれた
ポケモンパフォーマー セレナーーーッ!!」
司会者に紹介され いよいよセレナの出番となった
セ「さぁ行くわよみんな! いつもどおりリラックスして行きましょう!」
テ「テナ!」
ヤ「ヤンチャ!!」
ニ「フィア~!」
セレナとポケモン達は深呼吸して心を落ち着かせた
?「…………ザグ!」
そんなセレナ達の様子を 1匹のポケモンがどこか羨ましげに見ていた
セ「ごめんね あなたはまだ慣れてないから… 今回はここで見ててくれる?
次はあなたにも活躍してもらいたいから………ねっ?」
セレナはそのポケモンの頭を優しく撫でた後 ステージの上へと上がっていった
セ「アローラの皆さん! 本日はトライポカロンの紹介イベントにお集まりいただき
本当にありがとうございます! 本日は私とポケモン達がおりなすパフォーマンスを
是非じっくりとご覧になっていってくださいね!」
セレナが挨拶をすると 会場からは歓声や拍手が飛び交い
まだパフォーマンスも始まっていないにも関わらず大盛り上がりだった
コ「んあっ!? あれってカロスで一緒だったジャリガールじゃないか!?」
ニ「本当だニャ!」
ソ「ソォーーーーナンス!!」
ム「きいぃぃぃーーーーーーーっ!! 私を差し置いて大観衆の歓声をあびるなんて
クソ生意気ーーーーーーーーっ!!」
ムサシは悔しそうにハンカチをかみ締め……いや 引きちぎった
ム「よぉぉーーーーし!! 腹いせにジャリガールのポケモン達
ぜ~~~~~~んぶゲットするわよ!!」
コ「お……おう…」
ニ「ムサシが燃えてるのニャ…」
ソ「ソ…ソーナンスゥ?」
やや引き気味のコジロウ達とはうって変わり ムサシは闘志の炎を燃やしていた
いや…闘志というよりかは むしろただの嫉妬である
司「さぁ それではパフォーマー セレナによるポケモンパフォーマンス
じっくりとお楽しみください!!」
こうしてセレナの演技がスタートした
ロ「サトシー まだロトーーー!?」
ピ「ピ~カ~チュゥ~?」
サ「お待たせー 悪い悪い カギ置いた場所うっかり忘れちゃって」
ククイ博士の家に戻ったサトシは すぐカギをかけて会場に戻る予定だったのだが
サトシがカギを置いた場所を忘れてしまい 探している間に時間が経ってしまった
ロ「早くしないとイベントが終わってしまうロト!!」
サ「大丈夫大丈夫! 今からダッシュで戻れば間に合うさ! よーし行くぞみんなー!」
サトシの掛け声と共に ピカチュウやイワンコ ニャビーの3匹は
サトシの後を追って走り出した
サ「………あっ!!」
しかし途中でサトシが足で急ブレーキをかけ ピカチュウ達も慌てて止まった
ロ「どうしたロト?」
サ「………ハハハハ モクロー忘れたぁぁー!!」
ズコーーーーーッ!!
その場にいた全員がはげしく転倒した
モ「………ZZZ」
ちなみにモクローは誰もいないククイ博士の家のソファーの上で
状況もわからないままひたすら眠り続けていた
その頃ちょうどセレナのパフォーマンスが終了し 会場内は周りにいた観客達からの
あふれんばかりの拍手と歓声にうめつくされていた
リ「素晴らしい演技でした! これがトライポカロンなんですね?」
ス「うん! ポケモン達のダンス とっても可愛かった!」
マー「これが見れないなんてサトシもったいないなぁ~」
ハ「ポケモン達みんな楽しそうだったねー」
セレナのパフォーマンスは リーリエ達にも好評だったようだ
司「いやー素晴らしいパフォーマンスでした! その衣装もよく似合ってますし」
セ「ありがとうございます! 私も久しぶりにパフォーマンスができて楽しかったです!
司「ただ…」
セ「えっ?」
司「その胸元の青いリボン… 少し汚れて 痛んでるようですが……? 同じリボンでしたら
スタッフに頼んで新しい物をご用意いたしましたのに…」
司会者が言うように セレナが胸元につけているリボンは少しばかり汚れており
ずっと使い続けてきたこともあり 痛んでる部分もあった
だがセレナにこのリボンを新しくすることなどできなかった
セ「……ダメなんです このリボンじゃないと」
司「えっ?}
セ「…………… 確かに思いました せっかくのイベントなんだから もっときれいなリボンに
したほうがいいんじゃないかって…… でも……このリボンだけは絶対に……手放せない物で
同じ物は………この世界のどこにも存在しないんです」
セレナは胸元の青いリボンをそっと手にとり 感慨深くそう語った
セ「私……ずっと憧れてる人がいるんです いつも前向きで… ちょっぴり子供っぽいけど…
何事にも絶対諦めない強い心を持ってて… いつだって私を後押ししてくれた大切な人…
これは……そんな彼からもらった大切なリボンなんです これをつけてると…彼がそばにいて
ずっと私の事はげましてくれているような…そんな気持ちになれるんです」
司「なるほど………………『彼』ということは……その方は恋人ですか?」
セ「えっ?// い…いえ……// でも……………いつかは…// そうなれたらな……と…///」
セレナは顔を赤らめながらも 司会者の問いかけに対し返事をした もっとも語尾は
かなり弱々しい小さな声になってしまっていたが…
司「では素晴らしいパフォーマンスを疲労していただいたセレナさんに
皆様もう1度暖かい拍手をお願いいたします」
司会の声とともに会場からは再びあふれんばかりの拍手喝采が飛び交った
リ「そういえば…… あの方の名前 確か『セレナ』と…」
マー「うん それがどうかしたの?」
そしてここでリーリエがふとあることに気づく
リ「いえ… あの方……カロスで行われた大会に出たという事は カロスから来られた…
ということですよね?」
マー「だと思うよ? でもそれがどうし…」
ス「あっ!」
スイレンが何かに気づき 思わず声をあげた
リ「スイレンも気づかれましたか?」
マー「えっ!? 何々? 2人だけで盛り上がるのずるいよー」
ハ「あのセレナって子がどうかしたのー?」
リ「いえ……確証はないのですが…」
リーリエは少し迷いながらも 自分が思ったことをマーマネ達に伝えた
リ「確か………サトシが以前旅していたのはカロス地方 そして今朝からサトシが
ずっと気にしていた ホウエンを1人で旅しているという旅仲間の名前が……」
ス「『セレナ』 確かサトシ……そう言ってた」
マー「あっ!! 言われてみれば……」
ハ「同じ名前なのかなー? 偶然ってすごいねー」
ハウは本気でそう思っているらしいが 他の3人は感じていた
もしかしたら 今パフォーマンスを披露した少女は…
ム「は~~~いご苦労さんでしたっ!!」
と 突然会場内に響いた声 そして同時に上空から伸びてきたマジックハンドが
テールナー達を全員捕まえてしまった
セ「テールナー!! ヤンチャム!! ニンフィア!! ……一体何なの!?」
驚いたセレナが上空を見上げると そこには見覚えのあるニャース型の気球が
漂っていた
ム「一体何なのと聞かれたら」
コ「聞かせてあげよう 我らが名を」
ム「一所懸命 拍手喝采 儚きこの世に咲く一輪の悪の花 ムサシ!!」
コ「鑑花水月 栄枯盛衰 切なきこの世に一矢報いる悪の使徒 コジロウ!!」
ニ「満員御礼 商売繁盛 親しき仲にも小判輝く悪の星 ニャースでニャース!!」
R全「ロケット団、参上!」
ニ「なのニャ!」
ソ「ソ~~~~~ナンスッ!」
セリフは新しいが その見覚えのある行動と姿にセレナは驚いた
セ「ロ…ロケット団!? 何であなた達がこんなところに!?」
ム「それはこっちのセリフよジャリガール!! ったく…まさか
アンタまでアローラに来てたなんてね!」
セ「アンタまで!?」
ムサシのその言葉にセレナはひっかかった
コ「まっ! とにかくお前のポケモンはみんなもらっていくぜ!」
ニ「ロケット団のポケモン強奪パフォーマンス これにて終了でございニャース!」
全「次の公演まで しばしご歓談を~♪」
ソ「ソ~~~ナンス!!」
ロケット団は気球を発進させ逃走をはかった
テ「テナァァァア!!」
一方テールナー達も必死にマジックハンドから抜け出そうとするが
力及ばず抜け出すことができなかった
ム「無駄よ無駄無駄! おとなしく捕まってなさい! 私をさしおいて観客の歓声を
独り占めした罰よ! オホホのホー!!」
コ「……もはやただの八つ当たりじゃ?」
ニ「ほっとくニャ…」
ソ「ソーナンスゥー」
苦笑いするコジロウ達を尻目に 気球はどんどん会場から遠ざかって行く
ハ「うわぁー! このままじゃあいつら逃げちゃうよー!」
マ「あわわわ これってマズイんじゃないの?」
ス「せっかくのイベントが…………………………許せないっ!」
軽く闇スイレンモードがONになりかけていた
リ「何とか止めないと! でも……どうすれば」
?「ザグー!!」
リ「えっ? ひゃあああっ!!」
突然リーリエの目の前をポケモンが通過し リーリエは思わず悲鳴を上げた
?「ザグー!! ザグー!!」
ム「ん? 何よあのちっこいのは?」
コ「あれは確か…」
ニ「ジグザグマだニャ!!」
そう 舞台裏からセレナの元へ向かって走ってきたポケモン
それはホウエン地方でよく見られる まめだぬきポケモンのジグザグマだった
セ「ジグザグマ! ……………うん! 今はあなたに頼るしかない!
ゲットしたばかりだけど あなたは私の新しい大切な仲間!
みんなを助けるためにも お願い協力してジグザグマ!!」
ザ「ザグー!!」
ジグザグマは頷くと セレナの肩に飛び乗り さらにそこから2段ジャンプし
上空へと飛び上がった
セ「今よジグザグマ! "ミサイルばり”!!」
ジ「ザーグゥーーーー!!」
ジグザグマの全身から無数の針が発射され それがロケット団の気球をぶち破った
ム「んげぇぇーーーーっ!? アンタなんてことすんのよー!!」
コ「落ちるぅぅぅーーーー!!」
気球を破かれたロケット団の気球は会場の外の方へと墜落していった
セ「ありがとうジグザグマ!」
ジ「ザグザグ! ザグー!!」
ジグザグマは気球が墜落した方を向いて叫んだ ジグザグマが何を言いたいのか
ニャースの通訳がなくともセレナはわかっていた
セ「うん! テールナー達を助けなきゃ! 行こう!!」
司「あ! セレナさん!!」
会場から出ようとしたセレナを司会者が止めた
司「1人じゃ危ないですよ! すぐにジュンサーさんが駆けつけ…」
セ「そんなの待ってられません!!」
セレナは自分を止めようとする司会者の前でハッキリと告げた
セ「ジッと待ってるだけなんてできません! テールナー達は私の大事なパートナー達
すぐに助けに行かないと!!」
司「で…ですが…」
セ「迷ってる暇があるなら まずは自分が動いてみる! 動かないと何も始まらないし
動けば絶対何か結果が残る! 無駄なことなんて何1つないんです!!」
セレナは呆然とする司会者の横を通り抜けてロケット団を追いかけていった
ス「私達も行こう!」
リー「そうですね! 行きましょう!」
マー「えっ!? あぁちょっと 待ってよー!!」
スイレン達もセレナを追って会場から飛び出していった
リー「………スイレンも気づきました?」
ス「うん! 同じだった……」
リーリエの問いかけに対し スイレンは静かに頷いた
マー「えっ!? 同じって何が?」
ス「あの子………同じ事言ってた 昼間サトシがカキに言ってたのと…同じ事」
「迷ってる暇があるなら まずは自分が動いてみる! 動かないと何も始まらないし
動けば絶対何か結果が残る! 無駄なことなんて何1つないからな!」
マー「そういえば………えっ? ってことは!?」
リ「ええ! 恐らく間違いないと思います そして恐らく彼女は… サトシの事を……」
サ「はぁ… はぁ… やっと戻ってこれた……」
その頃サトシ達は ようやくイベント会場の近くまで戻ってきていた
ロ「もうとっくにイベント終わってるロト!!」
ピ「ピ~~カァ………ピカ!? ピカピ! ピカッチュウ!!」
サ「どうしたピカチュウ?」
ピカチュウが指さした方角に見えたもの それは見覚えのありすぎる
ニャースの顔をした気球が ハウオリシティはずれに墜落した光景だった
サ「あれは……まさかロケット団が!?」
ロ「ビビッ! マジックハンドに捕まっていたのはテールナー ヤンチャム ニンフィア
どれもアローラでは珍しいポケモンロト! よって僕の推理によると
恐らくロケット団がイベント関係者のポケモンを…」
と ロトムの推理が終わるよりも早く サトシは駆け出していた
ロ「ロトーーーー!? 僕の推理最後まで聞いてほしいロトー!!」
慌ててロトムもサトシの後を追いかけた
サ「(テールナーにヤンチャムにニンフィア… まさか… まさか!!)」
ロケット団の気球は ハウオリシティ郊外の海岸沿い
某サスペンス劇場の終盤に出てきそうな崖っぷちに墜落していた
ム「いたたたたた…んもぉ~ 何なのよあのジグザグマ!!」
コ「でも とりあえずこいつらはゲットできたし」
ニ「早くあのジャリガールが来る前に撤収するニャ!」
ソ「ソォーーーナンス!!」
セ「そうはさせないわ!!」
墜落した気球からロケット団が這い出てきたと同時にセレナが追いついてきた
セ「もう逃げられないわよロケット団! テールナー達を返しなさい!!」
ム「フン!! 返しなさいと言われて返すロケット団がどこにいますかってんの!
ミミッキュ 出てきなさい!!」
コ「ヒドイデ! お前もだ!!」
ロケット団はミミッキュとヒドイデをくりだした………のだが
ヒ「ヒ~~デ~~~~///」
ヒドイデはいつものようにコジロウに飛びつき コジロウは毒状態になった
その様子を初めて見たセレナは呆然としていた
ム「ミミッキュ! 邪魔なジャリガールをやっちゃいなさい!」
ミ「……………ケッ」
しかしミミッキュは小さく呟いた後 違う方向へウロウロ歩き始めた
ム「ちょっとミミッキュ!!」
ニ「あいつはピカチュウがいないとやる気が出ないのニャ」
ソ「ソォォーーーナンス!」
ムサシのミミッキュはピカチュウに対し激しい憎悪を抱いている
そのためピカチュウ相手では超本気を出すのだが そうでない相手の場合
よほどのことがないかぎりバトルには参加しないのだ
コ「……シャキーン!! 復活!!」
コジロウは気合いで毒を自然回復させた(笑)
コ「行くぞヒドイデ! ”とげキャノン”だ!!」
コジロウのヒドイデがジグザグマめがけて”とげキャノン”を発射
セ「ジグザグマ! こっちも”ミサイルばり”よ!!」
ジ「ザ~~~グマァ~~!!」
”とげキャノン”と”ミサイルばり”が正面衝突したが 若干パワーでジグザグマが
押されている
コ「いいそヒドイデ! そのまま”へドロばくだん”!!」
ヒ「ド~~~イデ!!」
続けてヒドイデの放った”へドロばくだん”がジグザグマに直撃した
セ「ジグザグマ!! しっかりして!」
ジ「………ザグゥ…」
幸い毒状態にはならずにすんだが かなりのダメージを受けていた
ム「ハッハ~ン♪ アンタそのポケモンゲットしてまだ間もないんでしょ?」
ニ「いくらニャー達でも ゲットした直後の育ってないポケモンに負けるほど
落ちぶれてはいないのニャ!」
セ「くっ…」
ムサシに鋭く指摘され セレナは悔しい思いで歯を噛みしめた
コ「チャンスだヒドイデ! もう一丁”へドロばくだん”!!」
ヒ「ド~~~イデ~!!」
ヒドイデの”へドロばくだん”がジグザグマにせまる この距離では
もうかわせそもない
セ「ジグザグマ!!」
ス「アシマリ! ”バブルこうせん”!!」
ア「ア~~~オゥ~!!」
すんでのところでアシマリの”バブルこうせん”が”へドロばくだん”を相殺し
両者の攻撃が中央で激突し 爆発した
リ「シロン! ”こなゆき”!!」
シ「コォォ~~~ン!!」
続いてシロンが”こなゆき”を吐き ヒドイデは完全に氷付けにされてしまった
コ「あああぁぁーー!! ヒドイデがヒドイ目にぃぃー!!」
ニ「そりゃ~酷いでー ってやつだニャ~」
ソ「ソ~~~ナンス!」
パシーン!! パシーン!!
ムサシはどこからか取り出した はりせんでコジロウとニャースの頭を引っぱたいた
ム「……つまんない事言ってんじゃないわよ! ほらニャース アンタも行けー!!」
ニ「ニャアア~~~!!?」
ムサシはニャースをひょいとつまもと そのまま勢いよく投げ飛ばした
マ「トゲデマル! ”びりびりちくちく”!!」
ト「マチュ! マ~チュチュチュチュチュ~~~!!」
ニ「アバババババババ!!」
トゲデマルの攻撃でニャースは真っ黒になった
ス「ここは私達が引き受ける!」
リ「早くポケモン達を助けにいってあげてください!」
セ「……うん! ありがとう!!」
セレナはロケット団の相手をスイレン達に任せ 未だマジックハンドに捕らわれ
動けないままのテールナー達の下へと向かった
ム「キイィィー!! ちょっとミミッキュ! いいからアンタも手伝いなさいよ!!」
しかしミミッキュはガラスをツメでひっかくような独特の音を鳴らしながら
そのへんをウロウロしているだけだった
セ「テールナー! ヤンチャム! ニンフィア! すぐ助けるからね!」
セレナはテールナー達の元にかけより 何とかマジックハンドを外そうとしたが
セレナの力では簡単には外せそうになかった
ハ「ポケモン助けるなら俺に任せてー! アブリボン ”むしのさざめき”!!」
ア「リボ! リ~~~ボォォ~~~!!」
アブリボンの”むしのさざめき”でマジックハンドが壊れ
ようやくテールナー達は自由の身となった
さぁこれでロケット団に反撃開始だ と…誰もが思ったその時
キ「キィィィ~~~~!!」
ス「えっ!?」
リ「あれは…」
マ「またアイツ…」
ハ「うわー すげージャンプ!」
セ「……へ!?」
突然後ろの崖下からピンク色の影が飛び出したかと思うと
それはロケット団のいる目の前にドス~~~~ンと派手な音をたてながら着地し
即座にロケット団を両手で抱きかかえてしまった
初めてそれを目にするセレナはもちろん 何度か見たことある他のみんなも
突然のことに唖然と立ち尽くすしかなかった
ム「ちょ…ちょっとタンマタンマ!!」
コ「まだここからが俺達のはんげ…」
ロケット団のセリフが終わるよりも早く そのピンクの影…キテルグマは
ロケット団を抱きかかえたまま 猛スピードでダッシュしてこの場を去った
R全「なぁに このかんじぃぃぃ~」
残された者には そんな彼らの悲痛の叫びが伝わったという
テ「テナ!」
ヤ「ヤンチャ!」
ニ「フィア~」
セ「みんなケガはない?」
セレナが尋ねると 3匹とも笑顔で頷いた
セ「よかった~ ジグザグマは?」
ザ「ザグザグ!!」
ジグザグマはしっぽをふりながら自分も大丈夫だとセレナにアピールした
ハ「アハハー ”かふんだんご”あげたからもう大丈夫だよー」
どうやらハウのアブリボンが”かふんだんご”でジグザグマを回復させてくれたようだ
ス「ポケモン みんな無事で よかった」
リ「ええ シロン達もお疲れ様」
マ「ロケット団は逃げちゃったけど……まぁいいよね?」
セレナはみんなが無事なのを知ってホッと胸をなでおろした
セ「みんな…ありがとう! おかげで…」
セレナがみんなにお礼を言おうとした…その時だった
セ「……………えっ?」
セレナの思考は完全に停止していたといっても過言ではない
それは誰もが予想だにできない一瞬の出来事だった
セレナの身体は今 宙に浮いている…
先ほどキテルグマが着地した時の衝撃で 足元の岩盤がもろくなっていたらしく
一瞬のうちに崖にヒビが入り 崩れたのだ それもセレナの足の下にある崖が…
セ「そ…………そんな…………」
それは一瞬のことのはずだが セレナには周りのもの全てが
スローモーションでゆっくり動いているように見えたという
慌てて手を伸ばそうとするスイレン達 テールナー達
しかしどの手もセレナの元へは届かない
「あぁ… 私このまま落ちるしかないんだ…」
セレナは放心状態のままそう思った いくら彼女でも
重力に逆らう術をもたない以上 その物理的法則からは決して逃れられなかった
セレナの身体は… 吸い込まれるように海へと引きずりこまれていき
全てを覚悟したセレナはそのまま目を閉じた
ガシッ!!
セ「………………え?」
セレナには何が起こったか分からなかった
自分はもう海の中にいるんだとばかり思っていた
しかし身体は濡れていないし 落下の衝撃も感じない
何が起こったのかを確かめるため 彼女は恐る恐る目を開いた
すると そこには…
?「……………大丈夫かセレナ?」
まだ視界がかすかにぼんやりしているせいか
目の前にいるのが誰なのかも最初は分からなかった
しかし……覚えがある 今の声には覚えが…
とても暖かく とても優しく とても記憶に残っている 懐かしい声…
そして視界が徐々にはっきりしてくると セレナの目の前に
1人の男の子が手を伸ばしていた
?「今引き上げるからな!」
力強いその声は 彼女が誰よりも…そして何よりも好きだった
「憧れのあの人」の声にそっくり………いや違う
そっくりなんじゃない その声そのものなのだ
そして次に彼が発した言葉で それが彼女の中で確信へと変わる
?「最後まであきらめるな!!」
そして次の瞬間 彼は思いっきりセレナの手をひっぱりあげ 彼女を助けた
勢いあまってセレナは目の前の男の子に抱きつく形になってしまった
だが そこでさらにセレナは確信した
?「…………おーいセレナ 大丈夫か?」
セ「あ…… あ……」
セレナを身体を張って受け止め 今彼は心配そうに自分のことを聞いている
この優しさ たくましさ 暖かさ 全てにおいて 彼女が出す答えは1つしかない…
セ「サ………………サト……シ?」
サ「よかった! 危ないところだったなセレナ」
セレナの無事にホッとしたのか 目の前にいる少年…サトシは
安堵の意味もこめて ニカッと白い歯を見せながら微笑んだ
セ「サトシ……なの? ほ………本当に?」
サ「当ったり前じゃん! 何だよ俺の顔忘れちまったのかよ?」
セレナは言葉を失った 今目の前に彼がいる
ずっとずっと…彼に助けてもらったあの日からずっと想い続けてきた
彼女にとってたった1人の「憧れの人」
セ「……うっ……うっ……」
サ「……!? セレナ どうしt」
セ「忘れられる……………わけないじゃないっ!!」
サトシに言葉を返す彼女の目には涙が浮かんでいた そして次の瞬間
セレナは両手でギュッとサトシの身体を抱きしめた
サ「セ………セレナ!?」
セ「……会いたかった………………………会いたかったよサトシィィィィ!!」
彼女はサトシの身体を抱きしめながら ただただ泣き続けた
セ「ずっと……ずっと会いたかった!! ホウエンに着いてからも私…サトシのこと
1日だって忘れたことなんてなかったよ! 夜中に1人になった時は…ヒック…
いつも………いつでもサトシの顔が浮かんで… すっごく……寂しくなってぇ……ヒック…」
サ「セレナ…………………………」
自分の胸の中で ただひたすら泣き続ける彼女の背中を
サトシは自分でも無意識のまま優しく抱きしめ返していた
サ「……………………そっか 俺もだよセレナ」
セ「……えっ?」
サ「俺も…………………セレナにすっげー会いたかったんだ! カロスで別れる時…
心が繋がってればいつかまた会えるなんて 自分でも適当な事言ったと思ってる…
今度いつ会えるかも分からないのにな! だから……今日ここで会うことができて……
俺 今すっげー嬉しいんだ!」
サトシはセレナの背中を優しくポンポンと何度も叩いた その度にセレナの心は
すごく暖かいもので満たされていくような そんな感じがしたという
ずっと想いつつけていた憧れの人が自分を抱きしめてくれているうえに
さらには自分に会えたことが嬉しいと言ってくれたのだから…
セ「ごめんね………カロスでお別れする時………あんな事……言っておいて…」
セレナの言葉でサトシは あの日… カロスに滞在する最後の日の空港で
彼女が言っていた言葉を思い出した
「あなたは私の目標よ! 次に会う時は もっと魅力的な女の子になってるから!」
自分のことを目標だと言ってくれた 次に会う時は自分を磨き上げ
さらに魅力的な女の子になると あの日彼女は誓った
セ「でもダメ…………魅力的になるどころか グスッ 私…………あの後もずっと……
サトシのことが……忘れられなくて…………グスッ 1人の夜は…………ずっと……
ずっと泣いてばっかりで……………グスッ………ごめんねサトシ……私……グスッ……ちっとも…
ちっとも変われなかったよぉ…………グスッ せっかくあなたが……グスッ……私の夢……
後押ししてくれたのに……」
サ「…………セレナ」
セレナの涙が 悲痛な想いが セレナの言葉を通してサトシに伝わって行く
ようやくサトシはそこで理解した 彼女がどれだけ必死になって
頑張ろうとしていたのか… 誰にも相談できず たった1人で彼女は
その辛い全てに立ち向かおうとしていたんだと…
あのトライポカロンに初めて挑み 敗北した日ですら彼女は
自分の前では決して涙を見せなかった…
「自分に心配をかけたくない」
ただその想いで彼女は必死に涙を隠していた でも今は違う
彼女は全てを… 何もかも隠すことなく自分にさらけだしてくれている
それがサトシにとっては………とても嬉しいことだったのだ
サ「セレナ…」
ポン!
セ「……えっ!?」
サ「お前は本当…………よく頑張ったと思う」
サトシはセレナの頭に手をのせ そして一言そう伝えた
サ「やっぱり…………セレナは強い女の子だよ! こんなに辛かったのに……
それを誰にも言わず ずっと自分1人で悩んできたんだよな?」
セ「…………違うよ………………私は……ただ……」
サ「違うもんか! 俺は知ってるから! セレナは何事にもめげずに……
いつもゼンリョクで前向きに頑張れる女の子だって!」
セレナの否定の言葉すら跳ね除け サトシはセレナにそう伝えた
サ「それに…………………嬉しかったよ! セレナが俺に……今度はちゃんと
何もかも打ち明けてくれてさ!」
セ「えっ!?」
サ「俺……前にお前がトライポカロンに初めて挑んで失敗した時
お前があんまり明るく振舞うもんだから 最初俺は…セレナは敗北にも屈しない
すごく強い心の持ち主なんだって思ったんだ! だけど…………本当は…………
泣いてたんだってな? 誰もいない……朝の港で……」
セ「…………………」
セレナは思い出していた あの日の悔しさ あの日の決意を…
トライポカロンと真剣に向かい合う覚悟を決め 当時ロングヘアーだった
自分の自慢ともいえる美しい髪を 自らの手で切ったあの朝のことを…
サ「……俺さ それを聞いた時 すごく後悔したんだ 何であの時……俺は
お前の涙に気づいてやれなかったんだろうって…… あんな負け方をしたんだ
セレナが悔しくて悔しくてたまらないことくらい……分かってたはずなのにさ」
セ「……ううん……サトシは……何も悪く……」
サ「それと同時に ちょっと……………ショックだったんだぜ俺も」
セ「え?」
サトシのその一言にセレナは驚いた
サ「…………相談もされなかった俺って そんなに頼りないのかな…って」
セ「!!」
サ「俺なんかに相談してもしょうがない そう思われてるから あの時セレナは…
俺に相談してくれなかったのかなって…」
セ「違うっ!!」
辺りにセレナの声が響いた
セ「そんなことない!! 私は……私はサトシのこと……誰よりも尊敬してるし
誰よりも頼りにしてるんだからっ!!」
サ「…………………………………………へへっ そっか……よかった」
サトシの顔に笑みがこぼれた 自分を信頼していると彼女に伝えられたことで
胸の中にあったわだかまりがスッと消えていくのをサトシは感じていた
セ「本当は相談したかった…… サトシならきっと…私のこと分かってくれる
一緒に悩んで 一緒に悔しがって 一緒に泣いてくれるって…わかってた…
だけど………………私…サトシに迷惑かけたくなかった! サトシの夢……
ポケモンマスターになるって夢を……私のせいで邪魔したくなかったから!!」
サ「………………………邪魔になんかなるもんか!」
ギュッ! サトシはセレナを抱きしめる手に 少し力を加えた
サ「俺さ……ここ数日…ずっと不安だったんだ あのニュースを聞いて…もしセレナが
何か危ない目にあっていたらって思うと……………… 何か……セレナが俺に……
助けを求めてるんじゃないかって……さ そんな気がして……………ずっと……………
ずっと心配だったんだ」
セ「………サトシ」
サ「だから俺 お前がここに来てて嬉しかった! 変わらない俺のよく知ってる笑顔で
自分の大好きな事を頑張ってるお前がいてくれて 本当嬉しかったよ!
まぁ……俺のうっかりで遅れちゃって お前の演技見そこなっちまったんだけどさ
ハハハハ……」
少しばつが悪そうに苦笑するサトシ
サ「だからさ…………その……俺うまく言えないんだけど だからつまり……お前には……
いつだって笑顔でいてほしいんだ!」
セ「………」
サ「トライポカロンに挑んでる時の一生懸命な笑顔…
ポフレをつくってる時の幸せそうな笑顔… ポケモンと一生懸命頑張っている時の
あの最高の笑顔! お前の笑顔を見てるだけで俺 すっごく嬉しくなる……
俺………………お前の笑顔が 何よりも好きだからさ!」
太陽のようなまぶしい笑みを浮かべながら語るサトシに セレナはいつになく
顔を真っ赤に染めていた
セ「………………………………しも」
サ「え?」
セ「私も……………………………私も好きだよ! サトシの笑顔が! 励ましてくれる声が!
暖かいその気持ちが! サトシが側にいてくれるだけで私……
何でもできる気がするの! だから………」
次の瞬間 本当にその一瞬だけ 全ての時が止まった そんな感じがした…
セ「もう………………………離れたくないっ! ワガママだってのはわかってる! けど………
また……サトシの顔が見れなくなるって思うと……………私……」
サ「………………………………セレナ」
少し驚いたサトシの表情は 次第にすぐさまいつもの笑顔へと戻り
サトシはセレナの頭を後ろから優しく撫でた
サ「…………ありがとな! 俺も正直……セレナの笑ってる顔を こうやってずっと
見ていたい! お前に…側にいてもらいたい! でもそれを決めるのは俺じゃない!
セレナがどこで何をするかってのは………それはセレナが決めることだ!」
サトシのその言葉に セレナは顔をあげて彼の顔を見つめた
サ「誰もお前の人生を縛ったりなんかできない! お前はお前がやりたいと思うことを
すればいいんだ! お前が自分で決めた道なら………俺 どんなことがあっても
ゼンリョクで応援する!!」
次の瞬間 サトシは自分がかぶっていた帽子をセレナの頭に被した
サ「………だからもう泣くな! セレナに涙は似合わない! セレナにはずっと………
ずっと笑顔でいてほしい! お前が笑顔でいられるように俺………できることなら
何だって協力するからさ!」
セ「…………………うん」
セレナは笑顔で静かにそう頷いた その顔にはもう悲しさや悔しさといった思いは
見受けられなかった
セ「ありがとうサトシ! やっぱり……サトシは変わらないね! 今も昔も…ずっと…
優しくて 頼りになって そしていつだって………私のこと励ましてくれる」
セレナの笑う姿を見て サトシも顔も自然と笑顔になった
あぁこの笑顔 自分はずっとこの笑顔が見たかったんだと 心の中でそう思った
そして同時にセレナも心の中で思っていた
セ「(そんなサトシだから私… あなたのこと…好きになったんだよ///)」
その頃サトシ達から少しはなれた場所では…
司「あの……セレナさん達はどうなったんでしょうか?」
※「あのーアローラ新聞ですが 本日のイベントで事件が起こったというのは!?」
※「セレナさんにもしものことがあれば ヤシオさんに何て言えば…」
司会者やイベント関係者 さらには事件を聞きつけた記者などが押しかけてきていた
しかし彼らがサトシとセレナの元にたどり着くことはなかった
リ「……すいませんけど ここから先へ皆さんを行かせるわけにはいきません」
マ「そうそう 空気読んでくれなくちゃ困るよ」
ス「邪魔しちゃダメ!」
ハ「そうそう ダメダメー」
リーリエ達は最初驚いていたものの セレナの心境を察し 静かにその場を離れ
さらに押しかけようとする人達をせき止めてくれていた
なお強引に突破しようとした何人かは スイレンのアシマリの”バブルこうせん”や
シロンの”こなゆき”の餌食になったとか何とか…
そしてその日の夜 中断していたイベントが再開され
再度セレナによるパフォーマンスが集まった観客達に披露された
マオ「すっごくいいパフォーマンスだったね~」
カ「ああ! パフォーマンスの道もなかなか奥が深いんだな」
昼間は仕事でこられなかったマオとカキも会場に来ることができ
初めて見たセレナのパフォーマンスを高く評価していた
ミ「セっちゃんすごい! 久しぶりに会ったけど…
本当すごいパフォーマーになったんだね」
あのサマーキャンプ以来 久しぶりにセレナの姿を見たミヅキも嬉しそうだった
セレナも今日の演技は今までで1番上手くいったと実感していた
その理由はもちろん……1番見てほしかった人に 見てもらえたからだろう
サ「セレナ! 今日も最高の演技だったな!!」
ピ「ピカピカッチュウ!!」
イベント終了後 サトシはセレナの楽屋を訪れ まっ先に今日の彼女の演技を
素直に褒め称えた
セ「ありがとうサトシ! 私も今日は…いつも以上に最高のパフォーマンスが
できたって思う! やっぱり…サトシが観ててくれたから……かな?」
ちょっぴり照れ臭そうにしながらも セレナはハッキリとサトシにそう伝えた
ロ「あんな美しく輝いたパフォーマンスは初めて見たロト!!
情報アップデートロト!」
ロトムはすぐさまセレナの写真を撮り 情報をアップデートしていた
サ「それでさ 俺が通ってるポケモンスクールのみんなも来てるんだけど…
楽屋に入れてもいいかな?」
セ「もちろん! 今日はみんなにも助けてもらったんだし… 私も改めてちゃんと
挨拶したかったから!」
サ「そっか! まぁ久しぶりに会う奴もいるけど 俺の事覚えてたくらいだから
当然覚えてるよな?」
セ「へっ!?」
マメパトが豆鉄砲くらったような顔をするセレナ しかしその言葉の意味は
楽屋に訪れた彼女の顔を見た途端 すぐに理解することとなる
ミ「……久しぶりだねセっちゃん! サマーキャンプ以来会ってないけど…
私の事……覚えてるかな?」
ちょっぴり不安そうに尋ねたミヅキだったが サトシのことを覚えていたセレナが
彼女の事を忘れるはずがなかった
セ「もしかして…………ミっちゃん!?」
ミ「!! 覚えてて…くれたんだ?」
セ「当たり前じゃない! うわ~久しぶり~!!」
セレナとミヅキは抱き合って再会を喜んだ 笑顔の2人を見て
サトシも何だか嬉しそうだった
リ「よかったですねミヅキ」
マー「でもすごいなー こんな楽屋に入れてもらえたの初めてだから
何か緊張しちゃうよ」
ハ「俺もー俺もー! セレナーありがとねー」
ミヅキに続いて他のメンバー達も続々と姿を現した
ス「でもよかったの? 私達がいないほうが嬉しかったんじゃない?」
スイレンがちょっぴりイジワルっぽくセレナに尋ね セレナは顔を真っ赤にして慌てた
この時点では まだ事情をまだ知らないカキとマオは頭にクエスチョンマークを
浮かべていたが その後リーリエからそのことを聞いたときには さすがに驚いていた
ク「いやー 本当”ギガインパクト”級の盛り上がりだったなセレナ!」
と そこへククイ博士が何やら書類らしきものを手にやってきた
セ「いえ みんなに見に来てもらえて本当嬉しかったです! ありがとうございました
ククイ博士」
どうやらククイ博士もイベントの関係者の1人で セレナとも打ち合わせ段階で
すでに面識があったようだ
ク「……さて! それであの話なんだが………どうするか決まったか?」
セ「えっ!?」
ククイ博士のその言葉に セレナは再度マメパトが豆鉄砲を食らったような顔になった
ク「あれ? ヤシオさんから聞いてないのか?」
セ「え…? あの……ここに来てパフォーマンスを披露する以外は何も…」
ク「ッハハハハ! 何だそういうことか! セレナに何も伝えていないとは…あの人も
随分と”わるだくみ”が過ぎる人だなっ!」
セレナはもちろん サトシたちも全員頭にクエスチョンマークを浮かべた
ク「じゃあ聞くが! セレナはこれからどうするつもりなんだ?」
セ「えっ!? どうって…」
ク「……またホウエンに戻って 1人で旅を続けるのかい?」
セ「!! そ………それは…」
サ「…………」
セレナはすぐに返事を返せずにいた その隣でサトシは心配そうに彼女の顔を見た
ク「………実はな ヤシオさんの計らいで もう他の手続きは全部終わってるんだ!
後はセレナが この書類にサインするだけでいいわけなんだが…」
ククイ博士がセレナの前に出した1通の書類 そこに書かれていたのは…
セ「えっ!? ポケモンスクール入学証明書!? これって!!」
ク「ああ! お前さえよければ……………………どうだ? サトシ達と一緒に
ここで学んでみる気はないか?」
ククイ博士の一言に その場にいた全員が驚いた
ク「ヤシオさんは最初から そのつもりでセレナをこのアローラに呼んだらしいんだ
もっとポケモンのことを勉強してもらいたいし 何より…何でも1人で頑張ろうとする
ちょっぴり危なっかしい”すてみタックル”な誰かさんが心配だったらしくてなっ!」
セ「ヤシオさんが……そんな……」
ク「……………もちろん強制するつもりはない 決めるのはセレナ自身だ!
ヤシオさんからも もしセレナが断るようであれば 今回の話は
なかったことにしてほしいと頼まれてるからな!」
突然のことに驚きの連続だったが セレナは確信した 今まさに自分は
これからの人生における重大な決断を迫られているのだと
サ「セレナ!」
そんな彼女に真っ先に声をかけたのは やはり彼だった
サ「…どうする? もちろん決めるのはお前自身だ! 俺は例え…
お前がどっちの道を選んでもゼンリョクで応援するぜ!」
サトシはいつもの明るいノリで 彼女にそう伝えた
サ「ただ…」
セ「え?」
サ「…………セレナが一緒にいてくれると その……俺も助かるんだけどね」
セ「!!」
少し照れ臭そうに言うサトシに セレナはあの時のことを思い出した
サトシのハクダンジムのジム戦を見届け その後どうするか何も考えてなかったセレナに
彼は一緒に旅をしないかと誘ってくれた
「セレナが一緒にいてくれると 助かるんだけど……」
あの時も彼はそういって自分を誘ってくれた そして今まさに彼はあの時と同じように
自分を誘ってくれている
セ「(サトシが誘ってくれている… またサトシと一緒にいられる… 今の私にとって
こんな嬉しくて幸せなことなんてない! でも……本当にそれでいいの?
ずっと願ってた事だけど でも…そしたら私きっと またサトシに甘えっぱなしになる…
それで私……きちんと成長できるのかな? サトシがいつか振り向いてくれるような…
魅力的な女の子に……なれるのかな?)」
本当なら今すぐにでも「はい」と返事をしたいセレナ しかし彼に甘えてばかりでは
自分は成長できないのではないかと思うと すぐには返事を返せずにいた
ミ「セっちゃん!」
悩むセレナにミヅキが声をかけた
ミ「一緒に頑張ろう! セっちゃんが来てくれたら これからの毎日が
さらに楽しくなると思うよ!」
サトシに続いて ミヅキまでもがセレナを誘った いや ミヅキだけではない
リ「セレナ 私達と一緒に ポケモンいついてもっともっと学びましょう!」
ス「うん! 一緒に海にも行こう! 案内するよ!」
マオ「うんうん! セレナお菓子作り得意なんでしょ? 私も教えてほしい!」
マー「僕もサトシが散々自慢するセレナのポフレ食べてみたいしね!」
カ「俺に教えられることなら 何でも聞いてくれ!」
ハ「セレナー みんなで勉強したら楽しいよー だからおいでよーアローラに!」
ここにいるのは自分が入学した時 共に学ぶことになるであろうクラスメート達
そのクラスメート達全員が自分を歓迎してくれている
そして何より……ここにはサトシがいる 最愛の憧れの人と一緒に
スクール生活を送ることが出来る こんな幸せなことが 今の彼女に他にあるだろうか?
テ「テーナ!」
セ「!! テールナー!」
テ「テナ! テナテナ!」
ヤ「ヤンチャ! ヤンチャ!」
ニ「フィアフィア~!」
ジ「ザグザグ!!」
セレナの大切なポケモン達が セレナを後押しするかのように元気よく叫んだ
セレナの目にはうっすら涙が浮かんでいた ここには…自分を必要としてくれる人が…
ポケモンが… こんなにもたくさんいる
こんな幸せな環境を前に……断る理由なんてどこにもなかった
セレナはニコッと笑みを浮かべた後 何も言わないまま先ほどの書類に
自分の名前を書きこんだ
ク「OK! 最高の”ハートスタンプ”だったぜ! 後は俺がオーキド校長に頼んで
残りの手続きも済ませておくよ!」
セ「はい! ありがとうございますククイ博士!」
セレナはククイ博士にお礼を言うと みんなの方を向き とびきりの笑顔で挨拶した
セ「みんな! これから……どうかよろしくね!」
セレナの挨拶を 全員が快く受け取ったのは言うまでもない
サ「また一緒に頑張ろうな! セレナ!」
そしてサトシからの急な”ふいうち”にセレナは顔を真っ赤にしたという
TO BE CONTENUDE
~次回予告~
セレナもアローラで一緒にポケモンスクールに通うことになり
明日はククイ博士の提案で 俺がセレナにここメレメレ島を
あちこち案内することになった
まぁ俺もこの島に来て まだそんなに経ってないから
あんまり詳しい紹介はできないかもしれないけど… でもセレナは
俺が島を案内するのすごく楽しみにしてくれてるみたいだし
ここは俺がゼンリョクでセレナにこの島の魅力を伝えなくちゃな!
次回 ポケットモンスター サン&ムーン ~出会えてよかった~
【アローラ! サトシのサプライスツアー】
みんなもポケモン ゲットだぜ!!
~ポケ問題 答え~
セ「ジャジャーン! それじゃあポケ問題の答えを発表するわね
正解は私…【D:セレナ】でした! サトシ! 改めて今日からまたよろしくね!」
サ「ああっ! こっちこそよろしくな! どうだ? アローラもいいところだろ?」
セ「うん! みんないい人ばっかりだし 暖かくて過ごしやすいし!
でも本当ビックリしたよ まさかこんな早くサトシにまた会えるなんて
思ってなかったから…」
サ「あぁ! 俺もまたセレナに会えてスッゲー嬉しいよ! しかもこれから
また一緒に過ごせるんだもんな?」
セ「はううっ!!//// う………うん! わ…私もすっごく嬉しい!!///」
サ「何か困ったらいつでも俺を頼ってくれよ? 俺もう嫌だからな!
お前だけが悩んでて 俺が気づかないってパターン」
セ「う……うん! ごめんね…でも さっきも言ったけど 私サトシのことは
誰よりも頼りにしてるんだからね!」
サ「へへっ そっか! なら俺も嬉しいよ! あ…ところでセレナ お前こっちに
ミヅキ以外知り合いとかいないよな? 泊まる場所決めてるのか?」
セ「えっ!? あ……そういえば全然… でも…いざとなったらポケモンセンターとか…」
サ「それなんだけどさ! ククイ博士が うちでよかったら歓迎するって
言ってくれてるぜ?」
セ「えっ? そうなの!? うん……何かお世話になりっぱなしで申し訳ない気もするし
どうしよっかな…?」
サ「最終的に決めるのはセレナだからな! まぁセレナが来てくれた方が
俺も助かるんだけど…」
セ「えっ? っていうか…サトシこそこっちに家なんてないよね? サトシはどこで
寝泊りしてるの?」
サ「俺か? 俺もククイ博士の家で居候させてもらってるんだ!」
セ「ええっ!? そうだったの!? ってことは……私がククイ博士の家に
行くってことは つまり…サトシと同じ屋根の下で一緒に暮らすってこと!!?///」
サ「そうなるけど………………嫌か? 俺と一緒じゃ…」
セ「!! そ…そんなことないよ!!/// むしろその方が嬉しいっていうか…///」
サ「へっ?」
セ「いや// その// サ…サトシは嫌じゃない? 私なんかと一緒で…」
サ「嫌なわけないじゃんか! 俺はセレナが来てくれたら… 色々助かるし その…
俺も嬉しいし…」
セ「………////」
ク「さーてセレナ! どうするか決めたか? 俺の家に来てもいいし それかポケモンセンターに…」
セ「お…お………お世話になりますククイ博士!!////」
ク「そ…そっか? えらく”きあいパンチ”な返事だな…」
サ「じゃあ決まりだな! よろしくなセレナ!」
セ「こ…こちらこそ// ふ…ふつつかものですが///」
サ「へっ?」
セ「(って何言ってるのよ私!! これじゃまるでサトシのところに
お嫁に行くみたいじゃない~~~~~っ!!///////)」