IS 速星の祈り   作:レインスカイ

113 / 116
ガチで忙しくて更新が途絶えてしまってました、すんません。


Q.楯無さんは、すんごい事態になってましたが、大丈夫ですか?
P.N.『バーベルスクワット』さんより

A.ヴェネツィアに滞在している2ケ月間で、そのつもりも無いのに7Kgのダイエットに成功していたそうです。
それに付け加えて、私室の戸棚には、胃腸薬、精神安定剤、睡眠導入剤、漢方薬、頭痛薬が山盛りになっているそうですが。

Q.虚さんが受け取っていた賄賂の内容って何ですか?
P.N.『匿名希望』さんより

A.お小遣いという名の資金援助だったり、イタリア各地にある良好な物件の紹介になります。
大衆食堂に向いた新築の住居や、将来を見据えたアパートや新築物件だったり、男性の胃袋を掴む料理のレシピだったり、とかですね。
実際に見学に行ったり、買い物に行ったりとかでしっかりたっぷりと時間を浪費してました。
頼んでもないのに次から次へと情報をもらえるので、彼女からしたら最高の賄賂だったでしょうねw


第108話 焉風 復讐の果て

イタリアに凰 鈴音が突撃してから少しだけが経過した。

あれから私はファランクスの隊長として働き続け、ようやく組織が編成された目的を達成する事が出来た。

国際ISテロシンジケート『凛天使』の討滅という目的を。

味方にも数人の負傷者は生じたが、それでも死者だけは出なかった。

そこはテロリストとは違い、正規の訓練を受けた搭乗者としての実力と連携が発揮されたと言えるだろう。

最後の闘いは、一方的な圧倒により、敵組織は壊滅した。

それは、『リンクシステム』と『マルチロックオンシステム搭載型暴徒鎮圧用電磁吸着ブーメラン:ミネルヴァ』の導入によるもの。

それによって、テロ組織の構成員は軒並み逮捕され、その全員に例外なく『死刑判決』が下された。

さらに、裏で繋がっていたスポンサーやパトロンは、法王の影として働く更識によって露見され、そういった裏の繋がりに組んでいた者達も逮捕され続けたり、中には事故死や病死を遂げている者も居た。

死刑判決が下された凛天使の構成メンバーの生存者も処刑が執行された。

今までの残虐なテロ行為に怒りを燃やす人間は掃いて捨てるほどに溢れていた。

ゆえに、それ相応の残虐な処刑が極秘裏の執行された。

服毒、射殺、斬首、轢殺、火刑、鳥葬、刺殺、磔刑、拷問、水刑、殴殺、その他にも掃いて捨てるほどの手段で処刑が執行されている。

時代錯誤な処刑方法もあったらしいが、表向きには絞首刑と公表されている。

テロ組織撲滅後、全世界の首脳陣が再び集い、IS技術の封印が決定された。

欧州統合防衛機構によって全世界のISコアが回収され、厳重なロックが施された場所に封印されたが…その日の夜にその全てが消失した。

電子ロックが施された扉の部屋には開かれた形跡すら無かったものの、扉そのものに大きなウサギのイラストが描き殴られていた。

 

「…アイツか…」

 

一週間後、全ての仕事をやり終えて、解散式も済ませ、打ち上げも終わってからヴェネツィアに帰ってきた。

ウェイルとメルクの様子が気になり、ハース家へと足を運んでみた。

 

「スー…スー…」

 

「クー……クー……」

 

「…ウ…ン…ウニャ…」

 

床で寝ているウェイルの左腕にはメルクが、胸の上には鈴音が覆い被さって寝ていた。

仲が良いのは構わないけど、節度を守りなよ、アンタ達。

顔を覆う機械工学分野の参考書をどけて表情を見れば穏やかそうなものだった。

IS学園が壊滅して以降は私も何度もこの家に足を運んでは、ウェイル達の様子を見ているようにはしていた。

勿論、その寝顔も。

メルクの手元には料理のレシピ本、鈴音の手元にはスイーツのレシピ本が掴まれていた。

各自就寝前に読書をしていたら寝てしまったんだろう。

 

「まあ、一線を越えるような事はしていないようで何よりサ」

 

学園編入前には幾度も悪夢に魘されている時もあったけれど、今はすっかりと穏やかな寝顔を見せてくれていた。

何もかも全てに決着をつけ、安心しきっているんだろうとは思う。

シャイニィもメルクの胸の上で体を伸ばし切っている。

 

「さて、そろそろ私も最後の決着を付ける頃合いだろうサ」

 

モンド・グロッソ第一回大会が閉幕してからそろそろ6年と9ヶ月。

両手両足を鎖で縛られた子供が運河に流れ着き、メルクが救助してから…それと同じだけの月日が流れた。

あと半年も経てばウェイルは17歳になる。

だから…そろそろが頃合いサ。

 

時間を見ればもうそろそろ夜明けが訪れるほどの時間。

帰ってきたばかりだから少しはゆっくりと休みたい、私が日本へと向かうのはきっとこれが最後になるだろうサ。

だから、出発前にはしっかりと体を休ませよう。

 

「ちょっと…紅茶をもらうとするサ…」

 

キッチンの戸棚には私専用のマグカップだけでなく、新しいソレも並んでいる。

鈴音もよく入り浸っているのか、家族同然の公認の付き合いになっているみたいサ。

それに苦笑いしながら私はティーパックをマグカップの中に放り込む。

冷水にも負けない紅茶のいい香りが漂ってくる。

そのまますぐに飲むのではなく、これから2分程蒸らすのが良いらしいと雑誌で読んだ覚えもあり、それだけ待ってみる。

蒸らした後はティーバッグを揺らしながらマグカップを取り出す。

角砂糖は一つだけ投入してから軽くかき混ぜる。

 

「はぁ…落ち着く…」

 

初夏とはいえ、暑い夜、そんな日に飲むアイスティーの冷たい奔流が体の中を駆け抜けていくのが実感できた。

その冷たさを感じながら今まで記憶を思い返してみる。

全ては、あの日に始まった。

あの子を保護し、家庭教師役を引き受け、名付け親にもなった。

記憶を失って目覚めたウェイルに与えられる限りの優しさと厳しさを与えた。

何も覚えていない筈なのに、魂の奥底まで縛っていた呪縛を取り払った。

ローマに向かって企業見学をし、思わぬテロに巻き込まれ、世の中の汚さを知ることになった。

私の手も血で汚れている事を知りながらも受け入れてくれた。

それから私は、『師』としてではなく『姉』として在り続けた。

あのクソガキが巻き起こした凶報が世界全土に広まり、メルクだけでなくウェイルまで極東に送ることになった。

 

だから私はウェイルとメルクを守るための計画を立てた。

それでも掻い潜り非道を起こし続ける、あの姉弟にはウンザリさせられながらも包囲網を狭めていき、断崖の最果てに追いやり続けた。

追い詰め、指先でしがみつかせるほどにまで追い込み…断崖の奥底に蹴り落した。

後悔はしていない…と言えば嘘になる。

実際、ウェイルの体には右肩から左脇腹にかけて大きな裂傷の跡が残っている。

消えない傷跡を残してしまう事態に至ってしまった。

 

だから私は更なる復讐へと動いた。

そして、次にあの女に会う時が、最後の一手となる。

 

「姉さん、おかえり」

 

考え事をしていればすっかりと夜明けに至っていたらしい。

ウェイルが目元をこすりながら階段を下りてきていた。

 

「ただいま、ウェイル。

ん?右手に何を持ってるのサ?」

 

見ればウェイルは右手に何か持っていた。

あれは…便箋…?

 

「起きたら顔の上に乗っててさ…多分、束さん、かな?」

 

確かに、デフォルト画も鵞鳥が記されていた。

角度を変えればウサギにも見えるそれが、サ。

記憶が戻っているからか、あのアホウサギのことも思い出せるようになったらしい。

だが、姿を表さないという約束は律義に守り続けているみたいだね。

 

「えっと…内容は…?

『君は私が作ったものを必要としなくなったかもしれない、それでも私は君を支え続けることを約束する。

ISが無くとも星空へ手を伸ばしてほしい。

改めてこの言葉を君に贈る。

≪ちっぽけな完全よりも、大いなる未完全を≫』…だってさ」

 

あのアホウサギめ…。

態々、眠っているウェイルの部屋に侵入してまでメッセージを届けに来たということか…。

姿を見せないようにするのに拘っているようだけれど、もうちょっとマトモな届け方はなかったのかね?

 

「ふ…ぁ…」

 

「よく寝た…」

 

二階に続く階段から同衾していた二人も降りてくる。

さっきは気づかなかったけど、この二人の寝間着はジェシカの手作りらしく、お揃いになっている。

何しろ背中には大きくシャイニィの横顔がプリントされている。

 

「二人とも、シャワー浴びて来いって」

 

そういって浴室へと二人を抱えていく。

あの骨と皮だけだったウェイルが二人まとめて人二人軽々と抱えるとは、成長を感じる。

 

「姉さんはしばらくはヴェネツィアに居られるのか?」

 

「ああ、一週間はゆっくりとしておこうと思ってるサ。

その後、最後の片付けを終わらせて、ようやく終わりサ。

それからイタリアにまた戻ってきて…そこから先は、それから考えようかね…。

ウェイルはどうするんだい?」

 

「俺は…今日はバイトもないし、週末の釣りに行こと思ってる。

先週あたりから釣り場にはまた人が集まるようになってさ

確か…アーウェリアさんと…クレイさん、だったかな」

 

…また偽名を名乗ってるオッサンが来ているみたいサ。

聞き覚えがある名前ではあるが、おそらくは国連の議長と、欧州統合防衛機構のお偉いさんの一人あたりだろう。

またあの釣り場の光景がカオスになる…そろそろ頭痛薬と胃薬の購入を本気で検討したほうがいいかもしれない…。

 

「あらアリーシャさん、夜中に帰ってきたのかしら?」

 

「ああ、またお邪魔してるサ」

 

「構わないよ、家族みんながお世話になってるからね」

 

ハース夫妻も揃って起きてきたらしく賑やかになってきた。

ウェイルも再び二階へと上がり、運動着へと着替えてくる。

今日も今日で走ってくるらしい。

シャワーを浴びて眠気を払った二人も同様に運動着に着替えてくる。

脱衣場に用意していたのかもしれない。

 

「お姉さん、おはようございます!」

 

「えっと…お邪魔してます!」

 

「じゃあ、行ってくるよ!」

 

「ああ、気を付けて行っておいで」

 

走り出す三人を見ながら私は再度紅茶をまた飲み始める。

その私を横目に、普段よりも量が多くなった朝食がテーブルの上に並べられていく。

 

「鈴音ちゃんがヴェネツィアに来てから、ウェイルは以前よりもずっと表情が明るくなったわ」

 

「ああ、あの少女に強く惹かれているのがよくわかるよ。

昔の私達みたいだ…」

 

「朝っぱらから惚気話はよしてほしいサ、胸焼けがするからサ…」

 

聞けば、金曜日は必ず泊まりに来て、土曜日の昼食時は鈴音のアパートに出向いているらしい。

そして学校への通学は自転車ではなく、三人揃ってプロイエットで通学をするようになったのだとか。

また、お隣の州であるエミリア=ロマーニャには日本から飛んできた『五反田食堂』も店を開いている。

かつての日本の友人とは時折に会いに行ったりして楽しく一緒に過ごしているとのことも話を伺った。

 

「アリーシャさんは今度はどれだけ居られるの?」

 

「一週間程になるね、それから最後のケリを着けるためにも、サ」

 

そう、最後のケリを…。

ウェイルにも知られずに、陰で動き続けた私にとって、これが奴との最後の接触になるだろう…。

 

それから私は一週間は家族と一緒に過ごし続けた。

バカみたいに騒がしくなった釣り場で私も一緒に釣りをしたり、記念写真を撮ったり。

またも増えたオッサンに頭を抱えることになったり…。

ウェイルはバイトに行った先のFIATで知った『新規事業』への噂話を言い出したり…。

そんな賑やかで騒がしい日々を送り続けた。

そして私は…飛行機に乗り、またも欧米へと足を下ろしていた。

 

私の足が出向いた先は…例の極秘収監施設だった。

情報は手元にある、あの女は未だにこの施設に収監されていると。

 

「さぁ、全てに決着をつけるときサ…」

 

面会の予約は事前にしていたから話は即座に通された。

そうして私は面会室へとやってきた。

 

アクリルガラスの向こう側に現れた人物は、実際の年齢以上の誰かに見えた。

よっぽど苦悩を重ねたのだろう、だがまだ足りない、まだ堕とす。

でもこれが最後…殺すだなんて、簡単過ぎる。

最後に残された大切な(もの)まで、壊す。

 

「久しぶりサ、織斑 千冬」

 

「アリーシャ、頼む…一夏と全輝に逢わせてくれ…私の…家族に…」

 

擦れ始めている声が聞こえてくるが、それを無視する。

 

「アンタの死刑執行日が決まったサ。

それと、アンタの海葬(・・)も同日執行だそうサ」

 

「…………………は?」

 

御愁傷様、なんて言葉は口には出さない。

………実際には濡れ衣も含まれているだろうが、世界レベルの犯罪を犯した者に墓標も要らないと判断されたのだろう。

犯罪史に名を刻まれようとも、この女を崇拝する者は少なくはない。

だから、遺骸回収だとか、人が誰一人として来られないような場所が選ばれた。

 

「南緯48度52分5秒、西経123度23分6秒。

死刑執行と海葬はそんな場所サ」

 

計画は壮大なものになった。

一度は宇宙に打ち上げ、大気圏外へ。

そこから廃棄予定の人工衛星に放り込み、地球へ落とす。

堕ちたその場所には誰も居ない、誰も来ない、誰も辿り着けない。

見渡す限りの二つの青ばかり。

 

「皮肉なものサ、アンタの下の弟は海で魚達に囲まれ、鮫に喰われて死んだ。

そしてアンタは…誰にも看取られず、海の底ってのはサ…」

 

「そんな非人道的な処刑方法があるか!」

 

「在るサ、アンタは良くも悪くも名が知られ過ぎた。

違法クローンを作ろうと画策する勢力も現れる危険が考慮されたから、それを未然防止する為サ。

アンタも嫌だろう?自分の死体を掘り返してあちこち弄られるのはサ?」

 

とは言え、ここまでの情報は全てがダミー。

一般回線にも話が流通しているがそんなものはどうでも良い。

議会で極秘裏に出されたのは、一度宇宙へ持っていくのなら、そのまま宇宙に放流するというもの。

太陽系の外へ放り出そうという案がどこからか出てきて、安上がりで確実な話だということで、この最終決定が採決された。

地球圏外、あわよくば太陽系圏外へ、断じて誰も手出しが出来ない場所を選んだとか。

まあ、私はそれに関してはどうでもいい。

 

私はこの女の、その心まで徹底的に壊すと決めていた。

かつて、あの子が心を壊されていた時よりも尚酷く、徹底的に。

 

「アンタの弟の友人に、話を訊いてきたサ。

そのうえで…どうしても、確認したいことがあってサ…」

 

「…え…?」

 

正直、私としても知りたいことの一つでもあった。

その確認でもあり、この問いを最後にこの女の心を壊す。

 

「7年前、モンド・グロッソ第一回大会で起きた事件について。

アンタは保険金を受領し、大会閉幕後一週間後に下の弟の葬儀を執り行い、一か月も引き籠り続けた。

アレは…弟の生存を諦めたから(・・・・・・・・・・)なのか…それとも…弟を切り捨てる為(・・・・・・・・)だったのか…」

 

後から事件を知ってからでも探すことは出来た。

あの日以降にずっと身柄捜索のために自分達の時間を全てを費やし続けた子供達が居たように。

なのに、この女は捜索活動の一つもしなかった。

その闇を…ここで容赦なく切開する。

 

「そ、れ…は…」

 

「アンタの知人の言葉は、これサ」

 

私は懐からボイスレコーダーを取り出し、録音された声を再生させる。

 

『あの女は一夏に関心が無かったのよ』

 

凰 鈴音の声が響く

 

『どうせ大切だったのは全輝の方だったんだろ』

『全輝を選んで、一夏を捨てた、そういう事だと思うな』

 

五反田 弾に続けて、御手洗 数馬の声が響く

 

『家族じゃないと思っていたから助けなかった、探さなかった、どうせそんなところですよ』

 

五反田 蘭の叫び

 

『本当に家族だと言うのなら、言葉に耳を傾けていたはずです』

『居なくなっても探さなかったって事は、元から眼中にも無かったんじゃないの?』

 

更識姉妹の声もそこには封入されていた。

それで音声は終わりだった。

メルクとウェイルの声はそこには入っていなかった。

聞かれたくないし、知られたくなかった。

知られてしまえば不愉快な気分にもさせてしまうだろうから。

 

ボイスレコーダーを仕舞いながら私は織斑 千冬に視線を向けた。

そして皮肉たっぷりに言い放つ。

 

「アンタはいい理解者に恵まれてるのものサ。

私の弟(・・・)のウェイルも、アンタに嫌悪感を滾らせていたようだったさ」

 

悔しさか、怒りか、羞恥か、そのいずれによるものなのか、それとも幾つもの感情がないまぜになってか、目の前の女の顔が鬼のような形相へと変わっていく。

活力があふれ出しているのは結構だが、どうせすぐに叩き壊す。

 

「お前に…お前に何が判る…お前に何が判ると言うんだ!」

 

知っているさ、アンタの半生も、苦労も。

だがそれでも判りたくもない、なにしろ、浅すぎる底は既に見えている。

だから、滾る心を跡形もなく粉砕する。

 

だから私は余裕をもって口の端を歪める。

 

「なにしろアンタは、自己承認欲求の為に下の弟を殺したんだからサ」

 

そう、この女は自ら弟を殺した。

声を聞けなかった事を平然と流し、帰国してから弟の葬儀を執り行い、保険金を受領し、剰え探そうともしなかった。

全てを過去にして片づけていたのだから。

 

「……こ…ぅ………な………」

 

もう言葉を紡げなくなった、微かに聞こえるのは、掠れた叫びか、それともただの呼吸の音なのか…。

まあ、どうでもいい。

 

「良いのかい、何も言い返さなくて?

もうすぐ面会時間が終わってしまうサ…ほら…急がないと…」

 

だが、事実だろう。

本当に織斑 一夏が大切だったというのなら、大会を棄権してでも無事を確かめに帰国だってしていただろう。

『家族だから』というだけで疑わない理由にはならない。

何日も続けて声一つも聞けないのなら、疑うには充分すぎる理由だ。

剰えこの女は第二回大会の際にも『私がいるから大丈夫』というだけで守れなかった。

名前だけで守れるものなど在りはしないという事が理解出来ていなかった。

 

「…は…ハハ……ハハハ…ヒハハハハ…」

 

堕ちた、そして壊れた。

その目にはもう何も映ってなどいない。

今になって己の愚かさに気づいたわけではなく、見ているのはただの幻だろう。

もうこれ以上は何も話せないだろうし、話すべきことも尽きた。

 

「さよならサ、織斑 千冬、アンタの事は…せいぜい早く忘れることにするサ」

 

これで、私の復讐は本当に完遂された。

殺すだなんて(・・・・・・)簡単過ぎる(・・・・・)

壊す(・・)のだと決めていた、奴らの大切なものを全て。

 

 

信頼

 

 

矜持

 

 

 

 

帰る場所

 

 

築き上げ続け続けていた全てを

 

 

君臨していたつもりが、砂上の楼閣で踊り狂っていた道化でしかないのだと思い知らしめるために全てを壊す

 

「さて、帰るとするサ」

 

処刑執行は明日、NASAから打ち上げられるスペースシャトルに搭載された特製のカプセルにあの女を放り込むことになっている。

それをするのはこの国の役人に任せよう。

そんなことよりも、弟妹達のほうが重要だからサ。  




ハンナ・ブラスティア
スペイン出身
元国家代表候補生の女性。
不落の楯部隊が結束された後、ウェイルとメルクの警護の為、極秘裏にイタリアに派遣された後、教師に化けて潜入していた。
ウェイルとメルクのクラスの副担任を務めていた。

ミーミル・ルミナ
ドイツ出身、元黒兎隊所属の少女。
彼女も同様に極秘裏に派遣され、ウェイルとメルクの警護に当たっていた。
同じクラスに配属されてはいたが、接する機会があまり多くなく、目立つことなく仕事を全うしていた。

IS戦争終息
最後はカナダの山奥で決着がつけられた。
凛天使のメンバーは半数が戦死し、残る半分はミネルヴァを使用し、捕縛された。
なお、最後の拠点は戦火に飲み込まれて焼失した。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。