IS 速星の祈り   作:レインスカイ

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Q.第一回大会での事件で起きた一夏の誘拐事件、何もかもが手遅れの状態になってましたが、何故ですか?
P.N.『くるくる』さんより

A.
一つ目、ISの世界での蔓延している風潮
二つ目、大会優先の為
此処までは読者の皆さんも察していただけていると思います。
なお、作品の中では既にそれ以上に重要な伏線を敷いています。

強烈なヒント
fragment:Bにて彼女の電話は何処から?
第二回大会にて、アリーシャは家族とテレビ電話を繋いでいたが、その頻度は?

これ以上のヒントはネタバレに限り無く近くなるのでNGです。


第20話 秋風 逆光の向こうに

夢を見る

 

それは誰だって当たり前にすることなんだろう。

例えば、未来に掲げる将来の夢。

例えば、輝かしい栄光を掴む夢。

例えば、『今』を繰り返す夢。

なら、俺が見ている夢は何なのだろう…?

 

暗闇の中、俺ではない誰かの名前を口にしながら、長い髪を乱しながら、涙する誰か。

見覚えがないどこかの医療機関のような部屋のベッドの上で覆いかぶさってくる少女。

 

粘つく闇にとらわれた、傷だらけの見知らぬ少年。

 

そして広がる蒼。

 

 

 

「………いけねっ、寝てた⁉」

 

「おう、2、3分程度だったが…船漕いでたぞ」

 

バイト先の親方がカラカラと笑って見せる。

それを視認しながら俺は慌ててズレた眼鏡を直す。

よし、設計と調整に精を出そう!

 

「んで、今度は何を書いてるんだ?」

 

「これはまだラフスケッチなんですけどね」

 

なので親方にもまだ内容は秘密だ。

 

『Albore』だけでも世間的には大ヒットしている為、ホイホイ新しいものを出すわけにはいかないと課長にも言われている。

機体やコアを狙うだけでなく、人材を付け狙う輩も出てくる可能性も在るとのことだ。

機体やコアに比べれば、人間なんて脆いもの、連れ去れば御の字だが、それが出来なければ殺してしまえばソレで片が付く。

人一人殺すだけで、その企業の、国の成長にはストップがかけられるからだ。

だから、設計考案をしても、容易に発表などは出来ないし、してはならない(・・・・・・・)

だから俺も今はここで案を練りながら、バイトに精を出しているというわけだ。

 

「う~ん…」

 

首を傾ければゴキゴキと不健康な音。

最近のメルクは軍事演習場ではなく、FIATの演習場で姉さんと一緒に訓練を繰り返している。

高機動訓練、近接戦闘訓練、射撃訓練、さらにはISを用いない白兵戦と様々だ。

俺はそれに関してデータ上での協力をしているわけだ。

『テンペスタⅢ』を改めて『テンペスタ・ミーティオ』はすでにメルクに馴染んでいるといっても過言ではない。

なら、更にその先へ、今出来得る限りの最高の状態へと持っていきたい。

けど、それで『完全』だなんて自惚れたりはしない、絶対に。

モニターの前で齧りついているだけというのも健康に良くなさそうだ。

軽くストレッチをしながらもう一度モニター前へ。

おっと、データにノイズだ、このまま放置しておけばバグに至るぞ。

えっと、これはこっちのデータを応用して、と。

 

このストレスは釣りで癒すとしよう。

 

「疲れました……」

 

今日のカリキュラムを終えた後に、このIS稼働試験だもんな。

メルクもヘロヘロだ。

そんなこんなで、機体受領以降は、俺がおぶって帰るのが日常になっていた。

 

「姉さんの手による特訓は伊達じゃないんだな」

 

「当然サ、極東に行ってもしっかりと実力を発揮できるようにしておかないと、代表候補生の資格を剥奪されちまうからね。

できる限りしっかりと鍛えておかないと」

 

俺の自転車も今は姉さんが押している。

背中にメルクが居るから、そうなるよな。

 

「けど、残り半年なんだよなぁ…」

 

メルクが一緒に居る生活が出来るのは。

俺はこのまま高校の第二学年に進級するけど、メルクは東洋の学園に編入し、そこで寮生活だ。

しかも時差の計算もしなきゃならないから、連絡し合える時間も酷く限られてくる。

例えるのなら、イタリアが真昼間でも、東洋の学園は夜になっているという計算だ。

しかも外出する際には学園側に許可を取らなければならないというオマケ付き。

そんな理由もあって、イタリアに帰ってこられる機会もそう多くはない。

だから帰ってこられるのは長期の休みに限定されるのだろう。

メルクの将来が心配だ。

 

「メルクに訊いたけど、その学園に入学する際の試験で倍率が20000倍を超えてるって本当なのか?」

 

「本当サ、その学園に在籍し、卒業したというだけでもその生徒には箔が付く。

しかも搭乗者、技術者としての技術が身についているというのも珍しくはないサ。

そういった系統のトップ卒業生を抱え込みたいという企業も少なくはないからね」

 

早い話、その学園そのものが品評会の会場みたいなものか。

ついでに言うと、『国家代表』だとか『国家代表候補生』はその広告塔(プロパガンダ)のようなものらしい。

混沌としてるなぁ、IS学園とやら。

そんな混沌にメルクが染まらぬ事を祈りたい。

 

「で、ウェイルは今度は何を開発しようとしてたのサ?」

 

「…えっと…まだ思い付いたというだけのラフスケッチなんだけど…ちょっとコレは…」

 

簡単にまとめたスケッチを見せてみた。

 

「へぇ、『アウル』とは全く違う方面での『可変形式兵装』か…」

 

ああ、やっぱり見抜かれた。

そのスケッチ自体もまだ未完成なんだけどなぁ…見抜かれるのか…。

『持ち替えるのって面倒じゃね?』とか思ったりしたのが最初、その結果がコレだ。

 

それと…姉さんには秘密だけど、廃材を使って釣り竿を作ってたりもする。

カットした際に出た余りの装甲を使っているから、鋼のように『しなり』、『折れない』。

リールに関しても、ワイヤーが捨てられていたのを見つけて頂戴している。

言っておくがコレは横領ではない、リサイクルだ、一応企業側から許可は貰ってる。

そして作りかけの釣り竿は保管庫に入れているから姉さんに見つかることもない。

ルアーは…自前のを使えばいい、リールも問題無いし、完成まで残り少しだ。

次にクルージングに行く時までに完成させよう。

 

「大物釣ってやるから待ってろよフッフッフ…」

 

帰ってからも勉強は続ける。

FIATでも色々と学んでいるが、ISは確かに奥が深い。

車の整備以上に、だ。

 

2次形態移行(セカンド・シフト)ってなんなんだ、姉さん?」

 

「ISコアに経験値を蓄積させることで起きうる現象…といえば良いだろうサ。

搭乗者が繰り返し搭乗することで、コアが応え、機体の機能を拡張させることが在る。

その際に単一仕様能力(ワン・オフ・アビリティ)と言われる特殊能力が付加されることが在る…一部はね」

 

「…一部?」

 

なんだそりゃ?

決まって起きる現象でもないってことか?

姉さんの言い方も少しばかり歯切れが悪いな…?

 

「コアによってそこに至る為に必要な経験値の量が違うとされてるのサ。

だから、経験値を積ませることで、必ずそこに至れるわけでもないし、拡張がされるわけでもない。

単一仕様能力(ワン・オフ・アビリティ)も発現が出来るわけでもない」

 

うわ…ややこしい。

続く話では、『単一仕様能力(ワン・オフ・アビリティ)』発現を諦め、特殊兵装を搭載しているのが第三世代機という事なのだそうだ。

だけど、第三世代機のその特殊兵装はイメージインターフェイスを利用したものだから、コアとのシンクロも重要になってくるし、そもそもエネルギーの消費量も大きい。

だから、稼働時間は短くなってきている。

なるほど、特殊兵装に集中させる代わりに動ける時間が短くなってしまっているということか。

 

「なら、その経験値を他の機体から持ってくることは出来ないかな。

例えば………あ……!」

 

そう言えば、メルクのテンペスタ・ミーティオには、姉さんの『大旋嵐(テンペスタⅡ)』のデータも一部移植させている。

データの共有だけでなく、経験値の共有(・・・・・・)も出来るようになれば…。

そういったシステムが作れれば…。

 

「ウェイル、どうしたのサ?」

 

名付けるとすれば…

 

「『リンク・システム』」

 

出来るものなのかどうかは判らないから、ちょっと今度のバイトの時に聞いてみよう。

 

「何を思いついたのか知らないけど、授業を続けるサ」

 

「ああ、うん」

 

まあ、できるかどうかは置いといて、さ。

それよりも、ラフスケッチに起こしている可変形式兵装の実現を先に考えてみよう。

 

武器の持ち替え。

通常、ISの兵装は生身の時と同じように、刀剣なら鞘に、銃であればホルスターに納める場合もある。

それは腰であったり、脚部装甲にマウントする場合もある。

だが、槍のような大型兵装にするのなら、機体の一部に収納などできず、形状を失わせ、拡張領域(バススロット)に収納するのが常だ。

 

それは利点でもある。

まず、一つ目に、質量的にも体積を必要以上に大きくせずに済むこと。

二つ目として、拡張領域(バススロット)に収納している兵装がほかにもあるのではないのかと、相手を警戒させ、牽制にもなる。

けれど、機体やコアに登録できる質量にも、常に上限が存在する。

あまり多くのものを過剰に収納できないという法則もあるわけだ。

こと銃に関しては、弾丸だとか、それを収納している弾倉(マガジン)も多く搭載しなくてはならない。

近接兵装だとかが廃れてきている今、射撃兵装に集中している人が多いのだそうだ。

それと、先日姉さんから教わった『単一仕様能力』も、拡張領域(バススロット)を大きく占めてしまう場合もあり、それによって搭載できる兵装にも限界上限に近づいてしまうらしい。

 

「ふぅん…載せられるものにも限度があるのか。

じゃあ、やっぱり登録させる兵装は、『少ない』か『余裕を持つ』のどちらかにしたほうが良いのか」

 

あまり多くを乗せすぎると、それぞれに適したパフォーマンスも出来なくなる。

『器用貧乏』も悪くないけど、『最適な選択』も出来るようにしておくべきか。

 

姉さんの大旋嵐(テンペスタⅡ)の場合であれば、銃と剣に付け加えて脚部装甲を武器に。

メルクの嵐星(テンペスタ・ミーティオ)の場合であれば連結式長銃を2丁と、レーザーブレードを2振りに、腕部の杭状兵装、脚部のアウルと全身武器だ。

可能な限り軽量にはとどめているから、その機動性は失われていないどころか、世界最速に限りなく近い。

今後、メルクも大活躍してくれるだろう。

 

無論、俺は裏方からの活動だけど。

 

 

 

 

 

今日も今日とて、機体の性能試験をしながら、データ調整の許可が下りたため、携わらせてもらっている。

射撃性能に関しては…なかなかに上手くなってきている。

姉さんが物理シールドを構えながら縦横無尽に空中を駆け抜け、ターゲットになっているけれど、その物理シールドに直撃させる回数も非常に多くなってきている。

 

「お、凄い速さだな」

 

マニュアルを開く。

ふむふむ、どうやらあれは一気に間合いを詰める『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』と呼称される上級機動技術(・・・・・・)らしい。

んで、それとは正反対に姉さんが後方へと駆け抜けていくのは『後退瞬時加速(バック・イグニッション)』と呼ばれるこれまた上級機動技術(・・・・・・)との事。

凄ぇ…この段階ですでに上級技術を習得させるとか…。

 

「覚えとけウェイル。

あの瞬時加速なんだがな、間合いを詰めるのに使う技術だが…一度使うと、それ以降は大概の相手に通じないんだ」

 

「なんでですか、親方?

あんなに速いのなら…」

 

「速いだけだ。

懐に必要以上に潜り込もうとする技術なだけに、相手がそれに対して徹底的に警戒しちまうパターンが多い」

 

あ、なるほど。

射撃攻撃から近接戦闘に切り替えようとしているのが見え見えになるのか。

 

「それだけじゃないぞ、あの速さだからな。

一直線状にしか進めない、途中で軌道を捻じ曲げようとすれば、内臓にも傷を負う可能性があるってわけだ」

 

うわぁ、結構危険な技術だったんだな。

とはいえ、テンペスタシリーズは世界最速クラスの機体だ、そういう方面での保護機能はしっかりと搭載されている。

それ故に、他の国の機体が瞬時加速をして出せる速度を、テンペスタは標準時最高速度(・・・・・・・)としてパフォーマンスが出来る。

速度だけなら、イタリアのテンペスタに追いつける速度が存在しないわけだ。

 

でも、だとしたら不思議だ。

何故、姉さんは第一回大会の時に準優勝という結果に終わってしまったのだろう…?

 

そんな物思いにふけていたら、視界の中で野太い光線が右から左へ。

 

「…何あれ?」

 

メルクの持つ銃が連結された状態での射撃だったようだが…もはや砲撃(・・)じゃねぇの?

姉さんも呆気にとられていた。

そんなこんなのうちに、銃の連結を解除し、右手の銃を拡張領域へ収納。

続けて右手でレーザーブレードを抜刀。

ガン&ソードの戦闘形態へと移る。

姉さんも物理シールドを投げ捨て、右手で抜刀、左手に銃を握って迎え撃った。

結果?もういいだろ。

世界最強と呼ばれる人を相手にあそこまで粘れたらトップの成績を学園でも誇れるほどだと思うって。

 

今日もまた、メルクをおんぶして家に帰ると言う日常風景が出来上がる。

お陰様でFIATの門を通る時にはこの光景がお馴染みになってきているらしい。

 

「で、姉さんから見てメルクの成績はどうなんだ?」

 

「とても優秀サ。

でも常に足りないものを感じているみたいサ」

 

「足りないもの?」

 

「今のあんたと同じサ。

誰かに言われたんだろ、『ちっぽけな完成よりも、偉大なる未完全を』ってサ。

ちょっと前から口癖になってるサ」

 

うん、ISは収音機能も素晴らしいな。

あんな高いところにいながらも地上にいた俺たちの声も拾っていたらしい。

もともとは恒星単位での宇宙航行を目的にして作られたのがISなんだ。

あの程度の距離など造作もないのだろう。

 

「ったく、あのアホウサギめ」

 

「…姉さん?」

 

「いや、なんでもないサ。

メルクにしてもウェイルにしても、今後の成長が楽しみサ」

 

バチンとウインクする姉さんだった。

さて、この時期だとこの時間になれば外は真っ暗だ。

さっさと帰ろう。

 

「メルクが試験に合格したら、父さんに頼んでクルージングに行こう。

そこでまた何か大物を釣って、皆で騒いで、写真を撮って…ああ、楽しそうだな…」

 

近いであろう未来を少しだけ夢想してみる。

きっと誰もが笑顔になっているんだろう。

 

でも…夢の中の誰かは…どうやったら笑顔になってくれるのだろう…?

 

 

 

 

その日も、夢を見た。

 

見覚えの無い部屋だった

 

見覚えの無い家の中だった

 

傷だらけの少年を見た

 

それを階段の様子から見下ろす誰かの姿が見えた

 

蛍光灯が逆光になって顔は見えない

 

だけど…無性に嫌な感覚がした

 

その人物の口元が動き、言葉が紡がれる

 

 

 

≪ オ マ エ ガ ワ ル イ ン ダ ゾ ≫

 

 

 

イタリア語でもなく、英語でもない

 

俺自身が忘れかけていたニホンゴのそれだった。

 

だけど…それ以上に背中に嫌な汗があふれ出すのが判った

 

誰なんだ、お前は…!

 

 

 

 

目が覚める。

瞼を開き、目に映る場所は、見慣れた俺の部屋だった。

 

「良かった、目が覚めたみたいサ」

 

「……?…えっと…姉さん…?

何があったんだ?」

 

「ソレはコッチのセリフです!」

 

また泣き顔になっているメルクが飛びついてくる。

肩に上ってきたシャイニィが頬を舐めてくる。

 

「ウェイル、また何か夢を見たみたいサね?」

 

「…ああ、…うん…よく思い出せないけど…いい夢じゃなかったな…」

 

アレは、傷だらけの少年の自宅だったのかもしれない。

けど、あの少年は誰だ?

そして、階段の上から見下ろしていたのは…否、見下してきたのは誰だったんだ?

 

印象は良いものでは無かった。

なにせ…まるで…苦しんでいる誰かを見下ろして楽しんでいるかのようにも感じられたから。

そういった人物は知っている。

あの日、FIATを襲撃したテロリストの連中のようだったから。

 

「話は朝になってからのほうが良さそうサ。

ウェイル、まずはシャワー浴びて来な、寝汗が酷い事になってるからサ」

 

「…うわ…こりゃ酷いな…」

 

父さんも母さんも心配そうな顔で俺を見てきている。

そんな顔させたくないのになぁ。

 

「大丈夫だよ、ちょっと夢見が悪かっただけだから。

コラ、メルク、そろそろ服を離してくれって」

 

今日も今日とてハース一家は騒がしい一日を過ごしてる、静かな筈の真夜中なんだけどね。

一先ずは風呂(テルマエ)だな。

風呂から出た後には、母さんが用意してくれたミルクティーを飲むと、自然と眠気が再び催してくる。

 

んで、朝になってから

何度目かの家族会議が開かれることになった。

回数としてはもう数えるのが面倒になってきただけだから。

 

「で、ウェイル…どんな夢を見たのか正直に言ってみなさい」

 

「…ああ、うん…判った…」

 

母さんの目がかなり真剣になってるよ。

普段はホワホワとした雰囲気の人なのに。

その視線で突き刺され、0.1秒でアッサリと降伏した俺は夢の内容を話すのだった。

あの二人が誰だったのかは知らない。

知らなくても良いかもしれない、そんな風に思った。

けれど、夢の中で虐げられている彼が、どこかで実在するのなら、何らかの形であっても救いが在ればと願わずにはいられなかった。

 

話して終わった後は、すぐに朝食になった。

冬の朝には嬉しい、温かいミネストローネ。

ついでとばかりに、先程までの真剣な雰囲気はどこかに吹き飛んだかのように、穏やかな空気に代わっていた。

有り難いね、先程までのギスギスとした雰囲気はどうにも苦手だから。

さあ、今日も一日を頑張ろう。


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