IS ただ、それだけを知りたい   作:カーテンコール

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役得と決意

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やあ皆。三千世界が認めるオリ主、銀崎飛竜だ。

 

 ……発言が図々しいとか、誰だっけお前とかお願いだから言わないで。

 どうせ俺はヒロインの1人にフラグも立てられないような、能力的に駄目な方のオリ主ですよ。ポジション的には精々、主人公の横で騒いでる3枚目な友達キャラですよーだ。

 いやもう、実際現在進行形でそんな感じなのが辛い……。

 

 

「だがしかぁし! そんな俺にも、漸く報われる時が来たんだぜ!」

「黙れ、喧しい」

「……ごめんなさい」

 

 

 ベッドに寝っ転がってるムカデ野郎こと久々津に怒られた。

 

 ……うん、実はこいつと同じ部屋なんだ俺。そうなった当初は、もうマジで世界を呪ったね。

 ボケた神様に散々文句言ってやったよ……聞こえてたか知らないけど。

 とにかく俺の幸運値が、低下の一途を辿っているのは間違いなかった。だってルームメイトがムカデ野郎なんだもん。

 けれど……けれど!

 

 

「久々津、俺はお前に今凄く感謝してる。ありがとう」

「…………Zz」

「寝てるし! 俺の感謝は無意味!?」

 

 

 ……まあいい、寝ててくれた方が助かるぜ。

 俺はゆっくりと深呼吸しながら、自分に宛がわれたベッドに視線を向けた。

 

 

「すぅ……すぅ……」

 

 

 そこでは、あの『生徒会長』更識楯無が穏やかな寝息を立てているのだ!

 いやぁ……久々津が何故かボロボロのこの人を抱えて連れて来た時は本当にビビった。

 そして「こいつの部屋が分からん、お前のベッドで寝かせとけ」とか言って、俺の返事を聞こうともせず彼女をベッドに寝かせたあの男には、もう敬意どころか信仰心が湧いたね!

 ここが東方の世界だったら、今頃久々津は神力に目覚めて神の1柱として祀り上げられてた事だろうよ、俺限定で。

 

 だってあの楯無会長が、まるで子供みたいなあどけない寝顔を見せてるんだぞ!

 可愛い……超可愛い!

 何で久々津が彼女を連れて来たのかとか、どうしてボロボロなのかとか気になるっちゃ気になるけど、この寝顔見てたらもう思いっきりどうでもよくなったわ!

 

 

「んぅ……むにゃ……」

「……うっ……ぐすっ……」

 

 

 やべ、嬉しさと感動のあまり涙が。

 神様仏様久々津様、本当にありがとうございます。

 特に久々津……もうお前には足を向けて寝れねえよ。

 

 

「つぅかこれ、添い寝か? 添い寝していいのか?」

 

 

 だって楯無会長、俺のベッドで寝てるし。

 他に寝れるところ無いし、もう不可抗力だよなこれ。

 友達関係なら簡単だろうけど、男女の関係に持ってくには恐らく今のところ作中で1番難易度の高いこの人と添い寝していいんだよな!?

 

 ……楽園は……ここにあったぜ。

 

 

「久々津様マジ感謝感激雨あられ。折角頂いたチャンスだ、ここで行かなきゃ男が廃る」

 

 

 据え膳食わぬは男の恥、もし楯無会長が起きて騒ぎになったとしても、そしたら全部久々津の所為だ。神様呼ばわりしといてあれだけど。

 まあ織斑先生辺りには拳骨食らわされるかも知れんけど、それでこの一夜の幸せが手に入るなら安い安い!

 

 では、いざ参る。

 

 

「失礼しま〜っす」

「……くぅ……くぅ……」

「うぉぉ……近くで見ると破壊力抜群だこれ。零落白夜なんてメじゃねぇぜ」

 

 

 頭の中で、「いや比べるなよ」と一夏の声が聞こえた気もするけど、多分気の所為だ。

 ……うん、天使どころか女神の寝顔だぜこれは。BDバージョンでしっかりと脳内保存しておかねば。

 

 

「うぅう……幸せだ……」

 

 

 楯無会長は、前世で見たアニメや小説の中でもかなり好きなキャラクターだった。

 だがこの人もいずれは一夏に惚れるのかと思うと、何だか悲しい。

 そうならない為には、俺自身がこの人にフラグを立てるしかないのだが……。

 

 

「セシリアもシャルロットもラウラも、悉く失敗したし……」

 

 

 まだチャンスが無い訳じゃないけど、俺はお世辞にも彼女等に好かれてないし。

 フラグメーカー朴念仁、一夏の実力を甘く見てたのが悪かった。

 それに皆からすれば、俺は一夏と2人きりになるのを邪魔する障害物みたいなもんだしなぁ。

 

 

「…………ん?」

 

 

 いや待て待て。考えてもみろ。

 原作では楯無会長は、亡国機業(ファントム・タスク)から一夏を護衛する為に、一時期同室になってた。

 まあ実際は、もっと前から一夏の周囲には気を配っていたと思うけど。

 何せあいつは第2回モンド・グロッソが開催された時に、1度攫われてるんだ。念には念を入れてあったと思う。織斑先生ブラコンだし。

 

 だが。まだ楯無会長と一夏は、直接会った事が無い。

 流石に会った事も無い相手にフラグを立てるなんて、さしもの一夏であろうと無理だ。……たぶん。

 

 つまり、つまりだ。この時点で楯無会長と知り合って置けば、俺は一夏より有利な立場でフラグ立てが出来る!

 この人の立場上、積極的にこちらから接触すればかえって怪しまれそうだったから動けなかったが……まさかこんな形で突破口を見い出せるとは!

 久々津には本当に感謝だな、これは!

 

 

「俄然やる気が湧いて来たぜ……俺はやる!」

 

 

 小さく決意の声を上げる俺。

 そしてその決意を胸に、そのまま俺は眠りに就く。

 

 うん。今日は、いい夢が見られそうだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピピピピ、ピピピピ

 

 

「……ん、んぅ」

「…………あ。私、寝ちゃってたんだ……」

「ここは……寮の部屋?」

「私の部屋じゃない……もしかして久々津君の――」

「……ふあぁ……あ、どーも」

「…………えっと……誰かしら?」

 

 

 ちなみに久々津はシャワー中だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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