コンラくんのFGO   作:彼に幸あれ

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罪過

 

 

誓約(ゲッシュ)のことを忘れていました。

他にも文章を一部追加・修正しました。

 

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第三者視点

 

 

 

現世にて巡り会った二人は、それから毎日のように港で会い交流を深めた。

 

日を重ねるごとに、ぎこちなかった二人の雰囲気は親しいものへと変わり。

■■ラも敬語をやめ、素のままの自分を出すようになっていった。

 

いつしか■■ラは、ランサーの事を心を許せる一番の友人だと思うようになっていた。

ランサーもまた、かつての父親として複雑な感情を抱えながらも■■ラ(息子)が望むならと良き友人であろうとした。

 

 

 

…………………………………………………………………………………

 

 

 

「ほら、オマエ甘い物好きだろ?食えよ。」

 

「・・へっ?」

 

 

■■ラはランサーから渡された紙袋を受け取り、困惑する。

毎朝の恒例と成りつつある釣りの最中に何の脈略もなく甘味を渡されたのだ。

彼のその反応は当然のものだった。

 

そして、男なのに甘い物か好物だという自分の味覚を恥ずかしいと感じていた彼は。

今まで周囲の人間(孤児院の皆は除く)にそのことを話してこなかった事も困惑に拍車をかけた。

 

 

「俺、ランサーにそんな話したっけ?」

 

「いや、聞いてねぇ。」

 

「なら何故わかったし。」

 

「お前がケーキ屋の前で不審者みてぇにウロウロしてるのを見かけたからだ。

あれだろ?入ろうか迷ってたんだろ?」

 

「う、え?アンタ見てたのか!

どこにいたんだよっ!?」

 

「近くに花屋があっただろ?

アレ、俺のバイトさき。」

 

「」←(絶句)

 

 

羞恥に悶える■■ラに、ランサーは呆れた視線を向ける。

 

 

「ケーキぐらい普通に買えよ。確かに女の方が多かったが店の中には男もいたぜ?」

 

「無理。俺はあんな大勢の女の人の中に突撃してケーキを買う猛者にはなれない。

スイーツ男子とか自分から名乗る奴はマジで勇者だと思う。」

 

「勇者って、オマエ・・」

 

「・・・ん?というか何でランサーが店の中の事まで知ってるんだ?」

 

「それを買ってきたからに決まってんだろ。」

 

 

手に抱えた紙袋の柄には、よく見るとこの前入るのを諦めたケーキ屋のロゴがプリントされていた。

つまりーーー

 

 

「ここにも勇者がいた!」

 

「(生前に)そう呼ばれることもあったな。」

 

「マジか!?

ランサーもスイーツ男子だったのか!」

 

「はっ?俺は別にそこまで甘い物は好きじゃ・・」

 

「いただきまーす!もぐもぐ。」

 

「聞いてねぇのかよ。」

 

 

さっそく袋を開けてケーキを頬張る■■ラの姿にランサーは苦笑する。

だが、その瞳は温かな色を帯びていた。

年齢に見合わない子供のような行動をよくする■■ラのことを彼は好ましく思っていたからだ。

 

 

生前、短いながらも言葉を交わしたコンラは実際の年齢に比べて大人びていた。

そうならざるおえない環境で育ったからだろう。

 

まるでその時を取り戻すかのように今の生を謳歌する■■ラ(息子)の姿は。

殺めてしまったランサー(父親)にとってはある意味、救いでもあった。

 

 

「ふぅ・・ご馳走様でした。

ありがとうランサー。めちゃくちゃ美味かった!

今度は新作の方をよろしくな!」

 

「おいおい。さっそく次の注文かよ。」

 

「頼む!代わりにランサー用のルアー作っとくから。それと交換で!」

 

「・・・まぁ、構わないけどよ。」

 

「やったー!!」

 

「はしゃぎ過ぎだろ!?」

 

 

喜ぶ(息子)の顔を隣で見守るランサーの顔は、本人の知らぬうちに父親の表情になっていた。

 

 

 

 

ーーーそんな二人のささやかな幸福を、運命は容赦なく叩き壊す。

 

ランサー(前世の父親)■■ラ(前世の息子)を再び殺させるという最悪の方法で。

 

 

 

 

 

……………………………………………………………………………

 

 

 

 

「■■ラッ!!コンラッ!!

アああ″アアああぁッ!!!!」

 

 

満点の星空の下でランサーは(息子)の名を叫ぶ。

己が殺めた愛おしい同一の存在の亡骸を、両腕で掻き抱きながら。

何度も何度も繰り返し狂ったように、その名を呼び続けていた。

 

彼は狂ってしまいたかった。

認めたくなどなかった。

 

己が再び息子(コンラ)を手にかけてしまった事実など、受け入れられなかった。

そこにいたのは既にアイルランドの英雄でも光の御子でもなかった。

ただ愛する息子の死を嘆く、一人の父親だった。

 

 

《ーーーーー。》

 

 

そんな彼に、繋がった念話から愉しげな声が届く。

その声の持ち主こそ己に息子を殺させた元凶。

この悲劇を愉しむ人としての道を外れた者。

けして赦す事のできない、息子の仇。

 

 

ーーー殺シテヤル。

 

 

紅い瞳に、憤怒と抑えきれない程の殺意が宿る。

ランサーは■■ラの開いたままの虚ろな瞳を閉じさせてやり、血に濡れた槍を握り締めた。

 

 

「ラン、サー?」

 

 

その場に居合わせたセイバーとマスターの少年は、ランサーの普段からは想像もつかない取り乱し方に声をかけられずにいた。

しかしランサーが黙したことでようやく意を決することができたようだ。

 

気遣うように声をかけたお人好しの少年に、ランサーは絞りだすような声色で応える。

 

 

「坊主、頼みがある。」

 

「え?」

 

「俺はやらなくちゃならねぇ事が出来た。

だから俺の代わりに、コイツをこの時代のやり方で眠らせてやってくれねぇか?」

 

 

唐突な頼みに戸惑う少年の横で、静かに状況を見定めていたセイバーが口を開く。

 

 

「光の御子。コンラとは・・アナタのーー」

 

 

セイバーはそこで言葉を紡ぐのを止めた。

死んだ青年の親指にある指輪のような痣と、ランサーの先程の反応から。

セイバーの直感スキルが、事のあらましを全て彼女に悟らせたからだ。

 

 

「そんな・・まさか。

その青年はアナタの息子の・・!」

 

「あぁ・・コイツは。

■■ラは俺の息子の、生まれ変わりだった。」

 

 

「「ッ!」」

 

 

ランサーの答えに少年は驚き。

生前の逸話を知るセイバーは沈痛な面持ちで目を伏せた。

 

 

「ーーーわかった。任せてくれ。」

 

 

逸話を知らない少年であったが、転生した息子を手にかけたランサーの心境を思い。

力強く頷くと、その頼みを受けた。

 

 

「ありがとな、坊主。」

 

 

心の底からの感謝を少年に告げると、彼は立ち上がる。

(息子)の生気のない顔を目に焼き付ける様に見つめた後、何かを振り切るようにランサーは走りだした。

 

仇を討つべく、風を切って駆けるその姿はあっという間に見えなくなる。

青年の亡骸を託された二人はそれを見送り。

 

 

 

ーーーそして、目撃する。

青年の亡骸から薄い影のようなモノが滲み出し。

まるでランサーの後を追いかけるかのようにそのまま夜の闇に消えていくのを。

 

少年は茫然と、騎士は悲しげな眼差しで。

ただその影をーーー幻霊となったランサーの息子の魂を見送る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………………………………

 

 

 

■■ラのーーーいや、コンラの魂は。

 

一度目に心臓を穿かれた際に、魔槍に宿る魔力により魂にも目に見えぬ傷を負っていた。

それは転生を繰り返すうちに薄れ治るはずのものであった。

しかし、傷が治る前に彼の魂は再び同じ魔槍によって傷つけられる事になる。

 

同じ使い手、同じ魔槍、同じ場所。

 

不運にも三つの偶然が重なった事により。

二度目の魔槍の魔力はコンラの魂の弱った部分を、傷を上書きするかのごとく深く鋭く抉った。

それは彼が二度と転生出来なくなる程の、致命的な傷となった。

 

結果、コンラの魂は輪廻の輪に戻ることが出来なくなり。

彼は近い内に消滅するその時まで、現世をさ迷うだけの力無き幻霊へと成り果ててしまった。

それはかつて幼い少年だった魂が背負うにはあまりにも悲惨な結末だった。

神であるルーが目を逸らしたくなる程に。

 

 

だが、何の気まぐれか。

運命は彼等から幸福を奪い取ったその手で、彼に救いの道を授けた。

 

それは、人理焼却。

 

ルーは定礎が崩れ、時代という概念が揺らいだ瞬間を見逃さずに(コンラ)の魂を現世から救い出す。

そして思考を巡らせた。

孫を消滅から救う為の手段を必死に模索した。

 

 

 

ーーーそしてついに、ルーは一縷の希望を己の千里眼から見出す。

これから最期のマスター達が行う人理修復の旅には、多くの英霊達が関わってくる。

その英霊達の座に刻まれる記憶に、人理修復に挑むコンラの記録を残すのだ。

 

人理修復とは、それに加わるだけで大きな偉業となる。

それにより《父親に殺された英雄の息子》ではなく《人類を救う為に戦った幼い英雄》という概念を生み出すのだ。

その数多の英雄達の座の概念を基盤とし、ルーはコンラの座を創り出すことにした。

 

成功すれば、コンラは英霊となり消滅をまぬがれる。

だが、危険も大きい。

いくら非凡な才を与えられた孫であっても。

人理修復という過酷な旅では、途中で力尽きてしまう可能性もあった。

 

何より幻霊となってしまった孫を現世に送るには、己がコンラの概念を元に創りだした仮の肉体に魂を入れなければならない。

それは疑似サーヴァントと呼ばれる存在になる事を意味する。

 

疑似サーヴァントは、英霊としての力を振るえる以外は普通の人間と変わらない。

食事・睡眠等を必要とし、致命傷を負えばそのまま死に直結する。

リスクは高かったが、他に方法がない事も理解していたルーは孫を生き残らせる為に全力でそのサポートに回ることを決意した。

 

 

誓約(ゲッシュ)を廃し。

己の武器を授け。

魔眼を授け。

カルデアとの接触を計る為に息子のいる特異点へと送った。

 

ーーー孫の記憶の一部を意図的に封じたのは、愛する息子と孫に生前のしがらみを忘れ。

少しの間でも親子らしい時を過ごして欲しいというルーの親心からだった。

コンラ本人は、転生の影響で記憶を失っていると思い込んでいるようだったが。

 

 

 

これが全て。

ルーがコンラを特異点へと送り込んだ理由。

孫を救う為に、人類の救済をも利用した利己的な計画。

だが、愛する者を救いたいというルーの切実な願いが込められた計画でもあった。

 

 

「・・・・俺、は。」

 

 

そして、全てを聞き終え。

己の重ねた罪を知ったキャスター(父親)はーーー

 

 

 

 

………………………………………………………………………………………

 

 

※今回はキリのいい所までやろうと頑張りました。

おかげで最高文字数突破!

いつもこうならいいのに←

独自設定はスルーして頂けるとありがたいです。

 

そしてキャスニキとヤリニキには申し訳ない事をした。

外道神父はマジで自重するべきですね。

 

 

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