〘コンラ。体調はどうだ?すでに肉体と魂は馴染んでいるようだが、無理はするな。〙
「え?う、うん。」
眠って、目を覚ましたら今度は俺を転生させてくれた神が目の前にいた。
しかもイリヤちゃんみたいに体がスケスケだ。
意味がわからぬ。
「それじゃ、マスター達には要点だけ伝えればいいな?」
〘そうしてくれ。本来なら私が直に話すべきなのだが、これ以上はここに留まれないのでな。〙
キャスターこと父さんは(もうこの人は俺の中で父親と認定した)何やら親しげに神と話している。
え?何っ?
父さん、神と知り合いなの?
ポカンと二人の様子を眺めていると、話し合いを終えた神が俺の頭を撫でて微笑んだ。
んん?
神って・・もしかして父さんに似てないか?
首を捻る俺に慈愛に満ちた眼差しを注ぎながら、神は俺を鼓舞するように告げる。
〘我が孫コンラよ。
これより始まる長き旅は過酷なものとなるだろう。だが、お前なら無事にやり遂げると信じている。・・・武運を祈る。〙
ーーーはっ?
孫だ、と・・?(動揺)
神は動揺のあまり硬直する俺を置いて。
父さんに意味ありげに目配せすると、あっという間に姿を消してしまった。
おい。ちょっ、待てや!
神のやつ言い逃げかよ!?
孫とか旅とか訳のわからない事を言ってたけど。
もう、何が何だか・・。
俺は助けを求めて父さんを見る。
すると父さんは何故か苦しそうに顔を歪めた。
目が合っただけなのに何その反応!?
俺、知らないうちに苦しくなるような事したのか!?
「ご、ごごめん父さん!俺なんかしたっ!?」
焦ってどもる俺に、父さんは違うと首を横に振る。
「お前は何も悪くねぇ。
悪いのは・・・全部俺だ。」
「え?」
聞き返しても父さんは何も答えず。
ただ俺を見下ろすその瞳は、昏い色を帯びているような気がした。
それから父さんに色々説明してもらったところ。
俺は多くの勘違いをしていた事がわかった。
まず、俺は自分は別の世界からこの世界に転生してコンラとなり。
何かの理由で死んだ後、この燃える街に英霊として召喚されたと思ってた。
でも実際は元々俺はこの世界の人間で。
コンラとして生まれ、死んだ後に俺ーー■■ラに転生。
友人に殺された後、この街にコンラの姿(疑似サーヴァントというらしい)で召喚されたということらしい。
転生者は転生者でもだいぶ意味が違ったな。
しかも友人が俺を殺した時に魂も傷つけたせいで、これから始まる人理修復とかいうイベントに参加しないと俺は消滅してしまうとのこと。
アイツ、なんて事してくれたんだ。
恨んではいないけど、コレは一発殴らせてもらわないと割りに合わないな。
父さんに聞いたら、友人も実は英霊だったらしいので旅の途中で会ったら絶対殴ろうと思う。
(その話しをしたら、父さんの眼がめちゃくちゃ泳いでた。どうしたし。)
それにしても神ーー俺の爺ちゃんも雑だよな。
もっと詳しく説明してから俺を此処に送ってくれればいいのに。
そうすれば、俺も余計な勘違いをせずに済んだのにさ。
・・・いや、もしかして説明してくれてたのか?
相変わらず抜け落ちた記憶は戻らないからコンラだった時の記憶はないし。
友人の顔も何故か思い出せないし。
(ランサーはクラス名だった。本名だと思ってたのに!騙された!!)
父さんもわからないらしいから。
転生の影響じゃないとすると、擬似サーヴァント化したからか。
もしくは魂の傷が原因だろうな。
まぁ、思い出せないのは仕方ない。
友人もざっくり雰囲気は覚えてるから、会えばわかるだろ!
そして殴る!←
取り敢えず、立香ちゃん達の手助けをしつつ人類を救うのがこれから俺がやるべき事だ。
友達の助けになれるのは嬉しいし。
俺自身、何もせずに消滅するのは嫌だからな。
荷が重いけど頑張ろう。
心強いことに、父さんも手伝ってくれるみたいだし。
ーーーちなみに、父さんに体はコンラだけど中身はコンラの転生者の
そしたら・・・
「記憶がなかろうが、転生してようが関係ねえ。オマエは俺の息子だ。」
という男前な言葉を頂いた。
俺の父さんイケメン過ぎる。
心の広い男ってガチで憧れる!
何故かハイライトが消えた眼をしてたけど。
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借りていた外套を返して二人で俺が寝ていた部屋を出た。
父さんの背を追いかけつつ立香ちゃん達が待っている部屋へと入るとーーー
「コンラくん!」
『コンラッ!』
「もう大丈夫なんですか?」
「うん!心配かけてごめんね。」
《思ったより元気そうでよかったよ。》
「まったく。英霊とマスターが契約をし忘れるなんて前代未聞よ。」
皆が心配してすぐに声をかけてきてくれた。
所長も毒づきながらも俺の事を気にかけてくれてたみたいで。
どこか安堵した表情をしていた。
・・・・みんな優しいなぁ。
ジーンと感動していると、父さんが立香ちゃん達に俺が疑似サーヴァントだという事。
そして俺をカルデアに連れて行ってもらいたいという事を話し始めた。
(俺が召喚された理由や人理修復の旅が始まる事はまだ伏せておくそうだ。あまり未来の事をネタバレするのはマズイらしい。罪悪感が湧くけど、我慢だ。)
「カルデアにこの子が来るのは構わないけど。
疑似サーヴァントじゃ、うちのフェイトシステムでも召喚出来ないわよ?」
「その点は問題ねえ。あんた達はレイシフトってやつで此処にいるんだろ?
マスターとコンラが契約を結べば、繋がったパスを利用してコンラもカルデアへ行けるように親父が準備済みだ。」
「あんたの父親、チート過ぎでしょ。しかも過保護。」
「神ならこれぐらい普通だろ。あと親父は昔から身内には甘かったからな。」
「あっ!確かキャスターさんが沼にはまったり、敵の大群と数日にわたって戦った際に助けに来てくれたんですよね?」
「あぁ・・っていうか嬢ちゃん詳しいな。」
「はい!古今東西、一通りの伝承は読みましたから!」
「すげぇな。ただ・・あの事(コンラの死因)だけは黙っててくれよ?」
「あ、はい!大丈夫です。絶対話しません!」
「・・・身内に甘いのは遺伝なのかしら?」
《ははっ!もしかしたらそうかもね。
まぁ、ギリシャやインドの神に比べたらカワイイものだと思うよ。》
「「確かに。」」
「「ん?」」
「あれ?いま俺呼ばれた?」
「私も呼ばれた気がした。」
『気のせいじゃない?
それよりその子、もっと撫でさせて!』
「フォウ・・」
思いのほか長い父さんの説明に飽きた俺達三人(俺と立香ちゃんとイリヤちゃん)はフォウくんを絶賛もふもふ中である。
撫で回される本人は、暴れ疲れてぐったりしてる。
素早い動きのフォウくんを捕まえる為に、今は外で見張りをしてるバーサーカーにまで協力を頼んだんだ。
可哀想だけど、もう少しこのまま触り心地のいい毛並みを堪能させてもらおう。
(もちろん捕獲の際はバーサーカーにはかなり手加減してもらった。そうじゃないとフォウくんは肉塊になってしまう。)
「アンタ達遊んでんじゃないわよっ!!」
そして案の定、所長に叱られました。
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所長にお説教をされた後、立香ちゃんと契約する為に。
先に俺が倒れた理由である魔力切れや契約の詳細、その他最低限のマスターと英霊についての知識を教えてもらった。
俺は疑似サーヴァントだけど、魔力切れ=死に繋がるのは普通の人間と変わらないそうだ。
(さっきは父さんがいなかったらマジでやばかったらしい。危なかった!そして感謝っ!)
その代わり食事や睡眠で回復する魔力量は他の
日常生活を送る分には何の問題もないとのこと。
・・・そう。日常生活を送る場合は、だ。
俺がこれから挑むイベントは激戦・死闘が必須の人理修復!
魔力が足りなくなるのは目に見えてる。
つまり俺も、誰かにマスターになってもらって魔力を分けてもらわないとすぐにデッドエンドというわけだ。
それはゴメンなので、言われるままに立香ちゃんと契約しようとして気がついた。
あれ?
立香ちゃん、俺とも契約したらサーヴァント三人になっちゃうよね?
魔力足りなくならないのかな。
それに所長も魔術師なんだよね?
どうして所長とは契約しちゃいけないんだろう。
「アンタ、人が触れてほしくない所に直球を叩き込んでくるの止めてくれる?」
物凄く嫌そうな顔で話してくれた所長いわく、マスターになるにはマスター適正ってのが必要らしい。立香ちゃんにはそれがあるけど、所長にはないと。
(立香ちゃんの魔力の件はカルデアのサポートがあるから大丈夫との事。よかった!)
ますます不機嫌になった所長の様子に自分が地雷を踏んだことを悟った。
うわぁ、やっちゃった。
「ごめん所長。でもほら!やってみたら意外と気合いで契約できちゃったり?」
「気合いでどうにかなるならとっくにやってるわよ!」
「え?でもマシュちゃんは気合いで宝具出せたし。」
「ハッ!そういえば!」
「どうなんですか?キャスターさん。」
「それとこれとは別だろ。」
ええ?じゃあダメなのか。
残念だなぁ。
立香ちゃんに不満があるわけじゃないんだけどさ。
「もしも出来たなら、俺は所長と契約したかったな。」
《「「え?」」》
「コンラ・・お前、趣味悪りぃな。」
「どういう意味よそれっ!?」
父さんに喰って掛かる所長の姿を見ながら俺は自分の胸のモヤモヤを再確認する。
うーん。やっぱり似てるんだよな。
誰かって言われると困るんだけど。
所長を見てると、こう・・なんか放っておけない気持ちになるんだよ。
何だコレ?
生前のコンラだった時か、■■ラだった時の知り合いに似てるのかな?
思い当たるフシはないけど。
コンラの時だったら記憶ないから思い出すのは絶望的だなー(遠い目)
幸薄い感じは友人と似てる。でも性別違うし。
うむむ。わからぬ!
・・・・まぁ、思い出せないならいいか←
マスターになって欲しい理由はそれだけじゃないし。
《子供にばかり・・!戦わせ、られないわ!!》
《ッ!・・・いいえ、どこもおかしくないわ。そういえばまだお礼を言っていなかったわね。さっきは助けてくれてありがとう。》
ーーーわかりにくいけど。
所長が優しい人だって事、知ってるからさ。
「もう!アンタが変なこと言うからよ!?」
「だって、ホントに所長にマスターになってほしかったから。」
「まだ言うか!?」
何故か顔を赤くした所長に、また頭をペシン!と叩かれた。
でも前より痛くない。
素直じゃないだけで、やっぱり優しいんだな。
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※キャスニキのSAN値がヤバイことに。
残念ながら所長と契約はできないので、次回に立香ちゃんと契約します。