「ーーー告げる。汝の身は我の下に、我が命運は汝の剣に!この意、この理に従うのなら、我に従え!ならばこの命運、汝が剣に預けよう!!」
立香ちゃんが契約の呪文を唱える。
俺もそれに応えて、教えてもらった通りに詠唱する。
「我は光の御子クー・フーリンが息子コンラ。
この名に懸けその誓いを受ける!そなたを我が主として認めよう。マスター、藤丸立香!」
重ねた手を通して、立香ちゃんとの間に何かが繋がるのがわかった。
これがパスが繋がったってことなのかな?
「どうやら無事に契約できたみたいだな。」
「うん。これからよろしくね、コンラくん。」
「俺の方こそよろしく立香ちゃ・・じゃなくて、マスター!」
俺は改めてマスターになってくれた立香ちゃんに挨拶を返す。
でも、立香ちゃんに困った顔をされてしまった。
「コンラくん。《立香ちゃん》でいいんだよ?」
「え?でも・・」
「契約したら必ずそう呼ばなくちゃいけないわけじゃないの。私は前の通り、名前で呼んでもらえた方が嬉しいな。」
「そうなの?」
「うん。」
「えっと・・・じゃあ、よろしく!
立香ちゃん!」
俺が笑うと、立香ちゃんも笑顔で応えてくれた。
うん。なんか凄く嬉しいぞコレ!
《サーヴァント》じゃなくて《俺》を認めてもらえた。そんな感じがする!
ほっこりする俺を余所に、所長と父さんがこの後の方針をこの場にいる全員に告げた。
まず、この燃える街ーー特異点F《冬木》の異変の原因はセイバーが護っている聖杯で間違いないとのこと。
その聖杯を回収すれば異変の原因が取り除かれ、立香ちゃん達はカルデアに戻れるそうだ。
(そして俺はそれについて行く。)
つまり、セイバーを倒して聖杯をゲットすれば良い。
だけどここで1つ、大きな問題が。
そのセイバーが物凄く強いらしい(戦慄)
父さんもキャスタークラスじゃ分が悪いと、俺達と会うまで戦闘を避けてたらしい。
(ちなみに、父さんのよく召喚されるクラスはランサークラスだそうだ。友人と同じだ!
そして父さんの眼がまた泳ぎまくってた。いったいどうしたし。)
そんな強敵に勝てるのか?ーーーと不安になっていたら思わぬ援軍が。
なんと!
イリヤちゃんとバーサーカーが打倒セイバーに協力してくれる事になったのだ!!
『バーサーカーにまた会えたのはコンラのおかげだもの。恩返しさせて!』
「■■、■ッ!!」
「イリヤちゃん、バーサーカー。
ありがとう!!」
「あのバーサーカーを味方につけるか。
息子ながら末恐ろしいぜ。」
「本人は無自覚でやってるんでしょうけど。
情けは人の為ならずってやつかしら?」
《でも、これでだいぶコチラの戦力は整ったんじゃないかな?》
「そうだな。油断は出来ねぇが。
後はセイバーのいる場所に向かう道すがら、マスター達に戦闘に慣れてもらうしかねぇか。」
「皆にうまく指示を出せるよう、私頑張るね!」
「私も先輩の足を引っ張らないよう全力を尽くします!」
「コンラ、お前はやっと自分のクラスがわかったんだ。これまでと違ってクラスを活かせるよう意識して戦えよ。」
「うん!わかった!」
父さんの言葉に頷き、そして俺は気がついた。
俺のクラス(父さんに教えてもらってわかった)ーーーランサークラスにとって大事なものを自分が持っていない事に。
(なんと俺もランサークラスだった!
友人と普段の父さんと同じ。偶然って凄い!!)
「あっ!でも俺、槍持ってない!」
「あーーそうだったな。」
無くはないけど、宝具の《
仕方ないので、倒した骸骨の使ってた槍を拝借することにした。
「本当は俺と同じ、ちゃんとしたヤツを持たせてやりてぇが・・・あの女の作った槍をコイツに持たせるのは酷か。」
「? 父さん?」
「ーーー何でもねぇ。」
「???」
………………………………………………………………………………………
アインツベルン城を出発した俺達は、父さんの案内に従って聖杯のある洞窟を目指す。
燃える建物を視界の端に入れて歩きながら俺は小さくため息をついた。
ーーーそれにしても、ここが
なーんか見たことある街並みだとは思ってたけど、まさかの大火事になってるんだもんな。
驚いた。
この分だと俺の家も燃えてるな。
はぁ・・あと少しで完成だったのに(ガックリ)
内心で意気消沈しながらも、襲ってくる骸骨を倒しつつ皆と先を急ぎ。
ついに目的の場所、セイバーことアーサー王のいる洞窟へと俺達は辿り着いた。
警戒しながら奥へと進み。
着いた洞窟の最深部には、静かに佇む黒い騎士がいた。
こちらを見下ろす冷えきった眼差し。
小柄な体から放たれるプレッシャーはバーサーカーに負けるとも劣らない。
・・・いや、バーサーカーと違って感情が感じとれない分セイバーの方がよほど怖ろしく思えた。
「ーーッ!」
勝手に震えだした体を抑える為に槍を持つ手を強く握り、歯を喰いしばる。
怖がるな。
立香ちゃん達の方がずっと怖いんだぞ。
男だろ!根性見せろ俺!!
それでも体の震えは治まらない。
「く、そ・・・・ッ!?」
情けない気持ちになっていた俺の頭に、誰かが触れた。
「コンラ。」
目だけ向けると父さんがセイバーから視線を外さないまま俺の頭に手を置いていた。
落ち着かせるように撫でる手のひらの動きに、体の震えが小さくなっていく。
「大丈夫だ。お前は俺が護る・・・絶対にだ。」
「・・・とう、さん。」
父さんの言葉に、この手のひらに。
この街にいる間だけで俺は何度助けられて来たただろうか。
「「コンラくん。」」
「『コンラ。』」
立香ちゃんが、マシュちゃんが。
所長が、イリヤちゃんが。
俺を励ますように名前を呼んでくれる。
ーーーそうだ。何を一人で思い詰めていたんだろう。
俺には俺を支えてくれる、頼もしい父親と友達がすぐ傍にいてくれるのに。
体の震えはいつの間にか止まっていた。
「ありがとう。」
俺は皆に笑いかけると、覚悟を決めて前を向く。
睨みつけるように見上げた為、こちらを見下すセイバーと眼がかち合ったが反らしはしなかった。
「ーーー。」
その数秒だけ、セイバーの瞳が揺らいだ様な気がしたのはきっと気のせいだ。
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※無事に立香ちゃんと契約完了!
次はVS黒セイバー戦ですね。
戦闘描写は苦手なのですが(遠い目)