「卑王鉄槌、極光は反転する。
光を呑め! 《
振り下ろされたセイバーの剣から、黒い光の本流がほとばしる。
まっずくに俺達へと放たれたその黒い光の柱を見た立香ちゃんは、直ぐ様マシュちゃんに指示を出した。
「マシュ!」
「宝具展開します!
《
マシュちゃんの盾から現れた光の壁が、俺達をセイバーの攻撃から護ってくれる。
黒い光が防がれ、消えたと同時に父さんとバーサーカーがマシュちゃんの後ろから飛び出し駆ける。
「お前はここにいろ!」
俺もそれに続こうとしたけれど、父さんに来るなと言われて二の足を踏んでしまう。
確かにさっきまでビビってたし。
二人に比べて戦闘経験もないけど。
覚悟を決めたんだ。
置いてきぼりはゴメンだ!
俺はその言葉に逆らって、遅れながらも二人の後を追った。
「フッ・・・面白いサーヴァントがもう一人。
貴様の事は常々不運だと思っていたが、ここまで凶運だったとはな。巡り廻って三度目か。喜べ、今度は父子ともに楽にしてやろう。」
「アンタ・・そうか。話は聞いてるぜ。
今の俺は座から記憶を引き継いでねぇが、世話になったみたいだな。
ーーーだが、アイツはもう死なせねぇ。アイツに害を成そうってんなら遠慮無く殺らせてもらうぜ。」
「抜かせ。槍のない貴様など相手にもならん。」
「んなことわかってる。でもよ、こっちにはコイツもいるんでな。」
「■■■■■■■ッ!!!」
「ちっ!バーサーカーか。」
何か真剣な話をしていた父さんとセイバーの間にバーサーカーが割り込み、拳を振るう。
杖を槍みたいに扱ってセイバーと斬り結んでいた父さんは素早く跳び退き、距離をとった。
俺はその父さんの傍に駆け寄る。
「父さん!」
「ーー来るなって言っただろうが。」
険しい表情の父さんに怯みかけるも、俺はキッパリと決意を口にする。
「俺も戦う!俺だって(疑似だけど)サーヴァントだ。立香ちゃんのーーーううん。みんなの役に立ちたいんだ。」
立香ちゃんはマスターとして的確な指示を出してくれた。
マシュちゃんは宝具で俺達を護ってくれた。
所長は怪我をしたら直ぐに回復できるよう準備してくれてる。
父さんは不利なクラスにも関わらずセイバーと戦ってる。
こうしてる間にもバーサーカーはセイバーと一進一退の攻防を繰り広げてる。
イリヤちゃんは・・・幽霊だから!
仕方ないから!!←
と、とにかく!
俺が言いたいのはーーー
「俺は俺に出来ることをやる。
護られてるだけなんて嫌なんだ。」
そうだ。
父さんの気持ちは嬉しいけど。
俺だって男なんだ。
護られてばかりじゃいられない!
俺も大好きな人達を護りたいんだ。
「・・・・無茶はすんな。
いざとなったら気絶させてでも退かせるからな。」
「う、うん。」
俺の真剣な気持ちが伝わったのか。
父さんはそれだけ言うと視線をセイバーへと戻す。
そのセリフに不穏なモノを感じながらも。
大人しく頷き、俺は父さんに倣って槍を構えた。
バーサーカーのおかげではじめは優勢だった戦局は、次第に劣勢へと傾いていく。
セイバーは聖杯のブーストを受けているらしく、致命傷ではない傷は直ぐに治ってしまい。
魔力も尽きることがないのだ。
俺の宝具《
父さんが炎の魔術でバーサーカーの援護をしてるけど。あまり効いてないみたいで苦い顔をしている。(対魔力まで備えてるとか・・もう勘弁して下さい!)
このままだとマズイ。
焦る俺達に、セイバーの二度目の宝具が放たれる。
「みんな下がって!
マシュ、もう一度お願い!!」
「はい!」
「 《
「《
ーーく、うっ!」
「マシュッ!?」
「マシュちゃん!」
二回目の攻撃を防ぎきったものの、相当な負荷がかかるのかマシュちゃんは膝をついてしまう。
それを嘲笑うかのように、セイバーは連続で宝具を使用しようと剣を振り上げた。
「させるか!」
俺はそれを見て、とっさに思いついた作戦を立香ちゃんに念話で伝えてセイバーへと走りだす。
「えぇ!?コンラくん!?」
「コンラッ!」
驚く立香ちゃんを尻目に。
止めようとした父さんの手をすり抜けて疾走、跳躍。
元々使っていた剣で、セイバーの剣が振り下ろされる前にその刃を受け止めた。
(槍は早々に折られたので捨てた。やっぱり借り物じゃダメだった。)
邪魔をされたセイバーは俺を見て興味深そうに眼を細める。
「私の剣を受け止めるか。ランサークラスでありながら剣の素質もあるとは・・・伝え聞く通り、芸達者なヤツだ。」
「それは・・どう、も・・!」
受け止めたは良いものの。
衝撃で痺れてしまった両腕を無理やり動かし、俺はセイバーの剣を弾き返す。
たぶん褒められたんだろうけど、状況が状況だから全然嬉しくない!
(というか、考えたら父さんもキャスターだけど杖で接近戦してるし。アーチャーも剣で戦ってたよな。クラスの定義が謎過ぎる。)
そして反撃される前に俺の宝具を放つ。
「行け!《
空中に現れた光槍の1本を掴み、残りを操ってセイバーへと攻撃する。
けれど、4本全てが複雑な軌道を描いているにもかかわらず。
前と同じ様に次々と回避されてしまう。
しかも二回目だからか初見より余裕そうだ。
ーーーまぁ、こうなる事はわかってたんだけど。
ダメ押しとばかりに投げた手元の槍をセイバーは体を反らすだけで簡単に避けた。
「だが・・借り物ゆえか、肝心の宝具は使いこなせていない様だな。所有者に必ず勝利をもたらすと云われた神槍が憐れな事だ。」
「・・・俺が未熟な事なんて。俺自身が一番よくわかってるよ。だからーーー」
俺は首を傾け、セイバーの背後を確認してその言葉を続けた。
「あとは
「ーーーお前、本当に人の言うこと聞かねぇな!!」
そこには令呪でセイバーの背後へと転移し。
俺の投げた光槍を受け取った父さんの姿があった。(あれ?父さんめっちゃ怖い顔なんだけど。もしかして怒ってる?)
「何っ!?」
さすがにコレは予想外だったのか、反応が遅れたセイバーをルーン魔術で威力が底上げされた光槍が穿く。
光槍の効果で、体を内側から燃やされたセイバーが赤黒い血を吐き出した。
崩れるように膝を折る姿に、今までと違い確実にダメージを与えられた事を悟る。
『今よ!やっちゃえバーサーカー!!』
その隙を逃さず。
イリヤちゃんの指示を受けたバーサーカーがすべてを粉砕する豪腕をセイバーへと振るう。
(イリヤちゃんが予想外に容赦のない子だった。笑顔がコワイ。)
殴り飛ばされたセイバーは洞窟の壁に激突した。
「がはっ!」
苦痛の声と共に、その体は力なく地に伏した。
ーーー勝った、のか?
「くっ!・・・聖杯を守り通す気でいたが、己の執着に傾いた結果がこれだ。結局、私一人では同じ末路を迎えるということか。」
「どういう意味だそりゃあ。
テメェ、何を知っていやがる?」
「いずれあなたも知る。
アイルランドの光の御子。
そして宿業に翻弄されし憐れな子よ。
グランドオーダー・・・聖杯をめぐる戦いは、まだ始まったばかりだということをな。」
その言葉を最後に、アーサー王は輝く光の粒となって消えていった。
ーーーすまぬセイバー。
かっこ良く消えたとこ悪いけど、その件だったらすでに(爺ちゃんのネタバレで)知ってる。
父さんも同じ事を思ったらしく、何とも言えない顔をしていた。
……………………………………………………………………………………………………………
藤丸立香視点
「いい加減にしろよ、コンラ。」
「いひゃいいひゃいっ!!」
「俺は言ったよな?無茶するなって。
さっきのアレは無茶以外の何だってんだ?
言い訳があんなら言ってみろやコラ。」
「ひゃべれない!こみぇじゃひゃべれなひから!!」
キャスターに両頬を引っ張られ、お仕置きされているコンラくんは言葉にならない声を上げてジタバタしている。
うわー。
キャスターがご立腹だ。
笑顔なのに額に青筋が浮かんでる。(こわっ!)
でも、キャスターが怒る気持ちもわかる。
セイバーに勝てたとはいえ、さっきのコンラくんの戦い方はだいぶ危険だった。
何度ヒヤヒヤさせられたかわからないよ。
とっさにあんな奇襲法を考えつくんだから、歳に見合わず凄く頭が良いと思うんだけど。
コレと決めた事は頑なに譲らないというか。
頑固というか。
決めた事を果たす為なら多少自分の身が危険でも顧みないところがあるみたいなんだよね。
(アインツベルン城へ行く前のひと悶着がいい例だと思う。)
「で、でも・・俺は俺の出来る事をしただけだし。あの時はアレしか方法が思いつかなかったし。」
頬から手を離してもらえたコンラくんが涙目になりながらも反論する。
あー、ダメだよソレは。
火に油を注ぐだけだから。
案の定、キャスターの眼が据わった。
(というか、アインツベルン城あたりからキャスターの様子がおかしい。二人の間に何かあったみたい。
コンラくんの「父さん」呼びは喜ぶべき事だけど、キャスターがコンラくんを見る眼がたまに怖い時がある。・・・大丈夫かな?)
「そうか。まだ仕置が足りねぇみたいだな。
よし、顔を出せ。」
「や、やだよ!もう引っ張るのは勘弁して!
まだヒリヒリして痛いんだから!!」
「痛いようにしてんだから当たり前だろうが。」
「父さんのバカ!鬼畜!槍なし!!」
「・・・尻も叩いてやろうか?」
「ひぇっ!?それは(精神年齢二十歳前の人間には)色んな意味でイタイからマジでやだ!!」
ーーーお父さんは大変だな(苦笑)
でも・・良かった。
私は二人を見ながらしみじみと思う。
もうどこからどう見ても、二人は正真正銘の親子だった。
悪いこと(?)をした子供を親が叱る。
どこにでもある、日常のありふれた光景。
この光景に辿り着く為に二人が歩んできた道のりが、とても遠い回り道だった事を私は知った。
だからこそ、目の前の二人の姿が何よりも尊く幸せなモノに思えた。
「何よ。キャスターのやつ、なんだかんだで楽しそうじゃない。」
「ふふ、そうですね。」
呆れた様子の所長と微笑ましく笑うマシュに、私も同意して頷く。
けれどーーー
「あっ・・」
「ーーーもう、時間か。」
そんな温かな時間は長くは続かなかった。
…………………………………………………………………………………………
※作者の戦闘シーンはこれが限界でした(白目)
とうとうキャスニキとお別れの時間です。
裏では外道レフ教授がスタンバっております。