コンラくんのFGO   作:彼に幸あれ

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彼だけのマスター

 

 

 

「見られた見られた見られた。違うの私はショタコンじゃないの。私はあの子だから死んでもいいと思ったの。違うの。私はコンラだからーー」

 

〘とりあえず落ち着け、魔術師の女。〙

 

「うるさいうるさいーーっていうかアンタだれよ?ここ何処よ?なに普通にコンラ抱っこしてるのよ。今すぐ代わりなさいよ、羨ましい。」

 

〘話ができんな。どうしたものか・・〙

 

 

何か体がぬくいなーとか思って目を開けたら爺ちゃんに抱っこされてた。

そして所長が座り込んだ姿勢のまま、両手で頭を抱えて錯乱してた。

 

うええ!?何だコレ!?

確か俺と所長は分解されて死んだ筈・・だよな。

何がどうなってこんな状況になってるんだ?

現状が呑み込めず、驚いて身じろいだ俺に。

気づいた爺ちゃんが安堵した表情で笑いかける。

 

 

〘気がついたか。早々に無茶をしたものだな、コンラ。〙

 

「あ・・もしかして。爺ちゃんが俺達を助けてくれたの?」

 

〘あぁ。オマエがカルデアスに飛び込むのを見た時は肝が冷えたぞ。〙

 

「う″っ・・ごめんなさい。でも、所長をどうしても助けたかったから。」

 

〘わかっている。〙

 

 

頷き、俺の気持ちに理解を示してくれる爺ちゃん。勝手な事して迷惑かけたのに、助けてくれた上に俺の想いまでくんでくれるなんて。

 

うぅ・・俺、もう爺ちゃんに頭上がらないよ!

父さんもだけど、爺ちゃんもイケメン過ぎる!

俺が抱っこされたままそんな事を考えていると・・

 

「ーーーコンラ?ハッ!私はいったい・・!?」

 

 

正気に戻った所長はオロオロと周りを見回し、俺の姿を視界に捉えるとホッとした表情になった。

でも、爺ちゃんの方に視線を移すと急に怖い顔になってコチラに詰め寄ってきた。

 

 

「ちょ、ちょっと!コンラを離しなさいよ。どこの誰だか知らないけど、気安くその子に触らないでよね!」

 

〘・・・驚いた。まさか自分の孫を甘やかして、他人に咎められる日が来ようとは。〙

 

「え?」

 

「あ、そっか!所長は爺ちゃんに会った事なかったね。」

 

「え″?」

 

 

爺ちゃんに腕から降ろしてもらって。

(何故か物凄く残念そうな顔をされた。)

所長に爺ちゃんの事、爺ちゃんが俺達を助けてくれた事を伝えた。

 

 

「そ、そうだったの。いきなり突っかかって悪かったわ。」

 

(コンラ)の身を案じての事だろう?気にするな。

それより魔術師の女。お前に提案がある。〙

 

「・・何よ?」

 

〘お前は、これからコンラのマスターとして人理修復に挑むつもりはないか?〙

 

「ーーは?」

 

 

驚く所長に、爺ちゃんは俺が人理修復に挑まなければならない理由を話した。

俺がこのままでは消滅してしまう事。

助かる為には人理修復と英霊達の記憶を利用して座を創り、俺を英霊にするしか方法がない事。

あと、そうなった理由を説明する為に俺が■■ラとして一度転生した事と、その記憶を持っている事も話した。

 

今まで内緒にしていたから、所長は怒るかなって覚悟してたんだけど。

全然そんなことは無くて、むしろ何でかガッツポーズして喜んでた。

(「精神的には合法」とか言ってたけど。何のことだろう?)

 

 

「あれ?でも所長はマスター適正がないんだよね?」

 

〘そのようだな。だが、カルデアスに共に分解された影響でお前達の魔術回路の一部が交じり合ったようだ。おかげでーーー皮肉なことだが。お前達の間にパスが通っている。〙

 

「そうなんだ・・。」

 

 

こういうの何て言うだっけ?

不幸中の幸い?

怪我の功名?

なんかそんな感じで運良く所長と俺の間にパスが繋がったらしい。

爺ちゃんの手助けがなければ所長を死なせるところだったし。

俺自身も死ぬところだったから、ちょっと複雑だけど。

結果的に所長と契約(?)出来たなら無茶したかいがあったのかな?

 

 

「し、信じられない。そんな・・都合の、良いこと。」

 

〘疑うなら、自分で確かめてみてはどうだ?〙

 

 

マスターになる事を諦めていたらしい所長は、なかなか信じられないみたいだ。

爺ちゃんに促されて、立香ちゃんと契約した時みたいに所長と手を重ねてみた。

 

 

「あ・・。」

 

 

ーーーうん。繋がってる。

この感覚、間違いないや。

 

俺は二人の間にパスが繋がっているのを確認して。所長にも一応間違いないか確かめようと、下ろしていた視線を上げた。

すると、なにやら所長は頬を赤くしてボーと重ね合わせている俺と自分の手を見つめていた。

 

 

「? 所長?」

 

「ッ!ーーな、なに!?」

 

「え?パスの事、だけど。・・もしかして、繋がってない?」

 

「あっ・・そ、そう!そうよね!パスよね!大丈夫よ。繋がってる!繋がってるから!!」

 

「?」

 

〘ーーーこの女。やはり・・。〙

 

 

顔を赤くして慌てふためいている所長。

そんな所長の姿を何か確信した様子で凝視している爺ちゃん。

うーん。

二人の様子がおかしいぞ。

俺が気絶している間に何かあったんだろうか?

 

不思議に思いつつも、所長がマスターになってくれるか返事を貰っていないので。

俺は改めて自分から頼んでみる事にした。

(自分の事だし。俺の旅に付きあわせちゃう形になるんだもんな。)

 

立香ちゃんには悪いけど。

俺が一番最初にマスターになって欲しいと思ったのは所長なんだよな。

だから不謹慎だけど・・今の状況を嬉しく想っている自分もいた。

 

 

「所長。所長を助けられなかった俺が言っても説得力が無いのはわかってる。けど、俺・・頑張るから。今度こそ所長を護りきってみせるから!

必ずカルデアに帰してみせるから!

だから、どうか俺のマスターになって下さい!!」

 

「ーーー。」

 

 

重ねた手をギュッと握りしめて。

俺の真剣な気持ちが伝わるように、真っ直ぐに所長の綺麗な山吹色の瞳を見上げた。

 

どうやら驚かせてしまったみたいで。

所長は目を丸くし、何か言葉を探すみたいに俺と目を合わせたまま唇を震わせた。

その瞳がしだいに濡れていくのに気づき、俺は焦って声をかけようと口を開く。

けど、所長が言葉を紡ぐ方がそれより早かった。

 

 

「いいわよ。カルデアに戻るには他に方法もないみたいだし。・・・私が、あなたのマスターになってあげる。」

 

 

合わせていた視線を外し、斜めを向きながら告げられた答えに。

俺は俺の心配していた事が杞憂であったことに胸を撫で下ろす。

(泣くほど嫌なのかと心配したけど、違ったみたいだ。よかった!)

代わりに受け入れてもらえた喜びが心を満たして、湧き上がった感情のままに笑いかける。

 

 

「ありがとう所長!ーーーううん。マスター!

これからよろしくね!」

 

「ッ!・・・えぇ。よろしくねコンラ。

ーーーこちらこそ、ありがとう。」

 

「え?」

 

 

所長ーー俺のマスターに、何でお礼を言われたのかわからず。俺はキョトンとしてしまう。

マスターはそんな俺を見て、困ったように苦笑した。

けれど、その瞳は優しくて。

父さんと同じ様で違う。何か温かな感情を宿している様な気がした。

 

 

 

…………………………………………………………………………………

 

 

 

オルガマリー視点

 

 

 

 

「あ・・。」

 

 

触れ合った小さな手から伝わる温かなぬくもり。

穏やかで、まるで月明かりの様な優しい魔力。

繋がったパスから感じるその感覚に、私は自分の心がゆっくりと凪いでいくのがわかった。

 

繋がっている。

独りじゃない。

自分を認めくれたこの子と、間違いなく自分は生きて繋がっている。

 

その夢のような現実に。

思わず目の前の、自分の手と重ね合わせたコンラの手に見惚れてしまう。

 

ーーーこのまま、握ってもいいのかしら。

 

もっとコンラの心地の良い温もりを感じたいと、邪な想いが頭をもたげる。

けれど、こちらを見つめる無垢な瞳に気づいてその感情は霧散した。

 

 

「? 所長?」

 

「ッ!ーーな、なに!?」

 

「え?パスの事、だけど。・・もしかして、繋がってない?」

 

「あっ・・そ、そう!そうよね!パスよね!大丈夫よ。繋がってる!繋がってるから!!」

 

「?」

 

 

慌ててコンラの問いに応え。

続いて胸に湧いたのは、激しい羞恥心だった。

 

ーーーこ、こんな状況で何を考えてるのよ私は!

 

顔に熱が集まるのを必死に冷ましながら。

不思議そうなコンラと、どこか冷めた眼のルー神の視線から逃れる術を探す。

半ばルー神の提案は私の頭から吹き飛んでいた。

そんな(返事をなかなか返さない)私に不安を抱いたのか。

コンラはおもむろに私の手を握りしめて。

普段と違う真剣な表情で私をその茜色の瞳に映す。

 

 

「所長。所長を助けられなかった俺が言っても説得力が無いのはわかってる。けど、俺・・頑張るから。何があっても所長を護りきれるように全力を尽くすから!

所長を必ずカルデアに帰してみせるから!

だから、どうか俺のマスターになって下さい!!」

 

「ーーー。」

 

 

向けられる真摯な眼差しに。

掌から伝わる求めていた温かさに。

私を気遣いつつ願いを口にするコンラの言葉に。

心を何かに穿かれた様な衝撃と共に、その瞳から眼が離せなくなった。

 

 

ーーーマスター。

心の底から望んでいた。

けれど、どんなに望んでも得られなかった資格。

アニムスフィアの名を持ちながらも適正のない私を、魔術協会の魔術師達は嘲り嗤った。

 

私自身も自分の才のなさに絶望し。

それでも少しでも周りに認めてもらいたくて。

必死に尊大な態度を取り、所長という肩書にふさわしい人間になろうとした。

私事を全て捨てて、カルデアの所長で在ろうとした。それが正しいのだと思っていた。

でもーーー

 

 

《もしも出来たなら、俺は所長と契約したかったな。》

 

 

この子(コンラ)は肩書ではなく、私自身を。

オルガマリーを見てくれた。

私を選んでくれた。

私のサーヴァントになりたいと言ってくれた。

歓喜に唇が震え、瞳が潤む。

 

ーーーあぁ、また私はこの子に救われた。

 

泣き顔を見られるのが恥ずかしくて。

無理やり視線を外し、コンラの願いに応える。

 

 

「いいわよ。カルデアに戻るには他に方法もないみたいだし。・・・私が、あなたのマスターになってあげる。」

 

 

つい癖で強気な言い回しになってしまい、内心で慌てる私を余所に。コンラは特に気にした様子もなく。それどころか嬉しそうに笑いかけてくれた。

 

 

「ありがとう所長!ーーーううん。マスター!

これからよろしくね!」

 

「ッ!・・・えぇ。よろしくねコンラ。

ーーーこちらこそ、ありがとう。」

 

 

私をマスターにしてくれて。

私のサーヴァントになってくれて。

私の望みを叶えてくれて。

 

 

そんな想いを込めて伝えた私の感謝の言葉に。

コンラは驚いた様に目を瞬かせる。

自分が行った事が、どれだけ私の救いになっているのかまったく気づいていないのだ。

思わず私は苦笑してしまう。

 

そして、覚悟を決めた。

私を救ってくれたコンラを救う為に。

コンラのマスターとして人理修復に挑む事を。

不安も恐怖もある。

でも、目の前の存在の為ならば幾らでも堪えられた。

コンラを喪う事の方が、今では死ぬ事よりも何倍も恐ろしかった。

 

ーーー今度は私がこの子を助けてみせる。

あの特異点F(冬木)で悲鳴を上げる私をコンラが助けてくれた様に。

 

けしてこの子を喪うまいと。

決意を胸に。

私はコンラの小さな手を握り返した。

 

 

…………………………………………………………………………………

 

※無事に所長がマスターになれました。

代わりに爺ちゃんの心配事が増えましたが←

キャスニキとのギャップが酷い。

 

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