コンラくんのFGO   作:彼に幸あれ

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魔法使いと竜殺し

 

 

ワイバーンの襲撃に遭い壊滅してしまった街。

そこで出会ったマルタさんの話によると、フランスに異変を起こしている元凶はドラゴンではなく。

そのドラゴンーー邪竜ファヴニールを召喚した竜の魔女ジャンヌ・ダルク。

そして彼女に協力するジル・ド・レェの2人らしい。

 

 

「本来なら私はあなた達側の英霊なのですが。

不運にも聖杯の力で彼女に喚び出されてしまった為、私自身が彼女を止めることは出来ません。

なので、せめてファヴニールを倒す切り札である彼を匿おうとしていた所なのです。」

 

「そういう事だったの。」

 

 

マスターとマルタさんの話を小耳に挟みつつ。

瓦礫に埋まった男の人ーージークフリートの救出作業に俺も加わる。

 

 

「手伝うよ!」

 

《おおっ!助かる。》

 

 

大きな瓦礫を亀っぽい竜ーータラスクが。

小さな瓦礫を俺が次々と退かしていく。

効率が良くなったおかげか、思ったより速くジークフリートを助ける事が出来た。

 

ジャンヌと彼女の召喚したバーサーク・サーヴァント(マルタさん除く)によって彼は呪いと重症を負わされてしまっていた。

その深い傷をマスターが治癒魔術で癒やす。

 

 

「グッ!・・話は聞いていた。迷惑をかけてすまない。」

 

 

先程まで話す事もままならない様子だったジークフリートは、傷の治療が終わると半身を起こして謝罪してきた。まだ呪いは解けてないけどだいぶ楽になったみたいだ。

 

 

「呪いの解呪は聖女の専門でしょう?マルタ、後はお願い。」

 

 

マスターの言葉にマルタさんは頷き、ジークフリートの体に触れ解呪を試みる。

でも、うまくいかないみたいで。

数分後には難しい顔をしながら手を離した。

 

 

「申し訳ないのですが、思った以上に彼にかけられた呪いは強力です。私一人の力では解呪は無理でしょう。」

 

「そう・・仕方ないわね。」

 

 

呪いを解くにはマルタさん以外の聖人の力も借りなくちゃいけないみたいだ。

ジークフリートには悪いけど、ここは我慢してもらって。一旦、この場を離れる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《竜の背中に竜殺しを乗せるとかマジ酷だわー。

これがちまたで噂のパワハラなんすね。》

 

「タラスク。あんまりゴチャゴチャ言ってると煮詰めてスープにするわよ?」

 

 

《ッ!?》←ガクブル

 

 

「タラスク・・だったか。

すまない。本当にすまない。」

 

「亀のスープ・・あぁ、スッポン的なアレね。」

 

 

タラスクの背中で不調のジークフリートには休んでもらい。俺達は燃え落ちた街から離れ平原を進む。

マルタさんいわく、ジャンヌはルーラークラスで。他のサーヴァントが何処にいるか感知できるから1箇所に長居しない方がいいとの事。

 

俺はジークフリートから預かった大剣(バルムンク)を背負い。その柄の部分に乗っているマルちゃんをやけに気にしている彼に声をかける。

 

 

「ジークフリート。マルちゃんがどうかしたの?」

 

「マルちゃん?ああ。そのカワウソの名か。」

 

 

聞くと、マルちゃんを見るとジークフリートの中の竜の因子がざわつくらしい。

(生前倒したファヴニールの血を浴び、口にした事で彼は体内に竜の因子を取り込んでしまったそうだ。)

困惑するジークフリートの言葉にマスターが

「あっ!」と声を上げる。

 

 

「そうよ!ファヴニール!!

やっと思い出したわ!」

 

《ようやくか・・。遅かったな。》

 

「うっさいわね!あんたの知名度が息子に比べて低いのが悪いのよ!フレイズマル!!」

 

「「ッ!?」」

 

 

何かに思い至ったらしいマスターがマルちゃんの名前を呼ぶ。

すると、名前を聞いたジークフリートとマルタさんが驚きの表情になった。

何で驚くのか解らず、俺が尋ねると。

なんとマルちゃんは敵である邪竜ファヴニールの父親だった事が判明した。

 

 

 

…………………………………………………………………………

 

 

 

第三者視点

 

 

 

北の大地にて1人の男が3人の息子と暮していた。

男ーーフレイズマルは魔法という稀有な力を持ちながらも農夫として日々を過ごしていた。

 

長男 ファヴニールは家族を愛し、勇ましく武芸に優れ。

次男 オッテルは穏やかな気性で家畜を育てるのが上手く。

三男 レギンは賢く、鍛冶を得意とするほど手先が器用であった。

 

 

そんな平穏な毎日を送る彼らに、何の前触れもなく悲劇が振りかかる。

父親の頼みで河へと魚を獲りに出かけたオッテル。彼がカワウソに姿を変えている事を知らぬ神によって殺されてしまったのだ。

 

旅の途中、一晩の宿を求め彼らの家の扉を叩いた神達(ロキ・オーディン・ヘーニル)。

その手に無造作に掴まれる息子の変わり果てた姿に怒り。フレイズマルは2人の息子と共に油断した神々の隙をついてその身を拘束する。

縄をかけられ事情を聞いた神達は謝罪し、殺してしまった息子の命の分を黄金で賠償すると言った。

 

その言葉にファヴニールは激怒する。

愛する家族()の命はどんな黄金や財宝にも変えられるものではないと彼は想ったからだ。

ファヴニールは衝動のままに剣に手をかける。

しかし、フレイズマルはその手を止め神の申し出に応じた。

 

 

「何でだ親父!こいつらはオッテルを殺したんだぞ!」

 

「頭を冷やすのだファヴニール。確かにこやつらはオッテルを殺めた。だが、それは故意ではない。詫たいというこやつらの気持ちも汲むべきだ。」

 

「でもーーッ!!」

 

 

ファヴニールは父親の言葉に反論しようとした。

しかし、その言葉は彼の口から発せられる事はなかった。

彼は見てしまったのだ。

息子を殺され怒りに燃えていた筈の父の瞳が、今は黄金に眼が眩み欲に濡れている光景を。

 

己の父は愛する息子(オッテル)の仇を討つ事より黄金を選んだ。

それは家族を愛していたファヴニールにとって裏切り以外の何ものでもなかった。

そして父が賠償となる黄金の量を定める為に。

カワウソに変じたままの(オッテル)の亡骸にナイフを突き立て、その皮を剥いだ時。

彼の胸の内に宿った父への怒りは憎しみに変わった。

 

 

 

 

 

 

 

神々は賠償の黄金をフレイズマルへと渡し、彼らの家から早々に立ち去った。

次男の命と引き換えに得た黄金を前に喜びを顕にする父親。

彼はこの時、既に黄金と共に渡された呪いの腕輪の力により強欲の化身と化していた。

それを知らないファヴニールは冷めた眼で父親だった男を見つめ。

レギンはオッテルの死を忘れたかの様な父親の変貌ぶりに戸惑う。

 

 

「兄さん。父さんは一体どうしたんだ?」

 

「さあな。それよりあんた、その黄金はどうするんだ?もちろんオッテルの墓を建てるのに使うんだろ?」

 

「は?何を言っとるんだ?この黄金はすべてワシの物だ。そんなもったいない事に使う訳がないだろう?」

 

 

あまりにも非道なフレイズマルの台詞にファヴニールは激高し、レギンは絶句した。

 

 

「もったいないだと!?

その黄金が誰のおかげで今ここに有ると思ってるんだ!オッテルの犠牲で得たものだぞ!!せめてあいつの為に使ってやるべきだ!!」

 

「そうだよ、父さん!兄さんの言う通りだ!

これじゃあオッテル兄さんが可哀想じゃないか!!」

 

「黙れ!黙れ!この黄金はワシの物だ!金貨一枚、誰にも渡しはせん!!」

 

 

口論は一日中続いても終わる事はなく。日が落ち、疲れ果てた3人は一時休息を挟む事にした。

この頃にはファヴニールは僅かに残っていた父親への情も失せ。

レギンも正気を失ったとしか思えない父親の言動に危機感を抱く様になっていた。

 

 

「もう父さんは父さんじゃ無くなってしまった。

オッテル兄さんも死んでしまった。これからどうすればいいんだ?」

 

 

頭を抱え苦悩するレギンの姿にファヴニールは唯一の家族となった弟の為、決意する。

 

 

「レギン・・あの男を殺そう。」

 

「兄さん!?」

 

「アイツはもうダメだ。黄金に心を奪われておかしくなってしまった。このままだと黄金を守る為に俺達を殺そうとするかもしれない。なら、その前に俺達の手でアイツを殺し、オッテルの為にあの黄金を使ってやろう。」

 

「・・っ!」

 

 

レギンは悩みに悩み。

空が白み始めた頃、首を縦に振ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フレイズマルは初めて味わう類の恍惚感に浸っていた。黄金を見、触れているだけで得も知れぬ充実感に心が満たされる。それが呪いによる。まやかしの幸せだとは気づかず。

ズブズブと底なし沼に沈む様に逃れられなくなっていく。現に、黄金を盗まれるかもしれないと考えただけで。

彼の全身は計り知れない恐怖と喪失感に襲われた。

 

 

これはワシの物だ。ワシの物だ。

渡してたまるものか。

奪われてたまるものか。

盗人共め。

次にまたワシの宝を寄越せと言ったならば。

その時はーー

 

 

彼の中で、いつの間にか残された2人息子は盗人となっていた。狂人の如く黄金の傍らでブツブツと独り言を繰り返すフレイズマル。

そんな父親に恐る恐るレギンは声をかける。

 

 

「父さん。見てもらいたい物があるんだ。」

 

「・・・何だ?ここに持って来られんのか?」

 

「うん。外にあるんだ。」

 

「ファヴニールはどうした?」

 

「外で父さんを待ってるよ?ほら。」

 

 

フレイズマルは窓からファヴニールが間違いなく外にいる事を確かめ。

念の為にレギンに自分より先に外に出るよう告げた。それが黄金を自分に盗られない為だとわかったレギンは哀しげに顔を曇らせたが。

黙って父親の言うことをきき、扉を開けて外に出た。

フレイズマルもその後に続いて扉を潜り。

 

 

「ーー父さん、ごめん。」

 

「・・オッテルにちゃんと謝れよ。」

 

 

待ち構えまていたファヴニールの剣に斬られ。

父親(フレイズマル)息子(ファヴニール)に殺されて死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父親を殺めた後。

兄弟(オッテル)の為に黄金を使う筈だった2人は父親と同じく腕輪の呪いに囚われてしまう。

それまでが嘘のように黄金を巡っていがみ合い、己の物にしようと邪魔な互いの存在を罵倒する。

 

最後には呪いにより邪竜へと転じたファヴニールが、黄金をすべて奪いどこかへと飛び去ってしまった。

残されたレギンは奪われた黄金を必ず己の物にする事を誓い、我が家を後にする。

 

 

ーーー月日は流れ。

鍛冶の腕を活かし、とある王に仕えていたレギン。彼はその賢さから王の子の養育係に任命される。レギンはその王子をそそのかしファヴニールを殺させ、黄金を奪う計画を立てた。

 

彼はレギンの思惑通り、苦難の末に邪竜ファヴニールを倒し竜殺しとなる。

だが、王子を騙し討ちにしようとしたレギンは返り討ちにされ死んだ。

 

その王子の名はジークフリート。

邪竜ファヴニールを倒し。

養父レギンを殺めた男。

 

 

邪竜を生み出した者(フレイズマル)邪竜を殺した者(ジークフリート)

 

 

会う筈のない2人は因果に導かれ。

フランスの地にて出会ったのだった。

 

 

 

………………………………………………………………………………………

 

※な、何とかいつもの時間に投稿出来ました!

間に合って良かったです。

ファヴニールの口調が公式と違っていたらすみません!!

 

 

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