第三者視点
召喚された際に抑止力から得た知識でフレイズマルは己の死後に起こった事柄を全て知った。
それは欲と愛憎に塗れた死の連鎖であった。
その悲劇の連鎖を引き起こした己の強欲の罪を知り。
彼は生前の己の行いを酷く悔いた。
そして呪いの腕輪の存在知った事で。
彼は己が息子に救われていた事に気づく。
あのままファヴニールに殺されていなければ。
自身が2人の息子を殺し、邪竜となり果てていただろう。
あの、満たされていながらも。
いつか来る黄金を奪われる日に怯え。
苦痛に苛まれ続ける日々を長い時の間過ごす事になっていただろう。
ファヴニール自身にその意思は無かったとしても。
フレイズマルは彼に殺される事で呪いから解き放たれたのだ。
しかし、その代わりにファヴニールがその過酷な運命を背負う事となった。
心を侵され。
人々に忌避され。
死してようやく得た筈の安息の時は召喚という形で破られ。
ワイバーンを生み出し、今もなおこの地で罪を重ねている。
「だからこそ、全ての原因となったワシがあやつを殺めなければならない。この地にて再び始まってしまったあやつの苦しみを、ワシの手で終わらせてやりたいのだ。」
それが己が息子に出来る唯一の罪滅ぼしなのだと、コンラーーの姿に変身したフレイズマルは心の内を明かした。
(変身した際ひと悶着合ったのだが。ここでは割愛する。)
その言葉には息子を想う父親の愛情が確かに滲んでいた。
「生前に身内の問題に巻き込んでしまったお主には悪いと思っている。だが、どうかあやつを倒すのに手を貸してはくれんだろうか?」
頭を下げるフレイズマルにジークフリートは僅かに返答を躊躇う。
ファヴニールを倒す事には彼とて異論はない。
けれど己が生前に目前の男の息子を2人も死に追いやった事を、彼は後ろ暗く思っていた。
「俺はあなたの息子のファヴニールと養父レギンを殺めた。あなたにとって俺は息子の仇といえる存在のはずだ。そんな俺が手を貸してもいいのか?」
「言ったはずだ。ワシは死して呪いから解放されたと。お主はワシの息子達を殺したが、同時に呪いから解き放ってくれた。恨んでなどおらんよ。」
「ーーーそう、なのか。」
フレイズマルの台詞に、ジークフリートは自身の心が僅かに軽くなるのを感じた。
例え利用され、命を奪われそうになったと云えど。
彼は己を育ててくれた
だが、それが養父の心を救う事に繋がっていたのだと知り。彼はその事実に少しだけ救われたような心地がした。
「わかった。ならば、俺は進んであなたの力になろう。呪われた身ですまないが。この地の人々がこれ以上犠牲にならないよう。そしてあなたの息子がこれ以上罪を重ね苦しむ事のないよう。俺は出来うる限りの力を尽くそう。」
「すまんな。・・礼を言う。」
ジークフリートの答えにフレイズマルは感謝を述べる。
こうして2人はファヴニールを
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ビックリした!
いきなりマルちゃんが俺そっくりに変身するんだもんな。
聞いたら、マルちゃんは動物だけじゃなく血を飲んだ生き物になら何でも姿を変えられるらしい。
(だからあの時噛みついたのか。今更だけど納得。)
マスターは初めのうちはマルちゃんが嘘ついたことを怒ってたけど。魔術に携わる者なら自分の術を隠すのは当然って感じの事を言われて言葉を詰まらせてた。
(あと、俺の姿だと本気で怒るに怒れないって悔しがってた。何でだろう?)
ジークフリートと話す為に俺に変身したマルちゃん。
マルちゃんは自分の息子を殺したいのだと言う。
その理由は自分の代わりに邪竜となった
俺の姿になったマルちゃんの紅い瞳に宿るのは贖罪の心と息子への想い。
《お前は何も悪くねぇ。
悪いのは・・・全部俺だ。》
《え?》
その瞳を見て。
俺は何故か、あの時アインツベルン城で俺を見下ろしていた父さんと同じ色の瞳だと思った。
でも、父さんが俺にそんな贖罪的な気持ちを抱く理由はないので気のせいだと思い直し。
どこか晴れやかな表情になったジークフリートに眼を移し、次に前を向いた。
すると前方に薄っすら街らしきものが見えた。
遠目だけどワイバーンに襲われている様子もないし、安全そうだ。
食事と睡眠が必要な俺とマスターの為に。
マルタさんの提案で一度この街に立ち寄って食料や寝床を確保する事になった。
「でも俺達、お金持ってないよ?」
「あ、そうよね。物々交換でいけるかしら?」
「物は試しと言いますし。交渉してみましょう。」
「っていうか。見た目はアレだけど
「亀の突然変異じゃダメ?」
「すまない。さすがにそれで誤魔化すのは厳しいと思う。」
《ちょっ!亀っ!?
いやいや俺、竜っすよ!これでもグレてた頃は悪竜とか言われて恐れられてたんすからね!姐さんの鉄拳制裁で改心しましたけど。》
「タラスク。シャラップ。」
《ーーッ!!!》←頭部に鉄拳制裁。
「あーー。そうだな。
ワシが術で牛にでも変身させるか?」
「「「じゃあ、それで。(お願いします。)」」」
ーーーというやり取りがあったんだけど。
まさかの無人だった。
人っ子一人いなかった!
どうやら街の人達は近隣の街がワイバーンに襲われたのを知って避難したもよう。
立ち寄ったのは危険を知らせる意味もあったから、避難してくれてたのは良かったけど。
残念ながら物資はゲット出来なかった。
仕方がないので、街外れの一軒を一晩だけ貸してもらい。この街で夜を明かす事になった。
(タラスクは家の扉を通れなかったので外で待機になった。)
此処に来るまでに捕まえておいた物々交換用の野兎を解体し。
井戸から水を汲んできて湯を沸かす。
庭先に転がってた芋を少し分けてもらって。
調理場を借りてマルタさんが肉と芋の煮込み料理を作ってくれた。
皆は食事は必要ないとのことで。
申し訳なく思いつつ、マスターと2人で美味しく料理を頂いた。
マルタさん本人は謙遜してたけど、凄く美味しかったからあっという間に完食してしまった。
(なんか温かいというか。懐かしい味がした。■■ラの時、施設の兄妹達と食べた夕飯を思い出した。)
ご馳走様をして。
今後のことを話し合った。
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第三者視点
その頃、オルレアン城にて。
フランスを滅ぼそうとする竜の魔女はある異変を察知し、小さく舌打ちする。
ファヴニールの天敵ジークフリートを簡単に虫の息に出来た事で最後の詰めが甘くなったと。
己の手でとどめを刺さなかった事を悔やみながら彼女は生前からの臣下たる男を呼んだ。
男ーージル・ド・レェは己の聖処女たる魔女ーージャンヌの話に耳を疑う。
「あの
「ええ。どうやら
「貴女はフランスに罰を下すのに忙しい。この件は私に任せてください。」
「そう?じゃあ任せるわ。弱いけどマルタとは別に2つの反応も感じられるから。念の為にランサーとアサシンを連れて行きなさい。」
「オオオオオッ!!!!ジャンヌ!我が聖処女!
なんてお優しい!!そんな貴方の復讐の邪魔をする匹夫共は必ず!私が!この手で地獄に堕としてみせましょう!!!!」
「」←ドン引き
テンションの上がったジル・ド・レェの奇行と人外並の形相に思わず半歩引いて顔を引き攣らせる
それに気づかず、彼は時が惜しいとばかりに直ぐ様
ワイバーンに跳び乗り暗い夜空へと飛び立った。
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※遅れてすみません!
次回、怪物組に襲撃されるコンラくん達。
今のメンバーだと苦戦必須なのですが・・。
どうしよう←