コンラくんのFGO   作:彼に幸あれ

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怪物達の夜

 

 

襲ってくる海魔を迎撃しながら退き、俺達は無人の街に戦いの場を移していた。

海魔の大群を相手にするには開けた場所より、コチラで市街戦に持ち込んだ方が有利だと考えたからだ。

 

 

「見たところ海魔を召喚する術式はあの本が展開しているようね。あの本を壊すか、術者の手から離せれば召喚を止められるかも。」

 

「問題は術者にどう近づくかだな。」

 

 

家の影に身を潜め、マスターの魔術で敵の目を欺きながら俺達は顔を突き合わす。

街には海魔達を引き連れ、獲物()を探して徘徊するジル・ド・レェの声が不気味に響いていた。

 

 

「フフフハハハハハハッ!!

どこですか坊やぁあっ!!?出てきなさぃい!!」

 

 

嫌だよ!(即答)

酷い目に合わされるってわかってて出て行くわけないじゃん!

俺は心の中で叫びつつ全力で自分の気配が悟られないように努める。

 

まさかリアル隠れ鬼をする日が来るとは思わなかった!

鬼は変態とタコヒトデお化け。

捕まったら(マスターいわく)とても口では言えない様な酷い目に合わされるらしい。

 

うん。

絶対に出て行かない。←(震え声)

 

 

俺はタラスクのたてがみをモシャモフさせてもらったり。

マルちゃんの毛並みをナデナデして(変態)への恐怖を紛らわす。

2人(匹?)とも同情してくれたのか、何も言わずに大人しく触らせてくれた。

 

 

「オルガマリー。ひとつ案があるのですが。」

 

「あっ。また聖女モードに戻ったのね。」

 

「ぐっ・・。ゴ、ゴホン!

なんのことでしょうか?」

 

《姐さん。あの姿を見られちまったんすから、

しらを切るのはもう無理だと思うんすけど。》

 

「そんなことないわ!

まだいける!まだい・・けると私は信じています。」

 

 

よくわからないけど、マルタさんにはマルタさんの何かこだわりがあるらしい。

バツが悪そうな顔をしながらも、聖女モードに戻った彼女はある提案をマスターに告げた。

その内容を聞いた俺達はーーー

 

 

 

………………………………………………………………………………

 

 

 

第三者視点

 

 

 

「あぁ。こんなに時間がかかってしまうとは。

申し訳ありませんジャンヌ!ですが、あと少し。もう少しで・・!」

 

 

ジル・ド・レェは隠れた獲物と排除すべき匹夫達を探して、宵闇に包まれた街を海魔と共に練り歩く。獲物を炙り出す仕掛けを済ませ。

《その時》が来るのを己の信じる聖処女を想い待っていた。

しかし、そんな彼の前に予期せぬ人物が現れる。

 

 

「・・・・。」

 

「おや?誰ですか貴方は?」

 

 

ジル・ド・レェと海魔の行く手を阻む様に佇むのは壮年の1人の男。

黒い髪に金の瞳。

どこかやつれた印象を受けるが、よく見れば整った顔立ちをしていた。

男は問いには答えず。

逆に自ら聖なる怪物(ジル・ド・レェ)へと話しかける。

 

 

「お主、神が嫌いなんだろう?ワシもだ。」

 

「ほう!それはそれは・・では、貴方は私の同志という訳ですね!」

 

 

男の短い言葉から神への嫌悪を感じ取り、怪物(ジル・ド・レェ)は歓喜する。

 

 

「素晴らしい!!

最高の供物に出会えた夜に、こうして神を憎む同志とも出会えるとは!まさに今夜は涜神の夜!!

同志よ!ともに獲物を狩り!蹂躙し!

応えぬ神を呪い乏しましょう!!」

 

 

悦び、興奮するままに男を勧誘するジル・ド・レェだったが。

男はそんな彼を憐れみのこもった眼差しで見つめていた。

 

 

「そうか。お主・・神を心の底から信じておったのだな。」

 

「ーーー。」

 

「だから神が応えぬ事に失望し。裏切られたと怒り。狂うほどに憎悪した。深い信仰心があったからこそ、お主は転じて深い狂気に染まってしまったのだな。」

 

「ーーー貴方は、何が言いたいのですか?」

 

「いや・・ただ、お主のおかげでようやく気づけただけだ。」

 

 

天を仰ぎ、男は呟く。

その瞳には鋭い牙のような三日月が映り。

耳には月に似た鋭い牙を持つ怪物達の羽ばたきの音が聞こえていた。

ジル・ド・レェも迫るその音に気づき、訝しげに空を見上げる。

その時には既に星月の光は空を覆う怪物達に遮られ、漆黒の闇が広がるばかりだった。

 

 

ーーーギャアアアアアアッ!!!

 

 

「すまん、ファヴニール。お主はこんなにも激しい憎しみを抱くほどに。生前、ワシ()の事を信じ慕ってくれていたのだな。」

 

 

その信頼を裏切った己の罪を目に見える形で示され、

男ーー人の姿に戻ったフレイズマルは哀しげに嘲笑う。

そんな彼を殺そうと。

ファヴニールの竜の因子に刻まれた憎しみの感情に突き動かされるワイバーン達は。

臭いを頼りにこの無人の街の上空に集結した。

天を舞うワイバーンの大群に、海魔達も威嚇の鳴き声を上げる。

ジル・ド・レェはいつもの様に(聖杯のサポートで得た)魔術によってワイバーンを操り、場を収めようとするがそれは叶わなかった。

 

 

「馬鹿な!私の魔術をもってしても操れないとは!?いったい何をしたのですか!?」

 

 

まったく彼の魔術による精神操作を受け付けなくなったワイバーン達に驚愕し。

原因であろうフレイズマルに詰め寄るジル・ド・レェ。

 

 

「ワシは何もしておらんよ。」

 

 

しかし、フレイズマルの言う通り彼は何もしていなかった。

因子という本能に近い部分に刻まれた憎悪により、ワイバーン達は衝動のままフレイズマルを襲いに来たに過ぎないからだ。

いくら強力な魔術を使おうとも、幻想種の頂点たる竜種の本能を塗り変える事は出来なかったのだ。

 

 

ーーさて・・さっさと済ませるか。

 

 

フレイズマルは自ら近づいてきたジル・ド・レェの体に気づかれぬように触れ、己の血を付着させた。

そしてその血液を媒体とし自身の能力を行使する。

 

 

「怪物に怪物を退治させようなんて、とんでもない事を思いつく聖女もいたものだ。

お主もそう思わんか?

まぁ、ファヴニール(息子)の一件があるから同情はせんがな。

それにーーーお主にオッテル(息子)に似たあやつ(コンラ)を殺されるのは目覚めが悪い。」

 

「なーーーッ!!?」

 

 

次の瞬間、ジル・ド・レェの姿はフレイズマルとなり。

フレイズマルはカワウソの姿に変じていた。

 

 

《せいぜい頑張れよ!同志!》

 

 

聞こえぬ声で、フレイズマルは皮肉を込めて男を励ますと。

素早い動きで石畳を駆け、路地裏へと消えていった。

 

残されたのはフレイズマルの姿に容姿を変化させられ、彼の血という臭いを付けられたジル・ド・レェと海魔のみ。

ワイバーン達はそんな彼をフレイズマルと誤認し、本能のままに殺そうと殺到する。

 

 

「おのれっ!!おのれぇえええっ!!!!」

 

 

はめられた事を悟り、ジル・ド・レェは湧き上がる憤怒を吼える。

だが、もう襲い来るワイバーンを止める手立ては彼には無かった。

彼は敵の思惑通りだと理解しつつも海魔達に命じ、ワイバーンを迎え撃つ。

 

 

ーーーこの夜、フランスの小さな街でワイバーンVS海魔という世にも稀な怪物大戦が勃発した。

 

 

……………………………………………………………………………………

 

※先週は投稿できず、すみませんでした!

一度書いた文章が納得いかずに書き直していました。そして書き直したら何故か青髭の旦那が大変な事になった。

今回は2話投稿します!

短い、ですが(汗)

 

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