コンラくんのFGO   作:彼に幸あれ

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甘露なる死

 

 

第三者視点

 

 

白い雲がまばらに浮かぶ青空の下。

広がる水平線のどこにも島影など見えない大海原に。

1艘の小舟が浮かんでいる。

乗っている人影は2人。

 

金髪紅眼の少年(コンラ)黒髪黒眼の青年(■■ラ)

 

眼を開き。

驚愕の表情でこちらを凝視する(転生し冬木で暮らしていた時の容姿の)■■ラに。

コンラは目を細め、声をかける。

 

 

「・・おはよう。」

 

「え・・(コンラ)?」

 

「そうだよ、オレ(■■ラ)

はじめまして・・かな。」

 

 

コンラは己の内側(精神世界)へと呼び込んだ。

自身の半身ともいえる転生後の人格ーー■■ラへと笑い掛けた。

 

 

「いきなり呼び出してごめん。

でも、これ以外にオレ達が会える方法がなかったから。」

 

 

乱暴な形で呼んだ事を謝罪し。

此処が自分達の心の中なのだと彼は告げる。

 

 

「ここが。俺のーー俺達の心の中。」

 

 

■■ラはキョロキョロと物珍しげに周りを見回し。ふと、首を傾げた。

予期せぬ出来事の連続で、戸惑いながらも。

なんとか平静を取り戻した彼は浮かんだ疑問を尋ねる。

 

 

「呼んだって事は。俺に用があったんだよね?」

 

「うん。それはね・・・

 

オレと一緒に死んで(消滅して)欲しいんだ。」

 

「ーーえ?」

 

 

半身の口から発せられた耳を疑う言葉に。

静まった筈の■■ラの心は、再び激しく揺さぶられる事となった。

 

 

…………………………………………………………………………………

 

 

 

ルー神が疑似サーヴァントの器に幻霊と化した(コンラ)の魂を入れた際。

 

予期せぬ事に。

コンラの魂は生前の記憶を有する《コンラ》と。

転生後の記憶を有する《■■ラ》の2つの人格に分かれた。

しかし、《コンラ》の人格はルー神が記憶の封印を施した為。目覚めることなくその封印の内側で眠りにつき。

《■■ラ》が(肉体)の主人格となった。

 

本来であれば別人格となった《コンラ》はそのまま二度と目覚めず。

死に際に望んだ様に。

彼は深い眠りについたまま、優しい忘却に抱かれて要られたかもしれなかった。

けれど、運命はそれを許さない。

 

 

 

《いやーーいや、いや、助けて。誰か助けて!

わた、わたし、こんなところで死にたくない!

だってまだ褒められてない!誰も、私を認めてくれていないじゃない!

どうして!?どうしてこんな事ばっかりなの!?誰もわたしを評価してくれなかった!

みんな私を嫌っていた!やだ、やめて、いやいやいやいやいやいやいや!だってまだ何もしていない!生まれてからずっと、ただの一度も!誰にも認めてもらえなかったのにーー!》

 

 

【どうしてだろう?

母さんも、師匠も。

オレを通してクー・フーリンを見ている。

どんなに頑張っても、オレを認めてはくれない。

一度でいいから、オレ(コンラ)を見てほしかった。

認めてほしかった。褒めてほしかった。

ーーー頭を、撫でてほしかった。】

 

 

 

外部からの共鳴による干渉が封印に小さなヒビを入れ。《コンラ》の眠りを妨げ。

忘れようとしていた、彼の痛みを伴う記憶を引きずり出す。

 

 

 

《所長を助けてくるね。》

 

《ーーーえ?》

 

 

 

カルデアスに分解されかけた影響により。

封印のヒビが更に大きく広がり。

時折、《■■ラ》の感情と記憶の一部が《コンラ》の元へと流れ込んでくる様になった。

これによって、彼は自身と半身の現状を知る。

 

 

 

《苦しい。淋しい。哀しい。怖い。

胸を何かに抉られているみたいに。

心が、心臓が痛くてたまらない。》

 

 

 

そして、新たに流れ込んできた《■■ラ》の感情は。

心を開いていた友が父であり。

その父に殺されていたという真実と。

信頼を寄せていた人々にその真実を隠されていた事実に。苦痛を感じ、酷い孤独感に襲われ。

悲鳴を上げているモノだった。

《コンラ》はその半身の想いに。嗚咽に。

自身の最後を重ねてしまう。

 

《■■ラ》が。己の半身が。

『あの時』の自身と同じ苦しみに苛まれている。

 

同じ苦しみを、痛みを知る《コンラ》は。

《■■ラ》を助けたいと強い想いを抱いた。

『あの時』誰も自分を助けてはくれなかった。

だからこそ、半身である彼は自分が助けなければと。《コンラ》は切実に想ったのだ。

 

彼は《■■ラ》を救う為に。

封印の内側で思考し、ある結論に至る。

《■■ラ》を救う方法。

それは自身が唯一救われた時の再現。

 

 

【そうだ。またーー死ねばいいんだ。】

 

 

《コンラ》はそんな怖ろしい結論に至る。

けれど、彼は『それ』しか知らなかった。

生前の《コンラ》は『死』でもってしか救われた事がなかったのだから。

彼がこの解決法しか思い付かなかったのは、ある意味仕方のない事だった。

 

 

《こんな。こんなに苦しい想いをするぐらいなら

ーーー何も。

知らないままでいたかった・・》

 

【ーーーそう、だね。

全部、忘れてしまおう。】

 

 

《コンラ》は《■■ラ》の言葉に頷き。

半身たる彼を喪う事を哀しく思いながらも。

優しく応えた。

 

 

【《■■ラ》。忘れて。

死んで(消滅して)。楽になって。】

 

 

《コンラ》は《■■ラ》を救う(殺す)為。

ヒビ割れていた封印を内側から無理やり破壊し。

続いて《■■ラ》を精神世界へと呼ぶ。

そして彼は目前に現れた苦しげな半身を眼にし。

彼にとって重大なある事に気づく。

 

 

【でもーーー独りで死ぬのは淋しいよね。

オレが、そうだったから。

《■■ラ》にあの淋しさを味合わせるのはイヤだな。なら・・・】

 

 

独りは淋しい。独りは哀しい。

独りは苦しい。独りは怖い。

《コンラ》はその『孤独』を嫌という程に知っていた。それ故に・・。

 

 

 

「大丈夫だよ《■■ラ》。

 

オレが死んだ時は独りで淋しかったけど。

今度はオレが一緒だから。

2人なら淋しくない。

だから・・一緒に死のう(消滅しよう)

そうすればもう、痛くないし苦しくない。」

 

 

 

《コンラ》は《■■ラ》のことを想い。

自分も共に消える事を決意する。

それが最悪の結果ーー主人格と別人格の消滅による精神崩壊ーーに繋がるとは(つゆ)程も知らずに。

 

彼は《■■ラ》へと。

慈愛に満ちた微笑みを浮かべながら。

(救い)へと誘うその小さな手を差し出した。

 

 

………………………………………………………………………………………

 

 

 

「ーーー。」

 

 

《■■ラ》は混乱し、座り込んだ姿勢のままで。

そんな半身(コンラ)の姿を言葉もなく見つめる。

 

普段の彼であったなら。

迷う事なくその手を拒否していただろう。

けれど、今の《■■ラ》の精神()は弱っていた。

 

 

親友だと思っていた者に。

父だと慕っていた者に。

マスターだと。

仲間だと信頼していた者達に。

真実を偽られ。黙され。

 

冷静な部分では何か理由があったのだろうーーなどと考えつつも。

彼の心は裏切りにも似た衝撃を受け、傷を負った。

その傷が発する激痛を。

信を置く支えを失った孤独感と苦しみを。

先程まで味わい。のたうち。知った《■■ラ》には。

 

目の前に差し伸べられた《コンラ》の手が酷く得難く。眩しいものに映ったのだ。

 

 

優しい眼差しに。

慈愛に満ちた笑み。

己の身を案じる温もりの篭った言葉。

 

甘露のようなその全てに。

《■■ラ》の衰弱した心は惹かれ。

なりふり構わず縋りつきたくなった。

 

甘い甘い。

無知なる善意の毒が。

彼の心を蝕んでいく。

 

 

「・・・死ねば。

もう、さっきみたいに痛くないし。苦しくない?」

 

「うん。楽になれるよ。」

 

 

その肯定の言葉に。

《■■ラ》は誘われる様に手をゆるゆると持ち上げ、伸ばす。

もうあの苦痛と孤独を感じなくて済むのならばと。

《コンラ》の甘言を受け入れ。

差し出された救い()へと手を重ねようとしーー。

 

 

刹那、彼の脳裏を掠めたのは紅と山吹の色の瞳だった。

 

 

 

………………………………………………………………………………………

 

 

※危なかった!

一歩間違えたら自分と心中ルートでした。

精神が死んで。身体だけ生きてるとか。

ヤリニキまで危うくハートブレイクさせるとこでした。マルちゃんの失言の罪は重い←

 

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