俺と《
交差し、融けて、混ざり合う。
【コンラ】
幼い俺を射抜く。
母の冷徹な眼差しと言葉。
眼下に広がる魔獣の群れに俺を突き落とした。
師の無慈悲な手。
殺意を纏った父の朱槍が。
激痛を伴って心臓を穿いた時の悲哀と諦観。
氷水のような痛みを含んだ冷たい記憶が流れ込み。
それに翻弄され、俺の心は凍えていく。
けれど、すぐに別の記憶がその冷えた流れを断つように蘇り。
冷え切った俺の心を温もりで満たす。
《アキラ》
隣に座る
肩を並べて、海へと糸を垂らし。
何気ない話で盛り上がり。
時には冗談を言い。
ふと、寂しげな様子を見せながらも。
《コンラ》
俺の意思を尊重し。
俺を助ける為に自らを傷つけ。
名を呼び、励まし。
傍にいると、護ると告げ。
再会の約束を交わしてくれた。
時おり昏い色を混じらせながらも。
父は慈愛に満ちた瞳で俺を見、笑う。
《ありがとう、コンラ》
カルデアスの中で。
激痛を堪えながらマスターは穏やかに微笑い。
俺を包むように抱き締める。
イリヤちゃんがバーサーカーの隣で。
涙を瞳の端に浮かべながらも。
嬉しそうに笑う。
《コンラくん》
『マスター』ではなく名前で呼んで欲しいと。
戦いのさなか、何度も盾で護ってくれた。
俺を助ける為に未知の力を持つ
俺達を助けようと尽力してくれた、Dr.ロマン。
モフモフという癒やしをくれたフォウくん←
マルちゃん、マルタさん、タラスク、ジークフリート。
オレの空虚だった心が温かな記憶で溢れ。
深く刻まれた傷が癒えていく。
ーーもう、十分だよ (オレが告げる。)
ーーもう、大丈夫だね (俺は頷く。)
帰ろう (皆の元へ)
戻ろう (マスターの元へ)
会いに行こう (父さんの元へ)
そして《俺》と《オレ》は混ざり合い。
完全にひとつになり。
《
ーーーという感じで新生《コンラ》として無事に精神世界から帰って来たわけだけど。
ぶっちゃけ人格統合する前とあんまり変わってなかった←(台無し感)
強いて言うなら封印されてた記憶が戻って。
靄がかってた頭の片隅がクリアになったぐらい。
(そう云えば記憶の封印とか初耳だぞ爺ちゃん。
《オレ》を輪廻の輪に送り出してくれた時も、名乗らなかったから《名も知らぬ親切な神》だと思ってたし。前々から気づいてたけど。
爺ちゃん、
どうやら主人格の《俺》に、別人格の《オレ》の記憶がインストールされたみたいだ。
まぁ、確かに7歳のオレに約20年分の俺の記憶を入れるより。約20歳の俺に7年分の記憶を入れた方が精神面の負担は少ないもんな。
きっと無意識に自己防衛が働いてこの方法を取ったんだろう。
(でも、ちゃんと《
・・うん。
頭もスッキリしたし。
体も、もうどこも痛くない。
問題なさそうだ。
眼を閉じてるから詳しくは分からないけど。
何か周りが騒がしい気もするし。
いい加減起きようっ!
俺は深く沈んでいた思考を切り上げ。
意気込みと共に
「
よくもバラしてくれたわね!!
このクズッ!KYっ!ダメ親父っ!還れっ!!」
「悪かったっ!ワシが悪かった!
反省してる!謝る!
だから人差し指をこっちに向けるなっ!
ワシを撃ち殺そうとするのをやめろ!!」
意気込んで眼を開けたら。
マスターが《ガンド》で(ジークフリートに変じた)マルちゃんを撃ち殺そうとしているショッキングな光景が飛び込んできた。
ご、ご乱心だーっ!!(混乱)
「マスターッ!ストップ!ストープッ!!」
俺は慌てて横たえられていたベッドから飛び降り。止めようとマスターとマルちゃんの間に割って入る。
(そう云えばいつの間にか屋内にいた。
きっと2人が運んでくれたんだ。)
「っ!コンラッ!!」
「おおっ!気がついたかっ!!
(助かったっ!)←心の声」
マスターは俺の姿を視界に捉えると指先に凝縮していた魔力を消し。
すぐさま俺をその両腕で引き寄せる。
「ああっ!よかったっ!!
急に苦しみ出すし。いくら呼びかけても反応がないし。もうこのまま、アナタが眼を覚まさなかったら!死んじゃったらどうしようって!私、私・・っ!!」
ギュウギュウと俺を強く抱き締めながら。
涙声で言葉を紡ぐマスター。
(ん?頭に何か柔らかいものが当たっているような・・?)
頭をずらして見上げた顔は、今にも泣き出しそうで。
俺がどれだけ彼女に心配をかけてしまったのか。
すぐに想像がついた。
「ごめんね、マスター。
でも、もう大丈夫だから。」
取り乱す程に俺の身を案じてくれたマスターの姿に。後ろめたさを抱きつつも。
此処にいて良いのだと。必要なのだと。
言外に示されている様な気がして。
俺は自分の胸が熱くなり。
心が喜びで満たされるのを感じた。
同時に、そのマスターを一度でも見捨て。
楽になる為に『死』を選びかけた自分を改めて叱咤する。
俺は前にマスターに『もっと微笑って欲しい』と想った。でも、今はそれだけじゃなく『泣いて欲しくない』とも想う。
前以上に、強く
それには体だけじゃなくて。
優しいマスターの心も護れなくちゃいけない。
「マスター、泣かないで。
俺、マスターの笑った顔が好きなんだ。」
「え?す、好き・・?」
「うん。」
「っ!!(コンラに好きって言われた!好きって言われた!好きって言われた!好きっ(ry)」
その為には強くならないと。
今の俺は弱すぎる。
精神も肉体も鍛えて、もっともっと強くなって。
約束だけじゃなく。マスター自身も護るんだ。
だって、俺は
自分の成すべきことを再度、胸に刻み。
俺はマスターの不安を拭う為に。
その背に手を回し、抱きしめ返す。
(触れ合う体から聞こえる乱れた心音が、未だにマスターが不安を感じている事を伝えてきたからだ。)
「マスター。俺は生きて此処にいるから安心して。マスターが望む限り、傍にいて。護るから。」
「っ!!?(コンラが抱き締めてくれた。抱き締めてくれた。抱き締めてくれ(ry)」
あ、あれ?
何故か心音が更に激しくなったぞ。
まさか余計に不安にさせちゃったのか?
体温も高くなった気がするし。
どうしよう!?
俺が予想外の事態に困惑していると。
マルちゃんが驚いた表情で俺の首根っこ掴み、マスターから引き剥がした。
俺と離れたマスターはフラフラとおぼつかない足取りでベッドまで歩き。
倒れこむようにシーツに顔を埋めた。
(んん?耳が赤いような・・?)
あっ!そうか眠かったのか!
夜中だし、眠いと体温が上がるらしいし。
でも、眠れるって事はもう不安は感じてないんだな。
ふぅ・・良かった。
このままゆっくり寝て休んでもらおう。
「それでマルちゃん。急にどうしたの?」
「いやいや、それはこっちのセリフだから。
目覚めて早々にナニやっておるんだ、お主。
女を口説くにはちと早熟過ぎるだろ。」
「くど・・え?
俺はただ、マスターの不安を取り除こうとしてただけだよ?」
いきなり引き剥がされたから何事かと思ったら。
変な事をマルちゃんが言い出した。
不安な時は人肌が傍にあると落ち着くって聞いた事があったから、実行してみただけなんだけど。
もしかして間違ってたのかな?
「あながち間違いとは言えないが。
アレは、どう見ても・・。」
「?」
「ーーあぁ、なるほどの。
血は争えないと云うやつか。」
「???」
遠い目をしてブツブツ呟いていたと思ったら。
何やら俺を見てウンウンと頷くマルちゃん。
一体どうしたんだろうか?
マスターもベッドの上でゴロゴロ転がり出すし。
(すごい激しい。寝相悪かったんだ。)
俺はとても大切な事を思い出すまで。
2人の不思議な行動に首を捻るばかりだった。
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※諸事情により、いつもより早く投稿させて頂きました。気づけばUA6万突破っ!!
皆様、本当にありがとうございます!
色々あったのとショッキング映像のせいで早速ヤリニキの事をど忘れしたコンラくん。
無意識に所長を口説いてる場合じゃないぞっ!
久々のギャグ(?)パートで作者はノリが分からなくなりました。(頭抱え)