俺はこの世界に来る前に、神から《転生特典》なるものを二つ与えられた。
ひとつは武器《
なんか凄く強力な武器らしい。
必殺技的な感じで使えって言われた。
ふたつめは《
普通の人には認識できない、妖精や幽霊等を視ることが出来る魔眼を貰った。
相手次第だけど対話することも可能らしい。
あと呪いがどうたら言ってたような気がするんだけど記憶が抜けてて思い出せない。
記憶喪失、予想以上に深刻かも。
ちなみにこの特典を選んだのは俺ではなく神だ。
絶対役に立つからと勧めてくるので有り難く頂いた。
いま思うと、俺の転生先が危険な場所だってわかってたんだろうなぁ。
それはそうと、食料を探しに出た俺がいきなりこんな話しを始めたのには理由がある。
それはーーー
『アナタ、私のことが視えるの?』
目の前に白い少女の幽霊が現れたからだ。
少女の名前はイリヤスフィール。
聞くと、この街で行っていた聖杯戦争の参加者だったらしい。
他の参加者と戦っている中、彼女はサーヴァントであるバーサーカーと引き離され。
身を隠すためにこの学校に逃げ込んだのだという。
しかし、別の参加者に見つかり殺されてしまった。
直後、異変が起こり街は炎に包まれる。
それ以来、誰かが結界を張ったこの学校の敷地内から出る事が出来ず。
バーサーカーが迎えに来てくれるのをずっと独りで待っているそうだ。
「うぅ・・苦労したんだね。ぐすっ・・!」
『なんでアナタが泣くのよ。』
イリヤちゃんが困惑した表情で見てくる。
だって・・・死ぬだけでも苦しいのに、死んでからも自由になれないとか酷すぎだよ!
「そっか。アナタも英霊だから死んでるのよね。」
「うん。」
記憶ないから今世の俺がどうやって死んだのかは知らないけど。
前世はーーーー。
……………………………………………………………………………
星空の下、頭を抑え苦しむ友人。
その顔は何故か、黒く塗り潰されていて見えない。
「頼む!コイツだけは!
コイツだけは見逃してやってくれ!!」
《ーーーーーーー。》
「う、グッ!?ーーーやめろ!!
逃げろ!■■ラ!!」
「ーーーえ?」
胸に走る衝撃。
吹き出す血しぶき。
友人へ伸ばした俺の手は空を切る。
ーーーその親指のつけ根には、生まれつきの指輪の形をした痣。
「ーーーーう″、あ″アアアッ!!!?
■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!!」
耳を塞ぎたくなるほどの悲痛な声を上げる友人。
その手には俺の胸を穿いたーーー
……………………………………………………………………………
『ねぇ!ちょっと、大丈夫?』
「ーーーあっ。うん。」
『いきなりどうしたの?ボーとして。』
「あーー。ごめん、ちょっと考え事してた。」
つい前世の死に際の事を思い出してしまった。
ふと、胸に鈍い痛みを感じた気がして。
俺は慌てて手で触れて傷がないか確認する。
そこには子供にしては筋肉がついた薄い胸板があるだけで、特に怪我らしきものはなかった。
ーーー落ち着け俺、今はイリヤちゃんの事を優先するべきだ。
俺は逃げるように、前世の記憶を振り払う。
ーーーーっと。そうだっ!
いい事思いついたぞっ!!
「イリヤちゃん!
一緒にバーサーカーを探しに行こう!!」
「な、何よ。急にっ!?」
「会いたいんでしょ?
だったら待ってるだけじゃなくてこっちから探しに行かなくちゃっ!」
「話し聞いてた?この学校には結界が張られてて私は出られないの!」
「結界張ったのって魔術師なんだよね?なら、俺の友達も魔術師だからなんとかなるかもしれない!」
「え?・・というか、マスターじゃなくて友達なの?」
「うん!(英霊になって)はじめて出来た友達なんだ!」
「・・・そう。」
・・・ん?
イリヤちゃんが何故か哀れみのこもった眼差しで見てくるぞ。
俺、何かしたかな?
不思議に思っていると、イリヤちゃんにとりあえず仲間に会わせてほしいと言われた。
直接会ってから俺と一緒に行くか決めるとのこと。
「わかった!みんなは保健室にーーー」
『っ!伏せて!!』
「ーーーえ?」
次の瞬間、俺の視界を赤い炎が埋め尽くした。
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第三者視点
「あれは・・・サーヴァントか?」
その男はビルの屋上から校舎にいるサーヴァントと思わしき少年を見ていた。
男の体には黒い靄が纏わりついている。
少年は一人にも関わらず、誰かと話しているかのような不審な動きをしていた。
そしてその口がある名前を紡いだ時、男の鷹のような眼差しが更に鋭さを増した。
「ーーーイリヤ、だと?」
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「ーーーキミは、イリヤスフィールのことを知っているのか?」
「いま俺の後ろにいるけど?」
『アーチャー!?
こいつは危険よ、逃げてっ!!』
校舎の壁を爆発でぶち破り、侵入して来た男はアーチャーというらしい。
危ないなぁ。
一歩間違ったら大怪我してたよ。
何で普通に話しかけられないかな?
イリヤちゃんの反応からして敵みたいだし。
あっ、敵だからか。
「嘘はつかない方がいい。彼女は死んだはずだ。」
「知ってるよ。本人に聞いたし。」
「なに?」
「信じられないだろうけど、俺の後ろに幽霊になった彼女がいるんだ。」
俺の言葉に、アーチャーの顔が険しいものになる。
そうだよね。
普通は幽霊が視えますとか言われても信じられないよな。
けれど、俺と俺の背後を交互に見比べていたアーチャーは何かに思い至ったようだ。
微かに目を見開いた後、どこか納得したというような表情で嗤った。
「ーーーなるほど、キミは珍しい眼を持っているようだ。その眼は彼女の役に立つ。
一緒に来てもらおうか?」
『ダメよ!逃げて!』
俺の特典、一発で看破されちゃったよ。
そんなに有名なのこの魔眼。
というか、アーチャーのヤツ実力行使する気満々なんだけど。
イリヤちゃんも切羽詰まった顔で訴えてくるし。
心配してくれてるのか、良い子だなぁ。
バーサーカーと会わせてあげたいな。
「返事はどうした?」
おっと、返事を返さないと。
俺はーーー
「知らない人には付いて行くなって言われてるんで。遠慮します!!」
もちろん冗談だけど!
そんでもって特典の必殺技を全力で発動!
先制攻撃だー!!
・・・あ、何かガッツリHP的なものが持ってかれた。
ツライ!(切実)
「 《
宙から湧き出るように現れた輝く一本の槍が、五つの槍に分裂し光の速さでアーチャーへと殺到する。
「くっ!《
それをアーチャーは両手に召喚した白黒の双剣で防ぎつつ、校舎裏へと飛び出した。
「イリヤちゃんはここで隠れててっ!!」
俺は目の前に来た一本の光槍を掴み、その後を追いかけた。
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アーチャーは噛ませと化す。
申し訳ない。
《
これの本来の持ち主が誰かわかる方には、この時点で神が誰か想像がつくと思う。
そして前世で主人公を殺ったのは、ご想像のとおりです(遠い目)