第三者視点
戻った
彼らがいる
(本来なら必要ないのだが)ちゃっかり未来の携帯食料を分けて貰い。
予想以上に美味しかったカロ○ーメイトの味に機嫌良く先頭を進む《
彼女は道を塞ぐ邪魔な草木を、軽快に旗でバッサバッサと薙ぎ払っていく。
その様に『え?旗の使い方間違ってない?』と聞く己のマスターとなった少女に、笑顔でジャンヌは応えた。
「はい。旗とはこう云う使い方も出来る武器なのですよ。」
「へぇー。知らなかった!」
「」←たまに盾をブーメランの如く投げて攻撃する少女。
「」←杖を槍のように扱って戦う魔術師。
マスターと聖処女の会話にツッコミたくとも口を挟めないサーヴァント2騎。
普段のツッコミ担当ロマンも『マギ☆マリ』による精神回復の真っ最中なので頼りには出来そうもなかったーーー肝心な時に使えない男である←
武器の使用方法に思う所はあれど、ジャンヌのおかげで通りやすくなった獣道を進み。
彼らは順調に夕刻には
「初めてお会いした時から思っていたのですが。
ジャンヌさんはアーサー王に似ていますね。」
「私がアーサー王にですか?」
ワイバーンによる上空からの奇襲を警戒し。
森の出口付近で夜を明かす事を決めた彼らは、テントを張り。今は皆で焚き火を囲んでいた。
そんな最中、マシュの発した言葉に藤丸立香とキャスターはそれぞれ視線を。
(再びゲットした)携帯食料を片手にキョトンとするジャンヌへと向けるーーー本来必要な人物より彼女の方が消費しているような気がするのは気のせいだろうか。
「あっ・・雰囲気は全然違うけど。
言われてみればそうかも。」
《特異点F》で戦った
纏う雰囲気はまったく違うが顔のパーツは似通っている事実に気づく藤丸立香。
「・・そうか?だいぶ違うと思うがな。」
その隣でジャンヌの顔ーーではなく。
更に下の豊かな胸部に視線を落とし、セイバーとは別格だと否定するキャスター。
アーサー王本人がこの場に居れば、下半身への《
「キャスターさん!見てる場所が違います!
失礼ですよっ!?」
「そ、そうだよ!
キャスターのエッチ!!」
「確かに、その・・そちらは似ていないと思いますけどっ!!」
「マシュッ!?」
「フォウッ!?」
「私が言いたいのは容姿もなのですが!
魂が、2人の魂のあり方が似ているような気がしましてっ!!」
あまりそう云った話題に免疫がないのか。
顔を赤らめながらキャスターを諌めようとするマシュ。
けれど、その意図は空回りし。
(彼女自身は気付いていないが)何故か逆に彼の台詞を肯定してしまっていた。
藤丸立香はつられて頬を染めながらキャスターに抗議の声を上げたが。
まさかの肯定のセリフに驚き、マシュへと勢いよく顔を向ける。
フォウも思わず反応し『この子、言っちゃったよっ!!』的な鳴き声を上げた。
その間、渦中の人であるジャンヌは照れ隠しなのか。頬を染めながらも一心不乱に
ーーいや、単に彼女の食い意地が張っているだけかもしれない。
まるでハーレムか恋愛ドラマの様な状況だが、残念ながらその主人公となるべき
彼が通常の精神状態か、あるいはランサークラスであれば状況は変わっていたかも知れない。
しかし、ランサークラスのクー・フーリンは現在
ーー幸運Eサーヴァントは
そして、キャスターのそんな(本人すら知らない)裏事情をよそに。
己の王に似た
はたまた
彼らの間に満ちた初々しい(?)空気を吹き飛ばすかの如く、夜の闇にとある騎士の咆哮が上がる。
「Arrrthurrrrrrッ!!!!」
《サーヴァントらしき反応を一騎確認っ!
凄いスピードで西からそちらに接近してる!
みんな、気をつけてくれっ!!》
「「「「っ!!」」」」
咆哮とロマンの通信に4人は素早く立ち上がり。
暗く、濃い闇が広がるばかりの西の方角へと警戒を強めた。マシュはマスターたる藤丸立香の傍らで盾を構え。
キャスターとジャンヌは己の
ピンと張り詰めた空間を、冷たい風が通り過ぎ。
焚火の明かりに照らされた草木が自らの影と共に揺れ。ざわざわと音を立てた。
「ーーー来ますっ!左です!」
「マスターッ!嬢ちゃん!左だっ!!」
「はいっ!」
「うん!わかったーーて。わわっ!?」
(弱体化しているが)ルーラーの能力で敵の位置を感知したジャンヌと、歴戦の《勘》で敵の攻撃を予測したキャスターは。
同時に迫る危険を後方のマシュとマスターへと告げる。
その忠告に従い、左へと盾を向けながら藤丸立香と共に右へと飛び退るマシュ。
次の瞬間、2人のいた場所に遠くから投げられた《
「・・・え?丸太?」
「え?何で、丸太?」
「ざ、斬新な武器ですね。」
「この感じは宝具か?それにしてはーー」
まさかの《
そんな彼らの思いとは裏腹に、黒い甲冑を身に纏う騎士は闇から抜け出すかの様にその姿を月下に晒す。
「Shrrrrrr・・ッ」
両腕に己の宝具『
「えええっ!?あれ現代の銃器だよねっ!?
ここ中世のフランスだよねっ!?
何であるのっ!?
何で《
「意味がわかりませんっ!!」
驚愕する面々を意に介さず。
騎士ーーランスロットは迷いなく引き金を引く。
その銃口は寸分違わずアーサー王ーーと誤認しているジャンヌ・ダルクへと狙いを定めていた。
「Arrrthurrrrrrッ!!!」
「ッ!ーー主の御業をここにっ!!
我が旗よ、我が同胞を守りたまえっ!
《
火を吹くガトリング砲。
容赦なく迫る凶弾の連射に対し、自身の旗を中心とした結界をとっさに張る聖処女。
天使の加護を得た浄き光の防護壁が己と、危うく巻き込まれかけた仲間の身を盾となり護った。
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藤丸立香視点
ジャンヌが張ってくれた光の結界の内側。
そこで外にある木々が見る間に蜂の巣にされていく光景を眼にし、私の背筋に冷たいものが走った。
セ、セーフッ!!
危うく穴だらけになるとこだった。
護ってくれてありがとう!ジャンヌッ!
「ちっ!この威力・・アレも宝具みてぇだな。」
胸中でジャンヌに感謝する私の斜め前で。
苦い顔で舌打ちするキャスターの呟きに、ロマンが驚愕の声を上げる。
《ええっ!?宝具っ!?
ガトリング砲をぶっ放すデタラメ騎士なんて逸話、ボクは聞いたことないぞっ!?》
安心してロマンッ!私も聞いた事ないからっ!
まあ。私は歴史上の偉人も世界の有名な物語も、何でかほとんど覚えてないんだけどねっ!←
(マシュのお墨付きである。)
それにしても、あの人ーーー
「Arrrthurrrrrrッ!!!」
ーーードドドドドドッ!!!!(銃声)
「Arrrthurrrrrrッ!!!」
ーーーダダダダダダッ!!!!(銃声)
「Arrrthurrrrrrッ!!!」
ーーーガガガガガガッ!!!!(銃声)
「くっ!」←ジャンヌ
ーー何かジャンヌの事をガン見しながら、ずっと『アーサーアーサー』叫んで撃って来るけど。
もしかして・・ジャンヌの知り合い?
『アーサー』っていう名前の人なのかな?
《『自分はアーサーです。』って全力で名乗りながら銃撃してくる知人なんて嫌だよっ!?
ーーーって。アーサーッ!!?》
「おいおい。まさかさっき話題に上がってた『アーサー王』のことじゃねぇだろうな。」
「え?え?つまりあの人が『アーサー』なんじゃなくて。ジャンヌの事を『アーサー王』と勘違いしてそう呼んでるってこと?」
《たぶんそうだよ!マシュもさっき
ーーーなら、もう『彼』が何者なのかは明白だっ!》
通信先から聞こえる何時になく自信に満ちた声音。それにロマンの事を(秘かに)見直しつつ、私は先を促す。
「教えて名探偵ロマンっ!『彼』は誰なの?」
《フッフッフッ!!
聞かれたならば教えてあげようっ!
アーサー王の関係者で、アーサー王を強く憎む騎士。それは円卓の騎士の1人っ!》
(
「ーーーあの人、は。」
「・・?
《叛逆の騎士モードれーー》
「ランスロットです。」
「《ーーえっ?》」←私&ロマン
「ん?」←キャスター
唐突にロマンの推理ショー(?)を遮ったマシュの言葉に、私は思わず問い返す。
「ランスロット?
あの人、ランスロットっていうの?」
《モードレッドじゃなくてかいっ!?》
「はい。『彼』はランスロット卿です。
理由は解りませんが、私の中の《霊基》が間違いないと言っています。」
《君の中の『彼』の《霊基》が・・。
それはーー間違いようがないね。》
「え?マシュはあの人ーーランスロットと知り合いなの?」
聞くと、マシュに《霊基》をくれた《
なるほど、生前の同僚なら確かに間違いようがないねっ!(そしてこの事実によりロマンが《迷》探偵であることが決定した。やっぱりロマンはロマンだった←)
《同僚・・。それだけじゃないんだけど、今の『
「?」
何やら言葉を濁したロマンに首を捻っていると。
マシュが視線を、未だにガトリング砲を乱射し続けるーーおそらくバーサーカークラスのーーランスロット。
そして、その勢いに若干圧されつつも
結界を保ち続けてくれているジャンヌへと順番に移した。(あっ!ジャンヌ、任せっきりにしてごめんっ!)
「ーーー。」
・・・あれ?マシュ?
なんかーー眼が据わった?(汗)
「何故でしょうか。あの光景を見ているとーーー無性にあの《
「マシュッ!?
いきなり怖いこと言い出してどうしたのっ!!?」
《そんな言葉いったい何処で覚えたんだいっ!?》
後輩の突然の《
マシュが怒ってる?怒ってるよね!?
可愛い顔に何故か般若のお面がダブって見えるんですけどっ!?
いや、確かに《人違い》で銃撃してくるランスロットに思う所はある・・けど。
それだけで温厚なマシュがこんなに怒るはずないし。
「ハッ!まさかマシュの『霊基』の『彼』が、ランスロットの事を(殴りたいぐらい)嫌いだとかっ!?」
《あ、あり得るっ!
生前の2人の関係を考慮すれば十分あり得るよっ!!》
あわわっ!
当たって(?)しまった!
《名》探偵は私だったの!?(混乱)
「落ち着けマスター。
あの『
けどよ、アッチか殺る気で向かってくるなら。
俺らのやるべきことはーーーひとつだろ?」
「ッ!」
告げられたキャスターの冷静な助言に、私の混乱した思考は停止し。
数秒の時を経て、少しずつ落ち着きを取り戻す。
・・・キャスターの言う通りだ。
ランスロットが敵であり、ジャンヌや私達にその銃口を向けるなら。
例え生前の
《人理修復》の妨げとなる彼と戦いーー倒す。
「マスターッ!悔しいですが、通常よりも魔力の出力が下がっているせいか結界が保ちません。
そろそろ限界ですっ!迎撃の準備をっ!」
口惜しげなジャンヌの警告を皮切りに。
私は決意を固め、眼の前の『敵』を見据える。
どんな事態が起こっても的確な
甲に《令呪》が刻まれた右手をギュッと強く握り締めた。
「・・・。」
「(っ!ーーあれ?
いま一瞬、右手に視線を感じたような?)」
瞬きの間、鋭い視線が肌に刺さるような感覚を覚え。私はとっさに周囲に視線を巡らせる。
けれど、マシュとキャスターは
ジャンヌも結界の維持に全神経を集中していた。
ランスロットもまた(アーサー王と勘違いしている)ジャンヌにのみ意識を向けていて。
周りに私達以外の人の気配はないようだった。
(フォウは珍しく私の肩に乗っている)
「フォーゥ・・」
「? 気のせい・・かな?」
「ーーーどうした?
問題でも起こったか?」
「先輩?」
「あっ、ううん。何でもないよ。」
私の異変に気づき、気遣ってくれたキャスターに問題が無いことを告げ。
振り返ったマシュに『大丈夫』だと笑いかける。
そして感じた《正体不明の視線》を『今は気にしている時ではない』と頭の隅に追いやり。
私は改めて、ランスロットを皆と共に迎え撃つべく身構えた。
…………………………………………………………………………………………
※不貞の騎士は次回、
がんばれランスロットッ!
でも生前の自分がやらかした諸々のせいだから仕方ない(遠い目)
そして今更ながら、コンラくんにヤリニキを殴らせそこねた事実に気づく作者。
ふむ・・いつ殴らせようか←(外道)