コンラくんのFGO   作:彼に幸あれ

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ギャラハッド

 

 

第三者視点

 

 

 

ーーーパリンッ!!

 

 

本来の力を発揮できず、脆くも砕けた光の結界。

その欠片が舞い散る中。

かつて《理想の騎士》と讃えられた『裏切りの騎士(ランスロット)』と《魔女》として処刑された『救国の聖処女(ジャンヌ)』は相対する。

 

 

「Arrrthurrrrrッ!!!!」

 

 

狂気に囚われた黒騎士は、求めた己の王(アーサー王)の幻を似た魂を持つジャンヌに重ね。抱えていた『擬似宝具(ガトリング砲)』を投げ捨て、彼が生前から所持している愛剣ーー『無毀なる湖光(アロンダイト)』を手に彼女へと斬りかかる。

 

 

「っ!!」

 

 

ジャンヌはその凶刃を己の旗をもって受け止めようとしたが。それより速く彼女の前へと飛び出し、防ぐひとつの影。

 

 

「女ばかり狙うなんざ、さすがに男としてどうかと思うぜ。

ーーーちょっくら俺にも付き合えよ。」

 

「キャスターッ!」

 

「ッ!?GAaaッ!!」

 

 

卓越した槍術(そうじゅつ)でランスロットの剣をいなし、弾いたキャスター(クー・フーリン)

クラスの筋力不足を補う為、自身にルーン魔術による《身体強化》を。

 

《聖なる樹木》あるいは《不死の象徴》として信仰されてきた『イチイ』の樹を素材として造られた愛杖には、耐久性を向上させる為の《物体強化》の魔術を。

 

2つの《強化魔術》を同時に発動させながら、槍の代わりに杖を用いて『円卓最強の騎士』と渡り合う『アルスター最強の戦士』。

生前に極められた剣術と槍術が両者の間でぶつかり合い。よら相手より強者たろうと競い合う。

 

 

《あのランスロット卿と互角っ!?

しかも《強化魔術》で不利な部分を補いながらっ!

ーーー強いっ!さすがクー・フーリンッ!!》

 

「がんばれっ!キャスターッ!」

 

「ふぅっ・・正直、助かりました。

今の私では(ランスロット卿)との戦闘は荷が重かったので。それにしてもーー(キャスター)が味方だと心強いですね。」

 

「はいっ!・・・私も同じ先輩のサーヴァントとして、見習わないと。」

 

 

2人の勇士がおりなす攻防の激しさに臆しかけた自身の心を。尊敬する先輩サーヴァント(キャスター)の奮闘を眼にし、奮い立たせるマシュ。

 

彼女は己の胸の奥ーー『彼』の《霊基》ーーから湧き上がる感情にも後押しされ。

キャスターの加勢に入りたいと、自ら前衛に出ることを藤丸立香に願い出る。

 

 

「マシュ・・もしかしてだけど。

マシュがあそこに行きたいのは《ランスロットが嫌い》だっていう『彼』の感情に流されてるから?」

 

「それは・・」

 

 

戦いを好まない後輩らしからぬ発言に、彼女は浮かんだ疑念を当人へと問う。

 

 

「もしもそうなら、私はマシュをランスロットの所へは行かせられないよ。『彼』には悪いけど・・・『彼』の《私怨》の為にマシュの身を危険には晒せないから。」

 

「先輩・・」

 

 

マスターとして、仲間(先輩)として。

自分の身を案じてくれた藤丸立香に、マシュは己の性急な行いを恥じた。

 

何故なら彼女ーーマシュのクラスは《シールダー》。

マスターを護るべき《シールダー()》がマスターの傍を離れ、前衛に出るなど。

本末転倒も甚だしい行いだからである。

 

彼女はこのままこの場に待機し、マスターとジャンヌを護ることが最善であった。

 

 

「・・・ごめんなさい、先輩。

私は先輩の言う通り《霊基》に残る『彼』の感情に突き動かされて、ランスロット卿の所へ行こうとしました。でも・・それは《私怨》からではありません。」

 

 

けれど、彼女はーーーそれを理解していながらも行かずにはいられない。

 

 

「え?・・ランスロットのこと、嫌いじゃないの?」

 

「嫌いです。」(即答)

 

「ええっ!?どっち!?」

 

「あっ!すみません!

嫌いですけど。嫌いだから、隙あらばと殴りに行きたいわけではなく。」

 

 

(・・『嫌い』なのは譲らないんですね。)

 

《(マシュにここまで言わせるなんて・・これは想像以上に(ランスロット)の事を嫌ってるなぁ。)》

 

 

「私の中の『彼』の《霊基》はランスロット卿のあの姿を『見たくない』と。彼を『止めたい』と。そう、私に訴えてくるんです。」

 

 

何故なら生前、不和のまま死に別れたと云えど。

(ギャラハッド)』とランスロットは、血の繋がった《父子》なのだから。

 

ギャラハッドは彼の母が行った計略により、父が望まぬ形で結ばれ産まれた『不貞の子』であり。

父の手によって物心つく前に修道院へと預けられた(捨てられた)『捨て子』であった。

故に、彼はランスロットの事を《親》ではないと拒絶し続けてきた。

 

奇しくも円卓の『同僚』となってからは。

暇さえあればコチラを気にかけてくる彼のことを『今さら《父親づら》するな』とすら彼は思っていた。

 

しかし、狂気に呑まれ憎悪と殺意に囚われた黒騎士の姿を。此度、デミ・サーヴァントの少女の瞳を通して目撃した『彼』の《霊基》は。

残された己の感情をかつて無いほどに激しく(たかぶ)らせる。

 

 

ーーー何をやってるんだこの男はっ!

 

 

それを一言で言い表すならば『怒り』。

 

幼い頃、無知な己が憧れた『父親』が。

《湖の騎士》と謳われ、精霊にすら祝福された『同僚』が。見るに耐えない姿で眼前に現れた事に、ギャラハッドは憤慨(ふんがい)する。

 

彼はーーけして本人は認めないだろうがーーランスロットの事を《父親》としては嫌っていたが、《騎士》としては一目置いていた。

 

その武勇を、騎士道精神を。

同じ《円卓の騎士》として誇らしく想っていた。

それなのに・・・

 

男は『王』を裏切り、情を交わした王妃を連れキャメロットから逃亡した。

仲間を殺し、円卓を割り、ブリテンを滅ぼす引き金となった。

さらに英霊となった今は、狂戦士(バーサーカー)などという醜悪な姿で『王』をつけ狙う始末。

ーーー結果、現在進行形で他国の人々に多大な迷惑をかけている。

 

ギャラハッドの《霊基》は《騎士》として。

国を救わんと奮い立つ清廉(せいれん)なる『聖処女』を。抗う力を持たぬ弱き他国の民達を。

ランスロットの、振るう先を間違えたその凶刃から護りたいと想う。

 

また、《同僚》として。

苦悩の果てに自ら狂い、淀み歪んでしまった。

生前の《理想の騎士》の見る影もないその姿を、これ以上『見たくない』とも想う。

 

己の手で、(ランスロット)の蛮行を『止めたい』と。『(ギャラハッド)』の《霊基》は少女の中で、愛憎入り乱れる己の激情を訴える。

 

その譲れぬ想いを受け取ったマシュは、マスターたる少女へと再度願い出た。

『私怨』からではなく、狂えるランスロットを『止める為』に前衛に行きたいと。

 

 

「お願いです。行かせてください。

私はどうしても、あそこへ行かなければならないんです。」

 

「マシュ・・。」

 

 

常は自身より他者の意見を優先することが多い後輩の、揺らぐ事のない強固な意志が滲む台詞に。

自分へと真っ直ぐに向けられる、迷いの無い凛とした瞳に。

藤丸立香は《特異点F》で幽霊の少女(イリヤちゃん)の為、決して己の意志を曲げなかった幼い少年の姿を幻視する。

 

 

ーーーそっか。

これ()が、マシュにとっての《譲れないもの()》なんだ。

 

 

「・・うん、わかったよ。」

 

 

ならばと、彼女はマシュの意を汲みその願いを聞き入れた。

 

 

「先輩っ!ありがとうございますっ!」

 

 

しかし、素直に喜び微笑う後輩へと。

彼女は続けて誰も予期せぬ『ある条件』を告げる。

 

 

「ーーーけど、私も一緒に行くからね。」

 

「「《え。》」」

 

 

残念ながら藤丸立香という少女は。

可愛い後輩を1人危険地帯に送り出し、その後ろで平気な顔をして護られていられる程。

情が薄くもなければ、聞き分けのいいマスターでもなかった。

それ故の、堂々たる『私も一緒に前衛で戦うよ』宣言。

 

 

「ジャンヌは、動くとランスロットが何を仕出かすかわからないから此処で待っててね。」

 

「で、ですがマスターッ!」

 

「はいっ。フォウをよろしくね。」

 

「あっ、はい。ーーって聞いてくださいよ!!」

 

 

彼女は早速。

肩のフォウをーー藤丸立香の指示にも一理あり、マシュの想いも汲みたいが故に強く引き止められずーー狼狽えるジャンヌに預ける。

 

リス、あるいは猫のような白い生き物をマスターから思わず受け取りながらも。

ジャンヌはオルレアン城へ向かおうとした無謀な己を止めてくれた2人を、今度は自身が踏み留まらせようと声を張った。

けれど・・・

 

 

 

 

 

〘だが!それでは私が堕ち、穢した魂が浮かばれない!承知の通り、私は殺した!消費して、消費して、消費した!人類を救済しなければ、私は罪を償えない!〙

 

 

〘償いを人類の救済に求めるのは止めなさい、ジルッ!貴方の罪は貴方だけのもの。償えないとしても、その絶望はやはり貴方だけのもの。貴方は他者にその悪の償いを押しつけるのですか!?

私も貴方も罪人であり、犠牲となった者達に償う方法など存在しない!

その苦悩を、その絶望を抱え続けるしかない。やり直しはできない。〙

 

 

〘ーー私は、許されないのですか?〙

 

 

〘神は全てを許すでしょうし、貴方が殺した子供たちは全てを許さないでしょう。その罪、その罪悪感、それは永遠に背負うべき罰です。・・・・大丈夫です、肩は貸して上げます。〙

 

 

(かしこ)まりました、ジャンヌ。

・・・わずかではありますが、また貴女と語らえたことを幸福に思います。〙

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーッ!!」

 

 

突如。

脳裏に蘇った『平行世界の聖杯戦争』の記憶に、続ける筈であった《静止》の言葉を彼女は呑み込んだ。

 

かつて『人類の救済』ーーー万人が善性であり、万人が幸福である世界。あらゆる悪が駆逐された『この世すべての善』の実現ーーーと云う他者の願いに。

己の生前に犯した悪業の《贖罪》を委ねたジル・ド・レェへと、ジャンヌはその行いが間違いである事を諭した。

 

罪の呵責に苦しみ、救いを求めた『戦友』へ。

あの時、自身が告げた残酷な言葉を『聖処女』は後悔してはいない。

 

彼女の中で、《罪》とは(『神』を除いて)赦されるモノではなく。

手にかけた幼子達の《悲惨な死》は『人類の救済』に至るに必要な《経緯》だったのだと。

己の《罪》を別のモノに擦り付け。

己の中の《罪悪感》から逃れようとしたジル・ド・レェを、彼女は容認する事が出来なかったからである。

 

また《今》を生きる者達を。いずれ自らの力で悪を駆逐するに至る《未来》の人々を。

《過去》に死んだ者達ーー『英霊(サーヴァント)』が身勝手に『救済する』ことなど、けしてあってはならない事だと。

ジャンヌは敵対した《ルーラー()》のその偉業を自身が阻んだ事に対しても、微塵も後悔はしていなかった。

 

 

ーーーしかし、狂える生前の《同僚(仲間)》が。

これから成そうとする悪業を、その身を危険に晒してでも止めようとするマシュの澄んだ瞳を眼にし。ジャンヌは《もしも》の可能性を考えてしまった。

 

それは有り得ない事である。

それは有ってはならない事である。

 

けれど、もしもーーー『戦友(ジル・ド・レェ)』が子供達の血でその手を穢すその前に。

己が《その場》に居合わせる事が出来たならば・・。

 

 

(私もきっと・・・彼女(マシュ)と同じ様に。

危険を顧みず、この身を犠牲にしてでも。

ジルを、止めたのでしょうね。)

 

 

誉れ高い『元師』であった彼が『青髭』という殺人鬼に成り果てた事を、誰よりも悲しく想っていたジャンヌは。

マシュの譲れぬ想いを理解し、共感してしまう。

それ故にーー

 

 

「なに?ジャンヌ?」

 

「ジャンヌさん・・?」

 

「ーーー。」

 

 

彼女は、2人を引き留める言葉を紡ぐことが出来なかった。

 

 

「・・・いえ、何でもありません。

この子(フォウ)の事は任せてください。

どうかーーお気をつけて。」

 

「?、うん。わかったっ!」

 

「ありがとうございます、ジャンヌさん。

・・・行ってきますっ!」

 

《ちょっ!?ホントに行くのかいっ!!?》

 

 

かくして最後のマスターとデミ・サーヴァントの少女は前衛へと向かう。

その背に聖女の祈りと、ロマンの動揺に満ちた声を受けながら。

 

 

……………………………………………………………………………………………

 

※大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした!

私事で時間が取れなかったのと、物語の方向性に一時的に煮詰まってしまいまして。

結局、今回はランスロットを殴れなかった・・orz

 

それにしても《青髭》になる直前の旦那とジャンヌが再会したらかぁ・・。

きっと子供そっちのけで雄叫びを上げながら『死したジャンヌが復活をっ!これこそ奇跡っ!神は実在したっ!!』とか言って大喜びするんでしょうね。

そしてジャンヌが落ち着かせる為に旦那に目潰しするんだ←

ジルは《綺麗な旦那》に戻って。子供達は酷い目にあわない。最高ですねっ!

後は『抑止力』が歴史の改変を許してくれるかどうか・・・相手が相手だから微妙(白眼)

 

 

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