コンラくんのFGO   作:彼に幸あれ

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聖盾の鉄槌

 

第三者視点

 

 

 

狂える黒騎士(ランスロット)は苛立っていた。

 

 

「GAaaaaaaaッ!!!」

 

 

追い求めた己の『王』の元へ、あと少しで辿り着くと云うのに。

その念願の相手との間に割り込み、立ち塞がった(キャスター)へと彼は怒りのままに咆哮を上げる。

同時に邪魔者を排除しようと振るわれたのは。

獣の如き振る舞いとは対照的な研ぎ澄まされた剣舞。

 

狂化されながらも身体に染み付いた剣の腕は鈍ることなく。キャスターの杖にて振るわれる槍術と、互角の戦いを繰り広げていた。

 

 

(ーーこいつ。)

 

 

一方、隙を見せれば斬り伏せられかねない状況の中。キャスター(クー・フーリン)はランスロットに己と似た何かを感じ取っていた。

 

それは彼らが同じく『ただ1人』を求め狂い。

己の目的の為に、武人としての《誇り》と《善性》をも自ら捨て去った『狂人』だからであった。だが、同類であろうと彼の攻撃が弛むことはない。

むしろ相手にも譲れないモノがあると理解した事で、キャスターの殺意は膨れ上がる。

 

 

(こいつは・・やべぇな。

一秒でも早く殺らねぇと、こっちが危ねぇ。)

 

 

目的の為ならば手段を選ばない事を自負しているが故に。相手もまた同じく、手段を選ばない方法で新たな手を打ってくるのではないか。

彼はその可能性を危惧し、己の宝具《灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)》を発動する事を検討する。

 

 

灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)》。

これにより喚び出される木々の巨人は、神々への《生贄》を求め荒れ狂い。その巨体と身に纏う焔で自らの周囲を破壊し、燃やし尽くす《対軍宝具》である。

 

その攻撃範囲の広さと周囲への損害を考え、キャスターは『特異点F(冬木)』での《洞窟内》での使用を。この『第一特異点(フランス)』での現在の《森》での使用を控えてきた。

しかし、出し惜しみをして殺されては堪らないと。キャスターは宝具を開放するべく、発動していた《強化魔術》を消し新たに魔力を練る。

 

おそらく《灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)》を放てばこの森は燃え、森に住む生き物達は皆焼け死ぬ。

風向きが悪ければ近くの村や街にも火は回り、最悪の場合は何人もの人間が命を落とす。

けれどーー

 

 

(ーーそれがどうした。)

 

 

《今》のキャスターにとって『そんな事』は些細な問題であった。

彼の今の優先事項は《息子(コンラ)》を取り戻す為に『人理再編』を成すこと。

その為には『各特異点』を巡る必要があった。

故に、彼は己と(利用価値のある)カルデアの者達の生存を優先する。

 

優先した結果が、多くの生命(せいめい)の命を奪う行いに繋がろうとも。

キャスターは躊躇わない。

そんな生温い感情は、最愛の息子(コンラ)を喪った時に切り捨てた。

そして、これからーー不要になった時点でーー己の《マスター》すらも切り棄てるのだから。

 

 

「アンサズッ!」

 

「AGaッ!?Uaaッ!!?」

 

 

目くらまし代わりに小規模の火炎をランスロットの兜に放ち。

敵との距離を開けたキャスターは身の内の魔力を解放する。

 

 

「我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人。

因果応報、人事の厄を清める社。

倒壊するはーー」

 

 

杖に魔力が宿り、彼の悲壮な覚悟に応えるように静かに揺らめいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャスターッ!どいてえええぇっ!!!」

 

「ッ!?」

 

 

しかし、背後から迫る藤丸立香の声にタイミングを逸し。キャスターは宝具を発動する事は叶わなかった。

彼は反射的に振り向き、飛び込んで来た光景に眼を見開く。

 

 

「何やってんだマスターッ!?

嬢ちゃんまでっ!?」

 

 

そこには盾を正面に構えたマシュを両腕で抱えーー正確には《お姫様だっこ(プリンセスホールド)》してーーキャスターの元へと全力疾走する藤丸立香の姿があった。

 

 

「すみませんキャスターさんっ!

とりあえず退いてくださいっ!!」

 

「ッ!ーーくそっ。」

 

 

どうやらランスロットの元へ向かうのに自分が道を塞いでいる状況だと察したキャスターは。

不満を抱きつつも素早く身を翻し、衝突しないようマスターの走るコースから外れた。

 

 

「GAッ?」

 

 

よって、マシュと藤丸立香は未だ距離はあるものの。当然の様にランスロットと対峙する事となる。

 

 

「マシュ、準備はいい?」

 

「魔力出力を微調整。クリア。

問題ありませんマスターッ!

ーーーいつでも行けますっ!指示をっ!」

 

「OK!(ランスロット(バーサーカー)を)やっちゃおうマシュッ!!」

 

「はいっ!宝具展開。

仮想宝具:疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)ッ!!!!》」

 

 

走る己のマスターに抱えられた状態で、マシュは宝具を発動。

盾から聖なる十字架が浮かび上がり、それを中心に2人の背丈を超える輝く光の盾が形成される。

 

 

「ーーッ!!」

 

 

その穢れなき輝きを。

光を纏う《聖盾》を眼にしたランスロット。

 

彼は直前までの洗練された動きが嘘のように。

唐突にギシリと固まり、その盾とーーマスターに抱えられる少女を凝視する。

 

 

「Gala・・had・・?」

 

 

光の盾から放たれる覚えのある魔力と。

かつて死に別れた息子(ギャラハッド)の面影を持つ少女の出現に。

狂気の渦の中、かろうじて残された正気の欠片がランスロットに息子の名を呼ばせる。

 

『王』を渇望する心は、一時の間。

混乱から目的を見失い沈静化し。

彼の体から溢れ出る殺意と憎悪を弱めた。

 

 

「ーーGalahadッ!」

 

 

ランスロットは愛剣(アロンダイト)の剣先を下ろし、空いた手を《少女(息子)》へと伸ばす。

 

 

 

 

 

ーーー探索を失敗しても構わない。

無事に・・帰って来てくれ。

 

 

それは生前、《理想の騎士》であるが故に。

『聖杯探索』へと(おもむ)く息子へ彼が《父親》として告げられなかった言葉。

 

旅立つ少年にこの言葉を伝えていれば。

ギャラハッドは『聖杯』と共に昇天せず、キャメロットに帰って来たのではないか。

少しでも息子を現世に引き止める《未練》に成り得たのではないか。

 

『聖杯探索』の仲間であったパーシヴァルから息子の死を告げられたその時。

彼は《父親》として、そんな後悔を抱いた。

 

 

《騎士》として。

誰にも打ち明ける事が出来ぬ《父親》としての後悔を胸に秘めたランスロット。

 

そして《王妃》として。

誰とも共有する事が出来ぬ『王』の秘密を抱え、その重圧と孤独に苛まれていたギネヴィア。

 

どこか似通った《不自由》さと《痛み》を抱いていた彼らが惹かれ合い、許されぬ恋に落ちたのは。

ブリテンにとって残酷な必然だった。

 

 

「Gala・・hadッ!」

 

 

ランスロット(父親)ギャラハッド(息子)との思わぬ再会を果たせた喜びに。

彼の《霊基》を持つ少女騎士(マシュ)へと唸るような声音で、その名を幾度も呼ぶ。

 

 

「サー・ランスロット・・」

 

 

そんな『同僚(父親)』の呼びかけに、姿に。

狂気の底から絞り出された(ランスロット)の想いに応えるよう。マシュもまた新たに湧き上がった(ギャラハッド)の想いを代弁(だいべん)し、叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬱陶しいので黙ってください《不貞の騎士》っ!!」

 

「ッ?!!」

 

「マシュウゥッ!?」

 

「《父親づら》するのはやめてください。

不快です。

あと、そのみっともない姿は何ですかっ?

生前だけでは飽きたらず、死後まで『王』にご迷惑をお掛けするつもりですかっ!?

恥を知れっ!この《穀潰(ごくつぶ)し》がっ!!!」

 

「ッ!?!?」

 

「えっ!?・・父親っ?ええっ!?」

 

 

息子(少女騎士)に罵倒され、図らずもフリーズする黒騎士。

後輩のまさかの『父親』発言に動揺しながらも、脚は止めず距離を詰めたマスターの両腕の上から。

マシュは宝具を展開したまま、『(ギャラハッド)』の《感情(怒り)》を体現するように聖盾を大きく振りかぶりーー

 

 

「やああああああっ!!!!」

 

「ッ!!!」

 

 

動けぬランスロットの無防備な脳天へ、躊躇いなく振り下ろした。

彼女の盾はドゴォォンッ!!!という重く鈍い音と共に『鈍器』としての役割を見事に果たす。

 

 

この夜、ランスロット(父親)ギャラハッド(息子)の《霊基》を宿す少女の手により。

生前の報いを受けるかの如く、己が割った『円卓(聖盾)』の一撃(鉄槌)を喰らい地に沈んだのだった。

 

 

………………………………………………………………………………………

 

 

※更新不定期な中、8万UA突破ありがとうございますっ!!!

今回は宣言通り無事にランスロットを殴れました!←

 

そして宝具発動中のマシュは動けないイメージだったので、立香ちゃんに姫抱きで移動してもらいました。

マスターの人間離れが着々と進む・・っ!

 

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