コンラくんのFGO   作:彼に幸あれ

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追跡者

 

藤丸立香視点

 

 

 

「治療して頂き感謝いたします。

『我が王』に(一部を除いて)よく似た美しき方。先程はいきなり襲い掛かってしまい、申し訳ありませんでした。お怪我はされませんでしたか?」

 

「えっ?は、はい。」

 

「それは良かった。心より安堵いたしました。

・・・どうか、誤解しないで頂きたい。

私が貴女を襲ったのはけして貴女自身が憎いからでも。不純な想い(やましい気持ち)があったからでもなく。

すべては《狂化》。

そう、《狂化》のせいなのでーーー」

 

「どこを見ながら話しているんですか?

ジャンヌさんの手が穢れる。

今すぐ放せ《ミミズの騎士》。」

 

「ーーーぶべしっ!!」

 

 

ジャンヌの手を(うやうや)しく取り、自分の行いをーー彼女の胸部をチラ見しながらーー謝罪する長髪のイケメン騎士。

それに気づき、青筋を立てながら盾で《ミミズ()の騎士》ことランスロットの右頬を殴打するマシュ。

どうやらマシュの中の『(ギャラハッド)』は相当、お(かんむり)みたいだ。

 

 

 

 

数十分前、頭上からのマシュの《会心(怒り)の一撃》を無防備な後頭部に受け。

瀕死の重傷を負い、地に伏すーーどころかめり込んだ黒騎士(ランスロット)

 

マシュの発言から、彼が後輩の《父親》ーー正しくはギャラハッドのだったーーではないかと思い至った私は。

殴られる直前のランスロットがマシュの姿を眼にして動揺し。向けていた敵意を弛めた事もあり。

 

トドメを刺そうとするキャスターと、撲殺しようとするマシュを全力で(なだ)めた。

 

彼が私達に問答無用で銃口を向けるなら、倒すしかないと覚悟した。

でも、彼と話し合いの余地(戦わずに済む方法)があるのなら。

その可能性を切り捨てず、活かしたいと私は想ったのだ。

 

 

なので、まずは出来たばかりのクレーターの中心に。大の字(うつ伏せ)で倒れるランスロットを(やや不満気な)キャスターの魔術で暴れないよう拘束し、めり込んだ地面から救出。

 

次に(かなり不満気ながらもーーたぶんーー諦めてくれた)マシュにジャンヌを呼んで来てもらい。

直接攻撃を受けた頭部に治療を施そうと、兜の長い毛(?)の部分を掴んで引っ張り、無理やり脱がしたところ・・・

 

 

「まさか下からロングヘアーイケメン(中身は残念)が現れるとは思ってなかったから、ビックリしたなぁ。」

 

《ハハッ・・そうだね。

しかも《狂化》が主に『兜』の方にかかってたから。『兜』を脱いじゃえば、ほぼ《素面(しらふ)》とか・・》

 

 

私の呟きに同意し、荒ぶるマシュの様子に乾いた笑いを漏らすロマン。

彼の言う通り、《狂化》の作用が何故か『兜』の方に重点的に付与されていて。

脱がせて素顔を晒した状態であれば、普通に会話ができた。

その時に、ロマンとランスロットの口から。

マシュの《霊基》の『彼』が、《ギャラハッド》というランスロットの『息子』であることが明かされた。

(この時、ロマンが『伏せた意味なかった』とぼやいてたけど。何の事だろ?)

 

 

『息子』であり『同僚』である2人には、昼ドラ的な複雑な事情があるらしく。

マシューーというか中の『ギャラハッド』の《霊基》ーーは一貫して『他人』だと親子関係を全否定。

その事に落ち込んでいたかと思えば、治療を終えたジャンヌへの色々とアレなお礼と謝罪。

 

・・・マシュ(ギャラハッド)が怒るのも無理ないね、コレ。

(納得)

 

 

「ギャラはーーゴホンッ!失礼。

マシュ、間違っていますよ。

私の生前の異名は『湖の騎士』、けして『ミミズ』では・・」

 

「気安く 名前を 呼ばないでください。」

(盾を上段に構え)

 

「う″っ・・!」

 

「それに、間違いではありません。

王妃と不倫した分際で、『王』の下した処罰に不満を抱き。身勝手な恨みをも抱いたあげく。改めて裁いて頂こうと『王』をストーカーの如くつけ狙おうとした。ミミズと同等ーーいえ、それ以下の《不忠の騎士》の事をそう呼んだんです。」

 

「ーーガハッ!!」(吐血)

 

「ランスロットーーッ!!?」

 

 

ランスロットがマシュ(ギャラハッド)猛攻(毒舌)に堪え切れず、吐血した。けっこうな量の出血に焦る私とジャンヌとは対照的に。

赤い水溜り(もやはホラー)の中で片膝を着くランスロットへと、マシュが向ける視線は冷ややかだ。

 

いっそこのまま《座》に還れと言わんばかりの絶対零度な眼差しである。

そんな後輩の酷な対応を眼にしながら、ふと私の中である疑問が湧いた。

 

 

「・・あれ?そういえばランスロット。

自分から望んで《バーサーカークラス》で此処(フランス)に召喚されたって言ってたよね?」

 

「っ!・・ええ、その通りです。」

 

 

血で濡れた口元を手の甲で拭い、危なげなく立ち上がるランスロット。

(たたず)まいを直しながらも、その表情はどこか昏い。

 

 

彼女(マシュ)の言う事は正しい。

私は生涯仕えたいと望んだ『王』を自ら裏切り、護りたいと願った『国』を滅びに導いた《裏切りの騎士》。そんな私が《英雄(セイバー)》として召喚されるなど滑稽ではないですか。

故に、私は自ら《狂化》を受け入れ。

喚ばれるまま《狂戦士(バーサーカー)》としてこの地(フランス)に来ました。全ては『王』に会い、私の罪を罰して頂く為に。」

 

「ーーー。」

 

 

自嘲的に嗤う彼に、マシュの顔が僅かに曇る。

嫌ってはいるけど、完全に見限ってるわけじゃないみたい。

何だかんだ厳しい態度をとってはいても。

そのじつマシュ(ギャラハッド)もランスロットの事が心配なんだ。

 

生前の事情せいで、せっかく会えたのに仲良く出来ない2人の様子に。

私はじれったいモノを感じた。

 

 

「ーーそれで、私が自ら《バーサーカー》となった事がどうか致しましたか?

可憐なマスターのお嬢さん。」

 

「」←私

 

「この、男は・・っ!

ジャンヌさんだけでなく先輩にまでっ!!」

 

 

いや・・うん。

褒めてくれたのは嬉しいけど。

さっきのシリアスからの変わり身、早すぎじゃないかな?

 

マシュが今度はランスロットの左頬をフルスイングで殴るのを眺めながら、私は気づいた。

ランスロットの女性への態度を改めさせない限り、この親子(?)は和解できないと。

 

 

「こいつ、女を口説かないといられねぇ病気にでもかかってんのか?」

 

《キャスターくん。もっともな意見だけどさ。

キミの生前の(女性関係の)武勇伝を(かえり)みると、人のこと言えなーー》

 

「軟弱モヤシ野郎は黙ってろ。」

 

《また軟弱って言われたーっ!!?

しかも今度はモヤシまでプラスされたっ!!》

 

「ねぇ、キャスター。

彼の病気、契約すれば《令呪》で治せるかな?」

 

「やめとけ《令呪》と《魔力》の無駄だ。

第一こいつのマスターはまだ『竜の魔女』だろ?

そっちの契約が破棄されねぇと、いくらアンタらが望んでも主従契約は不可能だ。」

 

《くそぅ!これは心身ともに鍛えるしかないのか!?でも、そんな事をしてたらただでさえ短い『マギ☆マリ』との至福の時間が減ってしまう!!》

 

「ところでマスター。

何か気になる事があったんじゃねぇのか?」

 

「あっ!そうだったっ!」

 

《僕はそんなの耐えられないっ!

どうしたら良いか教えてくれ『マギ☆マリ』ッ!!》

 

 

通信先で何やら葛藤しているロマンを余所に。

私はキャスターのおかけで思い出した疑問を、ランスロットへと投げかける。

 

 

あの(狂化された)状態でアーサー王と、どうやって話すつもりだったのかなって思って。」

 

「・・え″。」

 

 

長髪イケメン騎士の表情が凍りついた。

 

 

「だって、罰してもらうにしても。

まずは事情を話さないと、王様だって罰しようがないと思うんだ。」

 

「言われてみれば・・そうですね。

先程のように突然襲撃されても、何故襲われたかわかりませんし。

今回はマシュのおかげで貴方が何者かわかりましが。その兜を被った状態では、アーサー王も貴方が誰かわからないのでは?」

 

「そ、それは・・ほら。アレです。

言葉を交わさずとも。

追いかけて襲い続ければ、『王』も私を攻撃せずにはいられない。その時『王』の手で葬って頂ければ、それが私への『断罪』となーーー」

 

「なるわけ無いでしょう《ストーカー騎士》。

それじゃあ『王』にとっては、ただ見ず知らずのストーカー(変態)を撃退しただけじゃないですか。

トリスタン卿に負けず劣らずの思慮の足りない自己陶酔具合いですね、この《ナルシスト騎士》が。」

 

「ゲフッ!!」(吐血)

 

 

眼を泳がせ、冷や汗をかきながら弁明(べんめい)していたランスロットは。

マシュの言葉に打ちのめされ、吐血(2回目)をし堪らずOrzのポーズになる。

それにしても次々と不名誉な異名が追加されていくなぁ。

 

 

「な、ならば。私はどうすればーーッ!!」

 

「正気のまま普通に生前のこと謝って。

『納得行かないから、改めて罰してください』って普通にお願いすれば良いんじゃないかな?」

 

「そんなっ!『王』に合わせる顔などないというのに。そのような厚顔無恥な所業、私にはとても出来ないっ!!せめて、せめて『兜』を被らせてほしいっ!」

 

 

懇願の表情で私が(安全の為に)預かっている『兜』に熱い視線を送るランスロット。

その眼差しに危ないモノを感じて。

私はとっさに両手で持っていた『兜』を背後に隠し、彼の視線から外した。

 

 

「えっと・・それだと《狂化》が強くなるからマトモに会話できないよね?『兜』で顔を隠しても、事態が悪化するだけだよ?」

 

 

だから、そんな顔をしても絶対にコレ()は渡さないっ!かわいい子(マシュ)ならまだしも、イケメンの上目遣いじゃ私は揺るがないのだ←

 

 

「くっ!なんてことだ。

『王』よ、私はどうすればっ!!」

 

「先輩の言う通り素面(しらふ)のまま土下座して、ひたすら謝ればいいんですよ。」

 

 

んん?

私、土下座までするように言ったっけ?

・・というか。

追いかけ回すのは良くて、直接顔を合わせて話をするのはダメってどういう事なんだろう。

いまいちランスロットの中の良識が解らない(困惑)

 

 

「と、とにかく。もう夜も明けますし、マスターは少しでも休息をとってください。

(ランスロット)も、もう争う意思はないようですし。」

 

 

ジャンヌの提案に顔を上に向ければ、木々の隙間から微かに白み始めた空が見えた。

本当だ、もう朝なんだ。

 

 

「それじゃあ、お言葉に甘えようかな・・。」

 

 

これから(ラ・シャリテ)まで歩き通しになるみたいだし。

少し横になって体力を回復させてもらおう。

そう思い、私はテントを張ったあたりに視線を向けーー

 

 

「あっ。」

 

「こ、これは・・」

 

「まぁ、あれだけ景気良くぶっ放してりゃこうなるわな。」

 

「(キッ!)」←マシュ

 

「(滝汗)」←ランスロット

 

 

ボロ布と化したテントの残骸を目の当たりにし、頭を抱えた。

 

あー、うん。そうだよね。

ランスロットのあのガトリング砲の嵐の中、テントだけ無事な筈ないよね。

 

私は穴だらけの布切れの端を指先で摘みながら。

またカルデアから新しいテントを送ってもらうのは気が引けるし、この上で寝るしかないか・・と思案する。

 

土を払ってうまく折り畳めば、ひと1人が寝そべるくらいのスペースは確保できそう。

あとは枕代わりになるモノがあると助かるんだけど。

うーん。枕、マクラ、まくら・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ならば、わたくしの膝枕をどうぞ。

安珍様(ハート)」

 

 

「「「「・・・はっ?」」」」

 

 

いつの間にか私の傍らで正座をしていた緑色の髪の女の子。彼女は私を自身の膝に招くようにその白い両腕を広げ、ニコリと微笑んだ。

 

えっ?えええぇーーっ!?

 

 

「どちら様でございますかーっ!!?」

 

 

若干のデジャヴを覚えながら、私は反射的に女の子に尋ねる。

すると女の子はショックを受けた様に眼を見開き、続いて悲しげに目を伏せた。

 

 

「そんなっ!わたくしの事をお忘れになったのですか?あなたの最愛の妻、清姫ですっ!!」

 

 

妻だ、と・・?

 

 

…………………………………………………………………………………………

 

※毎度更新が遅くてすみません。

気づいたらマシュがランスロット(狂)をボコボコにしていた。解せぬ←

 

そしてランスロット以上の最凶のストーカーが登場。想い人(?)の危機を察知し、フランス組のところから走って追いついて来た模様。

安珍追跡センサー、恐るべし(ガクブル)

 

 

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