第三者視点
清姫からの逃走を続ける中、ロマンから
(ランスロットのアレな策はもちろん却下である。)
始めは彼女もその策を拒んでいたが、他に手がない事と最後には彼への信頼が勝り。ついにキャスターの策を承諾。
迷いを振り切るように己の右手を掲げ、最後のマスターはそこに宿る《令呪》を切った。
「来てっ!キャスターッ!!」
「おうよ!焼き尽くせ木々の巨人ーー」
作戦通り転移に成功したキャスターは、寸前まで練り上げていた自身の魔力を解放。
数刻前に不発となった己の宝具を、此度は邪魔されることなく発動した。
「《
地面に赤光の線が幾つも走り、瞬時に魔法陣が描かれる。
そこから熱風と共に、燃える樹の巨人が出現しーーー
「ッ!?ああっ!!」
おろされた巨腕の直撃はーーキャスターがあえて外した為ーーまぬがれたものの。
生じた灼熱の突風に小柄な少女の身は耐え切れず。彼女は小さな悲鳴を上げて後方へと吹き飛ばされる。
事前に先制攻撃をキャスターから知らされていたマシュ達は。巻き込まれぬよう一時、左右に別れて熱風をやり過ごすと。
そのまま清姫とキャスターを追い抜き、己のマスターとようやく合流を果たした。
「先輩っ!」
「マシュ!みんな!」
再び合流出来たことに安堵の息を吐く面々。
しかし、未だ藤丸立香の身に差し迫る危機が去ったわけではない。
キャスターは走る速度をゆるめた彼らを、追い立てるかの様に
「安心するのは早いぜマスター。
「・・キャスター。」
苦渋の決断を既に下した彼女は、唇を一度キツく噛みしめた後。
1人足を止めた為に、後方へと徐々に遠ざかる彼へと走り続けたまま振り返り。叫ぶ。
「キャスターッ!皆と街で待ってるから。
その子を落ち着かせたら必ず来てねーーっ!!!」
「ーーッ!」
それは《足止め》の為に1人残ったキャスターへ、藤丸立香がかけた激励と信頼の言葉。
そこに含まれるのは《足止め》ではなく《勝利》を求める彼女の意思。
彼ならば相手を殺めずとも《勝利》し、《追いついて来れる》という確固とした信頼。
一見、身勝手とも取れるその台詞の意図を察し、キャスターは小さく笑むと。
背を向け『了解だ、マスター。』とでも云う様に、己のマスターへとヒラリと左手を上げ振ってみせた。
その行動を視界に捉えた藤丸立香は、彼に応えるように大きく頷き。
共に駆ける仲間達へと笑顔で声をかける。
「キャスターなら大丈夫。
ーーー急ごう、みんなっ!」
「はい!」
「行きましょう、マスター。」
「( ゝω・)bグッ!」←ランスロット
《(あっ、ランスロットくん。
まだマシュの『口を開くな』って言い付けキチンと守ってるんだ。)》
ーーーこうして藤丸立香達はキャスターと一時の間別れ、
(ーーー
遠ざかる藤丸立香らの気配を背に感じつつ。
上げた左手を下ろし、キャスターは胸中でポツリとぼやく。
彼は思惑通り、自身がマスター達の強い《信頼》を勝ち得ている事実に。
『
(まだ油断はならねぇが。
この調子でいけば、まず間違いなく『適時』に《令呪》と《命》をマスターから奪える。)
ランスロットとの戦闘中に《令呪》に向けた己の一瞬の《視線》に気づいた勘の良さ。
《人》の域を逸脱しつつある驚異的な身体能力など。
不可解な点のある己のマスターに対して、警戒すべき事柄は多々あるが。
彼女と揺るがぬ《信頼》さえ築けていれば、それ等はどうとでもなるのだ。
長く過酷な《人理修復》の旅路の果て。
全てを終わらせ、人類を救った
大いなる使命を自身は無事に果たせたのだと安堵し、致命的な隙を生むだろう。
傍らに、心の底から信を置く。
『主君と女は殺さない』と自ら
ーーその次の瞬間、
《令呪》を奪い。
《命》を奪い。
《成した偉業》を奪い、《無》に帰す。
かくして
喪われた
(大丈夫だ。待ってろ。
必ず迎えに行く。必ず助けてやる。
今度こそ今度こそ今度こそ今度こそ。
何があろうと、絶対に。
俺がオマエをーーー)
弔い合戦?
見回り?
主君と女は殺さない?
ーーー
『嘘』に『真実』を織り交ぜながら、キャスターは周囲の者達をこれまで巧妙に騙してきた。
《
全ては求める『
その為にーーー父親は『
けれど、
「・・あぁ、そんな。
安珍様がまた・・遠くに。」
「ーーー。」
ーーキャスターは
キャスターは亡き息子へと向けていた意識を、眼の前の倒すべき敵へと戻した。
彼の目先の敵こと、清姫は。
熱風で少し焦げついた着物を気にした風もなく、ゆらりと倒れた身を起こす。
その狂気の渦巻く淀んだ瞳は、キャスターの事など眼中にはなく。
ただ藤丸立香達が走り去った方角、一点だけを見つめていた。
「どうして、逃げるのですか・・安珍様?
こんなに、わたくしはアナタ様を愛してるのに。愛してるのに。愛してるのに。愛してるのに。愛してるのにっ!!
本当に心の底から愛しているのにっ!!?」
彼女の喉から
突如、細い身体から炎が吹き出し。
その身を瞬きの間に包み込んだ。
ひるがえる髪と着物は青き炎へ。
白い肌は爬虫類の如き鱗へ。
女人の形は異形の姿へ。
「逃さなぃいい″いい″っ!!!!
《
現れたのは、青き炎を纏う白き大蛇。
生前と同じく《
爛々と昏い
だが、そんな彼女の前に
「悪りぃな嬢ちゃん。
まだマスターには死なれちゃ困るんでな。
邪魔させてもらうぜーーーそらよっ!」
《
「シャアアアアアッ!!!」
しかし、転身した清姫も先程とは一味違う。
素早く身をくねらせ攻撃を躱すと、燃える樹の巨人へとその長い胴体を巻き付かせた。
《
胸部の檻に生贄を閉じ込めて火を放ち、神々へ捧げるという人身御供の道具である。
よって、《宝具化》していようともその耐久性は実質あまり高くなく。
清姫の『巻きつく』攻撃によりアッサリと巨人はバラバラに壊され、無残な姿で地面へと転がった。
「・・・・。」
その光景を動じることなく、無言で見届けるキャスター。紅い瞳の眼差しは、壊された巨人の残骸へと静かに注がれている。
そんな無防備な彼の肢体に、頭上からスッと大きな影がさした。
「あんちん様と、わたくしの仲を裂く
なんと、彼女のバーサーカーな脳内では2人はいつの間にか復縁していたらしい。
愛し合う2人の仲を邪魔する『敵』と認定されたキャスターに。
狂える大蛇の口内から放たれた、青い火炎が迫る。
「・・・はぁ。
やっぱりバーサーカー相手に無謀だったか。」
右手の掌から力を抜き、溜息を吐きつつ愛杖を地へと落とすケルトの
その顔には有り有りと諦めの感情が滲んでいた。
・・・・こうして。
『
当然この戦いの勝者は、清姫。
「ーーー《キャスター》のままで、勝つのは。」
・・・とは、ならなかった。
骨1つ残さず焼き尽くさんと迫る業火を、展開した防壁のルーン魔術でやり過ごすキャスター。
同時に《
「ーーー来いっ!!」
続いて、彼が《
壊された巨人の檻の奥に潜んでいた『
『
すぐに染みこむ様にその身と同化する。
そして・・フランスの地にて一刻の間。
「■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!!」
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※ハートフルストーリーの前に、キャスニキVS清姫だけで今回は終わってしまった(白眼)
くっ!次こそはっ!!←
そして新たな事実・・というか独自設定が判明。
作中では分かりづらいですが、実はキャスニキの《今》のクラスは。
《クー・フーリン/オルタ(キャスター)》ではなく。
《クー・フーリン/(キャスター&バーサーカー)》という『ダブルクラス』となっています。
普段はカルデアの眼を誤魔化す為に《
その場合はキャスターの時の9:1の『霊基』の割合が逆転し、1:9へ。
つまりほぼ(オルタな本人いわく「世界最高にロクでもない代物」な) バーサーカーに変転します。
ちなみに残った1割の理性は
きよひー、ごめんよ。
話の都合上、君がカルデアに来ると色々めんど・・ではなく問題が(冷汗)
次回こそ予定通りハートフルストーリーをっ!