コンラくんのFGO   作:彼に幸あれ

64 / 64
邪竜VS邪竜

第三者視点

 

 

 

講じた策がうまくいき、どうにかファヴニールを魔女(ジャンヌ・オルタ)から遠く引き離す事に成功したフレイズマル。

『絶★殺ッ!!!!』と激昂する長男を後ろに引き連れ、全力で空を翔け(逃げ)ていた彼の瞳に。ついに巨城と、山となった黄金の数々が映る。

 

此度の策で『餌』として利用した《黄金の山》は、陽の光を反射して不気味なほど美しく輝いていた。

 

 

【(ーーー着いたか。

さて・・・・っ!?、はっ!!?)】

 

 

その眩しさに僅かに眼を逸らしたフレイズマルは。意図せず、『此処に居るはずのない者達』を視界に入れ瞠目(どうもく)した。

 

 

【(何であやつらがこんな所にっ!?)】

 

 

先行した己とジークフリート達の後を追って。地上から戦場(ラ・シャリテ)へと向かっている筈のコンラ達が、何故かオルレアン城の傍らに居る。

意味がわからない←

 

 

【(くっ!今から場所を変えるのは無理か・・・やむを得んっ。)】

 

 

フレイズマルは苦渋ながらも。

最悪、彼らを『己と息子の戦い』に巻き込んでしまう事を覚悟した。

 

 

【ーーーふんっ!!】

 

 

グルンッ!!!

突如、猛スピードで翔んでいた邪竜(フレイズマル)の巨体が前転した。天地が逆さまになった姿勢で、彼は懐に飛び込んで来るファヴニールを迎え討つ。

 

 

【フレイズマルゥウ”ウ”ウッ!!!!】

 

【うおおお”おお”おおおおっ!!!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、城の上空に飛来した2匹の邪竜に眼を疑うオルガマリー達。警戒しながらも相手の出方を窺っていると。

争い始めた双竜の片割れが、溢れんばかりの憤怒と憎悪を込めて《とある名》を咆哮する。

 

その《名》に覚えがあった彼らは。

今度は別の意味で驚愕の眼差しを2匹の邪竜の片方ーーーフレイズマルへと向けた。

 

 

「えっ!?フレイズマル?

あれフレイズマルなのっ!!?」

 

〘ヒュ〜☆ただの弱ぇクズかと思いきや。

やるっすねカワウソのオッサンッ!!〙

 

「うう"・・ごめ、ううん"っ。」←((うな)され中)

 

「・・・まっ、腹くくったんだろうよ。」

 

 

息子を殺す(救う)為に、自ら人である事をやめ(邪竜へ堕ち)た父親。胸の内に息子達への愛情と償いの念を秘めた、その悍ましく呪われた巨体を。

 

ある者は、ただただ驚き。

あるモノは、『見直した』と賞賛し。

ある者は急に魘されはじめた、眠る息子を一瞥した後。その決死の想いに《理解》を示しながら、見やる。

 

 

その間にも、邪竜の父子はまさしく命を削り合って戦っていた。

鋭い牙が、爪が、黒き鱗に喰い込み、骨肉を断つ。

繰り出した万力の拳は、(はらわた)を突き鱗を剥ぐ。

吐いた灼熱の炎は、鱗に護られぬ弱き部位を焼き焦がす。

両者から流れ出た血は互いの躰を濡らすだけでは留まらず、下方に血の雨を降らせた。

 

天空で演じられる。

凄惨で、醜悪な、邪竜(肉親)同士の殺し合い。

まるで彼らの生前の行いを繰り返すかのような光景。そして勝利の天秤は、かつてと同じ結末を目指す様にーーー

 

 

【グアああぁあ"ア"ァッ!!!?】

 

「フレイズマルッ!!」

 

 

少しずつ、少しずつ。

長男たる邪竜(ファヴニール)(がわ)へと傾き始める。

 

 

 

…………………………………………………………………………………………………………

 

 

 

 

ふわり、ふわり。

 

 

 

(ーーーーー。)

 

 

深海から海面へ浮上するかの如く。

夢の淵を彷徨っていた少年の意識は、ゆっくりと覚醒していく。

 

 

(ーーーーーぁ。)

 

 

彼が体験した『夢の中の出来事』を。

ポロポロと、その小さな掌から零れ落としながら。

 

 

(ーーーーまって。)

 

 

(ーーーーいっちゃ、やだ。)

 

 

 

離れていく『記憶の欠片』を引き留めようと伸ばされた手は、無意味に宙を掻くばかりで届かない。

 

 

 

(ーーーーうみどりちゃんっ、■■■■っ。)

 

 

 

悲しみに彩られた音無き声が、微睡みの世界に響く。

 

 

 

 

《・・・・・。》

 

 

 

ふと、その声に応えるように。

まるで(かげ)る少年の心を慰めるかのように。

 

『誰か』が彼の頭を不器用に撫で。

少年の両眼をそっと両の手で覆い、瞼を閉じさせる。

 

 

 

《この程度の事でメソメソするな、痴れ者が。

・・・・・・案ずる必要はない。

『私達』は常にオマエのすぐ傍に居る。》

 

 

 

そう囁いた『どこか聞き覚えのある声』を耳にしたのを最後に。彼の意識は夢から醒め。

零れた記憶は、水泡のように弾け儚く消えた。

 

 

 

…………………………………………………………………………………………………………

 

 

 

 

「ぅ・・、あっ。」

 

 

パチリと、少年ーーコンラの閉じられていた瞼が開く。彼は眠りから覚めて早々。

憶えの無い喪失感と安堵感、そして喜びを抱いている自分に戸惑った。

 

 

(?、誰かと話してて・・何だっけ。)

 

 

いまだ少しばかり寝ぼけながら、僅かに残る『夢の記憶』を手繰り寄せる。

 

 

(怒られて。でも、励ましてもらった・・ような?うぅ、ダメだ。これ以上覚えてないや。)

 

 

薄っすらとしか思い出せない『夢の記憶』を、コンラは惜しく思う。何故かは解らないが。夢の中で話した『誰か』に励まされた事が、彼はとても嬉しかったのだ。

 

ずっとずっと『自分を見て欲しい』と乞い願い続けた相手が、思いがけず振り向いてくれた様な。そんな心地だった。

 

 

(いったい誰だったんだろう・・・って、あれ?

そういえば何で俺、寝てたんだ?)

 

 

ここに来てようやく、コンラは自分の現状に違和感を抱いた。それもその筈。

彼にしてみれば、キチンと憶えている記憶は『ファントムとの森でお話タイム』が最後。

まさかその話し相手(ファントム)に眠らされ、誘拐され。さらに監禁されかけたなど、思いも寄らないのであった。

ーーー誘拐監禁。ダメ、絶対ッ!!!!←

 

兎にも角にも。

やっと夢の残滓から抜け出し、眼が冴えたコンラ少年。彼は周囲を確認して、まずマスター(オルガマリー)に膝枕されている自分の体勢に驚き。

 

そして空を見上げる彼女の顔の、さらに先。

蒼穹に居る2匹の黒竜の姿を視界に捉えーーー

 

 

 

 

 

【グアああぁあ"ア"ァッ!!!?】

 

「フレイズマルッ!!」

 

 

 

「ーーッ!!?」

 

 

その片割れが、もう一方の首を喰いちぎる光景を目撃し、驚愕に眼を見開いた。

 

 

 

《だからこそ、全ての原因となったワシがあやつを殺めなければならない。この地にて再び始まってしまったあやつの苦しみを、ワシの手で終わらせてやりたいのだ。》

 

 

《ワシはーー『人』を棄て『竜』になる。》

 

 

 

数日前に聞いたフレイズマルの言葉達。

マスターが焦りを滲ませて叫んだ《名》。

 

それらの情報がコンラの脳内を素早く巡り。

彼は眼の前で起こっている出来事を、瞬時に理解した。

 

 

(マルちゃんがーーー危ないっ!!!)

 

 

「マルちゃんっ!!!!」

 

 

(フレイズマル)の危機を察したコンラは。

オルガマリーの膝から跳ね起きると、近くに浮いていたソウェイルを引っ掴み。ランサー達が止める間もなく走り出す。

 

 

〘ぐふえっ☆〙

 

「おい!?くっそ、またかっ!!」

 

「コンラッ!?待って!」

 

「ブルルッ!?」

 

 

上空の戦いに気を取られ、反応が遅れてしまった保護者2名と白馬であったが。彼らも直ぐさま火中に飛び込む少年の背を追いかける。

 

ーーー第一特異点(フランス)にて繰り広げられる戦いの1つが、終わりを迎えようとしていた。

 

 

 

…………………………………………………………………………………………………………………………

 

 

 

 

【(ぬぐぅ!?これは・・まずいっ!!)】

 

 

明滅する視界の中。

己の首から滝のように噴き出す血液を認識し。その出血量にフレイズマルは焦燥を抱く。

 

いくら《幻想種》の頂点と云われる強き存在ーー《竜種》であろうとも。

生物である以上、一度に大量の血液を失えば肉体に支障がでるのは当然の事象。現に彼は、自らの四肢の動きが著しく鈍ったのを自覚した。

 

 

【(くっ!やはり血を多く流し過ぎたか!!

ーーーーーならばっ!!)】

 

 

どうにか保たれていた、息子との力の均衡が崩れたことを悟ったフレイズマル。彼は空中戦は不利と判断し、いち早く戦いの場を地上へと移す。

 

 

ーーーーズシンッ!!!

半ば墜落するように不時着し、巨大な足で赤く泥濘(ぬかる)んだ大地を踏み締める。

 

喰いちぎられた首の傷は徐々に塞がりつつあるが、他の傷に比べて治りが数倍遅い。

急所への損傷は、回復にだいぶ時間がかかりそうだった。

いまだ傷口からドクドクと流れ出る血。

その赤い液体と共に、フレイズマルの体力と魔力は失われていく。

 

 

【グルルルル・・ッ!】

 

 

対して。憎き父親を追い、同じく血濡れの大地に足を着けたファヴニール。

こちらもまた体中に手傷を負ってはいるが、傷自体は深くなく。すでに血は止まり、ほぼ全ての傷が塞がりかけてた。

 

遠く離れ、弱まろうとも。ファヴニールに施された《魔女》の守護(強化)は消え失せる事はなく。

戦いが長引く程に、その《付与》の差は顕著になっているようだった。

 

 

【殺スッ!殺スッ!コロスッ!!!!】

 

 

彼は殺意に眼をギラつかせながら。ジリジリとフレイズマルとの距離を狭めていく。

次の攻撃で一気にトドメを刺し、決着を着けるつもりなのだろう。

父親もその意図を察し、身構えるが。

この状況ではファヴニールに部がある事は明らかだった。

 

 

【(っ、ーーーまだだっ!!

まだ殺される訳にはいかぬ。

なんとしても、ワシはお主をっ!!!)】

 

 

それでも諦めず、反撃の手段を模索するフレイズマル。足掻く彼は、時間を稼ごうと一歩後退り。

ブレスをいつでも放てるよう大きく息を吸い込んだ。

 

 

 

……………………………………………………………………………………………………………

 

 

※一度は投稿したものの、納得がいかず書き直し中。

お待たせして大変申し訳ありません!!

続きが出来しだい、すぐにUP致します!(スライディング土下座)

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告