※急に不定期投稿になってしまい申し訳ありません。今までの投稿分の文章を一部修正・追加しました。
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いつの間にか気を失っていたらしい。
目を覚ましたらフォウくんのドアップで、危うく変な奇声を上げそうになった。
おのれ許さん。
後でモフモフの刑だ。
そんな事を考えながら、腹の上から降りたフォウくんを目で追った。
そういえばここは何処だろう?
俺は寝かされていた高そうなソファから起き上がった。
部屋の内装を見回し、窓を開けて外を確認する。
どうやらアインツベルン城の中みたいだ。
「目が覚めたか。」
「キャスター。」
フォウくんが出て行った開けっ放しのドアからキャスターが部屋に入ってきた。
みんなの所在を聞くと、別の部屋で休んでいるそうだ。
「もう体は平気か?」
「うん。キャスターこそ手の傷は大丈夫?」
「あぁ、治った。」
キャスターの答えにホッと俺は胸を撫で下ろす。
なんか俺、この人に迷惑かけてばっかだな。
この城に来るまでの道中、杖だけで数体の骸骨をあっさり倒してたし。
きっとワザと俺達との勝負に負けてくれたんだろう。
自惚れでなければ俺の我儘の為に。
・・・これが父親、か。
ふと、前世に想いを馳せる。
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前世の時の両親は、俺が物心ついた時には既に死んでた。
だから父親のことは何にも覚えてないし、顔すらわからない。
死んだ両親に代わって俺を育ててくれた孤児院の人達は優しかったし。
親が遺してくれた遺産で一人暮らしを始めるまで一緒に育った。
同じような境遇の兄弟達とは仲良くやってたから特に寂しいと思った事はなかったけど。
正直、親という存在がどんなだったのか気にならなかったと言えば嘘になる。
まぁ、もう前世の俺は死んだからどうあがいても今更知りようがないんだけどな。
一瞬、前世の知人達の顔が脳裏を過ぎって、
二度と会えない事実に悲しい気持ちになった。
そして、やはり一番気になるのはーーー
《逃げろ!■■ラ!!》
俺を殺した友人の事だ。
あの時のアイツは明らかに様子がおかしかった。
いや、格好もいつものアロハシャツじゃなくて青いタイツ(?)みたいなのを着てた時点でおかしかったけど。
一瞬、知り合うきっかけになった港での釣りだけじゃなく。新たにコスプレにも目覚めたのかと思ったぐらいだ。
・・・って違う違う。
俺とアイツの趣味の釣りの話はどうでもよくて。
問題はあの、俺が殺された夜の事だ。
あの夜は確か、自作ルアーを作ってる最中に急に炭酸飲料が飲みたくなって。
近くのコンビニへ買いに出かけたんだよな。
深夜だったからちょっとビビりながら夜道を歩いてたら、いきなり近所から大きな爆発音がして。
最近テレビで何かと騒いでいるガス漏れ事故かと思って慌てて現場に向かったんだ。
そしたらそこには、コスプレみたいな格好をした集団と青タイツを着た友人がいて。
殺伐とした雰囲気に戸惑いながらも。
取り敢えず顔見知りのアイツに声をかけたら、めちゃくちゃ動揺されて。
俺がその反応に驚いてるうちに、アイツは急に頭を抑えて苦しみだした。
その苦しみようは、まるで何かに必死に抗っているみたいで。
尋常じゃない友人の苦しみ方に俺は急いで病院に連れて行こうとアイツに駆け寄って。
ーーーそして、アイツの握っていた朱い槍に胸を穿かれて死んだのだ。
《ーーーーう″、あ″アアアッ!!!?
■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!!》
あの悲痛な声を思い出して、確信する。
やっぱりあの時のアイツは普通じゃなかったんだ。
逃げろって言ってたし。
何が起こったのかはよくわからないけど。
本人の意志に関係なく、友人は無理やり俺を殺させられたのだろう。
そうじゃなかったら、あんなこの世の終わりみたいな絶叫上げるわけないし。
はぁ・・心配だな。
俺を殺した罪悪感とかで自殺してたりしないよな?
アイツはどう思ってたから知らないけど、俺はあんなにも気の合う友人はアイツが初めだった。
はじめてあった気がしないというか。
変な安心感があるというか。
とにかく、ともに過ごした時間は短かったけど。
アイツは俺にとって友人の中でも一際特別な存在だったんだ。
だから、本人の意志じゃなかったのなら。
殺された事を俺は恨んでなんかいない。
むしろ、自分の意志に関係なく誰かに支配されてたっぽい友人が心配だ。
なんか出会った時から幸薄い感じがしてたし。
ーーーマジで自殺してないよな?(滝汗)
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「ーーーコンラ?」
「ッ!」
ーーーまた同じ事をしてしまった。
俺は友人の身を案じ、思考にとらわれていた自分の意識を現実へと急いで引き戻す。
いつの間にか伏せていた顔を上げると、訝しげに俺を見下ろすキャスターと目が合った。
うわー。俺の馬鹿。
イリヤちゃんの時と同じ事繰り返してるよ。
これ以上、この人に気を使わせなくなかったのに。
俺は内心で自分の馬鹿さ加減に苛立ち覚えながらも、キャスターに謝る。
「ごめん、キャスター。
ちょっとボーッとしてた。」
「・・・そうか。」
キャスターは特に俺を責めるでもなく、相槌を打ち。
「ーーーえ?」
なんの前触れもなく、佇んでいた俺を軽々と抱え上げると。俺がさっきまで寝ていたソファーへと、再び俺を寝かせた。
「ん?え?あれ?」
目を白黒させる俺に、キャスターは自分の身に纏っていた外套を脱いでかけてくれた。
「オマエ自身は回復したと思っていても、実際のところまだ本調子じゃねぇんだろ。・・・まだ時間はある。もう少し大人しく寝てろ。」
「っ!」
ぶっきらぼうなセリフを口にしながらも、頭を撫でるキャスター指先からは労るような優しさを感じられた。
戸惑いながらも見上げたその瞳には。
確かに子を想う親の、慈愛に満ちた温かな光が宿っていて。
俺はーーーー
「ーーーごめん、なさい。」
俺はその瞳を見て、酷い罪悪感を覚えた。
この人は、俺の事をこんなにも気にかけてくれるのに。
息子として俺に愛情を注いでくれるのに。
俺は薄情にも、この優しい父親の事を忘れてしまったのだ。
なんて親不孝者なんだろう。
物凄い自己嫌悪に、俺はまた泣きそうになった。
ーーーなんか俺、涙もろくなったな。
身体に精神が引っ張られてるんだろうか?
辛うじて冷静な頭の一部が自分自身にツッコミを入れてくるが、今はそれどころではない。
弛みそうになる涙腺を抑えるだけで必死なのだ。
涙が出そうなのを体を震わせながらも根性で堪える俺。
そんな俺の様子に、キャスターは珍しく狼狽していた。
「おい。いきなり謝ってどうした?
ーーーっていうか泣きそうじゃねえか!?
どうした!?どっか痛いのかっ!!」
キャスターの切羽詰まった様子の問いを、俺は首を横に振って否定し。
問われるままポツリポツリと、小さな声で謝った理由を話した。
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はい、ご察しの通り。
生前の主人公を殺ったのは紛れもなく第五次聖杯戦争のランサー(ヤリニキ)です。
ヤリニキ、マジで申し訳ない。
ちなみに本作のキャスニキはこの時の記憶は座から引き継がれていない設定。