フルメタル・アクションヒーローズ   作:オリーブドラブ

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第20話 変換ミスには気をつけよう

 ……さぁ〜て、勢いで自宅から飛び出してしまった俺達なわけですが。

 

「あそこの喫茶店、かなり綺麗ねぇ。それにお客もたくさん来てるみたいだし……最近建てられたのかしら?」

「そうよ。ここの商店街で一番新しいとこやけん、人も多いんや。田舎町の商店街にしちゃあ、なかなか洒落とるやろ?」

「そうねっ! じゃあ、あそこに行ってみましょうか」

 

 商店街にて……二人の美少女は、周囲からの好奇の視線をガン無視しつつ、楽しくアフタヌーンを満喫していて――って、なんでだァーッ!?

 

「どしたん龍太? ヤバい顔になっとるで?」

 

 俺の困惑はどうやら顔に出ていたらしく、矢村はギョッとした表情で訝しんで来る。

 

「どうしたもこうしたも、なんでこんな状況が出来上がってんだよ!」

 

 目の前の展開には違和感しかないというのに、救芽井と矢村の二人は喚き散らす俺を見て「お前は何を言っているんだ」とでも言いたげな視線を送って来る。

 

 あーそーですかい。おかしいのは俺だって言いたいんですかい。だったらねぇ、俺から見て何がおかしいかを洗いざらい白状しようじゃありませんかッ!

 

「さっきまで『訓練』だの『勉強』だの宣ってたのに、なんでこんなやんわりムードな二股デートに発展してんだよ!? いつも俺の都合に合わせてくれてる矢村は、百歩譲ってまだわかるとしても――救芽井までもが一緒になって出掛けるなんて、どーゆー風の吹き回しだよ! なんだぁ? お前のことだからコレも何かの訓練だったりすんのか? 何が飛び出して来るんだ? タライでも降って来るのか!」

 

 今まで二言目には訓練訓練とうるさかった救芽井が、こんなお気楽タイムに無条件で付き合うはずがない。これは罠だ! きっと空からタライでも降って来るに違いない! どうせ降って来るならギャルのパンティか女の子をお願いしたいところだけども。

 

 「さあこい! なにが来ても怖くなんかないぞ!」という意思を示すべくファイティングポーズを取る俺だったが――当の救芽井は「ああ、それね」とずいぶん軽い反応を見せた。こ、こいつの意図が読めん……!

 

「休息を兼ねての、敵情視察よ」

「し、刺殺ゥゥゥッ!?」

 

 俺は思わずのけ反ってしまう。こいつ、こんなかわいい顔して何をいきなり恐ろしいことを!?

 

「あなたとお兄さんのやり取りで、剣一さんのヒントを得ることが出来たわ。商店街のはずれにある廃工場……。そこに彼がいるのなら――もしくは彼にたどり着く手掛かりがあるなら、行く価値はあるわ」

 

 そ、そんなぁ……それで寝込みでも狙ってブスリと行くつもりなのか!? 俺はただ指示通りに従っただけだけど、それでもこんな、こんな犯罪の片棒を担ぐ結果になるなんて……!

 

「まぁ、かと言ってすぐさま乗り込んでも『呪詛の伝導者』の返り討ちに遭うのが関の山。あの戦闘兵器に対抗できる手段が見つかっていない以上、彼自身の動向から弱点を探るしか打開策はないわ。どんなに強い兵器を持っていても、どんなにたくさんの機械人形を従えていても、『古我知剣一』はただの『人間』なんだから」

「じゃあ、いわゆる『張り込み』みたいなことするん?」

「そうよ。この商店街をスタート地点に、少しずつ例の廃工場を目指すわ。私はこの町の地理は詳しくないから、二人の協力が必要になるわね」

 

 ぬえぇぇぇ!? 俺一人ならいざ知らず、矢村にまで殺人罪に巻き込もうと言うのか!?

 ダメダメ! そんなのお父さん――じゃなくても許しませんよ! 地獄には俺みたいな穀潰しがお似合いなんだからなッ!

 

「ちょっと待ったぁ! 廃工場までの案内なら俺一人でも出来る! だから矢村だけは巻き込まないでくれ!」

 

 俺は恥も外聞も捨てて、縋り付くような口調で救芽井に迫る。急に切迫した顔になった俺に動揺したのか、彼女の面持ちにも焦りの色が浮かんで来ていた。

 

「きゅ、急にどうして?」

「どぉぉしてもだッ! 俺は一昨日のことがあるし、一度深く関わっちまった以上は仕方のないことだと思うよ!? だけど、矢村は本当に、単なる『とばっちり』なんだ! これ以上危ない橋を渡る一般ピープルは俺だけでいい! 俺にはお前を止められるだけの力はないし、助けてくれた恩もある! だから、だから地獄には俺一人で堕ちるから、矢村だけは勘弁してやってくれぇぇぇ……!」

 

 矢村には、今まで勉強を見てもらったり、いろいろと気に掛けてくれていたことがある。そんな彼女に、殺人の共犯を強いることなど、できるはずがない! どうせタイーホされるなら、犠牲は一人でも多く減らさなきゃならない……!

 兄貴、親父、母さん、ごめん! 冷たい牢屋に入れられても、家族のみんなのことは、絶対に忘れないからなぁぁぁ!

 

「りゅ、龍太……! アタシのこと、そんなに心配して……!」

 

 矢村は目尻に涙を浮かべつつ頬を赤くして、両手で口を覆っている。どうやら、殺人罪に巻き込まれる恐怖から解放される喜びを、全身で噛み締めているようだ。

 そうだよな、こんなの怖くて当たり前だ。だから、もう泣かなくていい。全ての罰は、俺が背負うッ!

 

 しかし、その一方で救芽井は何かしら腑に落ちない表情を浮かべている。俺が何かおかしなことを言ったのだろうか?

 

「えーっ、と……矢村さんを巻き込みたくないっていうのはわかるんだけど……『私を止める』ってどういうこと?」

「な、なに言ってんだ!? お前が古我知さんを殺すだなんて言い出すから――!」

 

 

「――はい?」

 

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