神の異世界探訪   作:三枚目の切り札

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前日譚になります。「いや、最初に投稿しろよ」と思うでしょうが、1話をあの引きで終わらせたかったんだ…。
注意!トゥルーエンディング及び、エグゼイド本編のネタバレを含みます。


Episode ZERO Reaper再起動!

数年前

 

「あぁぁ!」

 

あるのどかな昼下がり。一人の男の叫び声が、聖都大学附属病院電脳救命センター、通称CRの室内に響き渡った。

 

「うるせぇな!神なら神らしく、もっと威厳ある態度でいたらどうなんだ」

 

アロハシャツに白衣をひっかけた男、九条貴利矢は不機嫌そうに声を上げた。

しかし、現在この部屋にいるのは彼一人である。ならば、叫び声はいったいが上げたのか。

CRの片隅、部屋の内装に似つかわしくない眩い光を出すゲーム機がある。

しかし、明るいイメージとは裏腹に、画面には暗いコンクリートに囲まれた部屋が映っていて、手前には檻のように、光の柱が数本並んでいる。

一見、牢獄のような印象を受けるその部屋に一人の男が立っていた。先ほどの叫び声は彼の出したものだ。

 

「黙れ!一体いつまで私をここに閉じ込めておくつもりだ!神の才能を持つ私を閉じ込めておくなど、決して許されない!」

 

彼の名は檀黎斗。6年前に発生したバグスターウイルスという人に感染するコンピュータウイルスに対抗するために、仮面ライダーに変身するためのゲーマドライバーとガシャットを開発した男だ。

 

「なに言ってんだ。あんたのせいで、どんだけの人間が消滅したと思ってんだよ。そうやって無事にいられるだけで、ありがたいと思えっての」

 

しかし、黎斗は自らの野望のためにバグスターウイルスを使って、バイオテロを起こした張本人でもあり、そのせいで多くの人々が消滅することになってしまった。

 

「何を言う。私は人々に最高のゲームを提供しようとしただけだ。」

 

黎斗の目的は、バグスターウイルスが人間の体を媒体として現実世界に出現する怪物、バグスターと、それに対抗する力を持った仮面ライダーの実働データを収集すること。そして、そのデータを元に人々がライダーとなって現実世界で戦うゲーム『仮面ライダークロニクル』を作ることだった。

 

「まっ、その最高のゲームもあんたの父親に奪われちまったんだけどな。」

 

しかし、仮面ライダークロニクルは人類の命の管理しようとした黎斗の父親、檀正宗によって奪われてしまったのだった。

 

「奴の話はするな。奴は私のゲームを汚したクズだ。第一、消滅者のデータは安全に保存されているんだ。何の問題もないだろう。」

 

ただし、消滅した人間はデータとして残っており、完全に消えたわけでは無い。プロトガシャットという小型の機械の中に保存されている。貴利矢も、黎斗自身もプロトガシャットに保存されたデータを元に、バグスターとして蘇った存在である。

 

「つっても、消滅者を人として元に戻す方法がまだ見つかってないだろうが。そこから早く出たいなら、さっさと治療法を見つけるんだな。そうすれば、ちっとは自由になるかもな。」

 

とはいえ、彼がバイオテロを起こした事実は変わらないため、今も衛生省の監視されているのである。

 

「分かっているさ。消滅者を元に戻す方法については考えている。しかし何事にも気分転換は必要だ。普段とは違う環境が、思わぬひらめきを…。」

 

「はいは~い。今日はここまで~。」

 

ブツン

 

と、ゲーム機の電源が切られ画面が暗くなる。

 

「おのれ、九条貴利矢。」

 

話を途中で切られた黎斗は、自分が軽く扱われたことに悔しさを感じるが、すぐに不敵な笑みを浮かべ、

 

「ふっふっふ。まぁ良い。たとえ牢獄の中であろうと、私にはこの神の才能があるのだからな。」

 

パソコンの画面を見ながら、自らの力を確かめるように彼はそっとつぶやいた。

 

それは偶然だった。仮面ライダークロニクルを巡るバグスターウイルス事件から約6か月後、

ゲーム会社『マキナビジョン』の社長、ジョニー・マキシマがバグスター用の変身ドライバー、バグヴァイザーを盗み悪用、強大な力を持つゲムデウスマキナとなって世界滅亡を目論んだ。

 

「私が発明したガシャット、バグヴァイザー、さらにはゲムデウスまで勝手に利用するとは、思い出すだけで腹立たしい。」

 

仮面ライダーたちの力によって事件は無事終結した。

 

「しかし、得るものも大きかった。」

 

この事件は大きな余波を生んだ。

マキナビジョンの社員、南雲影成が病弱な娘が元気に暮らせる世界を作るために開発した、VR(仮想現実)の中に人を閉じ込めることができる『ハリケーンニンジャガシャット』に発想を得た黎斗は、新しいガシャットの構想を得た。

 

「何より、これらを回収できた。監視の目があるここでは二度と手に入らないと思っていたが。」

 

さらに戦いのどさくさに紛れて、影成の持っていたバグヴァイザーを回収。さらに、ゲムデウスマキナの力を抑制するために彼と融合した際に、そのウイルスを密かに採取していた。

 

「やはり、私の才能は恐ろしい。」

 

異なる世界へ転移するという発想と全能の力を持つゲムデウスマキナのウイルス、そして、彼の才能が組み合わさった結果、新たなガシャットが誕生した。

その名も

 

『スーパーマイティ・ワールド』

 

主人公のマイティがお菓子の妖精を救うため、違う世界を舞台に戦うアクションゲームである。これを元に黎斗は異世界へ渡るガシャットを生み出した。

そもそも、黎斗がバグスターウイルスを知ったのは偶然である。彼の才能をもってしても、バグスターウイルスの存在を知らなければ、ガシャットを開発することはできなかっただろう。だからこそ彼は求めた、異世界のまだ自分の知らない技術を。

 

「では、いざ出発。」

 

そして、黎斗は回収したヴァイザーを使いガシャットを起動、彼の精神のみが肉体から離れ、床に出現した土管に入っていき、異世界に転移した。

偶然発見したバグスターウイルスが自分に新たな力をくれたように、才能ある人が自分の才能を刺激してくれたように、異世界での出会いが自らの大きな躍進を生むことを願って。

 

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