異世界の忍者は大変です。 作:OXYGEN
城門から1人の青年が出てきた。その青年は、今にも飛び立ちそうな顔と、ゲンナリした顔を交互に表していた。大通りにでて、馬車が一通り通過するのを待って、青年は走り出した。叫びながら。
「いつ全ハイブリット貰えるんだよぉぉぉぉぉー!」
青年は、しばらく走ると周りを見回し、近くの料亭に足を向けた。
その料亭は、以前から王都にある有名な料亭だった。彼はこのことをを知った上で走った。決してがむしゃらに走った訳では無い。ドアに手を掛け、ドアを引く。中からは、人々の話し声や食器の接触する音などが聞こえてきた。それと共に、料理の良い匂いがしてきた。この店の看板メニューは、鹿の頬肉唐揚げ、鹿肉のシチューなどの鹿料理だ。ほかの店と違うのは、その日の内に捕った鹿を捌いて、料理する事だ。どこで、捕まえるかというと基本は、コルネ山脈やその周りの森で捕まえる。捕まえるのは昼時が多く、4時を過ぎたあたりからは格段鹿肉の質が上がる。
それより前の肉はどうするのかというと、洗って水気を切っておく。その間に、玉ねぎを薄切りにしてきつね色に炒める。玉ねぎが冷めたら、生肉にきつめに塩をすり込んで、この玉ねぎで包むように寝かせ、これを素焼きの壺の中に入れておくのが、一般的な保存法だ。しかも、涼しくて暗いところに保存しておけば夏場でも数ヶ月は腐らない。しかし、玉ねぎの状態によっては、玉ねぎの甘み、辛みが移ることがあり、王室では魔法による冷凍保存もしくは、低温保存をしている。
蓮は、案内された席で料理を頼み、それを待つ。そして、料理が出てきたら、食べる。それだけのはずだった。しかし、料理を待っていると、隣の席の所謂、「冒険者」や「討伐屋」、「傭兵」などと言われる職種(主に、動物や魔物などを狩り、得たものを売ったりして生計を立てたり、戦争に自主的に赴き対価を貰う)の者2人が騒ぎを起こした。
因みに、剣を携える必要のある職種の人間は、検定を受けて、階級が決まる。階級ごとに、武器の性能や狩りの対象、傭兵時の賃金設定など、様々な決まりがある。最高階級は、1級、最低階級は10級、その間に準1級から準10級がある。
彼らは、酒が回ったせいか、狩りをした時にどちらが、前衛かなど、どちらが強いだの、下らないことで喧嘩をし、いきなり店内で決闘が始まった。それまでの間、蓮は何もせず耳を傾けるだけ、後は魔法関連の本を読んでいた。流石に、決闘となると気になり見てみたが、どちらの剣も、分析魔法を使わずともわかる程、低性能の剣だ。特性も恐らくないと思われる。
-特性というのは、持ち主に特殊な能力与えるものや、斬ると炎が出て相手を焼くなど、様々ある。しかし、特性は些細なもので、魔剣や聖剣、神剣クラス出ないと相手を圧倒するような力は得られない。また、鎧なども同じである。その能力の強さは、物の強さに値する。物が弱ければ特性もない。物が強ければ、特性も強いし、複数ある場合もある。-
そのため、それほど強い輩ではない。しかし、弱いと言っても蓮などの【高位の者達から見ると】であり、一般市民にはとても危険だ。そのため、「やるなら外でやれ」などと、声が上がる。しかし、2人は言うことを無視し、剣を引き抜いた。周りの空気は凍りつき、物音一つ立たなかった。数秒の間を置き、右側の男が仕掛けた。左側の男は盾を構え、防御をした。しかし、剣と盾が触れることは無かった。