ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車
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ちょっとしたヒビキの過去話

またあの夢を見た。

また自分は病室の中にいる。

すると医者が入ってきた。

ケーブルで繋がれた機械を見て自分を観察している。

恐らく検診的な物なのだろう。

何もないと分かり医者は病室を出た。

 

 

しばらくすると病室の扉が叩かれた。

自分は反応して「どうぞー」と口を動かした。

するとまたあの時の女性が入ってきた。

そして自分に話しかけてきた。

 

「良かったぁ~・・・○○が生きて・・・」

 

何故自分の名前が聞こえないのだろう。

それどころか何となく聞き覚えのある声だった。

 

「病室って暑いね、って言ってもパーカー着てるからなんだけどね」

 

女性は「えへへ~」と笑い、自分と話していた。

あの声と喋り方は良く知っている。

所々抜けたとこがあり、それでいてSAOで頼りになった。

 

「ねぇ、体調は大丈夫?」

 

「ん、ああ・・・大丈夫だぞ」

 

「ボクが変わりに○○の病気受けれたらなぁ~・・・」

 

「馬鹿言うな、これは誰にも譲らん、自分で治すさ」

 

「うん!しっかり治してよね!・・・じゃボクはもう行くね」

 

「ああ・・・んじゃあな・・・ユウキ」

 

俺はそこで夢から覚めた。

 

 

目を開けるとそこにはまだヒビキに引っ付いて寝ているユウキがいた。

 

「こいつ・・・まだ寝てんのか」

 

「すぴ~・・・」

 

「・・・ほっぺでも弄ろう」

 

気持ち良く寝ているユウキに悪戯したくなったヒビキはユウキの頬を摘んで遊んでいた。

どんな人でもそんなことすれば起きる。

当然ユウキは目を擦りながらも起きた。

 

「んむ・・・」

 

「おはよう、ユウキ」

 

「ヒビキ・・・?」

 

「そうだけど?」

 

「本当に・・・?」

 

「・・・嘘ついてどうすんだ」

 

「ヒビキだぁ~!」

 

ヒビキだと分かるとユウキはヒビキにまた抱き着き、ソファーでユウキに押し倒された。

さすがにユウキもどういう体勢か分かったのかどんどん顔が赤くなっていった。

 

「・・・どいてくれるか?」

 

「ふぇ!?う、うん!」

 

「ったく・・・大事な話しようと思ったけど止めるか・・・」

 

「えぇ!?・・・聞く!聞きます!」

 

ユウキはすぐに聞く体勢になるとヒビキもそれにあわせて座り直した。

 

「・・・この話はカグラ以外知らない話だ、多分お前が初めてだろうな、他人に話すのは」

 

「うん」

 

「一応SAOが最期・・・って可能性出るかもしれないしユウキには教えておく」

 

「・・・」

 

ユウキは静かに頷くとヒビキは続けて言った。

 

「俺は親が居ないんだ、家族はカグラだけ」

 

「・・・そうなんだ」

 

「親父が母さんを捨てて他の女と過ごすようになって、そのショックで母さんは体調を崩しはじめた。ガキだった俺は何もしてやれずにそのまま母さんは死んだよ」

 

「お父さん・・・は?」

 

「交通事故。高速道路で衝突事故が起きたそうだ・・・詳しいことは知らんあんなくそ親父なんぞ」

 

「そっか・・・」

 

「確か・・・去年の6月辺りだな、結構大事故だったらしいからニュースでもトップで取り上げられてた」

 

「それボクも知ってるよ」

 

「そうか・・・それで、まぁ俺とカグラは親戚の家に引き取られた。だが・・・その親戚共が何も思わず引き取るとは思えんくてな、何か企んでると思って探したよ、家中な」

 

「まぁ良く有りがちな遺産目的ってのが分かって俺はカグラを連れて家出した。幸い信頼できる人は居たからそこで暮らしてる」

 

「そうなんだね・・・でも最後ってどういうことなの・・・?」

 

「多分このSAO事件を聞き付けて家出したとこの親戚が引き取る可能性が出る、まぁ俺は真っ平ごめんだが、そうなってしまうと帰還した後ユウキの元に行く事が厳しいと思う。親族共は俺とカグラの遺産目当てだからな、確実に狙う機会を伺うだろう。それに俺自身、元々持病持ちだしな」

 

「そっかぁ・・・」

 

「そんなしょんぼりすんなっての」

 

「だって・・・」

 

「しゃーねぇなぁ・・・寂しがりな嫁さんのために行ってやるよ、絶対にな」

 

「ほんと・・・?」

 

「あぁ、絶対に行ってやる。それに世話になってる所以外の親族に挨拶回りしねぇとだしな」

 

「やったぁ~!」

 

「ったく現金なやつめ」

 

ユウキはヒビキに笑っているとヒビキも一緒に笑った。

ヒビキはユウキを巻き込まないよう考えたつもりが逆に心配させる事となった。

ならばずっと一緒に居てやる事が今のヒビキにしてあげれることだろう。

 

「ユウキ、帰るぞ」

 

「ふぇ?どこに?」

 

「どこって家にだよ」

 

「・・・うん!」

 

ヒビキはユウキを連れて店を出た。

同じ22層にあるのが楽で良かったと思えた。

 

 

その後ユウキはヒビキがまた家に帰ってきたことに安心したのか寝てしまった。

 

「ごめんな、心配かけて・・・これからはずっと一緒に居てやるからな」

 

そうユウキに言ったヒビキの顔は大切な物を見つけたような顔をしていた。

 

(親族が何言ってきてもユウキんとこに行ってやる、それが現実世界に帰った後ユウキにしてやることだ)

 

ヒビキはそう心の中で決め、ユウキの頭を撫でた。

撫でられて嬉しいのかユウキが寝言を漏らした。

 

「ありあと・・・ヒビキ・・・」

 

「可愛いやつめ」

 

ヒビキはそういうとユウキの隣で一緒に寝付いた。

今日は良い夢が見れる。

そう思えたヒビキだった。

 

 




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