ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車
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《幻想剣》と《二刀流》

74層迷宮区。

そこのモンスターはほとんど狩り尽くされていた。

何故ならば。

 

湧いた瞬間すぐさま倒していく4人。

キリト、アスナ、ヒビキ、ユウキだった。

 

キリトとヒビキが前衛をし、交代でアスナとユウキが変わる。

ヒビキとユウキを誘ったため単純に効率2倍になっていた。

 

「ったく74層のモンスターにしては弱いな」

 

「ヒビキが強すぎるだけだよ・・・」

 

ユウキも呆れて言うしかなかった。

キリトとアスナもヒビキの戦闘をあまり見ないため、レベル的に大丈夫か聞いていた。

キリトは94、アスナは87、ユウキは85だった。

しかしヒビキのレベルは101。

いつの間にかレベル上げをしていたのかと気になるぐらいだ。

 

「ねぇヒビキ君」

 

「んあ?」

 

「どうやって上げたの?そんなに高く」

 

「単純にスキル熟練度上げでしてたらいつの間にかレベル上がってた。故意的に上げようとは思ってなかったし」

 

「そ、そうなのね・・・」

 

「てか・・・さすがに疲れた、休憩入れね?」

 

「だな、数時間はやってるし」

 

「ボクもさんせー!」

 

「じゃあご飯にしましょうか」

 

と戦闘を一旦止めて安全エリアにて休憩を取ることにした4人。

アスナがバゲットを出すと中には大量のサンドイッチがあった。

それに合わせてユウキもサンドイッチを出していた。

 

「ん、二人して料理スキル取ってたのか」

 

「ええ、簡略化されすぎてつまらないけどね」

 

「てかユウキはいつ練習したんだよ・・・」

 

「えっとぉ・・・あはは~・・・」

 

「まぁ良いや、そこまで気にしないし」

 

と言うとユウキからサンドイッチを受けとったヒビキは食べた。

キリトも同様にアスナから貰う。

 

「うん、アスナの料理は美味しいな!」

 

「美味しいぞ、ユウキ」

 

やはり料理人としても作ってくれた物を美味しく食べてくれると嬉しいのか二人して喜んでいた。

 

少しして4人はご飯を食べ終えるとキリトが何かに気づいた。

 

「誰か来る」

 

「人数は」

 

「結構いる」

 

キリトの《索敵》スキルによって誰かがこちらに来るのを伝えられ、4人は警戒する。

すると奥から人影があった。

 

「おっ、キリトにヒビキじゃないか!」

 

「なんだ、クラインか」「おめぇかよ、警戒して損したわ」

 

「なんだそのひっでぇはん・・・のう・・・?」

 

クラインがキリトとヒビキともう二人に目をやる。

すると驚愕した顔をし、キリトの肩を掴む。

 

「お、おい!キリトどういうこった!?」

 

「血盟騎士団副団長のアスナです、よろしくね?」

 

「ユウキだよー、よろしく!」

 

「こ、こ、これはどうも!俺はク、クラインとも、申します!り、リアルじゃ独身・・・ぐはぁ!?」

 

「人の嫁に何聞かせてんだ・・・」

 

とヒビキに腹に蹴りを入れられたクライン。

キリトもこの時だけは同情しなかった。

 

「ヒ、ヒビキ!その薬指・・・まさか!」

 

「ん?あぁ、ユウキと結婚してる」

 

「何だよー!教えてくれてもいいじゃねぇかー!」

 

「はいはい・・・ん、ちょと席外す」

 

そういうとヒビキは席を外した。

 

「ああ・・・悪い、アスナにユウキ。悪い奴じゃないんだが・・・」

 

「あはは・・・」

 

「良いよー、気にしてないから」

 

すると奥からまた人がきた。

服装から《軍》だと分かる。

 

「よし、休憩!」

 

と号令をかけると一気に座り、中から一人キリトに向かって歩いてきた。

 

「わたしはアインクラッド解放軍、コーバッツ中佐だ」

 

「キリト、ソロだ」

 

「君達はこの先の探索は終わっているのか?」

 

「ああ、ボス部屋前まではマッピングしてある」

 

「ふむ・・・ならばそのマッピングデータを提供していただきたい」

 

「はぁ!?お前マッピングの苦労しらねぇのかよ!」

 

クラインの言うことはもっともだ。

迷宮攻略でマッピングデータはとても重要となる。

隠し部屋からボス部屋まで・・・その迷宮の地図とも言える。

 

「いいよ、クライン・・・分かった」

 

「おいおい、キリトそれは人が良すぎるぜ」

 

「マップデータで商売はしないよ・・・それに街に戻ったら公開しようと思ってた」

 

キリトはコーバッツと取引でマッピングデータを渡した。

 

「協力感謝する・・・立て!」

 

コーバッツは部下に号令をかけ立たせると先に進んだ。

それを見ていることしか出来なかった。

 

するとヒビキが戻って来る。

 

「ヒビキー、何してたの?」

 

「カグラがユウキに迷宮攻略終わったら来てくれだとさ」

 

「分かったー!」

 

すると聞いていたのかクラインが食いついてきた。

 

「ヒビキ!カグラってあのカグラか!?」

 

「お、おう?誰を指してるかしらんが・・・」

 

「22層に店構えてるあのカグラじゃねぇか!」

 

「ん・・・あぁ、あいつか・・・でそれがどうした?」

 

「あそこってお得意様だけだろ?俺らにも紹介してほしいんだ」

 

「聞いてみる」

 

ヒビキはカグラにメッセージを送った。

『なんかお前に武器作ってほしいらしいんだが・・・』

 

『絶対嫌』

と慈悲などかけず返ってきた。

 

「クライン、諦めろ。3文字で返ってきた」

 

「マジか・・・ちなみになんて?」

 

「絶対嫌・・・だとさ」

 

「マジかよぉぉぉ・・・」

 

確かにカグラの作る武器はマーケットにかけると数十万コルするぐらいの大業物だが、入手経路がとても厳しい。

まず素材は自己負担、経費は10万コルとあるのだが、一番厳しい物が、お得意様限定というカグラに気に入られたプレイヤーのしか作らない。

 

「ま、諦めな・・・と、ボス部屋行ってみるか」

 

とヒビキが行こうとすると止められた。

それも3人に。

 

「一人でか?」

 

「・・・一応どんなのか見るだけだからな?戦いは・・・多分しない」

 

「でも確かに見るだけ見ておいたのが良いかも?」

 

ユウキはヒビキの考えに賛同し、キリトとアスナも同様だった。

クラインのギルドも一緒に行くらしく、ボス部屋に向かった。

 

その途中で悲鳴がした。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ヒビキ!今の!」

 

「・・・走っていくからついて来いよ」

 

と言い残すとヒビキは走って行った。

ユウキもついて行き、それに合わせて全員ヒビキを追い掛けた。

 

 

ボス部屋の扉を開けると先ほどの軍が居た。

しかしさっきより人数が減っている。

 

「何してんだ!転移しろ!」

 

とヒビキが言うも兵士は首を横に振る。

 

「クリスタル無効空間・・・!?今までそんなの・・・」

 

「無かったよ、ここがボス部屋で最初だ」

 

ユウキとキリトが言うとボスは体勢を崩したプレイヤーに攻撃しようとした。

そして攻撃により扉に吹き飛ばされたプレイヤーがいた。

コーバッツだった。

そして頭の兜は割れ、顔があらわになるとコーバッツは涙を流した。

 

「あ、ありえ・・・ない・・・」

 

そう言った後コーバッツはポリゴン状となった。

それを見たアスナは細剣を抜き、中に走って行った。

 

「ダメ・・・ダメェェェェ!!」

 

「アスナ!・・・ヒビキ!」

 

「ったく、ここで倒すぞ!」

 

「おうよ!」

 

ヒビキの号令で全員中に入り、アスナを追った。

負傷した兵士を逃がし終えるとヒビキとキリトがボスを相手していた。

 

「出来るだけ攻撃は受け流さず避けろ!だいぶ持ってかれる!」

 

「わかった!」

 

「ユウキ!スイッチ!」

 

「うん!」

 

ヒビキが注意を流すと回復のためユウキと交代した。

だが、やはりボスの火力が高すぎる。

そしてキリトに耳打ちした。

 

「キリト、あれ使え」

 

「・・・でも」

 

「使い渋ったら・・・俺ら全員死ぬぞ」

 

「・・・分かった」

 

キリトは何か覚悟をすると、ボスを相手している三人に言った。

 

「クライン!ユウキ!アスナ!20秒稼いでくれ!」

 

「おうよ!」

 

「分かった!」

 

「了解!」

 

するとその時間にキリトはアイテムストレージを開きあるものを探し、見つけると装備欄の左手に装備した。

 

「良いぞ!・・・行くぞ、ヒビキ」

 

「あいよ」

 

キリトと交代した三人は目を見張った。

片手剣が2本、キリトの手には握られていた。

そしてヒビキも《幻想剣》スキルを発動させ、ボスの攻撃を受け止めた。

 

「キリト!やれ!」

 

「あぁ!」

 

完全に準備出来たキリトと交代したヒビキは念のためソードスキルを発動させ構えていた。

 

キリトは二つの片手剣でボスの攻撃をせき止めると、顎を殴った。

 

「スター・・・バースト・・・ストリーム・・・!」

 

キリトが技名を呟くとボスの身体にどんどん攻撃していった。

横、縦、クロス・・・とどんどんソードスキルを当てていく。

そして最後の一撃を与える。

 

「はあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

だが、ボスは僅かにHPを残し、すぐにキリトを攻撃しようとする。

 

「キリト君!」

 

「少し残してんじゃねーか・・・」

 

アスナが助けに入る前に前を通った者、ヒビキがソードスキルを発動させてボスとキリトの間に入ると、ボスの攻撃を剣で受け流すとボスの腹を上に向かって蹴り飛ばした。

 

「・・・グラドスキュワード」

 

グラドスキュワード。

《幻想剣》スキルで習得出来るソードスキルで、発動条件に相手が宙に浮いていることが条件となる。

スキュワードと書いてあるとおり刺々しくなった幻影剣を相手に串刺しのように攻撃していく。

それをボスに向かって、ヒビキは剣を振りかざす。

 

ヒビキがふりおわるとボスはポリゴン状となり、消えた。

そして《Congratulations》と表示され、第74層を突破した。

 

だが二人の体力は大分削れていた。

特にキリトはほぼHPが残っておらず死にかけである。

ヒビキはハイポーションをキリトの口の中に流し込む。

 

「ありがとう、ヒビキ」

 

「なーに、一応準備はしてたしな」

 

「キリト君!」

 

「あぁ・・・アスナか・・・」

 

「ヒビキー!」

 

しばらくし、アスナとユウキ達が近寄る。

無事だと分かるとほっとしていたが、二人の目には涙が溜まっていた。

 

「キリト君の馬鹿!死んじゃうと思ったじゃない!」

 

「ごめん・・・心配かけた」

 

「ヒビキもだよ!あと一発当たってたら死んでたかもしれないんだよ!?」

 

「あぁ・・・うん、すまん」

 

二人して怒られているとクラインがやってくる。

キリトはクラインに聞いた。

 

「クライン、何人だった」

 

「コーバッツの奴とあと6人死んだ」

 

「そうか・・・死者が出たのは67層以来だな」

 

「こんなのが攻略って言えるかよ・・・それよりもおめぇら!何ださっきの!」

 

「・・・言わなきゃダメか?」

 

「だろうな、ここまで公に出したんだ、隠す必要もねぇだろ」

 

クラインが先ほどボスのとどめにもなった攻撃に二人を問いただした。

 

「・・・《二刀流》スキルだよ」

 

「《幻想剣》スキル》」

 

「出現条件は?」

 

「分かってたら公開してる」

 

「情報屋にも載ってねぇ・・・それってお前達専用じゃねぇか!?」

 

「だろうな、公に出すとめんどいから出してなかったが」

 

「確かにネットゲーマーは嫉妬深いからなー、俺は人間が出来てるが、そりゃ嫉みとかあるだろ・・・ま、それも人生だと思って頑張りたまえ、若者よ」

 

「はは、何だそりゃ」

 

クラインの言葉にじじくさいと思いつつ、クラインにアクティベートを任せ、各々解散した。

 

 

 

そしてヒビキは家で正座している。

そして目の前には怒ったユウキ。

 

「何か言うことは?」

 

「心配かけてごめん」

 

「ホントだよ!またあの時みたいに突っ走って!今回も生きてたから良かったけどもしかしたら死んでたかもしれないんだよ!?」

 

「・・・返す言葉もございません」

 

「まったく・・・それで、あのスキルはなんなの?」

 

「出たのはこの武器・・・ファンタジアを装備して1ヶ月ほどした辺りだな。名前は聞いたとおり《幻想剣》。ユニークスキル」

 

「だからって隠してたんだ」

 

「ユウキに教えて、ばれたときユウキにも疑いがかかるかもしれないからな・・・だからずっと黙ってた」

 

「むぅ~・・・ボクのためなのは分かるけど・・・それでも危なかったのは変わらないんだからね!」

 

「ホントにごめんな」

 

と怒ったユウキを座らせ、隣に座ると頭を撫でた。

怒ってても撫でられるのは好きなのかすぐに機嫌が良くなり、されるがままだった。

それを見たヒビキは少し撫でるのを荒くしてみた。

 

「ふにゃぁぁぁぁぁぁ!」

 

「なんつー声出してんの」

 

「ヒビキが撫でるの荒くするからだよ!」

 

「はいはい、すんませんねー」

 

「ちゃんと謝れぇ~!」

 

「なら追いついてみるがいい!もっとも一度も捕まったことないがな!」

 

ヒビキがあえてユウキを挑発し、舞台は家から外で追い掛けっこが始まった。

ヒビキが大人気なく本気で走っていくがユウキが追いつける程度に距離を作る。

ユウキもおちょくられて怒るが、ヒビキなりに自分を元気づけようとしていると分かっている。

 

「もー!待てー!ヒビキー!」

 

ユウキはこれからもこの人にずっと付いていこう。

改めてそう思わされた。

 

 



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