ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車
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カグラちゃんの過去話です。
人によっては嫌な内容かもしれません・・・。


最悪の結果の結末

私、雪宮神楽は元々はお兄ちゃんとは血が繋がっていない。

元の名は紺野神楽でなんか色々あって雪宮という名字になった

父の連れ子だった私は父が離婚すると暴力を振るった。

当然幼かった私は何も出来ないまま、されつづけた。

 

ある日、父が再婚すると言い出した。

その人は優しそうな人で見ず知らずの私にも優しくしてくれた。

そしてもう一人私に優しくしてくれたのがお兄ちゃんだった。

お兄ちゃんは私を本当の妹みたいに接してくれた。

 

いざ再婚して引っ越しをした。

自分の部屋をもらえたけど狭い空間で過ごしていた私にはとても広く感じた。

だけど過ごしている内に段々となれてきて今じゃあの広さじゃないと落ち着かない。

 

入学手続きが終わり、学校を転校した。

だけど内気だった私は転校先で虐められた。

元々転校する前の学校でも虐められてたから何とも思わなかった。

ある日、一人の男子が私を呼び出した。

その子は唯一私に優しくしてくれた子で信頼していた。

だけどその日に違う男子・・・私を虐めていた男子達もやってきた。

 

「お前よくこんなのと話してられたよなぁ」

 

「だってどういう感じなのか知りたかったしな、まぁ楽しくはあったけどこれで終いだろ」

 

「えっ?・・・」

 

いきなり意味の分からない話をしだした男子達は私に近付くと刃物を出した。

子供でも何も思われない刃物・・・カッターナイフだった。

男子達は私にカッターを見せつけてきた。

 

「・・・なぁ、いい加減さ、目障りなんだよ。転校生とか俺ら関係ないから。だから・・・死んで?」

 

私はそれから逃げるように階段を昇って行った。

だけど屋上の扉に追い詰められて扉に手をかけた。

すると鍵はかかっておらずそのまま屋上に入れた。

 

男子達は屋上にまで来てもう逃げるところが無かった。

 

「何逃げてんの?死ぬの怖いとかじゃないよね?せっかく殺してもらえるんだから喜べよ」

 

「ひっ」

 

「あっはは!こいつ怖がってやんのー!」

 

口から漏れた悲鳴を聞かれ男子達はそれを笑った。

そしてどんどん近づいてきて、途中で後ろに下がれなくなった。

 

「あっ、そういや屋上かー!なら落ちてみろよ、それなら楽だからさ」

 

「い、いやっ」

 

「・・・何口答えしてんの?早く落ちろよ」

 

男子達は近付く。

すこしずつ。

すこしずつ。

私はもう下がれなくなっている事を良いことに近づいて来る。

そしてカッターを持った男子が私に向けた時、カッターが怖くなって後ろに下がった。

 

 

 

 

 

そこからは何も覚えていない。

死んでるのか死んでいないのか分からなかったけど、目を開けると眩しい光があった。

天井には蛍光灯が光っていた。

 

「・・・び・・・ん?」

 

声を出して分かった。

自分の声が全然聞こえない。

機械音は聞こえた。

じゃあ何故自分の声が聞こえないのだろう?

簡単だった。

声帯が使えなくなっていた。

自分の声が。

もう二度と聞けないと思った。

 

「・・・」

 

いくら口を動かしても自分の声は聞こえない。

それが何故か悲しかった。

日常的に聞いていた自分の声がもう聞けない事が分かると悲しくなった。

 

 

だけど悲しんでいても何も始まらないと思って枕の近くにあるナースコールを押した。

ピーと音がしてしばらくすると看護師さんが来た。

 

「はいはーい!って、お目覚めになられたんですね、どこか痛いとこは無いですか?」

 

看護師さんはどこか痛いとこが無いか聞いてきた。

自分の声が使えないと思われたくなかったのか、首ふりで答えた。

 

「高所から転落したのに痛みが無いんですか・・・また後日に骨の検診してみましょうか」

 

「・・・」

 

私は首をふって答えた。

すると看護師さんはご家族が来ていると言ってくれたので入れてもらった。

 

「神楽ー!」

 

「・・・」

 

「大丈夫か?!どこか痛いとことか!」

 

親バカみたいに聞いてくるお兄ちゃんには心配かけさせたくない。

だから私は首をふって何も無いと合図した。

 

「・・・隠し事は良くない。それぐらい声だせば良いだろ?首を動かすのはまだ痛みが出るはずだ」

 

図星だった。

すこししか一緒に居ないお兄ちゃんには隠せないと思った。

だから私はあえて口を動かして声をだそうとした。

 

「・・・ぁ・・・ぅ・・・ぁ」

 

「・・・もういい、何も喋んなくていい」

 

そう言ったお兄ちゃんの顔は見えなかったけど、少し泣いている声がした。

お兄ちゃんに心配かけさせた。

お兄ちゃんを悲しませた。

それだけで私の何かが壊れるのは充分だった。

 

 

 

骨も元通り・・・とはいかなくても退院しても大丈夫なぐらいに戻った私は先生に退院したいと執筆で伝えた。

すぐに許可が下りて私は退院出来た。

お兄ちゃんもバイクを乗って迎えに来てくれた。

 

「・・・迎えに・・・来たぞ」

 

「・・・」

 

「荷物・・・貸しな」

 

どこかお兄ちゃんは悲しそうな表情で言ってきた。

私はそんな顔を見たくて退院したんじゃなかった。

早く退院して喜ぶお兄ちゃんの顔が見たかった。

 

荷物をお兄ちゃんに渡して私はお兄ちゃんの後ろに乗るとヘルメットを渡されてそれを被った。

 

「吹き飛ばされたら危ないからしっかり捕まっとけよ」

 

お兄ちゃんにそう言われて背中にがっちり引っ付いて吹き飛ばされないようにした。

 

 

少しすると家に着いて、久々に帰った。

だけど家は静かでまるで誰も居ないような感じになっていた。

 

「神楽、後で俺の部屋来てくれ」

 

お兄ちゃんがそう言い、2階に上がった。

私の部屋も2階にあるので一緒に上がって服を着替えた後、言われたとおりお兄ちゃんの部屋に入った。

 

久々に入るお兄ちゃんの部屋は明かりを拒むように遮光カーテンで日光を遮断し、パソコンの電子的な明かりだけがあった。

 

「・・・来たか」

 

「・・・」

 

「良いか、これは・・・事実だ、もう変えようのない事実」

 

「・・・」

 

「あの糞親父が・・・母さんを捨ててどっか行った。母さんも・・・そのショックで体調崩して去年・・・死んだ」

 

「・・・ぇ・・・」

 

ほとんど声の出ない私が漏らすほど衝撃的だった。

仲の良かった母と父が突如私の前から消えた。

私はペタンと床に膝を付いた。

 

「糞親父は交通事故で死んだ。遺産は全て俺と神楽に宛てられるらしい」

 

「・・・」

 

「俺はどうにかして金を稼ぐ。遺産には極力頼らないようにしないと絶対に生きていけない」

 

「・・・」

 

「神楽、俺は絶対にお前を一人にしない。お前みたいな子を放ってなんかおけない」

 

泣いている私を後ろからお兄ちゃんが優しく抱きしめて撫でてくれた。

それだけで今まで頑張って我慢していた物も一緒に出した気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒビキは早めに起きて家を出て風に当たっていた。

何となくではなくカグラの事を考えていた。

 

「あいつが・・・あんなになる・・・か」

 

昨日のカグラの様子。

あれが異常でしか無い事を知るヒビキはそこまで時間が無いと思っていた。

あのまま続けば・・・いつかカグラの精神が壊れる。

そう思ってならないヒビキはどうにしかして考えていた。

 

「恐らく現実世界じゃあの先生が俺らの担当医になってる・・・カグラの事もあまり気にはかからないと思ってはいたが・・・」

 

現実世界での神楽の担当医であった倉橋という医師だ。

人間不信になっていた神楽に何とか入り込み、治療を唯一行うことが出来ていた。

それゆえに恐らく確実に神楽の担当医は倉橋だとヒビキは踏んでいる。

 

「あの先生なら・・・カグラを任せれるが・・・今のカグラが持つ訳が無い。絶対に壊れてしまう」

 

カグラの事を考えていると時間は7時になった。

討伐作戦は11時決行なので朝ご飯を作ろうと、ヒビキは台所に向かって行った。

 

 

 

ユウキとカグラを起こしてご飯を食べさせた後、カグラをどうするか悩んでいた。

 

「ねぇ・・・ヒビキ」

 

「ん」

 

「カグラちゃん・・・どうするの?」

 

「どうするって・・・置いて行くしか無いしな・・・」

 

「でも・・・一人だと何かあったら・・・それにこんな状態だよ・・・?」

 

カグラの精神状態は未だに弱々しい物だった。

普段であれは一日寝ていれば元に戻ったがまだ怯えているような状態だった。

 

「はぁ・・・カグラ。絶対にここに戻って来るからこの家でお留守番出来るか?」

 

「・・・ゃ」

 

「・・・俺とユウキが行くとこはカグラにはとっても危ない所なんだよ、正直カグラを連れてはいけない。だからここで俺達が帰ってくる家を守っててほしいんだ」

 

ヒビキが上手いこと言葉でカグラを言いくるめてなんとか家に待機させることに成功し、カグラは寝室に戻って行った。

ユウキもさすがにずっと引っ付かれて疲れたのかぐったりしていた。

 

「すごいね・・・あんな言い方出来るなんて」

 

「そうか?適当に思ったことを考えて繋げるだけだろ」

 

「それが凄いんだよ・・・」

 

「ふーん・・・ってもう10時半だ!そろそろ集合時間だぞ!」

 

「へっ、うそ!?急がなきゃ!」

 

時間の事をすっかり忘れていた二人は急いで家を出て67層に向かった。

 

 

 

67層に着く頃には時間は10時50分。

集合場所は迷宮区前なのでこのままだと間に合わないと感じたヒビキ。

 

「ユウキ!このままじゃ間に合わねぇから俺の背中に乗れ!」

 

「へっ!?ボク走るから大丈夫だよ?!」

 

「なら追いつけよ!」

 

と言うとヒビキはアイテムブーストを使って移動速度を大幅に上げて全速力で向かった。

ユウキも何とか走ってヒビキを追い掛ける。

 

「待ってぇぇ!ヒビキぃー!」

 

 

 

 

10時58分に何とか着いた二人は息を切らして座り込んでいた。

その二人に気付いてキリトとアスナもやってきた。

 

「おはよう」

 

「お、おはよう・・・」

 

「だ、大丈夫?」

 

「大丈夫・・・だよ・・・」

 

これから討伐作戦を行うというのに疲れ果てた二人のおかげで緊迫した緊張感はある程度取れた。

 

 

そして決行時間になり、67層の本拠地に乗り込んだ。

その場所はすぐにそれらしき場所があり、一斉に乗り込む。

しかしラフコフの一人もおらず、全員は警戒をするが。

 

 

突然一人が攻撃される。

そこには10人ほどのフードを被ったプレイヤー。

そして討伐隊を囲むように40人ほど現れた。

その中には幹部の『ジョニーブラック』と『赤眼のザザ』も居た。

 

「あれぇ~?黒の剣士じゃんかぁ~!」

 

「幻剣。それと絶剣がいる」

 

いきなり50人と幹部2人が出てきた事によりプレイヤー達は警戒を強める。

 

 

そして一人のプレイヤーが戦闘を開始した同時に他のプレイヤーも戦闘を開始した。

 

「やっほ~?黒の剣士~?」

 

「ぐっ・・・!」

 

 

「幻剣」

 

「あ?」

 

ジョニーブラックはキリトに。

ザザはヒビキと戦闘をする。

だがキリトはジョニーに押されていた。

今回の討伐作戦は出来るかぎり捕縛が望ましい。

殺す行為はプレイヤーには辛いものだから。

 

 

だからこそジョニーやザザ等のラフコフは心置きなく殺しに行けると思っていた。

だが、一人のプレイヤーによってそれは覆される。

ザザがヒビキと戦っていると。

 

「へっ、こんな程度かぁ!!案外よえぇなぁ!?」

 

「・・・くっ」

 

ザザはヒビキに押されていた。

全プレイヤー中最高レベルであり、いつどこから攻撃が来るか分からない《幻想剣》スキルによりザザは後退するのみだった。

ヒビキだけを相手していればいつのまにかあの半透明の剣が準備され自分から刺さると考えていたザザは自分の周りを警戒しながらヒビキと戦っている。

 

「ほら、ほら、ほら、ほらぁ!たかが片手にレイピアが負けるとはなぁ!?」

 

「ぐっ・・・くそっ」

 

段々とラフコフメンバーは捕縛されていき、人数もかなり減った。

 

そしてザザはある判断をする。

それは、仲間であるジョニーを置いて自分だけ逃げるというものだった。

 

「・・・っ、転移・・・」

 

「あぁ!?」

 

ヒビキが阻止しようと転移結晶を持つ手を斬ろうとするが間に合わずザザを逃がしてしまう。

 

 

その瞬間、キリトが押され切られ、ジョニーはその瞬間適当なプレイヤーを麻痺にして捕まえる。

 

「きゃっ!?」

 

そのプレイヤーはヒビキの妻であるユウキだった。

残ったプレイヤーに集中し過ぎていたユウキはジョニーの一瞬な《隠蔽》に対応出来ず、麻痺状態にされ捕まえられてしまう。

 

「へへ!こっち来たらこの女殺すよ~?!」

 

ジョニーからすればザザに見捨てられ、仲間も減っているこの状況は不利過ぎた。

だからこそ麻痺状態にし人質を取れば容易には攻撃出来ないと踏んでいた。

 

「てめぇ・・・そのきたねぇ手を今から離せよぉ・・・」

 

「離す奴が居ると思ってんの~?有力プレイヤーであの絶剣を殺せるんだよ~?こんな美味しいチャンス逃す訳ないじゃんかぁ~!」

 

ジョニーがユウキを捕縛し、どこからでも盾に出来るようユウキを動かしていたためヒビキも容易に動けなかった。

 

「・・・よし、転移・・・!」

 

その時間でジョニーは転移結晶で逃げた。

 

 

 

ラフコフ討伐作戦は失敗に終わった。

討伐隊からは11名。

ラフコフ捕縛者は41名。

取り逃がした人数は9名、内2名はジョニーとザザ。

 

そしてユウキが連れ去られるという結果となった。

 

 

討伐作戦終了後、ヒビキは家に帰った。

しかしその足取りはどこかふらふらとしていた。

 

「おかえり、なさい」

 

「あぁ・・・ただいま・・・」

 

「・・・?何か・・・あった?」

 

「ユウキが・・・連れられた」

 

「・・・ぇ・・・?」

 

ヒビキは家で待っていたカグラに全てを話した。

そして話し終わった後、カグラを寝かせてヒビキは外に出ていつもの木に向かった。

 

「くそっ・・・くそっ・・・」

 

ヒビキは木に向かって素手で殴る。

何度も何度も。

 

「くっそがぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

その日、ユウキが《笑う棺桶》により連れ去られ、討伐作戦は失敗に終わり、ヒビキは虚しい声を上げた。

 

 

 

 




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