ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車
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ソードアート・オンライン《アインクラッド編》最終話です。


思想の末に行き着いた夢物語

75層の攻略当日。

主街区にて集合となっていたそこには攻略組などが集っていた。

中にはキリト、アスナ、エギル、ヒビキ、ユウキ。

ギルドの《風林火山》や《血盟騎士団》が居た。

 

「ふむ・・・時間だ。行こうか」

 

ヒースクリフが言うと回廊結晶を取り出し、ボス部屋前までの道を作り、そこに入って行った。

 

 

 

 

 

ボス部屋前まで移動した今回の攻略部隊はもう一度自身の準備等の最終確認をしていた。

 

「アスナー!」

 

「ユウキ!今日は遅れてないね」

 

「そんな毎回遅れてると思わないでよ!大体はヒビキのせいなんだから!」

 

「誰かの寝る時間が長いせいで遅くなるんだろうが」

 

「むぅ~・・・」

 

「キリト、そっちはどうだ?」

 

「俺が出来るかぎりの準備はしてきたつもりだよ、パーティーも知ってる奴が多いから連携も取りやすいと思う」

 

「だな、あと・・・初っ端から使うしか無いぞ、隠す必要も無いし使わずに死ぬなら使って死ぬほうがいい」

 

「ああ、分かってる」

 

ヒビキとキリトが話しているとユウキがヒビキに飛びついて来る。

 

「とぉ~!」

 

しかし受け止めず、あえて避けたためユウキはそのままからぶる。

 

「なんでよけるのさ~!」

 

「なんでわざわざこんな人が多いとこでいちゃつく必要があんだよ、恥ずいわ」

 

「って言いながら恥ずかしがって無いじゃんかぁ~!」

 

とユウキが反論していると頭にチョップが入る。

 

「あぅ!?」

 

「せめてやるなら家でやれ、俺がここでしたくないっての」

 

「む~・・・」

 

「仲良いな二人は」

 

「まぁな、そういうキリトもアスナと仲良いだろうが」

 

「ぐっ・・・」

 

仲の良さを見られていたヒビキはキリトに反論する。

キリトも図星なのか顔を背けるが、バレバレであった。

 

「っと、もうすぐじゃねぇかな、突入は」

 

「だな」

 

ヒビキが時間を見るともうすぐな感じの時間が経っていたためキリトに伝える。

するとヒースクリフが準備は良いかと聞いており、準備万端なのか全員は声を挙げた。

 

「ふむ・・・では突入する!」

 

「「「「「おおー!!」」」」」

 

ヒースクリフの号令に続いて他のプレイヤーも問題なしと答える。

そしてヒースクリフが75層の扉を開けると一気にプレイヤー達は中に入った。

 

 

しかし、ボスはどこにもおらず、困惑していたが・・・。

 

「おい、てめぇら!上だ!」

 

ヒビキの声に反応し見上げるとそこには、白い長いものがヒビキ達を覗いていた。

 

「・・・ザ・スカル・リーパー・・・」

 

「相手の攻撃手段見ないと全然わかんねぇな」

 

天井にはザ・スカル・リーパーと言う巨大な骨のムカデが張り付いており、見つかると壁を伝っておりてくる。

 

「全員散らばって、タンクはディーラーを防衛!」

 

アスナの指揮で全員は動く。

しかし、3人遅れてしまいボスの標的となった。

 

「逃げろ、お前ら!」

 

ヒビキが催促するも無慈悲な一撃をボスが与える。

HPがMAXまであったさっきのプレイヤーのHPが一気に0になり消えた。

 

「なっ・・・一撃だぁ!?」

 

「う、うそ・・・」

 

さっきのプレイヤーとて実力がある攻略組だった。

そのプレイヤーのHPを一気に刈り取ったボスの攻撃力に全員は後退りする。

 

「私が防ごう!君達はその間に相手の攻撃を見極めてチャンスを作ってくれたまえ!」

 

ヒースクリフが後退りしたプレイヤーに活気を入れるため、ボスの両手にある鎌の片手を防いだ。

それによって打開策を見つけるべくみんなはボスにダメージを与えていく。

そしてあることに気づいたヒビキはある考えヒースクリフに言う

 

「こいつの足・・・これだけの数があるっていう最初の迫力があるが、逆にいえばこれだけの足が無ければ体支えれないんじゃねぇか?」

 

「ふむ・・・ならば、どうするのだ?」

 

「・・・俺とキリトで足だけを集中狙いする。それで体勢を崩したら一気に畳み掛ける。その号令をヒースクリフ、あなたが言ってくれ」

 

「良いだろう、君の考えを信じてみよう」

 

ヒースクリフがまた防御に回ると、キリトと呼んだ。

 

「キリト!ちょっとこっちこい!」

 

「なんだ!」

 

「あいつの足の一本を俺が狙うからキリトはそれに続いて攻撃してくれ」

 

「何か意味が?」

 

「俺の考えが正しければ大きな一手が出来る」

 

「分かった!」

 

キリトに考えを言い、ヒビキは《幻想剣》スキルを発動させる。

 

「ふぅ~・・・!」

 

ヒビキは《幻想剣》スキルの一つ『ディレイク』を発動する。

 

「行くぞ、キリト!」

 

「ああ!」

 

「・・・燕返し!」

 

ヒビキはボスの数ある足の内、一本だけにソードスキルを使う。

使ったソードスキルは《幻想剣》スキル『燕返し』。

一つの剣から3つの斬撃を繰り出す。

それが全て当たるとボスは悲鳴をあげた。

 

「ギュアアアアア!!!」

 

そしてキリトが追撃に《二刀流》スキル『スターバースト・ストリーム』を当てる。

するとボスは体勢を崩す。

そしてヒースクリフはここだと思いヒビキに言われた通りに号令をかけた。

 

「ボスの足を狙うのだ!それが活路になる!」

 

ヒースクリフの言葉を信じ、プレイヤー達はボスの足を狙う。

それでも抵抗して来るボスの攻撃をタンク隊が全力で防ぎ、攻撃隊を防衛する。

 

 

そしてボスの足がどんどんと攻撃されていき、体勢を大きく崩した。

更なる隙だと感じ、ヒビキは3人を呼ぶ。

 

「キリト、アスナ、ユウキやれ!」

 

「ああ!」

 

「了解!」

 

「分かった!」

 

一気に3人がソードスキルを発動させ、ダメージを蓄積していく。

その間にヒビキはボスの頭に走って移動する。

 

「ボス・・・骨だろうが弱点は変わんねぇだろ!」

 

急所である頭は骨になっても変わらないと思い、攻撃が来る可能性が高い頭に移動する。

ユウキはそれを止めようとしたが無視し『幻影剣』を飛ばし少しでもダメージを稼ぎながら移動していた。

 

「ヒビキ君!?ここに来てどうしたのだ!?」

 

「奥義級スキルは急所に当てるもんだろ?」

 

ヒビキがいきなりやってきたことに驚くヒースクリフだがヒビキの言葉の意味を理解するもボスの攻撃が激しいのは変わりない。

 

「ここは危険だ、別のところにしたまえ!」

 

「そういう臆病なことしてたらおもんねぇからな、それは無理なこった!」

 

ヒビキはまた『ディレイク』を発動し、ボスの頭まで跳躍する。

そしてソードスキルを発動させる。

 

「さぁてぇ・・・てめぇの時間はもう終わりだぁ!」

 

ヒビキが《幻想剣》スキル『偽影・時空斬』をボスの頭に当てる。

1撃目を頭に突き、2撃目でそこから1回転するように切り込み、3撃目で上から叩き切る。

するとラッシュによって減っていた残り1ゲージのボスのHPを一気に全て削りきった。

 

「どぉぉぉらぁぁぁぁ!!」

 

「ギュアァァァァ!!!」

 

最後に悲鳴を挙げて、HPが無くなると力尽きたように地面に倒れ伏せ、ポリゴン状となって消えた。

そしてフロアには《Congratulations》と表示され、攻略が終わった。

 

 

 

攻略が終わり、疲弊するヒビキ達。

するとクラインが言う。

 

「何人・・・死んだ」

 

「・・・12人だ」

 

「嘘・・・だろ・・・」

 

「俺達・・・こんな調子でクリア出来るのかよ・・・」

 

キリトが答える。

しかし75層攻略にはあまりにも犠牲を出し過ぎた。

そして強い疲労感を全員に襲う。

ただ一人のプレイヤーを除いて。

 

(ヒースクリフの奴・・・あんなに平然と佇んでやがんのかよ)

 

ヒビキは未だに覇気を漂わせるヒースクリフに疑問を持っていた。

周りのプレイヤーと違い、まるで疲弊をしていない。

そしてヒースクリフのHP。

他のタンク隊のHPはイエローゾーンに入っている者が多いにも関わらずヒースクリフのHPはグリーンゾーンだった。

そしてある考えに至る。

 

「・・・キリト、ヒースクリフに対する疑問が出た」

 

「そうか・・・実は俺もだ」

 

「俺が試してそれが明るみになれば・・・」

 

「ああ、恐らく」

 

キリトも薄々感づいているらしく考えは一緒だった。

そしてヒースクリフがこちらを見ていない時にヒビキは《幻想剣》スキル『幻影剣』をいつでも発動出来るようにした。

 

「ユウキ」

 

「な、なに・・・」

 

「ちょっと・・・いってくる」

 

「えっ・・・?」

 

「アスナ、俺もいってくる」

 

「キリト君・・・?」

 

キリトとヒビキはお互いの相手に言うとヒビキに向かってキリトは頷く。

そしてヒビキは静かに剣を振るいヒースクリフに『幻影剣』を飛ばした。

 

「なっ・・・!?」

 

「ヒビキ?何してるのさ!?」

 

ユウキがヒビキに聞くとそれはすぐに理解した。

いや、理解させられてしまった。

 

「やっぱか・・・ヒースクリフ」

 

ヒビキとキリトはヒースクリフと向き合う。

そして『幻影剣』が当たるべきだったそこには《Immortal Object》と書かれたシステムウィンドウが表示された。

 

「なっ・・・団長、これは!?」

 

アスナがヒースクリフに問うがキリトは言った。

 

「この世界に来てからずっと疑問に思っていたことがあったんだ。あいつは今どこで俺達を観察し、世界を調整してるんだろうって」

 

「だが、単純な心理を忘れていたよ。他人のやっているRPGを傍らから眺めるほどつまらないことはない。そうだろう・・・茅場晶彦」

 

キリトの言葉にその場のプレイヤーは目を疑った。

最強プレイヤーとも言われたヒースクリフがこのデスゲームの創造者、茅場晶彦なのだから。

 

「参考までに聞かせてもらえるかな?」

 

「デュエルの時だ、あの時あんたはあまりにも早過ぎた」

 

「やはりか・・・キリト君。あの時、君の動きに翻弄されてついシステムのオーバーアシストを使ってしまった」

 

「へぇ・・・てことはあの時の動きも使ってんのか」

 

「ああ・・・あの時もだ。君との戦いがあまりにも楽しくてね・・・だがそれをも君は突破したがね」

 

「最強のプレイヤーが一転、ゲームのラスボスとはな」

 

「私的には良いストーリーだと思ったのだがね」

 

すると一人の血盟騎士団のプレイヤーがヒースクリフに攻撃してきた。

 

「こ、この・・・お、俺達の忠誠をー!」

 

するとヒースクリフはメニューウィンドウを弄り、そのプレイヤーを麻痺にする。

そして周りにもいるプレイヤーにも麻痺を与えた。

 

「ふぇっ・・・?」

 

「ユウキ!」

 

立っていたユウキとアスナにも麻痺が付与され、さらにヒビキにまで麻痺が付与された。

 

「・・・ここで見つかったから口封じでもすんのか?」

 

「まさか・・・そんなことはしない。100層までの対抗勢力として育ててきた血盟騎士団や攻略組を捨てるのは惜しいが・・・私は100層の紅玉宮にて君達を待とう。・・・だがヒビキ君、キリト君。君達には私の正体を看破した報酬を与えなくてはな。」

 

キリトとヒビキはヒースクリフの言葉を聞く。

そしてヒースクリフは続きを言う。

 

「チャンスを上げよう。今この場で私とキリト君で戦う。当然、不死属性は解除する。私に勝てばゲームはクリアされ、全プレイヤーがこの世界からログアウトできる。どうかな?」

 

「キリト君!駄目よ、ここは退いて!」

 

「・・・キリト」

 

ヒースクリフの条件にキリトは唇を噛み締める。

そしてアスナをヒビキに預けるとキリトは剣を抜いた。

 

「悪い、ここで逃げるわけにはいかないんだ」

 

「死ぬつもりじゃねぇんだろうな?」

 

「あぁ、必ず勝つ。勝ってこの世界を終わらせる」

 

「分かった、信じてるよ、キリトくん」

 

そしてキリトはヒースクリフに向かった。

 

「キリト!」

 

「キリトー!」

 

するとキリトを二人が呼んだ。

クラインとエギルだった。

 

「エギル。今まで、剣士達のサポート、サンキューな。知ってたんだ、お前が儲けのほとんど全部、中層ゾーンのプレイヤーの育成につぎ込んでたこと」

 

それを聞いてエギルは目を見開く。

そしてキリトはクラインにも言った。

 

「クライン。あの時、お前を置いていって悪かった」

 

するとクラインが泣きながら言う。

 

「てめぇ、キリトよぉ。謝ってんじゃねぇ!今謝るんじゃねぇよ!許さねぇぞ!ちゃんと、向こうでメシの一つも、奢ってからじゃねぇと絶対ゆるさねぇからなぁ!」

 

クラインが言うとキリトは少し笑って、ヒースクリフと向き合った。

そしてダークリパルサーを引き抜く。

 

 

ヒースクリフが不死属性を解除したのを見ると、キリトは攻撃した。

 

(二刀流スキルを設計したのはこいつ自身だ。ならば二刀流スキルを使わずに倒すしかない!)

 

キリトはソードスキルを一切使わずに自分の早さだけでヒースクリフと戦う。

ヒースクリフはキリトの一撃一撃を的確に盾で防いでいく。

 

(早く、もっと早く!)

 

キリトはどんどん早さを上げていく。

その勢いで二刀流スキルを発動してしまった。

するとヒースクリフは口元を上げるとキリトはソードスキルをヒースクリフに当てた。

《二刀流》スキル『ジ・イクリプス』の27連撃を当てていくがそれを全て的確に防がれ、最後の一撃を当てる。

すると、その一撃が盾にも当たった瞬間。

ダークリパルサーの剣先が折れた。

 

「なっ・・・!?」

 

「さらばだ、キリト君」

 

ヒースクリフはキリトの硬直時間の発生を狙い、ソードスキルで斬ろうとする。

 

 

 

しかしそれは何者かに弾かれ、当たる事は無かった。

 

「・・・確信の笑みは良いが油断ってのは駄目だなぁ!?」

 

「ヒビキ!」

 

「へっ、麻痺状態なんぞ俺にはきかねぇよ」

 

「君のスキルは私も内容を知らない未知の物だ。なぜこのようなスキルが存在しているのか不思議だがね」

 

「・・・キリト、ここは・・・任せてもらって良いか?」

 

「勝てるんだな?」

 

「誰が負けると思ってんだ」

 

「・・・任せるぞ、ヒビキ」

 

キリトは最後をヒビキに託し、倒れる。

 

「キリト君!」

 

「・・・ただの疲労だろ、ほっとけ」

 

ヒビキがアスナに言うとヒースクリフと向き合う。

だが後ろからヒビキを呼ぶ声があった。

 

「ヒビキー!」

 

「・・・」

 

「絶対、絶対勝って!勝たないと許さない!許さないんだからね!」

 

「・・・大人しく待ってな、お転婆娘が」

 

ヒビキのふざけた返答にユウキはいらっとするが、それでもヒビキを信じることにした。

これが本当に最後の戦いになると思ったから。

 

「さて、ヒースクリフ。舞台はこれで良いだろ、さっさとけりつけようぜ」

 

「ああ、あの時の続きをしようじゃないか!」

 

そして両者は互いに剣と盾を鎚迫り合わせる。

心地好い音がフロア内に響き渡り、何度も重ね合わせる。

 

「・・・はっ!」

 

「なっ・・・!」

 

ヒビキが足に力を入れると一気に距離を詰め、ヒースクリフの目の前に現れた。

それに驚くヒースクリフは【反射的に】剣を振る。

ヒビキはその腰に付けていた短剣を振るい武器を対処する。

武器を弾かれたヒースクリフは今度は盾で防御しようとする。

ヒビキの予想通りに動くヒースクリフにヒビキは思わず口元を上げる。

それを見たヒースクリフは一種の恐怖を覚えるが、盾を構えた。

 

「ヒースクリフ。もうおしまいだ」

 

「・・・」

 

ヒビキは《幻想剣》スキル『ディレイク』を発動し、次にあえて片手剣スキルの『バーチカル・スクエア』でヒースクリフの盾を狙う。

ヒースクリフはソードスキルを使った硬直時間を狙って反撃に出ようとしたが、ヒビキは硬直時間を無視しヒースクリフの武器を『スラント』で武器を弾き飛ばした。

 

「なっ・・・!」

 

「言ったろ?終わりだってな」

 

そして、ヒビキは短剣を持ちヒースクリフを攻撃する。

そしてそれを盾で防ごうとし、短剣を防ごうとするもヒースクリフが見たのは持ち主を失った短剣。

そして後ろに気配を感じて盾を振りかざすと、盾を持つ腕をヒビキに切断された。

《部位破壊》と呼ばれるものでその部位が破壊されると一時的にその部位は使えなくなる。

 

 

武器を弾かれ、自身を守る盾を失ったヒースクリフ。

それは事実上の完全な敗北と言える。

 

「・・・私の負けだ、やりたまえヒビキ君」

 

「・・・俺の勝ちだ、ヒースクリフ」

 

最後に言い残したヒースクリフに敬意をはらい、ヒビキは愛剣『ファンタジア』をヒースクリフの右胸に突き刺した。

するとヒースクリフのHPはみるみる減っていき死亡時の効果音が鳴り響いた。

 

「・・・素晴らしい決闘だった、ヒビキ君」

 

「言ってろ・・・ったく」

 

そしてヒースクリフの体は光り輝き、ポリゴン状となってアインクラッド中に舞い散った。

 

 

『11月7日14時55分。ゲームはクリアされました。ゲームはクリア・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒビキが目を開けるとそこは広大な空が広がっていた。

 

「・・・絶景だな」

 

ヒビキが漏らした感想に応える者が居た。

 

「そうだね。綺麗だよ」

 

ヒビキはその人物に驚く。

その人物はヒビキが愛した人物・・・ユウキだった。

 

「ユウキ・・・」

 

「気がついたらボクもここに居たんだ」

 

「そうか・・・」

 

「ヒビキ、もう・・・終わっちゃったね」

 

「だな・・・」

 

ヒビキとユウキが空を見続けていると下で崩落する浮遊城を見つける。

するとユウキが少し顔を伏せて言う。

 

「もう・・・ヒビキとの関わりって終わっちゃうのかな・・・?」

 

「・・・」

 

「ボク嫌だよ・・・ヒビキともっと一緒に居たかったよ・・・」

 

「俺だって嫌だ、だけどSAOが終わってそれで終わる関係だったのか?俺達は」

 

「ううん!そんなことはない!」

 

「なら、心配ないだろ」

 

「そうだよね・・・えへへ・・・良かったぁ・・・」

 

顔を伏せていたユウキが上げると泣いては居たが眩しいぐらいの笑顔でヒビキを見上げた。

ユウキは太陽の光で照らされ、紫色の髪が風になびきながらも妖しく輝いた。

年に似合わない色気を少し出したユウキにヒビキは顔を赤くし、ユウキに見られないように隠した。

 

「ヒビキ・・・?どうしたの?」

 

「い、いや・・・何でも・・・」

 

「むぅ・・・教えろぉ~!」

 

あからさまに隠したためユウキには当然ばれているため、観念して言った。

 

「いや・・・その・・・ユウキが色っぽく見えてさ・・・」

 

「ふぇっ!?」

 

「そ、その・・・凄く・・・可愛かったんだよ・・・さっきのユウキが」

 

「そ、そうなの・・・?」

 

「そうだよ・・・」

 

「え、えへへ・・・」

 

ヒビキに色っぽいとか可愛いと言われ、ユウキは照れながらも嬉しそうにしていた。

 

 

そして二人は崩壊していく浮遊城を見ていると後ろから声がした。

 

「ヒビキにユウキか・・・?」

 

「キリトか」

 

その声は《二刀流》スキルを保持しアスナの婚約者であるキリトだった。

その隣にはアスナもいた。

 

「ヒビキにユウキ。ここは・・・?」

 

「わからん、気がつけばここにいたからな」

 

「そうか・・・」

 

キリトとアスナも隣に座り込み、崩れ行く浮遊城を見ていた。

すると横から声がする。

 

「中々に絶景だな」

 

「茅場晶彦か」

 

「現在アーガス本社の地下五階SAOメインフレームでデータの完全削除が行われている。生き残った全プレイヤー6147人がログアウトを完了している」

 

「これまで・・・死んだプレイヤー達はどうなったんですか?」

 

「死んだプレイヤーはどうしようと帰ってくる事はない。死因を調べれば脳の焼却死亡が挙がる事だろう。

いくら頑張っても死んだものは戻って来ないのだよ」

 

プレイヤーの事を言った茅場はアスナの質問にも答えた。

そしてヒビキは茅場に聞いた。

 

「何故俺達はここに?」

 

「君達とは特別にこの時間を設けさせて貰ったよ」

 

「そうか」

 

「えっと・・・茅場晶彦さん?ですよね・・・貴方は何でこの世界を作ったんですか?」

 

ユウキは茅場に問う。

この世界を作った意味を知るため。

 

「空に浮かぶ鋼鉄の城の空想に取り付かれたのは、何歳の頃だったかな。この地表から飛び立って、あの城に行きたい。長い長い間、それが私の唯一の欲求だった。私はね、まだ信じているのだよ。どこか別の世界には本当にあの城が存在するのだと」

 

茅場はユウキ・・・いやその場にいるヒビキ達に逆に問う様に言った。

その意味を理解できなかったがヒビキだけは答えた。

 

「存在していただろう?現に崩壊はするがさっきまで居たあの世界。あれこそがお前が求めた世界であり夢物語だ。」

 

「ふっ・・・そうだな、確かに私の信じた世界は。夢は浮遊城はここに存在していたのだな」

 

「いい忘れていたな。ゲームクリアおめでとう。キリト君、アスナ君にヒビキ君。ユウキ君。さて、私はそろそろ行くよ」

 

そういうと茅場はどこかに行ってしまった。

そして4人はまた崩れる浮遊城を見る。

 

「・・・さて、もうすぐ帰れるな」

 

「ああ・・・そうだな」

 

「・・・うん」

 

「最後にお前らの本名教えろよ」

 

「ヒビキ・・・?自分から名乗る物じゃないの?それは」

 

ユウキに怒られヒビキはあの時の事を思い出す。

 

「覚えてたのかよ・・・まぁ良い。俺は雪宮響夜だ。18歳だな」

 

「響夜かぁ・・・ボクは紺野木綿季。15歳・・・かな?」

 

「私は結城明日奈。17歳です」

 

「アスナって年上だったんだな・・・俺は桐ケ谷和人。多分先月で16歳」

 

全員現実世界での名前を言い合った。

するとヒビキとユウキが居るのにも関わらず、キリトとアスナは抱き合い、キスをした。

それを見てヒビキとユウキも顔を赤くする。

 

「・・・ユウキ」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

「こっち向け」

 

「へっ?・・・んっ」

 

ヒビキに言われ、ユウキが振り向くといきなり抱き寄せられて唇を奪われた。

それに驚くもユウキはそのままヒビキに身を委ねてキスをした。

 

 

そして浮遊城が完全に崩れ終わり、世界が一気に光に飲み込まれた。

その日、SAOはゲームクリアされ、生存プレイヤーは現実世界へと帰還された。

 

 

長らく閉じていた瞼から漏れる光に反応した、響夜は目を開けた。

天井には無機質な明かりを出す蛍光灯。

そして自分の右手を目に映す。

 

「・・・帰って・・・来た・・・んだな」

 

すると響夜が愛した人物・・・ユウキの事が頭をよぎった。

 

「ユウキ・・・」

 

響夜は現実世界に帰還しているはずのユウキの所へ向かう。

自分の腕に繋がれているチューブを外して、唯一栄養を送るチューブだけを残し、その鉄棒を支えにして病室を出た。

そしてナースサービスに向かうと看護師が響夜を見て驚愕し、部屋に連れ戻そうとする。

 

「まだ歩ける状態ではないんです!お部屋にお戻りになってください!」

 

「それは・・・無理です・・・ある人に会うまでは・・・!」

 

響夜の真剣さに根負けした看護師は渋々ある人の病室へと連れていった。

そこは0523室と書かれ、下には『紺野木綿季』と書かれた札があった。

 

「ここまでで・・・良いです・・・」

 

「わ、わかりました。何かあればすぐにナースコールを押してください」

 

と言うと看護師は響夜から離れた。

一度深呼吸を置いて0523室のドアをノックした。

 

「・・・は、い」

 

「・・・!」

 

声がし、響夜は中に入る。

そこにはまだベッドに横たわりながらも入ってきた響夜を見つめる木綿季がいた。

 

「・・・やっと・・・会えたな・・・」

 

「・・・だ、ね。ごめ、ん・・・ま、だ。うまく、こ、えが・・・」

 

「それ以上・・・言わなくて・・・良い」

 

響夜に言うも木綿季の声はたどたどしく、上手く喋れていなかった。

だが、それだけを聞き響夜は制止する。

 

「初め・・・まして、俺は・・・雪宮、響夜」

 

「はじ、め・・・まして、ボク、はこん、の・・・ゆ、うき」

 

二人は自己紹介すると、ベッドから動けない木綿季を考え、響夜は少しずつ近付いて横に座る。

そして二度と離さないぐらいに出せるかぎりの力で木綿季を抱きしめた。

 

 

「ただいま・・・」

 

「おか、えり・・・なさ、い・・・!」

 

 

 




ということで《アインクラッド編》が終了致しました。
ここまでの投稿は何と一週間という馬鹿みたいな早さで書きましたが内容が薄かったですね・・・。

これ以上は活動報告にでも書きますが、読んでくださった読者の皆様方、ありがとうございました。

勿論この続きである《アルヴヘイム・オンライン編》も書いていきますので引き続き読んでくだされば有り難いかぎりです。


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