ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車

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銃の世界での偶然

下校時刻になり、響夜達は用意をして下校している。

神楽も早く帰りたいのか響夜を珍しく急かしている。

 

「分かったから、ちょっとは待ちな」

 

「うん」

 

響夜は和人達と別れると帰るとこが一緒である木綿季も連れていく。

木綿季を後ろに載せて神楽を前に乗せる。

響夜はその真ん中で挟まれる形でバイクに乗る。

 

「ちゃんと乗ったな?」

 

「乗ったよー」

 

「うん」

 

「ならしっかりつかまっとけよ」

 

「はーい」

 

バイクを走らせて響夜はいつもより安全に家に帰った。

 

「木綿季、俺と神楽はGGOするわ」

 

「うん、分かった」

 

「また構ってやるからその時にな?」

 

「う、うん・・・」

 

響夜は木綿季にそういうと部屋に入ってアミュスフィアを装着した。

事前にGGOはダウンロードしてあるのでいつでも起動可能にしていた。

 

「リンク・スタート!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響夜が目を開けると見たことの世界が広がっていた。

全体的に古錆びたよう感じで雰囲気も独特だった。

 

「これがGGOかぁ・・・」

 

「ん、ヒビキ?」

 

「んあ?」

 

自分の名前を呼ばれ振り向くとそこには超が付くほどの美少女が立っていた。

長い白髪にくりっとした蒼い目。

それでいて幼さが残る顔の少女がいた。

 

「・・・カグラか?」

 

「うん」

 

「確かアバターってランダム生成なんだっけか・・・お前めっちゃ可愛いぞ」

 

「か、かわっ・・・!?」

 

いきなり可愛いと褒められカグラは顔を真っ赤にする。

すると奥から男性プレイヤーが向かってきた。

 

「ん・・・?こりゃすごい!」

 

「なんだ?」

 

「そこのお嬢ちゃん、そのアバターを譲ってくれないか!?2千・・・いや4千は出す!」

 

「え、えと・・・」

 

「すまんがこいつはアバターを売りはしないんだ。本人も気に入ってるから悪いんだが・・・」

 

「そうか・・・もし、気が変わったら声をかけてくれよな!」

 

そういうと男性プレイヤーはどこかに行った。

それだけカグラのアバターは美少女で、男性に100人に聞けば100人が可愛いと言うぐらいだった。

 

「ヒビキも・・・恰好良いよ?」

 

「・・・お世辞と受け取る」

 

「本当なのに」

 

「うっせ・・・さて銃の店を探してみるか?」

 

「うん」

 

ヒビキとカグラはマップの道を辿ってGGOの世界を探索しつつ。GGOのメイン武器である銃店を探すことにした。

だが、いくら歩いても見つからず迷っていると女性プレイヤーがやってくる。

 

「あんた達、初めて?」

 

「ん、ああ。初めてなんだ」

 

「なら・・・お店を探してるんでしょ?」

 

「そうなんだが・・・図々しいのは承知だけど教えてくれないか?」

 

「ん・・・まぁ良いわよ、そこの子も一緒?」

 

「ああ・・・っと名前言ってなかったな。俺はヒビキ。このちっこいのはカグラ」

 

「・・・ちっちゃくない」

 

「仲良いのね。私はシノンよ」

 

「じゃあ案内よろしく頼む。シノン」

 

ヒビキはシノンの言い方に少し違和感を感じるが気のせいと思い、シノンに付いていく。

その途中カグラの姿を見た男性プレイヤーが下心丸出しで見ていたためかカグラがシノンに引っ付く。

 

「ちょ、ちょっと?」

 

「・・・悪い、カグラはリアルでも・・・ちょっと訳ありなんだ。特に視線が集まるのを嫌う」

 

「そういうこと。確かにこんなアバターじゃ注目されるわね」

 

「普通のアバターで良かったよ」

 

「それはそうと・・・お金はあるの?なかったら買えないわよ」

 

「金か・・・一応コンバートしたから受け継いでる気がする」

 

シノンに聞かれヒビキはメニューを出して所持金を確認した。

するとヒビキは目を疑った。

そこには100万クレジットと表示されていた。

GGOでの通貨はクレジット単位となる。

 

「・・・100万クレジットある。コンバートしたからか?」

 

「す、すごいわね・・・でもそれだけあれば良いのが買えると思うわ」

 

「なら良かった。GGOに興味があるのは俺じゃなくカグラだったからな」

 

「そうなの?」

 

「天性の才能だろうな」

 

「?」

 

ヒビキの言い回しを理解できなかったシノンはその話題を置いて銃店へと足を運んだ。

 

「ここが基本的な銃専門店よ。だいたいがここで売買すると思うわ」

 

「へぇ・・・」

 

「大きいね」

 

それはスーパーぐらいに大きい建物で多くの人が中に居た。

確かにここならば品揃えも良いのだろう。

 

「それで、あんた達はどんな銃を使うの?」

 

「その場で決めるが・・・カグラは決めてるな」

 

「狙撃銃」

 

「狙撃銃かぁ・・・私もよく使う武器だから色んなのを教えれるわね」

 

「銃まで教えてくれるのか?」

 

「ここまでしておいて放って置けないわよ」

 

「すまんな」

 

シノンの好意を有り難く受け取るとヒビキ達は中に入る。

武器ケースに飾られた銃がずらりと並んでおり、性能なども細かに書いてある。

 

「こ、これは・・・俺にはさっぱりだ」

 

「ん・・・」

 

カグラの付き添いでGGOをやっているヒビキにはさっぱりだったようだが、カグラは様々な銃を見つめている。

 

「微妙・・・」

 

「どうかしたのかしら?」

 

「なんか微妙なのしかない」

 

「最初はそんなものよ。性能の良い銃ほど良い腕が無いと撃てないから」

 

「む~・・・」

 

「そんなに良い銃が撃ちたいなら私のを撃たせて上げても良いけれど」

 

「ほんと?!」

 

「え、ええ」

 

「撃たせて!」

 

「・・・こっちに来なさい」

 

カグラを連れて店舗の地下へとシノンとヒビキは向かう。

するとそこは訓練所のようでためし撃ちが出来る場所だった。

 

「すまん、カグラの我が儘に」

 

「良いわよ、こんなに興味持つ子そうそう居ないもの」

 

シノンはカグラを見る。

カグラが今持っているのはシノンが使う狙撃銃『PGM ヘカートⅡ』という銃だ。

シノンによるとGGOでの銃はまずトリガーに手をかけると赤い円が出る。

その円は焦ったり興奮したりすると大きくなり、冷静なほど小さくなる。

弾丸はこの円のどこかに発射される仕組みなのだ。

 

「ん・・・」

 

カグラがトリガーに指をかけるとすぐさま発砲した。

するとシノンが驚いた顔をしている。

 

「・・・嘘でしょ」

 

「?」

 

「GGOでの銃って初心者には難しいの。狙撃銃なんて特にね。でもこの子はそれをたった一発で的の中心を撃ってる。それにトリガーに指をかけて数秒も経ってない」

 

「言ったろ?これがカグラの無駄な才能だって」

 

「え、ええ・・・確かに凄い才能ね・・・」

 

「シノン、もっと撃っても、良い?」

 

「ええ、良いわよ」

 

シノンはカグラの撃つ姿をずっと見続けていた。

その間ヒビキはある説を立てる。

 

(なんか喋り方が朝田に似てんだよな。髪の直す癖も似てる。ちょっとカマでもかけてみるか)

 

「カグラ、あん時と比べるとどんな感じだ?」

 

「ん、実際と違う、けど重みは、同じぐらい?」

 

「実際・・・?あなたたちリアルでも持ったことがあるの?」

 

「俺じゃなくカグラがな。ある強盗事件でちょいとな」

 

「強盗・・・事件・・・」

 

ヒビキがその単語を出すとシノンの表情が暗くなる。

それをヒビキは見逃さなかった。

 

「シノン、ちょっと・・・良いか?」

 

「え、ええ」

 

「カグラ、ちょっとシノンと話してくる」

 

「ん、分かった」

 

カグラを置いてシノンとヒビキは個室部屋に入る。

そしてシノンの肩を持つ。

 

「・・・こうしてみると似てるな」

 

「な、何がよ」

 

「リアルでもお前は似てるってことだ」

 

「・・・!?」

 

「なんで?って感じだろうな。まぁ素性も晒してねぇ奴にリアルがばれたらそりゃあ怖いわな」

 

「あ、あなた、誰よ」

 

「ん、俺か?リアルじゃ昔は『時崎直人』って名乗ってた。今は違うけど」

 

「・・・直人・・・君?」

 

「久しぶり・・・って感じだな。高校ん時は全然顔合わせなかったし」

 

「そうだね・・・」

 

「・・・まだ昔の事引きずってんのな」

 

「・・・」

 

「まぁ怖かったもんな。俺がやったとはいえ詩乃が被害に遭ったし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響夜と詩乃は幼なじみで小さい頃から関わりがあった。

その時もたまたま一緒に付き添ってただけ。

 

「詩乃、お母さんはどうだ?」

 

「まぁまぁ・・・かな」

 

「そうか」

 

俺は詩乃の事が好きだったんだろう。

だからこそ用事がなくとも詩乃と一緒に郵便局に付き添った。

詩乃のお母さんも彼氏が出来たと思い詩乃を応援していたっけな。

その時、役人に銃を向けている男がいた。

40代ぐらいの男で何か焦ってる感じだった。

 

「金を出せ!」

 

「は、はい!」

 

ただ役人の一人が警察に電話しようとした。

それを見た男が逆上し、その役人を撃った。

弾丸は頭に直撃し、即死した。

 

「くそが、早く入れろ!」

 

「じゃねぇとこの女殺すぞ!」

 

男は近くに居た女性を捕まえると頭に銃を当てた。

女性は涙を流して助けを求めていた。

そして女性のお腹が膨らんでいた。

 

「妊婦さんか・・・?」

 

「な、直人君・・・」

 

「・・・詩乃。大人しくしててな」

 

「え・・・?」

 

俺は詩乃に大人しくしててもらうと持っていた鞄からナイフを取り出すと男の足に投げた。

男は気付いている様子がなかったため、そのまま足に刺さると体勢を崩した。

 

「・・・強盗の癖に考えなしか」

 

「ガキの癖に・・・!」

 

俺は男の銃を持っている手を踏み付けると男は痛みで銃を手放した。

だが、男は銃を隠し持っていたのかもう一つの手で銃を取り出すと辺りに撃ちまくる。

その一発が俺の手に当たり、左手から血が出る。

 

「・・・もう黙ってろ」

 

「や、やめっ」

 

俺は男の足に銃を当てると零距離射撃をした。

そして銃を持っている手を足で蹴り飛ばすとそのまま女性を避難させて、手を拘束する。

 

「頭に撃ってやらなかっただけ良かったと思っとけ」

 

「くそ・・・離せガキが・・・!」

 

「黙れ」

 

抵抗を続ける男の顔を地面に押し付けると俺は役人に電話するよう伝えた。

しばらくして警察がやってきて事態は収拾。

男は役人を殺したことで殺人罪に当てはまり、重い処罰が下った。

俺は未成年で銃を使った銃刀法違反に反したが犯人を制圧した等の手柄で打ち消された。

まぁ事情聴取で時間を取られたが。

 

あの事件以降詩乃とは会っていない。

何故なら、詩乃のお母さんが悍ましい物を見るような目で俺を見ていたから。

あんな事をして堂々と詩乃の前に出れる自信が無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「詩乃はどうだったんだ」

 

「へ・・・?」

 

「俺は後悔してない。あのまま動かなければ犠牲者が出たかも知れないし、詩乃にも被害が出たら嫌だったからな」

 

「私は・・・寂しかった。ずっと一緒だった子と離れ離れになっちゃったから・・・」

 

そういう詩乃は目に涙が出ていた。

響夜は頭を撫でながら抱きしめる。

 

「悪かった・・・でもあの時はどんな顔で会いに行けば良いか分からなかった。行ったとしても詩乃のお母さんが俺を追い払ったと思う」

 

「そっか・・・」

 

「・・・そろそろ時間か」

 

「だね・・・」

 

「カグラは恐らく時々GGOをやるだろうが俺は今日だけだ。元々付き添いだしな」

 

「分かった」

 

「まーもし会いたいならALOっていうゲームをやってみりゃいい。俺が通う学校は校長にでも聞けば教えてくれるはずだから」

 

「うん・・・」

 

「んじゃ俺はカグラに言った後落ちるからな」

 

「うん、分かった」

 

ヒビキは部屋を出てカグラと少し話をした後、ログアウトした。

カグラはまだしていない。

 

「あんたは・・・しないの?」

 

「まだ銃返してないから」

 

「ああ・・・」

 

「・・・ヒビキの住所、メッセージで送ったよ。リアルで会いたいならそこに行けばいるから・・・それじゃあね、シノン」

 

「えっ、ちょっと!」

 

シノンはメッセージ内容をカグラに聞こうとするがカグラはログアウトして消えてしまった。

メッセージを開くと現実での住所が書かれており、細かに地図もあった。

 

「・・・明日、いってみようかな」

 

シノンはそう思うとログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、眠い」

 

「どうしたの?響夜」

 

「幼なじみと久しぶりに喋った。多分明日来そう」

 

「・・・その人って女の人?」

 

「・・・ああ。もう諦めたから問題ないけど」

 

「好きだったんだね、その人」

 

「小さいから一緒だったからな・・・」

 

響夜は懐かしむような顔で言う。

木綿季も小さい頃の響夜を知りたくなる。

 

「ボクも会って良いかな・・・?」

 

「好きにすれば良い」

 

「ありがとう、響夜」

 

響夜は木綿季の頭を優しく撫でた。

木綿季はいきなりの行動に戸惑う。

 

「どうしたの?」

 

「・・・木綿季。これからもよろしくな」

 

「う、うん!ボクは響夜のお嫁さんだからね!」

 

「ばーか、まだ結婚してねぇだろ」

 

「16になったら響夜とするんだもんー!」

 

木綿季は顔を真っ赤にしながらも言うため響夜は微笑みながら撫でる。

 

「好きだ、木綿季」

 

「ボクも好きだよ、響夜」

 

 

 

 




えー、GGO編ですが。
ほとんど中身がありません。
死銃事件はキリトさんに一任してしまうため響夜達はほとんど関係が無いのです。
なのでGGO編と謡いつつ日常編と思っていただいて結構です。

自分の作画力がなさすぎて書けないというのもあったりします・・・。

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