ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車
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現実で付き従う少年

 

 

「んむ・・・」

 

時間帯は朝の7時。

詩乃は見たことのある景色に戸惑った。

 

「ん・・・ここって・・・」

 

「起きた。おはよう」

 

「うぇっ!?」

 

「あぅあぅ」

 

いきなり神楽が詩乃に話しかけ驚いたため、それにより神楽が詩乃にダイブした。

 

「ごめん、なさい・・・」

 

「い、いいわよ・・・神楽ちゃん・・・よね?」

 

「ん、そう」

 

「私・・・」

 

詩乃は昨日起こったことを思い出す。

昨日、女子生徒に詩乃はお金をたかられていた。

響夜と神楽が助けに向かったため窃盗にもならなかったが、詩乃のお腹を殴っていたため、まだ痛みがあるのか思い出すとお腹を抑える。

 

「お腹、痛い?」

 

「えぇ・・・少しね」

 

「なら、あまり動かない方が、いいよ」

 

「そうだぞ・・・ふわぁ~ぁ・・・」

 

「き、響夜!?」

 

「何を驚いてんだ。ここは俺の家だぞ、いるに決まってんだろ」

 

二階から欠伸をしつつおりてくる響夜に詩乃は驚く。

 

「さて、お腹は痛いか?」

 

「う、うん」

 

「ならまだ寝とけ。動いて倒れられたら困る」

 

「で、でも・・・」

 

「良いから。腹減ってるだろうし飯作るから待ってな」

 

響夜は詩乃にそういうと冷蔵庫を漁りはじめる。

神楽も詩乃からどくと響夜の手伝いに入る。

 

「あ、あの・・・私も・・・やろうか?」

 

「腹痛持ちは寝てろ。あと神楽が手伝ってくれてるから気持ちだけで十分」

 

「う、うん・・・」

 

響夜は手慣れた感じで朝食を作ると皿に盛り付けた。

見た目はお店に出そうな感じで美味しそうな匂いを漂わせている。

 

「んじゃいただきます」

 

「いただきます」

 

「い、いただきます・・・」

 

 

「んぐ・・・美味しい」

 

「ん、そうか。なら良かった」

 

詩乃の口に合ったようで響夜はほっとすると食べはじめた。

神楽はご飯をすぐに食べるとお代わりを請求したので響夜は変わりにパンケーキを作った。

 

「ほれ、おかわりだぞ」

 

「ん、やた♪」

 

「ご飯に関しては木綿季並だな・・・」

 

「神楽ちゃん・・・よく食べるわね」

 

「育ち盛りだしな。本人がいっぱい食べたがってたし構わん」

 

追加のパンケーキが出てきたことが嬉しかったのかパンケーキを食べはじめる神楽。

その表情は嬉しそうにしており、響夜としても喜ばしい事なのだろう。

 

「・・・さて、詩乃はしばらくここにいるか?」

 

「いても良いの?」

 

「構わん。着替えだけは取りに行かんとあれだが」

 

「じゃあ・・・泊まっても良いかな?」

 

「良いが、学校は?」

 

「退学したわよ。転校ってことでね。転校先はあんたが通う支援学校」

 

「さすが母さん。仕事が無駄に早い」

 

「実際に通うのはテスト後?らしいけどね」

 

「そらそうだ。なんせテストまで休みだからな」

 

響夜達が通う学校はテスト間近になると休みが入る。自主勉強という形だが学校に行って先生に教授願う事も可能だ。

神楽と響夜は変なところで似ているのか頭のよさは同じぐらいであるため家で勉強することにしている。

 

「・・・そういえば将来とか考えてなかったな」

 

「にぃに?」

 

「ん、平和に過ごせれば良いやと思ってたし、将来の夢ぐらい決めないとな」

 

「響夜は何にするの?」

 

「一応俺は機械関連に強い方だ。プログラムや機械弄り程度なら趣味で出来る」

 

「そ、そうなの」

 

「VR関連の仕事に付いてみたいな。そう遠くない内にVRの認識が変わる」

 

「どういうこと?」

 

「AR・・・拡張現実っていう俺達が過ごす現実世界に変化をもたらすかもしれない」

 

「拡張現実・・・」

 

「メディキュボイドという医療用VRマシンがある。それには拡張現実が入ってるんだ。まぁ動かせはしないから仮想世界を新しく作るぐらいだが」

 

メディキュボイドは以前、響夜の白血病治療に被験者として使っている。

メディキュボイドはまだ実用化されていなかったときに響夜が名乗りを上げて被験者になった。

まだどのような危険性や異常性があるか分からなかったが少しの修正を加えるだけで実用化にこぎつけている。

メディキュボイドに期待されているのは終末期医療という末期型の病の医療目的。

AIDSといった無菌室でも扱えるメディキュボイドは自身の体を動かせない変わりに仮想世界へとダイブできる。

アミュスフィアとは違い、脳波のスキャン出力なども大幅に強化されているため死に体でも生きていれば微弱な脳波を感知し仮想世界に入れる。

最後の死に場所選びも出来るのだろう。

 

「さて、一度詩乃の家に行こうか。着替え持ってこないとだろう?」

 

「そうね、じゃあ今から行きましょ」

 

「神楽。お留守番頼むな」

 

「りょっかい。お任せあれ」

 

響夜は神楽に家のお守りを任せると着替えのため自室へと向かった。

服装は冬場ということもあり冬用ジャンバーにジーンズ。

そして木綿季に編んでもらったマフラーを首に巻いていく。

 

「・・・あったけぇな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

程なくして詩乃を乗せたバイクは詩乃の家へと到着する。

 

「ドア前で待ってたのが良いか?」

 

「別に入っても良いわよ?」

 

「・・・いや、やっぱ遠慮しとく」

 

「じゃあまとめ終わったら出てくるわね」

 

「あいよ」

 

響夜は詩乃の準備が終わるまで詩乃の家の扉で待つことにした。

入らなかった理由は主にいきなり押しかけて見せられない状態だと詩乃が慌てるのと着替えなどをもし見てしまったときが困るためだった。

 

「俺は木綿季一筋だっての」

 

響夜は木綿季がどうしているのだろうと考えているとマンションの廊下を一人の少年が歩いていた。

普段ならば気にはならないが、何故か気になったため耳を立てて足音を聞いていく。

すると段々と響夜の方へと向かって来ていた。

 

「・・・一応この階の人かもしれねぇしなぁ」

 

だが響夜の読みは外れ、少年は響夜へと近付く。

 

「あ、あの・・・」

 

「あ?」

 

「ここ・・・友達の家なんですけど・・・」

 

少年は友達の家だと言い張る詩乃の家を見ていた。

響夜としても詩乃の交友関係はそこまで知らないがなんとなくこの少年からは嫌な予感がした。

 

「・・・朝田さんに何か用なんすか?」

 

「そ、そういう君も朝田さんに?」

 

「まぁ一応」

 

響夜はただ詩乃の泊まり準備が終わるまで待っていたため、用はあった。

だが詩乃からはこの少年と会うなどとは聞いていなかったためどうすれば良いのか考えていた。

すると家の扉の鍵が開いた音がして中から大きなバッグを抱えた詩乃が出てくる。

 

「お待たせ・・・って新川君?」

 

「あ、朝田さん!」

 

「ん、知り合い?なら席外すわ」

 

「良いわよ、そこまでしなくても」

 

「朝田さん、この人とはどういう?」

 

新川と言われた少年は響夜の事を聞き出すべく詩乃に聞いた。

 

「幼馴染よ」

 

「え?」

 

「だからこの人とは幼馴染!」

 

「そ、そうなんだ」

 

「・・・やっぱ席外すわ。下で待ってるから終わったら来いよ」

 

「う、うん。ごめんね」

 

「別に」

 

邪魔者だと思い響夜はその場から去っていく。

友達同士での会話に自分が入る余地はないと思っての行動だった。

 

 

 

 

 

その頃、新川は響夜の事が気にかかるのか詳しく聞こうとしていた。

 

「ねぇ朝田さん。あの男の人って本当に幼馴染?」

 

「あのねぇ!何度も言うけど本当に幼馴染なのよ!学校が違ったから会わなかっただけで連絡自体は時々取り合ったんだから」

 

「そうなんだ・・・連絡ってどういうの?」

 

「べ、別にそんなこと言わなくても良いでしょ」

 

「だってあんなやつが朝田さんと関係してるとは思えない!」

 

「・・・!もう良いわ、これ以上彼のこと侮辱するならさすがに私も怒るからね」

 

しつこく何度も聞いてくる新川に痺れを切らしたのか詩乃はいらつきながらエレベーターに乗り込む。

新川も詩乃を追うように入った。

 

「じゃ、じゃあそのバッグは?」

 

「着替えよ」

 

「まさかその人の家に!?」

 

「・・・なに勝手な妄想してるのよ」

 

「だ、だってそう思うじゃないか!相手は男の人でそんな大荷物。しかも着替えとなったら!」

 

「ただのお泊り会よ。彼とは送ってもらうだけ」

 

「なら僕が送るよ!」

 

「そんなことしたら彼に悪いでしょ!せっかく来てもらってるんだから」

 

「だって怪しいじゃないか、男の人なんて」

 

「あら?そんなことを言うってことは自分も含まれるわよ」

 

詩乃の仕返しの言葉に新川は何も言い返せなかった。

エレベーターが一階に着くとバイクに背を預けて目をつむっている響夜がいた。

 

「や、やっぱり僕が・・・!」

 

「はぁ・・・んと新川さんだっけ?確かに不安なのは分かるが俺はただ送迎するだけだ」

 

「君がそんなことをしない確証はない!」

 

「ならば送れるんだな?」

 

「ああ!」

 

「ここ御茶ノ水から埼玉まで最低でもバイクで1時間はかかる。見た感じ徒歩で来たようだが・・・車やバイクはあるのか?」

 

「ぐ・・・」

 

「徒歩で彼女を埼玉まで連れていくというのなら論外だ。それこそ俺が譲れん」

 

「わかりました、朝田さんをしっかりと!送り届けてくださいね!」

 

「だそうだ。詩乃乗れ」

 

「ええ」

 

新川をなんとか納得させた響夜はバイクに詩乃を乗せるとエンジンを吹かせた。

 

「それじゃあね、新川君」

 

「うん、またね朝田さん」

 

「詩乃、一応掴まっとけ。飛ばされてもしらねぇからな」

 

「うん」

 

響夜の忠告通り詩乃は掴もうとするが新川の目があるため少し先で掴むことにした。

そのままバイクを走らせ、新川の姿が見えなくなると響夜のお腹に手を回した。

 

「あの新川ってやつ。気をつけろよ」

 

「へ?」

 

「・・・あんま詳しくは言えないが新川って名字は聞いたことがある。人違いならば構わんが新川昌一という男は元SAOプレイヤーでありながら人殺しのギルドの一員だ。名字が一緒というだけだが気掛かりなんでな。気をつけとけよ」

 

「わ、わかった」

 

「そんじゃ飛ばすぞ!しっかり掴まっとけよ!」

 

響夜は緩めていたスピードを一気に加速させ法定速度ギリギリで運行していった。

その時の詩乃の表情はとても楽しそうにしていた。

 

「あはは!風が気持ちい!」

 

「・・・ったく」

 

 

 




ここでの新川と詩乃は知り合いではありますが詩乃は新川に対して一切の行為を抱いていません。
響夜に対しては全開ですが。
そのため全面的には信頼しておらず警戒心はあります。



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