響夜と神楽。
二人がいるのは銀座のとある高級デザート店。
国家の役人に呼ばれたのが今いる場所だった。
「・・・あんの眼鏡こねぇ」
「忙しい、のかも」
「尚更うぜぇ、朝っぱらから呼び出しやがって」
イライラしながら待っていると例の役人眼鏡がやってくる。
「待たせたね、今来たとこだよ」
「10分で済ませてくれ、眠い」
「あはは、なるべくね」
この男、国家役人の菊岡誠一郎はSAOでの復興課に配属されており、響夜が起きて数日後に病室に来ていた。
「その女の子はどちら様だい?」
「妹だ。俺と同じSAOプレイヤー」
「これは・・・その子の情報は一切無かったね。本当なのかな?」
「当たり前だ。英雄様にでも聞いてみな、同じ事言うぞ」
「ま、まぁそういうことにしておくよ・・・とりあえずもう一人呼んでるんだ、少し待ってもらって良いかい?」
「神楽の欲求を満たせるのならな」
響夜の言い回しを理解できなかった菊岡は神楽を見る。
すると神楽はオーダーでなんとメニューのデザート類を全て注文していた。
響夜もケーキを3つ注文しており、金額は目もあてられないほど膨れ上がっているだろう。
「ま、まぁ・・・」
「金額どうやら数十超えたな。お疲れさん」
「♪」
たくさんのデザートを食べれることが嬉しいのかニコニコしている。
それをため息をついて財布の中身を確認する菊岡に響夜は苦笑する。
すると入口の方で見慣れた人物が立っていた。
「おーい!桐ヶ谷君、ここだよー!」
「・・・」
もう一人とは和人の事だった。
しかしその表情は嫌そうな感じで渋々来たようだった。
「ったく・・・何の用だ?響夜達も呼んでるじゃないか」
「うん、君達からの主点を聞きたくてね」
菊岡はタブレットを響夜達に見せる。
映された画面は知らない男だった。
「誰だ?」
「君達に問いたいんだがGGOは知っているかい?」
「知ってるも何も唯一日本でプロがいるからな、知ってるに決まってんだろ」
「響夜君が言うそのプロとはどういう意味だい?」
「GGOはゲーム通貨を換金して現金に換えられる仕組みがある。それだけでやりくりしている奴をプロっていうんだ。例えば神楽とかが当てはまる」
「ほう・・・?」
「はむっ・・・んぐっ・・・」
運ばれてきたケーキをどんどん食らいつくす神楽を見やる。
神楽はあの時以降GGOを暇があればやっており、時々ALOにもインしている。
神楽のGGOでの腕はランキングにも掲載され、MMOトゥモローに出演依頼が来たほどだった。
人前を嫌う神楽は当然のように出演を断ったが。
「少なくとも神楽の腕で20~25辺りだな。トップランカーと同じぐらいだ」
「ふむ・・・ならその腕を見込んで君達に頼みたいことがあるんだ」
「あー・・・まさかあれか?」
響夜は携帯を操作すると菊岡に見せた。
それはGGO内でのとある場所で録音された音声データと声の主である『死銃』という物だった。
「響夜君が言うとおりそれ案件なんだ。そこで!SAOをクリアした英雄である響夜君と桐ヶ谷君を呼んだというわけさ」
おちゃらけた菊岡の言葉に響夜は和人を見た。
和人も同じタイミングだったため、頷くと立ち上がる。
「帰らせてもらう!」
「同じく。GGO自体興味ない」
「ぁ・・・」
「ま、まってくれ!まだ話は終わっていないんだ!・・・ケーキ追加注文していいから!」
必死に懇願する菊岡に折れた二人はまた座り直す。
「君達はVR内の銃で撃たれたプレイヤーが現実世界でも死ぬと思うかい?」
「・・・どうとも言えん。だがこれだけは言える。アミュスフィアだろうとメディキュボイドだろうとナーヴギアと同性能じゃなければ不可能だ」
「その根拠は?」
「まずアミュスフィア。これはナーヴギより出力が抑えられているし、セキュリティ強化が厳重だ。VRでの出来事を容易に起こすのは不可能と言っていい。次にメディキュボイドだが、あれは医療目的で作られている。出力はナーヴギア以上だがセキュリティ能力は独自の物でVRどころかプロのハッキングですら不可能。総じてフルダイブ機器で死ぬのはナーヴギア以外は無理だな」
「響夜に同意見。ていうかあんた、もう試しているんじゃないのか?」
「・・・ああ、もう試しているよ。だからこそ君達に聞いた。僕たちからの考えと第三者の考えが欲しかったからね」
「なんか腹立つな。神楽、注文入れとけ」
「ん、了解」
響夜のいらつきを増幅させた結果、神楽に追加注文として一つ3000円のパフェが3つ追加された。
和人はそれを嘲笑うように苦笑するが菊岡は財布の中身を気にしはじめていた。
「さ、さて。僕が君達に頼みたいのは実際に死銃氏に会ってもらいたい。ダイブ場所はこちらが用意した場所から行ってもらうし、安全に関しても万全の状態でやらさせてもらうよ」
「菊岡さん。それってつまり撃たれて来いってことだろ?」
「あ、あはは・・・」
「俺は断る。神楽も協力させねぇからな」
「そ、そんなにかい?」
「・・・和人やれよ。報酬旨いと思うぞ」
「響夜!おまえがやれよ!」
「俺は金があるが、和人はねぇだろ」
「ぐ・・・」
響夜は例のプログラム案件で0が数十ほどついているほどの報酬を受け取っている。
それに比べて和人はバイトもしていないためお金の収入源がこういった依頼しかないのだ。
「かず、と。おね、がい」
「・・・だーも!わかったよ!行けば良いんだろ!」
「ていうこと、菊岡さん。んでもって報酬の額を30から50ぐらいにしてやってくれ」
「それで桐ヶ谷君が協力してくれるんだね?」
「ああ、俺がやるよ菊岡さん」
「なら後でメールでその場所を教えておこう。日程はまた送ってくれ」
こうして響夜と和人は菊岡の話を終える。
菊岡も協力者が出来て嬉しいのかニコニコしていた。
それに合わせて神楽は今までのオーダーを全て食べ尽くすと響夜の膝に頭を乗せて寝てしまった。
「おいっ・・・ったく」
「仲が良いんだね」
「そりゃあ唯一の家族だしな。それに・・・」
「?」
「いや、気にしなくて良い。ただの思想だ」
「そうかい?ならいいんだが」
「んじゃ俺達は帰るぞ。神楽も寝ちまったからな。和人も大事な予定はあるとはいえ明後日テストだぞ」
「ああ、分かってるよ」
響夜は寝てしまった神楽を背負うとその場を後にして乗ってきたバイクに乗る。
神楽は前に乗せて抱え込む。
「んじゃあな、和人」
「ああ、またな」
そうして響夜は家へと帰る。
響夜が家に到着すると家に入る。
神楽はまだ寝ていたため起こさないようにゆっくりと動く。
「ただいまー」
「ん、おかえり・・・って神楽ちゃん?」
「ん、あぁ。寝ちまったんだよ。部屋に寝かせて来る」
「ええ、わかったわ」
響夜は神楽の部屋に入ってベッドに寝かせると自室に入っていつもの部屋着へと着替えた。
「詩乃、一応言っとくが宿泊できるのはテストが終わるまでだ。終わってからはお前も登校しないとダメだからな」
「分かってるわよ。その時、住所も変えるわ」
「住所・・・引っ越すのか」
「ええ。この近くにね」
「そうか・・・でも俺は相手がいるからな?」
「・・・分かってる。分かってるけど・・・」
「ごめんな。俺は・・・木綿季だからさ。詩乃の事は親友としてしか見れない」
「・・・うん・・・分かってる・・・」
「もし・・・木綿季より詩乃だったら・・・好きだったのは詩乃だったかもな」
「ふぇ・・・?」
「さて、終わりだ。俺は寝る」
響夜がすぐに話を切り上げると自室へと入った。
時間帯は夕方だったが意外にもすぐに寝付けたためすぐに寝た。
死銃事件に関しては以前の話の後書きで書いたように響夜達は介入しません。
和人が代わりにやるためここは原作通りですが違う点は。
・詩乃のPTSDは重度ではない。
・詩乃は新川恭二を友達としてしか見ていない。
この2点でしょうか。
あとヒロインは木綿季です!詩乃ではないのですよ!(一緒にいさせていないため場面を作れないから登場が最近減っていますが