ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車

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難題を説き明かした先

響夜が木綿季に課したテスト全学級中10位を決めていく日が今日来ていた。

この日はテスト前日。

響夜は以前明日奈や里香に言った予想問題を渡しに行く事になっていた。

一度集合ということで響夜の家を使うことになったのだが・・・。

 

「詩乃。今日友達来るんだが・・・」

 

「良いわよ、私は神楽ちゃんと遊んでるから」

 

「神楽は問題なさそうだが一応渡すからな。終わったら下に俺はいるから渡しに来てくれ」

 

「ん、りょかい」

 

「昼ぐらいに来ると思う」

 

「わかったわ、それまでは下にいるわね」

 

詩乃に事情を説明し、許しが出たため響夜は朝食を作った。

今日の朝食の献立はグラタン。

詩乃が食べたいと言ったため、ご希望通りに作り上げた。

 

「さて・・・昼まで時間潰すか」

 

「GGOやってくるね」

 

「昼には一度戻れよ。飯食べないとなんだからな」

 

「神楽ちゃんって続けてるのね」

 

「俺は興味はないけどな。ネット使っていいからやりたいなら一緒にやってきな」

 

「じゃあ・・・そうするわね」

 

「あいよ」

 

GGO組の神楽と詩乃がゲームをしに向かったため家で何もしていない響夜。

暇になり家庭用ゲームで遊ぶことにした。

 

「さて、やるか」

 

 

ちなみに詩乃達が戻って来るまでずっとゲームをしていた響夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詩乃達がお昼を食べに下に降りてきた頃合いで響夜は意識をゲームから時計へと移す。

時間帯は12時だったのでゲームを一時中断するとお昼を作ることにした。

 

「朝はグラタンだったしなぁ・・・冬で良いもんあったかねぇ」

 

戸棚を開けると素麺があった。

冷蔵庫にはうどんとそば。

 

「・・・普通にうどん茹でるか」

 

冷蔵庫から味噌とうどんを取り出し、野菜室から白菜やエノキなどを取り出した。

 

「煮込みうどんにかぎる」

 

 

 

 

 

 

 

料理のにおいで先に釣れたのは神楽。

神楽はデザートも好きだがそれ以前に食に対する探求心が強い。

木綿季と並ぶほどの食い意地を張っており、常に腹を空かせているというのが神楽を知る者達の見解だろう。

 

「神楽、器用意してくれ。もうすぐできる」

 

「わかった」

 

「良い匂いね。味噌の香り?」

 

「さすが。今日は煮込み味噌うどんだよ。寒いし」

 

詩乃もしばらくして降りてきたため、出来上がった鍋うどんを机の真ん中に置く。

響夜が個々の器に入れていき、神楽がすぐに食べ切ったためお代わりの要求に詩乃が苦笑していたが。

 

「美味しいわね、響夜のは」

 

「そうか?普通だろ。日頃から作ってたら腕も上がるだけだ」

 

「・・・毎日自分で作ってるの?」

 

「両親共に研究職だからな。休みが少ないんだ。それでも親がいるだけで俺は不満はない」

 

「ふーん」

 

響夜の過去をあまり知らされていない詩乃は素っ気ない返事をする。

過去を知るものは神楽と木綿季だけであり、響夜は教える気はほとんどないからだろう。

そんなことを話していれば既に食べ切った神楽は満足したのか一階のソファーで寝てしまった。

 

「・・・よく寝るよなぁ」

 

「本当ね。でも良いじゃない、あんな可愛らしいんだから」

 

「まぁな・・・後で毛布かけてやるか」

 

いつも通りの神楽を響夜は呆れつつも食器を片付けると神楽の部屋から毛布を持ってくると寝ている神楽にかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時頃にインターホンがなったため、響夜が寝ている神楽をよそに出に行った。

詩乃は既に神楽の部屋に入ってGGOをしている。

 

「やっと来たのかよ」

 

ドアを開けると和人、明日奈、木綿季、里香、珪子がいた。

後ろの方に車が止まっているあたり明日奈の家の使用人が送り届けたのだろう。

 

「これでも急いだんだよ!?」

 

「木綿季以外はわかるが、木綿季の家なんぞ徒歩で15分圏内だぞ?どうやったら時間かかんだか・・・とりあえず入れよ、静かに」

 

響夜の最後の言葉に意味が分からなかったようだがすぐに察した。

ソファーに毛布をかけて寝ている神楽がいたため静かにといったのだ。

 

「なるほどな・・・起こさないようにしないとだ」

 

「そ、そうですね。起こしたら悪いですもんね」

 

「響夜、あんた部屋に連れていけば?」

 

「神楽が寝てる場所は神楽のお昼寝ポイントなんだよ。今の時間帯なら窓から日の光が入って暖かいからな」

 

神楽が寝ている所は日光が当たる場所で心地好いお昼寝場所だった。

ちなみに普段は響夜が自室のベッドを使えない時に使っていたりする。

 

「とりあえず、これは疑似的なテストと思ってやってくれ。今は・・・1時10分だから30分に問題と解答を渡すからな」

 

「随分と本格的だね?響夜」

 

「大丈夫、木綿季には明日奈達とは違う問題だからな」

 

「ふえぇぇ・・・」

 

「とりあえず分からんとこあったら言え。時間まで教えてやる」

 

20分間だけにも関わらず引っ張りだこにされた響夜はぐったりをしていた。

主に木綿季のせいで。

 

「さ、さて・・・問題渡すけど、教え合いなしの実力勝負な。枚数は主要教科5種類の5枚。時間制限は5時までで出来たら俺を呼べ、次のを渡す」

 

響夜の言葉に頷いた5人に響夜はファイルから問題と解答を渡していく。

最初の教科は国語。

漢文・古文・漢字など全てを詰め込まれたため問題量がかなりあった。

 

「それじゃあ、始め!」

 

一気に5人はテストを裏返すと問題を読み解いていく。

 

 

最初にこの5教科をやり遂げたのは意外にも木綿季だった。

スカスカじゃないかと思い響夜は解答用紙を見るがしっかりと書かれていた。

 

「よくやったな、木綿季」

 

「えへへ~」

 

木綿季の頭に手を乗せると優しく撫でた。

まだ和人達がやっていたためすぐに撫でるのをやめたが。

 

 

2番目は明日奈だった。

 

「この問題難しいよ・・・全然自信ないし・・・」

 

「最低限のヒントしか与えてないからな。簡単な問題作って褒められても嬉しくねぇだろ」

 

響夜の問題は少しのヒントを元に解いていかなければ答えを導き出せない。

だが答えをしっかりと書けていれば本番のテストはこの問題より簡単なものだ。

 

「響夜、終わったわよ」

 

「私も終わりました!」

 

「・・・俺も」

 

3人一気に終わったらしいので解答用紙を回収すると答案と見比べる。

みんなして自信がなさそうなのは国語。

文章問題には、【この場面を書き抜く】と【この人物は何故そうしたのか】という問題がある。

書き抜き問題は問題をしっかり読んでいれば確実に解答できるのだが、後者の方は難しい。

響夜の問題なら尚更難易度が上がっているのだろう、5人はそこまで自信を持っていなかった。

 

「ふむ・・・とりあえず言おう」

 

 

「みんなして考えは違うが・・・大まかな答えは合っている。国語で躓きやすい文章問題だが、解答に必要な単語や最後の締め括りの言い方、これらはしっかりしているが・・・全員間違いがある、同じ所」

 

「えっ?」

 

「文章問題10。ここの解答条件は【三十文字から四十五文字以内】なんだよ。全員45文字以上で点数としては0だが答えは合ってる」

 

響夜はみんなの解答を丁寧に説明していく。

どこが間違っていて、何故違うのかヒントをだしていた。

響夜がこうして教える場合、いきなり答えは言わず出来るだけ自分の力で答えが導き出せるようにしていた。

 

 

最終的に総合点数の結果。

木綿季は484点。

和人は473点。

明日奈は494点。

里香は452点。

珪子は456点。

となった。

 

「ありゃ、意外にも全員450超えか」

 

「つ、疲れました・・・」

 

「ホントよ、久々にテストで疲れたわ」

 

「ぐへー・・・」

 

「も、もう疲れたぁ・・・」

 

「ゆ、木綿季?!和人君も!」

 

「・・・あれだろ、勉強で頭が処理できてないだけだ。放っておけば治まる」

 

意外なテスト結果に響夜は考えていた物を実行する。

冷蔵庫には中身が見えないように隠された一つの金属箱。

 

「さて、450点以上とったし、お前らに良いもんやろう」

 

「「「「「?」」」」」

 

響夜が金属箱から取り出したのはホールケーキ。

林檎をたっぷりと使った林檎ケーキだった。

 

「何回か作って好評だったからな。林檎ケーキだ」

 

「林檎ケーキ!?」

 

「り、林檎ケーキ?」

 

「木綿季の大好物なんだよ、林檎ケーキは。初めて食わせたら一発で気に入ったらしくてな」

 

「響夜の林檎ケーキすっごく美味しいんだぁ!」

 

テンションが上がった木綿季にみんなは自然と笑顔になっていく。

今まで必死に勉強漬けだった木綿季がニコニコしているのを見て微笑ましい感じだった。

 

「んぁ・・・」

 

「ん、起きたのか」

 

「うん・・・ふわぁぁ・・・」

 

「おはよう、神楽ちゃん」

 

「おはぁよぉ・・・」

 

「神楽も食べるか?林檎ケーキ」

 

「うん~・・・」

 

まだ眠気が取れないのか眠そうな声だったがケーキを食べる欲求で必死に起きた。

 

「んぅ・・・?木綿季お姉ちゃんだぁ~・・・」

 

「ふぇっ!?」

 

「・・・木綿季、しばらく相手してくれ」

 

「う、うん。それは良いけど・・・」

 

「ふへへ~・・・」

 

だらしのない表情に声をあげた神楽に木綿季達は戸惑うばかり。

普段の神楽は言葉をとぎれとぎれに話すため今のように滑らかに喋る所を初めてみたのだ。

 

「さて、切り分けるから食べるか」

 

「はーい」

 

響夜が棚から食器を取り出すとケーキを切っていく。

各々にフォークとケーキを渡すと食べはじめた。

 

「ん・・・美味い!」

 

「本当!美味しい!」

 

「めっちゃ美味しいわね・・・」

 

「響夜さん、美味しいです!」

 

「ん~♪」

 

「おいしぃ♪」

 

テスト前日にも関わらずケーキの美味しさに全員はどんどn食べ進める。

木綿季と神楽に至ってはもっと食べたそうにしていたが林檎ケーキを作るのに使う林檎は3つ。

たまたま余っていた林檎を使いきったため在庫がなかった。

 

「また作ってやるからその時な?」

 

「やったぁ!」

 

「わ~い」

 

「さて・・・時間はまだ3時か。帰るまで雑談するか」

 

「そうですね!ずっと勉強漬けでしたし」

 

「最近の響夜の事聞きたいしな」

 

「えぇ・・・面倒」

 

響夜の内部事情を聞こうとした和人だが面倒で片付けられてしまった。

腹黒眼鏡に呼び出されたときに響夜は和人と会っていたためある程度知っているのだ。

 

「おめぇらなぁ・・・ったく」

 

響夜は観念して大人しく話した。

だがプログラム依頼の事は伏せて。

 

 

 

テスト当日まで残り数十時間。

 

 

 




度々触れられているプログラム。
日常編の次が何かもうお分かりの人もいるかと思いますが感想には直接書かないでくださいね。
一応隠しているので・・・一応。

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