ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車
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紺野家と響夜

人にとってはこの日は嫌であろうと思えるだろう。

授業時間が少ないから帰れると思う人。

今までの成果が如実に現れる日と思う人。

 

 

響夜は学校の制服を着ると筆箱とバイクの鍵だけを持った。

今日はテスト当日。

いつものを持って行っても授業はテストだけなのでそこまで意味がない。

 

「神楽ー、用意できたか?」

 

「ん、出来た」

 

一階で待っていると久々に制服姿の神楽が降りて来る。

実年齢は16だが見た目は小学生6年生ぐらいの背丈だからか制服は規定サイズではなく特注となっている。

 

「あら、もう行くの?」

 

「おう、テストだしな」

 

「それじゃあ・・・私もそろそろ家に帰ろうかしら」

 

「出る時間は構わんが、合い鍵は郵便受けにでも入れといてくれ」

 

「わかったわ」

 

「んじゃ神楽行くぞー」

 

「はーい」

 

響夜はバイクに乗るといつも通り神楽を前に乗せる。

神楽のバイクの定位置はハンドルと響夜の真ん中となっている。

響夜の後ろは木綿季の特等席だ。

 

「木綿季の迎え行くか」

 

「ん、りょかい」

 

学校にはまだ時間があるため木綿季の家に向かうことにした。

時間帯が朝方なので道路は案外すいていた。

それもあり普段より早めに木綿季家に到着する。

バイクを玄関近くに止めるとインターホンを鳴らす。

 

「はーい」

 

「響夜です。木綿季いますか?」

 

「あら響夜君じゃない。家に上がって行って」

 

裕子は響夜達を中に入るよう言うと切れたため、響夜は扉を開けて中に入る。

 

「お邪魔しまーす」

 

「お邪魔、します」

 

「いらっしゃい。木綿季ならまだ寝てるわ」

 

「・・・起こしてきます」

 

まだ寝ている木綿季を起こしに響夜は木綿季の部屋に向かった。

神楽もそのあとを追おうとするが裕子が呼び止める。

 

「神楽・・・ちゃんだったかしら?」

 

「はい」

 

「・・・声戻ったのね」

 

「・・・一応、は」

 

「多分響夜君が戻って来るのは10分ほどかかるわ。それまで少し話があるのだけれど・・・良いかしら?」

 

「どうぞ」

 

裕子は神楽を連れて居間に向かう。

神楽は自分に何の用があるのだろうと思い考えていたが何一つ接点がない神楽には分からなかった。

 

「とりあえず・・・いきなり言うけれどね?神楽ちゃん」

 

「はい?」

 

「・・・貴女の本当の名前、雪宮ではなく紺野じゃないかしら?」

 

「・・・どうして、ですか?」

 

「何となくの・・・勘だけれどね。後は木綿季に少し似ているから・・・かしら?」

 

「・・・ふふ。すごいですね。私は・・・本来であれば、紺野家の者です」

 

神楽の出生に関しては本当にごくわずかの者しか知らない。

神楽本人と響夜、従姉と両親だけが知っている。

 

「何故裕子さんが知ってるかは分からんが・・・なんで聞く?」

 

「・・・っ、響夜君」

 

聞かれていると思わなかった裕子は少し表情を落とす。

響夜はそんなのをお構いなしに口を開いた。

 

「確かに神楽は元は紺野家の娘だったよ。紺野翔平は知ってるな?」

 

「ええ・・・翔平さんは知っているけれど」

 

「あの親父と前の母さんとの子供が俺だ。神楽は紺野家と翔平さんの間の子だよ。だから俺と神楽は完全には血が繋がってないし、木綿季とは従姉妹の関係になる」

 

「・・・そうなのね」

 

「俺も神楽も翔平さんに関しては良い感情を持ってない。それどころか腐った奴だと思ってっからあまり思い出したくもない」

 

「・・・ごめんなさい、嫌なことを思い出させて」

 

「良いですよ、木綿季と神楽は従姉妹関係抜きに仲が良い。教えたとしても逆に仲を深めるきっかけになるだけです」

 

「あなたは紺野家と関わりが強いわね。他のものよりも」

 

「・・・関わりがあろうが俺は木綿季一筋ですよ。木綿季以外は関わりがあろうと特別な感情を抱こうと思いませんし」

 

「・・・やはり木綿季は君に任せて正解ね・・・テストが終わったら貴方の家に木綿季を任せようかしら?」

 

「良いですよ?両親共々、木綿季を気に入ってたみたいですから」

 

「だ、そうよ?テストが終わったら響夜君の家にお世話になりなさい」

 

裕子は物影から見えている人物に言った。

響夜も気付いているため、優しい表情で見る。

 

「ふぇっ!?気付いてたの?!」

 

「・・・アホ毛が見えてたのと足音でばれてる。一応言わなかったが」

 

「うぅ~・・・」

 

「裕子さんがこう言ってる。俺の母さんと父さんの事は知ってるだろ?あとは木綿季の方が良いならってことだ」

 

「う、うん・・・」

 

「幸いにも木綿季はまだ15だけど、あと5ヶ月もすりゃ出来るぞ?」

 

「ふぇ?な、なにを?」

 

「あら、木綿季。教えたあげたじゃない、結婚よ」

 

「日本じゃ男性は18、女性は16で結婚出来るんだよ。俺は18だし木綿季も半年程で16になるからな」

 

「ま、まだ早い気が・・・」

 

「木綿季はしたくないの?響夜君と」

 

「うぅ・・・し、したい・・・」

 

「なら、終わったら響夜君にお世話になりなさい?」

 

「は・・・い・・・」

 

自分の母親の目の前で結婚宣言と同棲すると言わされ木綿季は顔真っ赤にしていた。

響夜も恥ずかしいのか顔を少し逸らすが木綿季を抱き寄せると頭を撫でる。

 

「裕子さん、木綿季さんを俺にください」

 

「はい。木綿季の事お願いしますね」

 

「ふぇぇぇ・・・」

 

「木綿季、結婚式するときは言いなさい。力になってあげるから」

 

「う、うん」

 

「・・・にぃに。時間、大丈夫?」

 

「んあ・・・8時か・・・もうそろそろ出ないと遅れるかもな」

 

「うえっ?は、はやく行こ!」

 

木綿季はこの場にいれなくなったのか自室に走り去っていく。

まだ制服を着ていなかったため着替えに行ったのだろうと響夜は考える。

 

「響夜君」

 

「はい?」

 

「これからも木綿季の事お願いね」

 

「当たり前です。木綿季の事は俺がずっと守ります」

 

響夜は木綿季が来るまで外で待つことにする。

裕子としては中にいても良かったのだがすぐに出れるようにと響夜は出た。

 

「・・・本当に良い相手が見つかって良かったわね、木綿季」

 

今は着替えをしている木綿季の事を思う裕子。

 

今まで色恋沙汰は聞いたことがなかった裕子は将来を心配していた。

ある日、木綿季は嬉しそうな表情である生徒の事を話し出した。

名前は時崎直人という男子生徒。

だがある事を境に二人は離れた。

木綿季は泣きじゃくり、学校に行かず引きこもりとなった。

それ程までに木綿季の中では直人は特別な存在となっていた。

引きこもりの木綿季はある記事を見る。

フルダイブのVRMMOゲーム『ソードアート・オンライン』というゲームを。

数ヶ月ぶりに自室を出た木綿季はSAOを入手すべく今まで貯めた貯金を使って購入した。

裕子はいきなりゲームにはまり込んだ木綿季を心配したが、直人を引き止めれなかった事から罪悪感を感じ何も言えなかった。

 

 

木綿季はSAOをプレイし、ゲームに囚われた。

裕子はもう帰ってこないかもしれない木綿季に年甲斐もなく泣いてしまった。

だが木綿季は帰ってきていた。

裕子もそれを聞いてすぐさま駆け付けた。

木綿季の病室に入ると病院衣を着た男の子が木綿季といた。

木綿季はその子の事を何度も話す。

それを聞いて裕子は一安心した。

そしてその男の子はどこか・・・行方を眩ませた時崎直人に少し似ていたのかもしれない。

木綿季は自分といるときは見せなかった表情を沢山出していた。

引きこもって塞がっていた木綿季をこんな表情にする男の子に裕子は段々と興味を持つ。

木綿季と男の子の間には誰も立ち入れない繋がりがあると確信していた。

 

「・・・やはりあの子は直人君なのかもね・・・」

 

昔の事を思い出す裕子はもういない直人の事を思う。

男の子と直人はどこか似ている。

 

 

それを思いつつも響夜が話さない辺り、触れてほしくないと思い、木綿季の部屋へと向かう。

 

「木綿季ー?まだなのー?」

 

「今出来たー!」

 

「響夜君が待ってるわよ、早く行ってきなさい」

 

「うん。行ってきます!」

 

「行ってらっしゃい、木綿季」

 

元気に手を振った木綿季に自然に笑みが零れた裕子はテスト後の事を考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いぞ、木綿季」

 

「ごめんよー」

 

「さて、神楽も乗ってるから木綿季も乗りな」

 

「うん!」

 

木綿季は響夜の後ろに座るとお腹に手を回す。

これがいつもの定位置で飛ばされないための対策方法。

 

「それじゃ行くぞー」

 

響夜がエンジンを吹かすとあと数十分でテストが始まる学校へと向かった。

 

 

 



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