出番はほとんど出しません。
夢を見た。
SAOの世界ではない。
自分達が本来居た現実世界だ。
そして自分はベッドで寝ていた。
しばらくすると誰かが入ってきた。
白衣を来ており、恐らく医者か何かだろう。
医者は自分の体に繋がれたケーブルやらチューブやらを確認し、機械を見ている。
(そういや・・・現実世界の俺は普通じゃなかったな、現に自分の家ではない・・・か。病院暮らしも・・・長くは出来ねぇな)
医者はこちらに話しかけるも声が聞こえず、そのまま部屋を出た。
自分は病気というか生まれつきの物を持って生まれた。
それのせいであまり体が強くない。
そしてそれを知るのは家族である両親と妹だけだ。
和人には教える気にならず、秘密にしている。
(ユウキ・・・か。あの子は・・・他の子とは違う何かがある。でも結局は同じだろうしな)
響夜はSAOで知り合った女の子、ユウキを思い返していた。
元気活発で一緒にいると雰囲気が明るくなる。
どこのパーティーでも明るく出来るだろうあの少女は自分とは違いすぎた。
だからだろうか、あの子なら別に大丈夫なんじゃないかとどこかで思ってしまう。
(ユウキなら・・・もしかしたら違うのかもしれない・・・な)
自分の事を家族以外に話したことはないし、元より話すつもりも無かった。
ただ、ユウキなら大丈夫なんじゃないかと思えた。
(でも現実世界は・・・俺はこんなだしな)
現実世界の響夜は・・・あまりにも普通とは掛け離れている。
普通に学校に行って、友達と遊んで・・・のような普通な事が響夜には出来ない。
(これが夢であってよかった・・・絶対こんなの見せれねぇし)
そう思うと夢から逃げるように意識を沈めた。
ヒビキが起きるとそこには心配した顔をしているキリト達が居た。
「んあ・・・お、おはよう」
「ああ、おはよう・・・何か見たのか?」
キリトはヒビキにそう聞いた。
ヒビキとしては普通の夢を見たと思っていたので何故か気になった。
「なんでだ?」
「ヒビキ・・・うなされてた、何か見たんだよね?」
「・・・見たとしてなんだ」
「何を見たのか気になって・・・」
「関係ねーだろ、ほっとけ」
「うっ・・・で、でも」
「これは俺の問題だ、お前らが首突っ込む物ではねぇし、心配されると逆に嫌気がさす」
「わるい・・・じゃあ、行くか」
「あいよ、カグラ・・・起きろ」
ヒビキは未だに自分に引っ付いて寝ているカグラを起こした。
まだ眠いのか目を擦っており、目はまだ完全には覚めていない。
「ほれ、起きてくれ・・・さすがに体が痛い」
「ん、ごめんヒビキ」
すぐに意味を理解したカグラは眠いながらも体を起こしてヒビキから離れた。
しかし眠いのか足元は覚束ない。
「アスナ、悪いんだがカグラを任せていいか?危なっかしい」
「分かったわ」
アスナにカグラを任せて、とりあえず一階に下りて食事を取った。
今日のボスのことや、《スイッチ》や《ポットローテ》などSAOでの基本技術などもヒビキとキリトはアスナ達に教えていた。
それからして、第一層迷宮区の最深部・・・ボス部屋の手前には今回のボス攻略に参加するものが集まっていた。
「みんな!俺から言うことは一つ・・・勝とうぜ!」
ディアベルがか活気良く言い、それによって士気も高まった。
それを見計らってディアベルはボス部屋の扉に手をかけて開けた。
「全員、突入ー!」
ディアベルが指揮すると全部隊はボス部屋に入った。
しかしどこを見てもボスが居なかった。
ヒビキはまだ見ていない上を見た。
「なっ・・・みんな!上だ!」
ヒビキに釣られて全員は上を見た。
するとそこには、第一層ボス《イルファング・ザ・コボルド・ロード》が居た。
それに合わせて取り巻きである《ルイン・コボルド・センチネル》が3体出現した。
ヒビキ達、F隊はその内の一体を相手することになる。
「全部隊、打ち合わせ通りに移動、随時戦闘開始!」
ディアベルの指揮により、各部隊はそれぞれに散らばった。
「だー、結構削れんなぁ・・・キリト!スイッチ!」
「了解だ!」
ヒビキがある程度戦闘し、HPが削れるとキリトと交代してその間に回復をしていた。
しかしヒビキはあることを思う。
(βテストの時はHPが1ゲージでタルワールに変えるが・・・何か嫌な予感がするな)
「・・・っ、アスナ、ユウキ」
「何?」「どうしたの?」
俺はこの嫌な予感が拭えず、二人を呼んだ。
「俺が合図したらボスにソードスキルを使ってくれ」
「でも、ボスはボス部隊が相手するんじゃないの?」
「そうだが・・・何か、嫌な予感がする。ボスが武器変更した際、ソードスキルを使おうとしたら止めてくれ」
「・・・良いわよ」「うん、分かった」
「悪いな・・・キリト!入るぞ!」
「ああ!頼む!」
ずっとキリトに任せていたため、回復のためにもキリトと交代した。
それを続けていると取り巻きはHPが無くなり消えた。
するとボスから雄叫びが聞こえた。
「グガァァァァァ!!」
コボルド王は持ち武器を捨て、武器変更をした。
それはタルワールではなく、野太刀だった。
そして、ディアベルは単独でコボルド王に突撃した。
(ここは全員で囲んで倒すのがセオリーなはず・・・それより!)
コボルド王はソードスキルを発動させて、ディアベルに目標を定めた。
(あの構えは・・・刀スキルの《浮舟》か!)
「アスナ、ユウキ!今だ!」
「了解!」「分かった!」
アスナとユウキはヒビキの合図通り、コボルド王のソードスキルを阻止するため、対抗した。
アスナが一撃目をソードスキルで止め、二撃目をユウキが防いだことで《浮舟》は成功することなく、終わった。
「キリト!ちゃっちゃとやるぞ!」
「分かった!」
キリトが片手剣スキル《レイジスパイク》でコボルド王の刀スキル《辻風》を相殺し、ヒビキは片手剣スキル《ソニックリープ》で突撃、コボルド王に大ダメージを与えた。
しかし、コボルド王はそれでは死に切らず、すぐに刀スキル《緋扇》を発動させてキリトとヒビキに攻撃しようとした。
「しまっ・・・!」
ヒビキ達はやらかしたと思い、目をつぶるがそれを防いだ者が居た。
「ここは俺達が防ぐ!いつまでもアタッカーに防衛させてたらタンクの名が廃る!」
「悪い!ヒビキ、一度引くぞ!」
ヒビキはそれに頷き、防いでくれたあの長身の黒人に感謝しつつ、引いた。
そして打開策をヒビキは考えた。
「キリト、一撃目を俺が退ける。お前があいつにトドメをさせ」
「分かった、タイミングは?」
「決まってんだろ、今からやるんだよ!」
ヒビキに合わせ、キリトも続いた。
コボルド王は一度退いたヒビキに《緋扇》を当てようとするもヒビキが《レイジスパイク》で相殺し、尚且つコボルド王に追撃を与えた。
キリトは追撃したヒビキに続いて《バーチカル・アーク》をコボルド王の肩から切り込み、下まで切りきった。
それが最後のトドメとなり、コボルド王はポリゴン片となって消えた。
「・・・Congratulationsか・・・勝ったぞ」
「だな・・・」
キリト達の活躍により、第一層を突破し新たな第二層が解放された。
他のものもCongratulationsという文字を見て喜び合った。
しかしその中、それを打ち払ったものが居た。
「なんでや!」
「キ、キバオウさん?」
「あんたらはボスが変えた武器のこと知ってたんやろ!それを教えていればディアベルはんは危険な目に合わずにすんだんや!」
キバオウが野太刀に対抗したヒビキ達を批判した。
しかしディアベルはそれを宥める。
「キバオウさん、確かに危ない目には合いましたが、それを救ってくれたのは彼らです。確かに文句があろうと強くは言えないんですよ」
「それでもや!あんたらβテスターやろ!」
ヒビキとキリトは悩んだが・・・キリトが言いたそうにしていた。
「くっくっくっ・・・あっははは」
「何がおかしいんや!」
「元βテスター?そんなやつらと同義にしないでくれよ。確かにβテスターは最初は同じだ。狩りの仕方も分からなかった、まだあんたらのがマシさ!・・・それにこいつらは俺が指示したからそれに動いただけだ」
「何やそれ!あれは明らかに分かっている動きやったぞ!」
「それは俺が散々刀を使うモンスターと戦ったからだ、それを俺はこいつらに教えた、それを覚えてたからあんなに動けたんだよ」
「そ、そんなんチートや!チーターやろ!そんなん!」
「こ、こいつ元βテスターだ!だからビーターだ!」
「ビーターか・・・良い呼び名だな、これからは元βテスター如きと一緒にしないでくれ」
キリトはそういった後、第二層の扉に向かった。
その際ヒビキが言った。
「キリト、メッセージ後で送る、そこで落ち合おう、ユウキ達は連れていかん」
「・・・分かった」
キリトは返事をしたのち、ボスのLAB《ラストアタックボーナス》である《コードオブミッドナイト》を装備した後、第二層に向かった。
この日から、『ビーター』という言葉が生まれた。
そして死亡者0で第一層ボス攻略は終わった。