ようやく書いたお話ですが。
留意して頂きたい点がありまして。
作者本人でもこれで大丈夫なのだろうかという内容です。
というのも多くの矛盾点があるような気がしてならないのです。
かといって今までの内容を書き換える作業をしていたら私のやる気が無くなって執筆が確実に止まります。
なので意味不明な点はあっても作者が全てを理解出来ていなくなってしまったと思って頂いて結構です。
これは自分の力不足が招いた事なので。
それでは、記念すべき・・・?50話どうぞ。
響夜は自分の部屋でずっと考えていることがあった。
果して自分の家族はどういう関係性があったのだろうと。
神楽と木綿季と藍子は不倫の子供。
響夜は結婚相手の母との子供。
「・・・複雑な感じだな」
今一度の整理をつけるべく、響夜は家を出た。
響夜が向かったのは木綿季の家。
ここであることを話すことになっていた。
むろん神楽も同席する。
「響夜君、いらっしゃい」
「裕子さん。こんにちわ」
「木綿季なら中よ。藍子・・・木綿季のお姉ちゃんも一緒」
「わかりました、ありがとうございます」
響夜は裕子に礼を言うと中に入る。
木綿季の部屋の前まで行くと中から声がした。
木綿季のものと姉である藍子であろう声。
仲良く話しているのでドアを開けるのを躊躇うが。
「にぃに。入ろ?」
「・・・そうだな」
響夜はドアを叩くと開けた。
中には木綿季と一人の女性。
「あ、響夜!」
「響夜・・・?じゃあこの人が木綿季のお相手さん?」
「そうだよ!ボクの旦那さん!」
「・・・木綿季。まだ15だ」
木綿季の結婚宣言に相手は驚くも笑っていた。
「ごめんなさい。木綿季が・・・私は紺野藍子。木綿季の姉です、敬語はいりませんので」
「雪宮響夜。この子は妹の神楽」
「・・・神楽です、よろしく」
「みんな、自己紹介終わったかしら?」
裕子がひょっこりと顔を覗かせていた。
それにあわせてみんな集結し、居間に移動する。
最初は無言だったが、響夜が最初に声を出した。
「・・・さて、今回は紺野家に重要な事をお話します」
「まず・・・いきなり言っていきますが、神楽の事をまず最初に・・・神楽は雪宮家の子供ではありません」
「・・・ぅ」
響夜の言葉に全員が驚いていた。
神楽もどこか暗くしていた。
「神楽は紺野翔平と紺野家の女性との間に出来た子供です」
「・・・そうなの?」
「うん。そうです」
「まったく世も末です。特に紺野翔平。あの男は心底腹が立つ」
そういう響夜はどこか怒っている感じだった。
だがすぐに納めると次の話に移る。
「元々紺野翔平は俺の前の母・・・時崎夜那と結婚してました。俺は翔平と夜那との子供です。ですが翔平は不倫をしてました。それが木綿季と藍子の母親です。確か・・・名前は陽菜でしたね、紺野陽菜」
「そこまで調べたのね」
「ええ。血縁関係者は洗いましたから・・・それで、少し戻りますが、神楽は誰の子供なのか。それは陽菜さんの子供です・・・木綿季達は知らなかったかもしれないけど三つ子だったんだよ、双子ではなく」
「えっ!?」
「木綿季と藍子は普通に生まれたけど神楽だけは出産に時間がかかった。あと木綿季達より体重が異様に少なかったらしい。そして翔平はあることを考えたんですよ」
「・・・なにを?」
「木綿季と藍子は双子ということにして神楽は別の子だと思わせることに。そうすれば神楽は姉二人を知らずに生きて、相手からは連れ子だと思わせれる。もっとも俺が行動して神楽は翔平から奪いました」
「・・・」
響夜は神楽を膝に乗っけると頭を撫でる。
片手で頭を撫で、片手で抱きしめるように。
「反抗されるかと思ったんですけどね、神楽は俺についてきたんですよ。だから夜那母さんに頼みました、神楽を引き取ってくれと」
「幸い、夜那母さんは喜んでくれましたけど、年齢的にも精神的にも幼い神楽は学校でも馴染めず、転落して緊急搬送されました」
「翔平はそれを利用して夜那母さんから消えたんですよ。陽菜さんの所に行くために。結果的には陽菜さんと翔平は交通事故で亡くなり、夜那母さんは・・・自殺しました」
「自殺って・・・」
「響夜君、それは本当なのね?」
「はい。紛れも無い真実です。木綿季と藍子と神楽は三つ子で実の姉妹です。俺は親父の血が繋がっただけですから」
響夜はどことなく暗い表情を浮かべる。
響夜としてもこの手の話は嫌いだが、言わなければならないと思っていた。
「親父の血の繋がりで兄妹なんですよ。例え家が違うとも」
「響夜が・・・お兄ちゃん・・・」
「響夜君。少し気になったの・・・貴方は直人君・・・でしょ?」
「・・・理由は?」
「まず貴方が紺野家の血縁を調べれても時崎家には関係がない。だって貴方は雪宮家なんだから。となると以前の旧名が時崎ってことになるでしょ?となると時崎っていう名字は直人君ぐらいだもの」
「・・・迂闊でした・・・合っていますよ。俺は時崎直人です」
「・・・ぇ・・・?」
「木綿季。俺は昔、お前の前から消えた時崎直人だ。雪宮家に入るときに改名した。もう後悔は無いからさ」
木綿季は信じられない表情をしており、涙が出ていた。
必死に我慢するもどんどんとあふれてくる。
「木綿季、我慢しちゃダメだよ」
「う・・・うわぁぁぁぁんん!!」
時崎直人という人物がいきなり現れては消えてやっと諦めたと思ったらまた現れた。
そんなことでずっと我慢していた木綿季はとうとう我慢の限界を迎えていた。
「・・・謝って済むかは分からないけど・・・おいで」
「直人・・・直人ぉ!」
「ごめん・・・木綿季」
木綿季はただただ、懐かしの直人に抱き着いて泣きじゃくるしかなかった。
「ぐすん・・・」
木綿季がようやく泣き止むと響夜は木綿季を膝枕して横にしていた。
神楽は木綿季に抱き抱えられるように抱きしめられていたが。
「響夜君の情報収集能力。恐れ入ったわ。まさか真相を暴くとは思わなかった」
「裕子さんこそよく隠し通せた物です」
「暴いた本人が何を言うんですか・・・それで、響夜君はどうするの?」
「どうするも何も、全員生みの親はいませんから何もしませんよ。しいて言うなら・・・木綿季を守るだけです」
「だそうよ藍子」
「へっ?お、お母さん私に降るんですか!?」
「そうじゃない?木綿季の事溺愛してるんだから」
「うう・・・・・・木綿季。響夜さんに一緒付いていくの?」
「うん、これからも付いていくつもりだよ姉ちゃん」
「・・・響夜さん、木綿季の事お願いしても・・・良いですか?」
「もちろん、そのつもり」
響夜は藍子に返すと木綿季の頭を撫でる。
実感はないが、本当の意味で3人は姉妹の関係性を確認出来ていた。
神楽の幼さは謎だが結局はそれも可愛らしいポイントだと響夜は割り切る。
「さて、今日はここに泊まって良いですか?」
「ええ、もちろん」
「・・・少し外出てきますね。伸びたいので」
響夜は一度整理をつけるべく外に出た。
近くに自動販売機があったので林檎ジュースを選ぶと口を開けて飲む。
「ぷはぁ・・・なんか、色々あったな」
木綿季と藍子と神楽の三姉妹に、響夜は三姉妹の兄。
雪宮響夜は時崎直人だったという真相。
「・・・翔平はくそ野郎だったけど・・・子供のことはしっかりしてたのかねぇ」
後に聞いた話で出産は帝王切開による出産だった予定をいきなり通常分娩に切り替えたらしい。
何故そのような行動をしたのか響夜には興味はなかった。
「ん・・・そういや、帝王切開って輸血用血液製剤を使うんだっけ・・・もしかして血液製剤に異常があったから・・・?まさかあの男が気付くとは思えないが・・・いきなり通常分娩に切り替えたことも血液製剤を避ける理由にはなる」
輸血用血液製剤には本当にごくわずかに感染菌が混じった物が混同している時がある。
基本的には害が無い物だが例えば赤子や幼子であれば感染の危険性がある。
もしその血液製剤に感染菌があると考えれば翔平の行動はおかしくないのだ。
子供の将来を考えての行動となる。
「・・・どこまでも気に食わないな・・・生むときから子供の事考えてたんなら最後までいてやれよ!・・・くそが!」
ここにはいない翔平を響夜は悪態つくと、林檎ジュースを片手に家の中へと戻った。
響夜が戻ると神楽は木綿季に抱き着いて寝ていた。
木綿季もどうしようかと悩んだ表情で神楽を抱き抱えていた。
「木綿季、藍子と裕子さんは?」
「姉ちゃんなら部屋に。お母さんは仕事だよ」
「そうか・・・飯は俺は作るから木綿季は神楽といてあげてくれ」
「・・・本当に神楽ちゃんってボク達の妹・・・なの?」
「生まれた時間は藍子、木綿季、神楽の順番だ。だが三つ子ということもあってか神楽は木綿季達より小さい。それが気になったが、二卵性以上ならありえる可能性なんだとよ」
「ふ~ん・・・そっかぁ」
響夜は縁側で座ると木綿季も隣に座った。
頭は響夜の肩に預けて。
「これからもよろしくね?おに~ちゃん」
「・・・ったく」
大変な妹が増えてしまったが響夜はどこか嬉しそうにしていた。
一度家族を失っているからこそ、増えるのは嬉しいのだろう。
「木綿季、大好き」
「ふぇっ・・・うぅ~・・・響夜の馬鹿!大好き!」