クリスマスから翌日。
楽しいパーティーをして、神楽の誕生日パーティーを行った。
全員見知った相手だからか、神楽は人見知りも発作も起こさずに楽しんでいた。
響夜も楽しそうにしている神楽を見て、少し嬉しそうにした。
普段は誰かに隠れているような感じを出して、自分の事は中々言わない。
それは神楽をよく知る者しか知らない。
「あんな楽しそうにしてたらそりゃあ疲れるか」
響夜が目を覚まして目の前を見ると詩乃と藍子に挟まれて寝ている神楽。
そして目線を自分の膝に向けると、響夜に抱き着いて寝ている木綿季がいた。
「すぴ~・・・すぴ~・・・」
「こいつもか・・・まぁ嫌では無いしな」
昨日木綿季に渡したネックレスは、わざわざ東京の銀座に行って高級店で作ってもらった物。
値段がかなり張ったが数々の依頼をこなしていたため、響夜の通帳には普通ならば使いきれない金額が入っている。
今回はそれに物を言わしてオーダーメイドで製作、購入した。
また、その時に指輪も作ってはいる。
何店という宝石店を駆け回り、見つけだした店でようやく見つけた『パープルダイヤモンド』を即購入した。
数百という諭吉が消えていたが響夜にはそんなもの関係無しと言わんばかりに、紫ダイヤを買っていた。
それを宝石加工店に持って行き、指輪として加工してもらっている。
響夜はその指輪を常に持ち歩いていた。
盗られない・・・というのもあるが、いざ木綿季にプロポーズとなると恥ずかしいものがあった。
「いつ言おうかねえ・・・」
パープルダイヤモンドの事は神楽から教えてもらっていた。
木綿季のイメージカラーが紫や紺なのでちょうど良いと思っていたが、カラーダイヤモンドというのは産出量が余りにも少なく、無色透明のダイヤに比べると数十倍の値段がする。
また産出量の少なさ故に宝石店でも取り扱われることも少ない。
だが響夜はどうしても諦め切れず探し回ってようやく見つけた。
普段ならば使わないクレジットカードで即決購入。
通帳からは膨大な金額が引かれたがそれでもまだ残りが多大にある辺り、響夜の一回の稼ぎは大きい。
「んう・・・ふぁぁ・・・」
「起きたか。おはよう、木綿季」
「おはよぉ~・・・」
指輪の事を考えていると木綿季が起きて、響夜に強く抱き着く。
「ぎゅ~・・・」
「どうした?」
「ん・・・落ち着くから・・・」
「甘えん坊め」
「えへへ~・・・」
木綿季に好かれてこういうことをされる事は響夜は嫌っていない。
それは木綿季の好意の表現でもあり、断る理由がない。
それどころか響夜自身は早く木綿季が16歳にならないかと待ち望むぐらい。
「・・・はぁ。早くお前が16になりゃあなぁ・・・」
「んう~?」
「なんでもねぇよ。一回顔洗って来る」
響夜は木綿季を膝から降ろすと洗面所へと移動した。
エギルは既に開店準備をしており、カウンターでの準備をしていた。
「よう、エギル」
「やっと起きたか。こいつら早く帰らせねぇとだぞ」
「幸い遼太郎以外は家近いし大丈夫だろ」
「そうなのか?俺はお前らの家を詳しく知らないからな」
「知ってたらこえぇよ」
「それもそうだな」
エギルと少し話すと響夜は顔を軽く洗った。
そしてバッグから包装されたプレゼントを取り出すと木綿季の所へ向かう。
「おかえり、響夜」
「おう、ただいま。神楽達まだ寝てるのか」
「どうしようっか・・・このまま置いとく?」
「まぁ勝手に帰るだろ」
「ならいいんだけど・・・」
「神楽の持ってきたカバンが満タンだし、プレゼントは貰ってるみたいだな」
「そっかぁ・・・でも、このままじゃあ・・・」
「神楽がちゃんとお礼言いたいだろうな。仕方ない、起きるまで寝る」
「う、うん」
響夜はまた椅子に座ると寝はじめる。
起きる頃には全員帰っており、神楽もちゃんとお礼を言えたようだった。
響夜と木綿季は一度家に帰ってから渡すことにして、エギルの店から撤退するといつも通りバイクで自宅へと帰った。
余談だが、神楽のバッグでバイクの重心が傾くなど危険性があったが。
危険性を何とか抑えて家に帰ると神楽のカバンを持って家へと入る。
中にはお菓子や衣服、ゲーム機など色々な物が送られていた。
「さて神楽。俺からはこれをやるよ」
「ボクからはこれね」
響夜が渡したのはイヤリングや髪留め。
神楽は元々お洒落が好きだったのを知っているのでお洒落用に大量に買い付けた。
種類が沢山あるが神楽の好みに全て合わせている辺り、神楽の事をしっかりと理解している。
「あ、あとな。お前が欲しがってたキーボード。あれも買ってやったから後で渡す」
「・・・!ありがとう!」
神楽は前々から欲しがっていたメカニカルキーボードと呼ばれる物が買いたかった。
しかし所持金が少なく、買えなかったため断念していた。
木綿季からは大きなぬいぐるみ。
神楽の部屋に置いているぬいぐるみと被っていない物を渡した。
どこぞの2Dアクションゲームに出てくる白いオバケのぬいぐるみ。
抱き心地は良いようですぐに気に入っていた。
「ねぇね、にぃに。ありがとう!」
「どういたしまして」
「ふふ、どういたしまして」
妹が普段は見せないような表情に響夜と木綿季は嬉しくなる。
神楽は早速二階へと持って行くものを持ち出すとパタパタと上っていった。
「珍しいね。あんな表情」
「神楽にとっては誕生日は特別なんだよ。あの親父ですらしっかり祝ってたらしいからな」
「そっかぁ・・・」
「でも・・・今回はあいつにとっては良い思い出になったろ」
「だといいな~」
いつもと違う神楽を見て二人はニコニコしながら響夜の部屋へと入っていった。
内容いつになく薄いですね・・・文字数2200。
これ考えたの0時40分なんですよ。
それを1時間ほどで書いたのでそれは薄いに決まってます。
次回は木綿季のデート回・・・の予定。
作者の発想次第でデート回は延期になりそうです。