ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車
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手作りの大晦日

神楽と昼寝をしてから数時間。

木綿季はかなりの時間を寝れたためか、眠気が一切なかった。

 

「んう~・・・」

 

木綿季が体を伸ばし、時計を確認すると時間は21時。

神楽は俄然まだ寝ており、木綿季に引っ付いている。

 

「うーん・・・仕方ない・・・か」

 

起こすのも可愛そうだと思い、木綿季は背中に乗せて抱いて移動することにした。

 

 

 

 

 

木綿季が部屋を出ると窓から見える景色はすっかり暗く、寝過ぎた事が実感できた。

そのまま一階へと降りるとソファーのライトが点灯していた。

 

「・・・?」

 

木綿季はあの場所のライトは点けていない。

となると誰かが点けたのだが、誰がなのかは木綿季には分からない。

恐る恐る近付いてソファーを覗くと、ソファーに寝転がって寝ている響夜の姿があった。

 

「帰って・・・来てたんだ」

 

いつ帰ってきたのか分からなかったが、家に帰ってきていたことに木綿季は安堵する。

 

『きゅる~・・・』

 

「・・・あう・・・」

 

すると晩御飯を食べていない木綿季のお腹から音がなった。

恥ずかしかったが、神楽は寝ているため聞かれなかった。

だが響夜はその音で起きたのか、片目だけ開けて木綿季を見ていた。

 

「・・・そこの腹ぺこお嬢さん」

 

「ふぇ!?お、起きてたの!?」

 

「今、木綿季の空腹音で起きた」

 

「あうぅ~・・・」

 

「今は・・・もう9時か・・・木綿季はどっか座っとけ」

 

「うにゅ~・・・」

 

起きていると思わなかった木綿季は恥ずかしさでいっぱいになる。

響夜も寝起きの頭で今の木綿季を弄れるほど回転していないため、弄らず晩御飯を作ることにした。

今日のお昼に買った材料を取り出す。

打ち粉など蕎麦に使う物を取り出すと響夜は牛乳をコップに入れて砂糖を入れると電子レンジで温めた。

 

温め終わって響夜はそれを軽く掻き混ぜると飲み干した。

やる気を引き出すときに響夜はいつもホットミルクを飲む。

飲んでいた間に新しいコップを取り出すとまた温めた。

 

「響夜~、何飲んでるの~?」

 

「ホットミルク。喉渇いたし」

 

「ボクも飲みたい~」

 

「今温めてるから待っとけ」

 

「わーい」

 

木綿季も飲みたいだろうと思い響夜は先程電子レンジにて二個目のホットミルクを作っていた。

それも温め終わると木綿季へ渡す。

 

「砂糖は自分で入れろ。ここに置いとくからな」

 

「うん。ありがと~」

 

木綿季にホットミルクを渡すと響夜は早速作業に取り掛かる。

今回つくるのは手作り蕎麦。

真剣に作らなければ美味しい蕎麦が出来ないため、響夜はいつになく真剣に取り掛かる。

それを木綿季は邪魔をしないようソファーから顔を出して見ていたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響夜が蕎麦を打ち終えて1時間。

慣れない作業のため時間がかかったが、麺として切り出せた。

現在は切った蕎麦をざるに置いて冷蔵庫にて冷却。

 

「慣れない事はするもんじゃないな」

 

「そお?格好良かったよ?」

 

「たかが作ってる姿だろうに・・・」

 

「響夜のだから格好良いんだもん~」

 

「調子良いこというんじゃありません」

 

「ふぎゅ」

 

響夜は木綿季の頭に軽くチョップを当てる。

木綿季も口から情けない声を出していたが。

 

「いつお蕎麦食べるの?」

 

「一応年越蕎麦だからな?日付が変わる辺りで食べれるように調整する」

 

「そっかー・・・じゃあ早く変わらないかなー」

 

「ま、それまでお腹すくだろ?だから軽く作ったから食べとけ」

 

「ほぇ?」

 

響夜はオーブンから取り出したのはドリア。

木綿季がお腹がすいていたのは知っていたため、蕎麦を打ち終えたあと作っていた。

材料は残っていた物で作ったため、具沢山のドリアとなっていたが。

 

「響夜は食べないの?」

 

「木綿季が食っていい。神楽のは今焼いてるが俺のはさすがに足りん」

 

「むぅ~・・・」

 

木綿季は自分だけが食べることが不服だった。

自分が作ったならまだしも、響夜が作ったのに本人が食べないのは嫌だった。

何かないかと考えると一つの方法を思いつく。

 

「んぅ・・・じゃあ、一緒に食べよ?」

 

「お前の分無くなるぞ」

 

「良いもん!響夜と一緒に食べたいから」

 

「・・・はいはい」

 

木綿季がここまでして一緒に食べたいことが響夜に伝わったのか、呆れたように響夜は手を軽く荒って拭いた後、木綿季の隣に座る。

木綿季の膝には神楽がまだ寝ており、木綿季の服の裾を掴んでいる。

 

「一応出来たてだから冷ましながら食べろよ」

 

「分かってるよー」

 

木綿季はフーフーと熱々のドリアを冷ますと響夜に食べさせた。

 

「んぐ・・・」

 

「どお?」

 

「うん、美味い」

 

「じゃあボクにもしてー」

 

「ならスプーンを俺に渡せ」

 

響夜は木綿季からスプーンを渡されると木綿季が一口で食べれる大きさを掬った。

熱くないように冷まして食べさせた。

 

「あむ・・・」

 

「美味いか?」

 

「うん!」

 

「そうか・・・まだあるからもっと食えよ?」

 

「響夜もだよ?」

 

「分かってるから・・・」

 

響夜も大人しく木綿季に食べさせられているとオーブンの音が鳴った。

 

「んあ・・・焼けたから出して来る」

 

「はーい・・・神楽ちゃん、起きよ~?」

 

「・・・ぁぅ・・・」

 

木綿季に揺すられ神楽は目を擦りながらも目を覚ます。

するとドリアの匂いに気付いたのか周りを見る。

 

「ドリア・・・?」

 

「おう。神楽のは今焼けたぞ」

 

「ん、食べる」

 

「火傷しないようにね?」

 

「うん」

 

神楽の前にドリアを置いた。

焼きたてのため、滲み出た油が沸騰している。

 

「ん・・・いただきます」

 

「響夜も食べよー」

 

「はいよー」

 

響夜も木綿季と一緒にまたドリアを食べはじめた。

今度は神楽も木綿季と響夜に食べさせようとする。

それを嬉しそうに二人は食べた。

神楽も分かってくれて嬉しいのかニコニコしていた。

 

「神楽も熱かったら冷まして良いからな」

 

「うん」

 

「お蕎麦・・・食べれる?」

 

「少しは食べると思うぞ。余っても俺が食べ切るから安心しとけ」

 

「分かったぁ」

 

ドリアを食べ終えた響夜と木綿季はまだ食べている神楽の頭を撫でながら言う。

神楽は頭を撫でられることが好きなため、されるがままドリアを食べる。

 

「てかもうこんな時間か」

 

響夜が時間を確認すると23時30分。

もうすぐ日付が変わるため、響夜は蕎麦を冷蔵庫からとりだすと茹ではじめた。

 

「神楽と木綿季はまだ食えるか?」

 

「ん・・・食べれる」

 

「まだまだ食べれるよ~」

 

「んじゃ全部茹でる」

 

蕎麦を鍋の中に入れて2~3分ほどすると、茹で上がった蕎麦を氷水で一気に冷却する。

そして買っておいたつゆをかけて、柚子胡椒を少し振り撒くと響夜流の手打ち蕎麦の完成。

 

「ほれ、できたぞー」

 

「わーい!」

 

「神楽は一旦ドリア冷まそうか」

 

「・・・うん、ごめんなさい」

 

「謝らなくて良いよ。出来たてを10分程で食べろってもはきついから」

 

「・・・うん」

 

蕎麦が出来る前に食べ切りたかったのであろう神楽は少し申し訳なさそうにする。

それでも響夜は一口が小さいのを知っているため、時間がかかるのは分かっていた。

 

「まだ熱いな。少し冷ます間に蕎麦食っちまえ」

 

「うん!」

 

「響夜も早くー!」

 

「わぁーったから!俺の分今やってんだよ!」

 

早く食べたいのであろう木綿季は響夜を急かす。

すぐさま盛りつけて木綿季達の所へ急ぐと時間は23時50分。

 

「んじゃ、食べるか」

 

「うん!いっただきまーす!」

 

「いただきます」

 

木綿季と神楽は蕎麦を一気に啜った。

響夜が作った手打ち蕎麦はとても美味しく、こしがあった。

ほのかに柚子の香りがして、蕎麦単体だけで飽きないように工夫がされていたため、食べ易さも。

 

「美味しい!」

 

「ん・・・美味しい」

 

「そかそか。久々に作ったけど良かったよ」

 

「これなら毎年食べれるよ~!」

 

「それはきつい」

 

「あはは!」

 

木綿季の冗談とも言えない冗談に響夜は溜息をつく。

しかしこの会話を嫌とは思えず、寧ろ楽しいと感じた。

木綿季が響夜と暮らすようになってから色々と変わったのだろう。

神楽も頑張って喋れるように木綿季と頑張ったらしく、部屋の外に出ようとしたのも木綿季が率先したから。

しかし木綿季は響夜がいたからこそ昔の事や親のことを知ることが出来た。

響夜達にとってはこの一年はとても濃い物となったのだろう。

 

 

そんなことを考えていたら時計の針が0時0分を刻んだ。

この日を境に新しい一年がまた始まろうとしていた。

 

「日付が変わったな」

 

「だね~」

 

「これからもよろしくな。木綿季、神楽」

 

「うん!ボクの方こそよろしくね?」

 

「・・・よろしくね、にぃに、ねぇね」

 

日付が変わっても、年が変わろうとも、やることはいつも通り。

響夜は木綿季を。

木綿季は響夜を。

二人はお互いにお互いを支え合える存在で、神楽は二人の妹でありながら子供のような存在。

 

最初はただの事件の被害者同士だったのに、今では婚約関係を結ぶほどの仲となっていた。

それを当時の二人は予想は出来なかったのだろう。

しかし、これもまた二人が歩んだ人生の一つ。

幸せをお互いに求めたが故に今の二人があるのだろう。

 

「・・・ありがとな、いつも」

 

小さく呟いた響夜の声はしっかりと聞こえていたが木綿季はあえて聞き流した。

無意識だろうと思い、何もいわないほうが良いと思ったから。

 

「響夜。初詣いこ?」

 

「せめて寝てからな。徹夜で初詣とか眠くて楽しめない」

 

「うん!」

 

木綿季は響夜と神楽と一緒に初詣に行けることが嬉しいのだろうか。ニコニコしつつも、だらしのない笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

普通に生きていたら会うことも無かったであろう少年と少女。

それがある事件によって巻き込まれた。

その切っ掛けだけでここまで変わる物なのだろう。

少年は今を大切にし、少女を必ず守る。

少女は少年をずっと支えていく事を決めた。

二人の関係は少しの事では切れないほど、深く絡み合っていた。

それが新しい年が更に強めて行くのだろう。

笑い合う二人はいつまでも共に幼き少女と歩き続ける。

世界が終わるまで、ずっと。

 

 




ちょっと適当過ぎたかな?という作者の考えは老いておいて。

次回はリクエストにもあった初詣。
それが終われば新しいストーリー編に入ります。
予想はしていただいても構いませんよ。
・・・一応答えを過去に書いている気がしなくもないですが。



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