ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車
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大食いの暴走

響夜はあることを考えていた。

 

オーグマーと呼ばれるAR機器はまだ出回る程に生産がされておらず、どこの店頭にも並んではない。

しかしある依頼の追加報酬として届いてしまったためにあることが懸念された。

 

「これってまだ・・・日本じゃ売ってないし、迂闊には出せないよな・・・」

 

重村は響夜を理解し、信頼したからこそ届けたのだろう。

そうでなければ響夜と言えど配達で届けはしなかった。

 

「世に出回るまでは保存だな」

 

日本に出回るまではオーグマーは封印することにし、響夜は今の時間を見た。

時間は19時で、かなりの時間寝てしまっていた。

 

「うげ・・・飯作ってねぇし・・・材料ねぇし・・・」

 

現在、家の冷蔵庫には食料品が無く、買い物に行かなければない。

しかし今の時間から行くと家に帰って作るまでを考えても20時は回ってしまう。

 

「・・・仕方ない。今日は外食にすっか・・・」

 

色々な事が重なり、仕方なく響夜は外食にすることにした。

配達は品によってはお店で食べれるものがあるため、却下された。

することを決めるとまずは木綿季を起こそうとするがその前にスマホで電話をかけた。

 

『こちら・・・市・・・町カズドです』

 

「雪宮です。席の予約をしたいんですが」

 

『はい、いつもありがとうございます。席の予約ですね。お時間は何時ぐらいでしょうか?』

 

「今から数十分ほどですね」

 

『わかりました。あまりにも時間がかかる場合は飛ばさせて頂きますね』

 

「了解っす」

 

『ではご来店お待ちしております』

 

電話が切れると響夜は木綿季を起こすことにした。

まだまだ起きなさそうな木綿季に響夜もため息が出そうだが我慢した。

 

「木綿季。起きろ」

 

「んにゃ・・・」

 

「おーきーろー」

 

「んう・・・」

 

中々起きない木綿季に響夜はあることをした。

木綿季の耳元で囁く作戦だが、これが案外効いたりする。

 

『起きろ、寝坊助』

 

「ふにゃぁぁぁ!?」

 

囁き声で起きたのか、木綿季は変な声をあげて飛び起きた。

その時に木綿季は響夜の手を掴んでいたため、響夜も一緒にベッドに倒れ込む。

 

「きょ・・・響夜・・・」

 

「・・・夜から変な声あげんじゃねぇよ・・・勘違いされるだろうが」

 

「勘違い・・・?」

 

勘違いということが分からなかった木綿季だが、響夜は手を離してもらうと着替えることにした。

 

「今日外食。理由は食材が無い、以上」

 

「う、うん。わかったよ」

 

「てことで着替えろ。じゃないと晩飯抜きになるぞ」

 

「それはダメ!」

 

食べることは神楽と張り合うほど好きな木綿季は晩御飯を求めてすぐに着替えに移る。

響夜はすぐに着替えると神楽を起こしに向かった。

 

「神楽、起きてるか?」

 

「ん・・・」

 

「今日外食なんだけど・・・行けるか?」

 

「ん、大丈夫」

 

「着替えたら下りて来いよ。あと夜で3人乗りは俺も怖いから歩いていく」

 

「わかった」

 

そう言うと響夜は部屋を出て自室に戻る。

すぐそこのため、あまり差がないが温度差が微妙に違ったりするため神楽の部屋と響夜の部屋はまた違った感じが出ている。

 

「着替え終わったか?」

 

「うん!バッチリ!」

 

自信満々に言う木綿季の服装を響夜はじっくりとみた。

これでも神楽の服装選びや木綿季の服装などを見たりするため、その時期の流行には強かったりする。

 

「うん、良いんじゃないか?ただ足が出すぎてる気がするな」

 

「そ、そうかな?」

 

「時間的にも寒いし、もう少し暖かくしないとかなり冷え込むぞ」

 

「はーい」

 

響夜としてはあまり服装に文句は言いたくないのだが、しっかり言わなければ木綿季や神楽が風邪を引いたりすると困るため軽く改善点を言うだけにしている。

先程の木綿季の服装は朝や昼の時間帯ならばちょうどいいのだが。

そんなことをしていると部屋のドアが開く音がした。

 

「着替え、終わったよ」

 

「おう。今日は歩きだからな、疲れんなよ?」

 

「えー、歩きなの?」

 

「この時間で3人乗りは怖いんだよ。安全運転するなら乗らずに歩く方が良い」

 

「そっかぁ・・・」

 

「・・・車の免許あった気がするし・・・車買おうかな」

 

かなり前に響夜は車の免許を取っている。

だが肝心の車を持っておらず、その時は基本一人だったためバイクを使っていたのだが、今となっては木綿季や神楽がいるため遠い場所への移動にも使える車を購入するのは悪くなかった。

響夜の父である拓也が車を持っており、駐車場は車二台のスペースがあるので駐車場にも問題はない。

購入の資金は色々な事をしたため、少しぐらい散財したとしても数台はまだ買える余裕があった。

 

「その時はボクもついていこうか?」

 

「ん・・・いや問題ないだろ。後々のこと考えて買うから」

 

「いっぱい乗れる車とか?」

 

「・・・買えたらな」

 

これを機に車の購入を検討することにし、響夜は準備が出来たため家を出る。

神楽はあまり体が強くないため歩ける時間が少ないからか、響夜と木綿季の三人で歩くことが嬉しいようで、いつもよりはしゃいでいる。

 

「~♪」

 

「こーら、危ないから木綿季と引っ付いてろ」

 

「ん・・・」

 

「元気だね~」

 

「最近三人でこうして歩くことは少なかったしな・・・」

 

「ねーね!にーに!」

 

「はーい?どうしたの?」

 

「どうした?」

 

神楽が木綿季と響夜を呼ぶと手を伸ばした。

それが何を意味するか理解すると左手を響夜が掴み、右手には木綿季が。

 

「・・・マジで夫婦じゃね?」

 

「ふふ、でもボクが16になったら本当にそうなるよ?」

 

「・・・式場考えておこう」

 

「~♪」

 

「神楽ちゃん、楽しい?」

 

「ん・・・楽しいっ」

 

「あー、仕事探さないとやばいかもなぁ・・・」

 

「仕事?」

 

「仕事探さないと貯蓄はあるけどそこまで持たないしな。最近してた依頼とかも安定してないからいつ無くなるか分からん」

 

「ん~そっかぁ・・・」

 

「でも正直当てはある。まぁ色々とあるからすぐには無理だがな」

 

「どんなの?」

 

「それはお楽しみ。ってことで着いたぞ」

 

響夜に言われ木綿季が気付くと、そこは大人気ファミレス『カズド』。

駐車場を見るとかなり入っているようで中もかなり混んでいた。

 

「ここ・・・入れるかな?」

 

「大丈夫だっての」

 

「ねぇね、入ろ?」

 

「うう・・・大丈夫かなあ・・・」

 

響夜はとっとと先に入っており、神楽は木綿季の手を掴んで中へと入っていく。

店内はかなり混み合っており、席はほとんど空いていなさそうだった。

 

「お客様、何名でございましょうか?」

 

「あー、3名です。んで予約した雪宮なんですが」

 

「先程電話予約なさいました雪宮様ですね。席は空いておりますのでこちらに」

 

事前に席の予約をしていた響夜の用意に木綿季は少しびっくりしていた。

これは店舗次第だが席の予約が出来るところもある。

スタッフに案内されると空いていた席に三人は座った。

 

「メニューが決まりましたらお呼び下さい」

 

そういい残すとスタッフは足早に次の客を捌きに行った。

 

「響夜・・・いつ予約したの?」

 

「まぁ、適当にな・・・ほれ、さっさと注文しろ」

 

「にぃに、これが良い」

 

神楽が指差すのは子供にはきつそうな特大ステーキだった。

これには木綿季も苦笑している。

 

「・・・マジで?」

 

「うん」

 

「・・・残したら怒るぞ」

 

「食べるもん」

 

「・・・」

 

「響夜、諦めよ?」

 

「はぁ・・・好きにしてくれ。ただ残すなよ」

 

「うん!」

 

神楽の無限の食欲と収めきれる胃袋が謎になったが響夜は前々から決めていた物を注文するため、あとは木綿季だけだった。

 

「ボクは・・・どうしよう」

 

「好きなだけ食えば良いけど残す量は頼むなよ?」

 

「じゃあ・・・」

 

スタッフを呼ぶと響夜はステーキとグラタンを注文し、神楽は先程の特大ステーキを。

そして木綿季はステーキ、グラタン、丼、パスタなど5種類も注文した。

スタッフも心なしか苦笑いが隠せないようだが、響夜は食べきれるなら何も言わないので気にしないことにした。

 

「で、では・・・少しお待ち下さい」

 

「はーい」

 

程なくして注文した料理がやってくると木綿季は目をキラキラさせて食べはじめた。

 

「ん~!美味しい!」

 

「よく食べるよな・・・」

 

「食べる子は育つんだよ?」

 

「らしいぞ神楽」

 

「ん・・・んぐんぐ」

 

神楽は特大ステーキを食べやすい大きさに切って食べていた。

さすがに時間がかかりそうだが神楽はしっかりと食べきれると思い、響夜は自分の料理を食べた。

 

「ん・・・やっぱうめぇ」

 

「そういえば、響夜ってここにいつも来てるの?」

 

「中学ん時とかも来てたな。おかげで店員に顔覚えられたっての」

 

「すごいね・・・だから席取れたの?」

 

「予約常習犯だぜ」

 

響夜は何度もこのカズドに来ており、常連客でもある。

神楽もよく響夜と来るため大食いを解消出来るために響夜の最終手段でもあったがまた一人増えてしまったため、響夜も真面目に仕事を考えはじめる。

 

「一応仕事自体は何となく目星はついてるんだよなぁ・・・」

 

「言ってたね。どんなの?」

 

「立ち上げるんだよ、会社を」

 

「えっ!?」

 

「アルが前に持ち掛けて来てな。一緒に会社立ち上げないかと」

 

「アルって・・・七色ちゃん?」

 

「そうそう。まぁあっちが落ち着いたらやるつもり」

 

「ほぇ~・・・何だかすごいかも」

 

「いや・・・実際すごいことだからな?」

 

事の大きさを木綿季は理解していないが会社一つを立ち上げるのは簡単ではない。

そもそも何をするのかで大きく変わるが立ち上げた後、軌道に乗らなければ倒産してしまうため賭けでもある。

 

「ま、楽観的にいけば何とかなるだろ」

 

「にぃに」

 

「ん?」

 

「私も・・・」

 

「・・・アルと話してからな」

 

「響夜、追加入れていい?」

 

「はいはい・・・」

 

話をしていたら木綿季はもう食べ終わったようで追加注文をしていた。

お財布には余裕があるため好きに食べてもらっていいのだが、金額が機になる響夜なのであった。

 

 

 




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