ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車

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ある程度月日を飛ばしました。
入りかたはとしては変わらないので気にせず。
もうすぐ本編に入れる・・・かな?


学校内での関わり

拡張現実機器『オーグマー』の登場から数ヶ月程した頃。

木綿季と響夜と神楽はいつも通りの日常を過ごしていた。

時折アルから会社の運営状況を聞かされたり、和人と仮想体の話をしていた。

まだ冬の寒さがある3月。

響夜は卒業証があるとはいえ学生として在学しているため学校へ行く準備をしていた。

 

「あー・・・寒っ・・・」

 

制服に着替えるときも寒さがあり、暖房を利かしながら着替えていた。

木綿季は先に学校に行っているため、家には神楽と響夜しかいない。

 

「にぃに、入るよ?」

 

「あーはいはい。着替え終わったからもう行くか」

 

「うん」

 

神楽は既に着替え終わっており、首には蒼と白のマフラーが巻かれており耳当てもされていた。

 

「・・・暖かそうだな」

 

「ん・・・いる?」

 

「いや・・・なんかお前から盗ると罪悪感があるから良い」

 

「・・・?」

 

響夜は子供には甘いと自負しており、神楽はその辺の高学年の小学生ぐらいの身長のためどうしても罪悪感が出てしまうのだ。

しかし響夜の場合は引っ付いて来る人間カイロという名の木綿季がいるためそこまで問題は無かった。

 

「さて、行くか・・・バイク乗れ」

 

「はーい」

 

神楽は手慣れた手つきでヘルメットを被るといつもの席に座る。

響夜の前に座る形だが、落ちないようしっかりと響夜にもたれる。

 

「・・・神楽。自転車練習しよう」

 

「じゃぁ・・・買って?」

 

「買ってやるから自転車乗れるようになれ。便利だぞ」

 

「別に・・・外でない・・・」

 

「・・・引きこもりかよ」

 

「そうだもん」

 

「・・・」

 

「買っておいてやるからそのうち練習しとけ」

 

「ん・・・わかった」

 

神楽は両親が居なくなってから外に出ることが減ったため自転車にも乗らなくなっていた。

通学も学校へは徒歩で行くには厳しい距離のため自転車などが最適であった。

もっとも響夜はバイクで通学し、木綿季は普段は響夜と共にか自転車に乗る。

 

「んじゃ飛ばしていくぞ。余裕持って行きてぇし」

 

「うん」

 

バイクを思いっきり吹かすと、家を離れて学校へと向かった。

その道中を一人の学生が見つめているとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響夜が学生に到着するといつもの駐輪場へと止める。

ちなみに響夜が使う駐輪場は教師用の場所で、学生のバイクや自動車登校者の駐車場でもある。

 

「ほれ、着いたぞ」

 

「ん・・・」

 

神楽のヘルメットを外すとバイクに鍵をかけて生徒玄関へと向かった。

すると普段なら空いている生徒玄関に人が集まっていた。

 

「んあ?なんでこんないるんだ」

 

「知らない・・・」

 

その場所は響夜の下駄箱に近いため、押しのけて進もうとすると一人の男子生徒が響夜に突っ掛かる。

 

「おい!押すんじゃねぇよ!」

 

「そう思うならこの野次馬共をどけろ。普通に邪魔だ」

 

「あぁ!?そんなのしらねぇよ!」

 

「はいはい。んじゃどいてください」

 

「・・・っち」

 

この手の言い合いは響夜からすると慣れっこのため気にはならない。

それより周りに被害が被らないかのが気にしている。

 

「神楽。俺先に行くぞ」

 

「ん・・・良いよ」

 

神楽を一人にはしたくなかったが、やむを得ず先に教室に向かった。

すると教室から何やら騒がしい声が廊下から聞こえていた。

 

「朝からうるさいもんだな・・・」

 

いつも通り教室のドアを開けると中から見知った人物の声がよく聞こえた。

 

「ちょっと!止めなさいよ!」

 

「やめろって!」

 

「何やってんだ・・・朝からさすがに煩いんだが」

 

「ちょっ・・・響夜!?」

 

何かを止めようとしていた人物には和人や里香、珪子がいた。

そしてその場所は響夜の座席。

 

「てめぇら・・・人の席で何してんだよ」

 

「あっ!時崎!」

 

「・・・」

 

響夜の旧名である時崎という名字を知る物は殆どいない。

だが目の前にいる同級生はその名を口にした。

 

「・・・誰のことだ?」

 

「お前だよ!時崎直人!」

 

「っ・・・で?」

 

「お前・・・自分の親殺したんだってな?!」

 

「・・・は?」

 

「近所に住んでた人から聞いたんだ!お前の母親はお前が殺したんだってなぁ!」

 

「へぇ・・・面白い話じゃねぇか。だが・・・信憑性には欠けるな」

 

「何人も口を合わせてるんだ!真実だろ!」

 

「どうせ近所同士の口裏合わせだろ。そんな簡単なのをよく信じ込む物だな」

 

「まともに授業に出ていなかったお前なら学校を抜け出せるよなぁ!?」

 

「てか・・・その話で何故お前が気にする?無関係だろう」

 

響夜は横見で自分の机を見る。

机の表面には傷があり、なにかで掘られた後がある。

またマジックで書かれた文字があるが、響夜はどうでもよすぎて見ていなかった。

 

「殺人鬼がこの学校に来るんじゃねぇよ!」

 

殺人鬼。

響夜が嫌う言葉。

人を殺すことは嫌う響夜にとってこれほどまで虫酸が走る事はない。

だがこの男子生徒が言いたいことは響夜はすぐにわかった。

つまりは人殺しが学校に通うなという事なのだろうと。

またあることにも気付いた。

 

「あぁ、なるほど」

 

「な、なんだ!」

 

「木綿季と俺が一緒なのが嫌なんだな。何故木綿季の相手がお前じゃなく俺なんだという劣等感。つまらん感情でよくもああ言える事だなぁ?」

 

「っ!だってそうだろう!人殺しのお前が何故紺野と仲良さそうにしてるんだ!おかしいだろう!」

 

「金持ちの餓鬼がいきんじゃねぇよ。所詮親の七光り頼りの癖して調子良いことおっしゃる」

 

「ああ!なら良いさ!必ず学校から追い出してやる!」

 

「そんな面倒なことしなくて良いだろ・・・」

 

教室のドアが開くと担任である桜が入ってくる。

響夜は封筒を鞄から取り出すとボールペンで記入する。

『退学届』と。

 

「桜先生。これ」

 

「どうしましたか・・・って、た、退学!?」

 

「そういうことなんで。それじゃ」

 

「ちょ、待ってください!」

 

その場にいた生徒全員が驚愕の顔で教室を去って行った響夜を見届けた。

それは先程響夜に取っ掛かっていた男子生徒ですら。

 

「雪宮君!どうして!」

 

「あー、こういう面倒事が嫌いなんで解決策にあった退学を選んだだけです」

 

「面倒事?何があったんですか!?」

 

「言うの面倒なのであちらに聞いてください。復学予定はありません。それじゃさよなら」

 

「ま、まって!」

 

響夜は桜を振り切るとすぐに学校を出ていく。

バイクには何もされておらず、すぐに走らせて敷地外へと出た。

通学路の途中にあるコンビニに一回止めるとスマホで木綿季と神楽にメールを送った。

 

『学校退学したから。明日から送り迎えの為だけに行く』

 

「・・・明日からどうすっかねぇ」

 

その場の流れで言ってしまった事を軽く後悔したが、過ぎたことを悔やんでも仕方がないため、響夜はアルに電話をすることにした。

 

「アルか?」

 

『ええ。珍しいわね。どうしたの?』

 

「あー、学校退学になった」

 

『・・・はい?』

 

「だから学校を辞めた」

 

『はぁぁぁぁぁ!?どうしてよ!?』

 

「おま、こえでけぇ」

 

いきなり大声を耳元で喰らった響夜は反対側の耳にあてて会話を続けた。

 

「成り行き的にそうなっただけだ。木綿季と神楽の送り迎え程度で学校行くだけで後は暇だな」

 

『成り行きって・・・』

 

「そこで、少し遊ぼうかなと」

 

『・・・オーグマーの事かしら?』

 

「ああ。なんでもボス的存在があるらしいじゃないか。暇だしやろうかなと」

 

『全く・・・好きにしなさいよ。でも神菜さんにはちゃんと言うのよ?』

 

「わーってるよ。大丈夫、大学には行く・・・予定だ」

 

『今つもりから予定に変えたでしょ』

 

「気のせいだ・・・とりあえず暇になったっていう報告」

 

『わかったわ・・・私も安定はしてきたけれどまだまだって感じでね・・・楽しみに待ってなさい』

 

「はいはい」

 

それを言い残すと電話を切った。

メールの返信が来ており、神楽からだった。

 

『見てるだけでごめんなさい・・・私も何か言えば良かったね・・・。ねぇねには私からも言うね』

 

「・・・久々にゲームでもするか」

 

響夜はスマホを仕舞ってバイクに乗ると家に帰ることにした。

なんとなく嫌な感じがしたため遠回りで家に帰る。

 

「何しよ」

 

家に帰っても殆どのゲームをやり込んだ為することがない響夜は何をするか悩むのであった。

 

 


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