勇者召喚されたのに勇者ですらない俺が異世界で冒険する 作:あさ霧
前回のあらすじ
異世界に飛ばされた小鳥遊達
以上
気がついたら目の前には辺り一面真っ黒な空間が広がっていた
さっきので俺は死んだのかと思ったが、ほっぺを抓ると痛かったのでちゃんとした体はあるようだ
夢でもないときたら残るはここに飛ばされたとしか思いつかない
「まじですか、しかも他のやつ誰もいないし」
銀夜は周りを見渡すが何もない
どうしようか悩んだその時
『おい、聞こえるか?!』
突然声が聞こえた
しかもそれは耳で聞こえたのではなく、直接頭に入ってくるような感覚
『くそっ、時間がない!頼む!この世界を、あいつから救ってくれ!』
頭に入ってくる言葉は何やら必死に助けを求めているようだ
なぜこんな呑気になっているかと言うと、どうも自分自身状況が飲み込めてないのだ
『いつか私の友人、シシルに会ったら、これから言う事を伝え・・て・・・くれ!』
『今・・・あ・・つは、現世界の・・み、リー・・ト・・・』ブツッ
声が途切れた瞬間俺の意識も途切れた
「小鳥遊君!起きて!」
姫乃の声が聞こえ、目を覚ます
あたりは眩しいくらいに明るく、豪華な飾り付けが施されている広間の中にクラスにいた人全員がいた
最後に目が覚めたため、周りから非難や、バカにする声が上がっていたが無視する
「皆様、目が覚めましたでしょうか?」
少しして落ち着きを戻してきた銀夜たちの目の前に40代ほどの男性が現れた
その人は黒い法衣ようなものを身に纏い、片手に杖を持っており、まるで厨二をこじらせたような格好をしていた
そしてこの沈黙をなかったかの様にその口を開いた
「皆様を急にお呼びたてして申し訳ございません
私はヒトラルト・アルトルトというものです。この国、フォークロム王国の宰相をしております
・・・・ようこそ異世界の勇者様方、フォークロム王国へ!」
大げさな振る舞いで銀夜たちを歓迎するヒトラルト宰相
逆に銀夜たちは何が何だかわからず、その場に立ち尽くすしかなかった
少しして先に我に帰ったのは先生こと、柊 夏菜子(ひいらぎ かなこ)
流石は先生なのかいち早く先ほどの言葉を頭の中で整理し質問を投げかけた
「あの、私たちはなぜこんな場所に呼ばれたのです「おっと忘れてました」ムッ」
が、宰相はわざと何か思い出したかの様に質問を遮った
少し不機嫌になった先生はムッとした顔で宰相を睨み、それを見た生徒たちはハムスターの様な小動物が威嚇している様に見えたのか、妙に和んでいた
「皆様、一旦移動しましょう。そこで質問に答えましょう」
宰相はそういいある場所に案内された
道中では周りを見たが今まで一度も見たことのない綺麗な壁や床、立派な装飾品等、そこで銀夜はある仮説を出した
ここは異世界なのかもしれない・・・と
「ささこちらへ」
連れてこられた場所は先ほどと比べやや狭い部屋だったが、かわりに比べ物にならないくらい豪華な部屋だ
しかしそこがどういう場所かは一目でわかった
銀夜たちの目の前には玉座が2つ、ここは玉座の間だ
「遅れました、クロム王。この者たちが例の人たちです」
「うむ」
煌びやかな玉座に座ってる人がこの国の王様、クロム王
この王は銀夜たちの考えていた王とは違い、服の上からでもわかる隆起した筋肉、一目で人を殺せそうな鋭い目、幾千もの戦争を経験したかの様な異様な雰囲気、ザ・戦う王がそこにいた
その隣には王女としてはまだ若すぎる、恐らく王の子供なのかお姫様が隣にいた
はじめ王様を見たクラスは少したじろいだが、続いてついてきた美しくも可愛いお姫様を見て鼻の下を伸ばす男子たち、それに気づき冷たい目を向ける女子達、一瞬でカオスな空間になったが、鶴の一言ならぬ王の一言によって一気に静まりかえった
「お主らをこの世界に呼んだことを謝ろう」
それは誰も予想しなかった一言、まさか力であらゆる事を制してきた様な王が急に謝罪してきた
「お主らを呼んだ理由は1つ、この世界にいる魔王を倒して欲しい」
続いて言われた言葉に対しそこにいたクラスメイトと先生は言葉を失った
頭の中が真っ白になったり混乱してる人が大半であろうこの状況に宰相は落ち着かせるとともにそれについて詳しく説明してきた
「えー詳しく説明しますと、ここ数百年魔物の活動が活発化してきてここ最近人類にも被害が出始めた。私たちは魔王が復活したと決定付けた。そこに神の導きにより皆様、勇者を呼ばせていただきました。どうか魔王を倒して下さい」
それを聞き我に返ったクラスメイトたちは理不尽な理由によって危険な世界に呼ばれたことに抗議の意を表した
「そんなバカなことがあるか!」「そうよ、私たちはただの人間なのよ?!」「勝手に呼ばれて納得するか!」「俺たちに命を捨てろというのか?!」
あらゆる罵詈雑言が部屋中に広がる
柊先生はとにかく落ち着かせようと試みるがどうも興奮状態の生徒達に声は届かない
クロム王は勝手に呼ばれた者達にあれこれ言われるのはしょうがないと険しい顔をしながら懸命に声を聞き入れ、隣のお姫様はあたふたしながら動揺し、宰相は困った様な顔をし、どうするか悩んでいた
「すいません、いくらか質問いいですか?」
そう声をあげたのはクラスのリーダー格の天城
持ち前のカリスマ性によってクラスメイトを一旦落ち着かせた、端の方で悔しそうな顔をしている先生は、まードンマイと心の中て励ましておこう
「質問とはなんでしょうか?」
天城の発言に言葉を返す宰相
あんなに荒れてたクラスメイトを一瞬で止めた天城に王と宰相は関心の目を向けていた
「はい、まず1つ目は俺たちは元の世界に帰れるんですか?」
これは今みんなが知りたがっていることだろう、勝手に呼ばれてそのまま帰らせないというのはあまりにも理不尽なことだ
しかし返された答えに天城を除き、銀夜含めた全員が驚いた
「今の所元の世界に帰らせる手段は見つかっておりません」
その言葉に絶望をしただろう
もう元の世界には帰らない、いきなり現実を突きつけられたクラスメイトは頭を抱える者や、泣き崩れる者もいた
「これは私の予想ですが、魔王の討伐のために導かれた皆様は無事魔王を討伐したならば、元の世界に帰れるかもしれません」
宰相が放った言葉に皆が反応した
内容はとても不確かな物で確定要素がどこにもない
しかし今の所0に近い可能性が0.1でも増えたならばそれにすがりつくのは当たり前と言っていい
宰相の返答に続けて天城は質問する
「あと1つ、魔王を討伐するにも俺たちには力がありません、それについてはどうするのですか?」
その質問に宰相はまたある事を思い出し、王と軽く話しをて、また天城達に目を向け質問に答える
「それについては何も心配はありません、皆様にはこの世界に呼ばれたことによって特殊な力が各々備わっています」
「つまり簡単にはやられないということですか?」
「そうなります、力や技能はこれから伸ばしていけます。その件については既にクロム王と話し合いで決めて全面的に協力します」
その答えを聞き頷いた天城は次にクラスメイト達に向かってこれからのことを決める
「さっき聞いた通り俺たちはこの世界の人達を助けなければならない、困っている人を見て見ないふりをすることはしたくない。幸い俺たちには力がある。魔物達に対抗できる力がある。俺はこの世界を救いたい、皆んなついてきてくれるかい?」
「・・・ったく、天城に言われたらやるしか無いでしょ」「俺もお前に着いて行くぞ」「ちょっと怖いけどみんなとなら大丈夫」「魔王を倒して帰れるなら、その可能性にかけるぞ、天城」「ウォー、やったるぞー!」
その言葉にクラスメイトはまるでこれから大きな戦争でも始めるかの様に士気の高い声を上げた
「王様、宰相さん俺たちは魔王の討伐を果たします」
天城は見事クラスメイトほぼ全員をまとめ上げ先ほどの状況からガラッと変えた
「素晴らしい」
そう呟いたクロム王、きっとこの者達がこの世界を救ってくれるかもしれないと、これがそのはじめの1ページの場面を目の当たりにしたのだと確信した
その中で勝手に物事が進んでいくことに唖然とした銀夜がいた
そしてこれが異世界だと確信した瞬間でもあった
そのあとは軽く今の世界の状況を説明され、次に己の力を見るために宰相からあるものを渡された
「皆様聞いて下さい。これから渡すものがあります」
そういい銀夜たちは宰相から銀色の指輪を渡された
その指輪は表面に謎の紋章が施されその中心に小さな凹みのようなものがある
「これは皆様のステータスを確認できる指輪です。一滴自分の血を紋章の中心に垂らせばそれは自分だけの指輪としていつでもステータスを確認することができます」
一体どんな仕組みでそんなことができるのかとクラスメイト達は不思議そうに見ている
それを見た宰相はこういう物について軽く説明を入れる
「疑問に思っているとは思いますがそういう不思議な仕組みのある物質をこの世界では”未知の産物”と称し”アイテム”と呼ばれています。因みこの指輪は一般的にステータスリングと呼んでいます」
いわゆる異世界ならではの物みたいだ
しかもゲームでよく聞くアイテムがまさかこんな感じのやつだったとは
それはさておき銀夜たちは渡された針で指先を刺し各々の指輪に血を垂らした
するとその指輪は銀色の光を放ち、いつの間にか紋章の中心に赤く小さな石がはめ込まれていた
「あとはその赤い部分を2回触れると皆様のステータスが確認できます」
宰相の言葉に従いやってみると、目の前に映像のようなものが浮かび上がりそこにステータスのようなものが写し出された
小鳥遊 銀夜 (男) Level1
職業:ーー
称号:異世界人
体力:13
魔法量:10
攻撃力:10
防御力:10
素早さ:25
魔力:10
魔防:5
【固有能力】
・弱者 ・速
【魔法】
・無属性魔法
「(うおっ、出てきた・・・ってなんだこれ
それと職業は後から就くのかな?それより【固有能力】弱者ってなんだよ。元々クラスの中じゃ弱者の位置にいるのにこの世界でも弱者扱いかこのやろー
でも無属性魔法ってなんだろうな?もしかしてレア魔法だったりして)」
初めて見た己の具体的な数値に対しそれがいいのか悪いのかその時は分からなかった
それに悩んでいると「うおぉーすげー」と驚くような声が聞こえそちらに目を向けた
そこにいたのはクラスの中心グループの姫乃たちがいた
そこでみんなが驚いているステータスを見たらそこには、
姫乃 綾 (女)Level1
職業:聖職者
称号:勇者
体力:95
魔法量:250
攻撃力:50
防御力:75
素早さ:100
魔力:300
魔防:200
【固有能力】
・聖職者
【魔法】
・回復魔法・補助魔法・光属性魔法
・・・まじか
俺と全然数値が違う、てか魔法多くね?職業あると無いのでこんなに違うもんなのか?
若干羨ましく見ていたら、ふと天城のステータスも見てしまった
そこには姫乃以上のぶっ壊れステータスがあった
天城 竜樹 (男)Level1
職業:剣聖
称号:勇者
体力:250
魔法量:100
攻撃力:300
防御力:150
素早さ:100
魔力:95
魔防:100
【固有能力】
・剣聖
【魔法】
・火属性魔法・雷属性魔法
ほとんど3桁に近い数値出してやがる
流石と言っていいのかここまで差があると逆に清々しい
因みに神崎 雫は女騎士、霧ヶ峰 妖華は黒魔術師、天城の側近の金堂 勝次は拳闘士
いずれもステータスが高数値で俺のメンタルをことごとくえぐってくる
他の人のも見たが俺より低い数値のやつはいなかった
俺自身に呆れため息をついた時後ろから俺のステータスを見てそれを大声で馬鹿にする奴が出てきた
「おい小鳥遊!なんだお前のステータスもうゴミじゃねえか!」
言ってきたそいつは朝教室で俺に絡んできた奴、確か鮫島とか言ってたかな
そいつの声によってみんなの目線が俺に向いてくる
既に何人かに見られ、各々のステータスと比べ劣っているのがわかるとすぐに嘲笑うような目で見てくる
「おーい宰相さんよー、あんたもこいつのステータス見てくれよ」
「わかりました。今行きます」
もう目立ちたくないのだがもう手遅れなこの状況に為すすべもなく宰相さんに俺のステータスを見てもらう
そして帰ってきた言葉は
「正直に言ってこれは・・・・・酷いですね」
わかっていた事だがすっぱり言われるのはきつい
それになぜか少しだけ宰相さんの口角が上がったような気がした
「皆様にLevelや固有能力、魔法について説明します
はじめにLevelは自分自身の成長値だと思ってください。1つLevelか上がるごとにステータスが大幅に上がります。最大は99でそれ以上はステータスも中々上がりにくくなります。しかし70以上までなるとほとんどの魔物は倒せます。
続いて固有能力は自身の職業に関係します。攻撃系の職業なら攻撃技や攻撃力、防御力のステータス数値が上がりやすく、補助や回復系の職業なら魔力や素早さのステータス数値が上がりやすくなります。
最後に魔法は、火、水、氷、風、土、雷、が基本の属性があり、その他に光、闇、回復、補助、呪文があります。それぞれ唱えるときに詠唱が必要になり、唱えてる間は集中しないといけなくなり動くことができません。
戦いは仲間が魔法を唱えてる間は他の仲間が攻撃されないように立ち回るのが基本です」
「(んー、大抵のことはわかったど、俺の無属性魔法はなんなんだろう?
さっきの説明には出てこなかったけど、もしかして特別な魔法だったり)」
宰相さんの説明でクラスメイト達はワイワイと自分のステータスを見て何ができるか考えたり、他の人と比べたり、騒がしくなったが俺の無属性魔法について宰相さんにきいてみたら何故か急にみんなが静かになった
「んー無属性魔法を使う人はいません、というより使えないです」
「え?」
そうきいた時、一瞬どういう意味か理解できなかった
「今までステータスに無属性魔法が出現した人はいましたが、そのいずれもその魔法を扱えずに亡くなって行きました」
「たとえ優れた魔法使いの子供や、貴族の子供でさえ無属性魔法が発現した者は揃って役立たずのレッテルを貼れ、それに耐えきれず自殺する人や自暴自棄になり自ら死地に行き亡くなる人もいます。
ある意味呪われた魔法です」
「ちょっと待って下さい!他の、他の魔法があるじゃないですか!それを使えば「無属性魔法が発現した人はその魔法以外の魔法を発現することはありません」・・・」
再び辺りに沈黙の空気が流れる
とことん貧乏クジを引き当てるなど絶望していると、
「あひゃひゃひゃひゃっ!おいおいおいまじかよ小鳥遊!」
さっきまで俺を馬鹿にしていた鮫島が、また馬鹿にしたような口調で話しかける
「お前もういらねぇじゃん!これ以上使えねぇ属性つけてどうすんだよ、使え無さすぎて笑うわ」
「ぷっくっくっ」「まだ俺の方が使えるわw」「デュフフ、あいつ僕よりも弱いなんて」
鮫島の声に周りのクラスメイトもそれに続いて馬鹿にする
「今日はここまでだ!」
その飛び交う罵声に終止符を打ったのはクロム王だった
「皆の者今日はもう休まれよ、お主達の部屋はそこのメイド達が案内する。今日はご苦労であった」
クロム王はそう言い俺たちの長い1日が終わった
部屋に行くまでの間、俺はこれから生きていけるか考えることしかできなかった
無駄に文字数が多くて読みにくいかもしれませんがご了承下さい
もっと短くできるように頑張ります(๑•̀ㅂ•́)و✧