仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
でも、人でなくとも………
永夢視点
泊さんや錆ゲンムとの話に夢中になってしまって、自分の食事をとることも忘れてた。 近くのコンビニにでも行こうと思ったタイミングで、昨日からパラドを見ていなかったことを思い出した。
「パラド? お~い」
最近パラドは僕に気を使って屋上で一人でいたりすることが多かった。…だけど…
「いないな………」
ドレミファビートに入っている黎斗さんも見ていないって言ってたし、屋上に行ってみたけどいない。
「永夢」
声の方向に振り向くと、いつの間に来たのか、真後ろにパラドが立っていた。
「パラド! びっくりするじゃないか!………誰?」
思わず口をついて出た言葉。 誰だ?
声も顔も体も服もパラドそのものなのに、パラドである気がしない。
「俺が俺じゃなく見えるか? 永夢」
「いや………何だか………パラドが変わったように見えてさ。雰囲気とか」
「変わることは悪いことか?」
「パラド………?」
パラドの口から出る声の硬さ。冷たさ。パラドが言うとは思えない言葉。
まるで………別の人間の魂が乗り移ったみたいだ。
「なあ、永夢………どうして俺は生きてるんだろうな?」
「え…?」
パラドは空を見上げながら「あの時に死んどきゃよかった」と言葉を吐いた。
「パラド? いったいどうしたんだ?」
パラドの耳を引っ張り、半ば強引に顔をこっちへ向けた。
「………! パラド、お前………」
その目は、伽藍堂だった。光を失った瞳は闇よりも暗い。
「なあ、永夢、俺はなんで生きてるんだ? 俺はなぶり殺しにされて死ぬべきだ。そうだろ?」
「な、何………言ってんだよパラド!」
パラドの頬を思い切りはたいた。と言うよりより正確に言えば殴った。
「永夢………おかしな話だよな? 人を殺した俺がこうしてのうのうと生きてるのに、仲間のために命をとして戦ったあいつが、あんなに孤独に一人寂しく死ぬとか、そんなのアリかよ?
不条理だ。不平等すぎる。あいつが生きて、俺が死んじまえばよかったんだ」
パラドの言う「あいつ」と言うのが誰かは分からない。でも………
「しっかりしろパラド!」
「してるさ。しっかりとな。俺は気づいただけだ。真面目に生きても、幸せがその先にあるとは限らないってな」
それは、絶望の目。闇すら飲み込む悲愴の瞳が、僕を見つめる。
「まあ、いいさ………欲しかった力は手に入った」
「パラド、待て!」
何があったかは分からないけど、今のパラドは放っておいたらダメだ。力ずくでもここに引き留めないと!
「………どけ」
身体を壁のようにしてパラドの道をふさぐけど、どんどん押し込まれる。
「く………! マックス大変身!」
【最大級のパワフルボディ!マキシマムパワー!X!】
「ぐ…!? 嘘だろ………!」
信じられない、マキシマムでも力負けするなんて。パラドはまだ変身すらしてないのに!
「くそ! HYPER大変身!」
【輝け!流星の如く!HYPER無敵!エグゼイド!】
「ゴメン! パラド!」
手段を選んでい場合じゃないと感じた僕は、無敵に変身してパラドを殴りつけた。
「……悪ぃ、永夢」
拳は受け止められ、逆にこっちが殴られた。一発殴られただけで視界がゆがみ、変身が解除された。
「な…? 無敵に………ダメージを…?」
「顎を殴っただけだ。じきに回復する。悪い、永夢。とっさで思わず反撃しちまった」
いったいどうしたと言うのか、やっぱり姿がパラドの別人と思えてしまう。
その時、後ろから拍手が聞こえた。
「いや、素晴らしいなパラドクス。ハイパー無敵を一発とはな。
ふむ………まだ弱いな」
錆ゲンムが現れ、あろうことかパラドを「弱い」と言った。一体どうなってんだ?
「パラドクス、君は私の言いつけを無視してまだ蛮野のラボに行ってないな?」
「………今更、もう必要ない」
「パラドクス、君はまだまだ弱い。まだあと一つ先がある。
そして、あるいは君が今疑問に思っている問いの答えも………」
ゆがむ視界に錆ゲンムが写った。はいよって足首を掴む。
「お前………なに………する気だ………!」
「永夢、私は君にとって害なことはしない。信じてくれたまえ」
畜生………この状況で信じれるわけねえだろ………!
「さ、行こう。パラドクス」
「………ああ」
くそ………………
お読みいただきありがとうございました。
大きな過ちを犯しながらも仲間と共に生きているパラド。
仲間の未来のために戦いすべてを失ったObiパラドクス。
「努力は実る」とは、素晴らしい言葉です。でも、全ての人が努力すれば、望んだ結果が手に入ると決まってはいません。いくら努力しても、勝てない相手には勝てないし、解けない問題は解けない。
パラドはある意味、人間に大きく近づきました。