仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
「すみません、遅くなりました」
3分ほどで現夢が戻ってきた。エリの腕を取り、ハンカチでぬれた手首をぬぐい、慣れた手つきであざの部分にシップを張った。
「大袈裟ですけど、一応貼っておきましょう。………それと、はい、どうぞ」
差し出された現夢の手には、先ほど失われたエリのアイスと同じものがあった。
「あ………ありがとう…」
「お礼は結構ですよ。恩返しです」
エリは意味が分からなかった。自分んはこの男に何かしただろうか? と。
「じゃあ、これで帰ります。さようなら」
「あ、ちょ、ちょと!?」
現夢は振り向かずにそのまま去って言った。
これが、永夢の父と母、現夢とエリの出会いであり、なれそめの物語。
………そして、次の日の昼。
「…ん? おや、こんにちは」
エリはまた現夢の向かいに座った。
「あなたの「恩返し」って言葉に引っかかってたの。それで昨日、家の卒業アルバムを見てみたんだけど………あなたを見つけたわ。小学校で同じクラスだったのね」
「………当時、私は勉強ができたため、一部の男子からいじめを受けたことがありました。その時、助けてくれたのがあなただったんです。だから昨日のは恩返しですよ」
こうしてみていると、現夢が不愛想な態度に見えたのも、急に昔の恩人に話しかけられたことに驚いたのや、本人が単に緊張しているだけということに気付けて今はエリの目にはいい風に映った。
「でも、私の記憶の中ではあなたはもっと弱い人だったのにね」
「ですから、恩返しですよ。いつかあなたの身に危機が訪れていたら、必ず私があなたを助けられるように………ね? 昨日は不愛想ですみません。女性に話しかけられたのは久しぶりだったもので、どうにも恥ずかしいところをお見せしました」
自分を助けた理由が分かったことへの喜びと同時に、この関係が終わるのではないかと言う不安がエリの頭をよぎった。
「これからもあなたが困ったら言ってください。いつでも助けます」
「助けるって………いつまで?」
「私の命が尽きるまで………いえ、尽きた後も………」
そう話し、現夢はエリの手を握った。眼鏡をはずした彼は、やはりどこにでもいる普通の男と言う雰囲気だった。
「良かったら、私の隣にいてください。その方が助けやすいです」
口説き文句を知らない男の、遠回しな精一杯の背伸び文句。
その姿に自分が好感を持っていることをエリは自覚していた。
「………じゃあ、これから………よろ、しく」
男性からの行為に慣れていないエリは若干噛みながらも、彼を受け入れた。
二人が結婚するのは、この4年後の話。
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