仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE   作:桐生 勇太

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この~どこにいようとも~をルーマニア語にすると、
Oriunde ai fiになります。

実はこの曲が好きなので、サブタイトルに二回も使ってしまいました。


隠話:愛してるよエリ ~どこにいようとも~

 あれから数か月。現夢は蛮野の下で兵器の開発に精進していた。

記憶をなくした彼にとって、あの日に彼に手を差し伸べてくれた蛮野は親も同然だと思っていた。見ず知らずの自分を救ってくれたばかりか、その恩人の研究の手伝いができると聞き、彼はおのれのすべてを投じて作業に身を削った。

外の世界に彼が出ることはあまりなかった。外出する必要性がないからだ。

 

 ある日、彼は作業中に蛮野に呼び出された。

 

「どうだ? 素晴らしいだろう!! このまま実験の戦闘データが収集できれば、世界最強の力が手に入るぞ!」

 

 外の場所を撮っているモニターを除いている蛮野とともに、彼もそのモニターを覗いてみた。 映像の中には二体の何かが戦っており、そのうちの片方には見覚えがあった。彼が作ったラスボスバグスターのうちの一体。確か名前はディーノだったはずだ。 なるほど、自分が処理していた戦闘データはこいつらが戦っていたデータかと彼は納得した。

 

「ええ、おめでとうございます・・・・・・・ですが、このままでは少々まずいかもしれませんね」

 

 出過ぎたこととは思ったが、このままでは蛮野が困るだろうと思い、口をあえて濁した。

 

「ん? 何が言いたい?」

 

「ブレイブとディーノの力が等しすぎます。このままでは決着がまずい方向になってしまう気が・・・・・・・・・いえ、すみません、口が過ぎました」

 

 だが、これは事実だ。恐らく、見たところこのまま戦い続ければ相打ちになる。

 

「なになに、気にするな。お前は私の大切な右腕だからなぁ・・・・・・・・・確かにお前の言っていることも念頭に入れたほうがよさそうだ・・・・・・・・・」

 

「それでしたら、一応スイッチの用意を・・・・・・・・・」

 

 念のため、ディーノの体に埋め込まれている爆弾を作動させるスイッチを取り出したが、蛮野に手で制された。

 

「いや、それはいい。いったんもう少し戦いを見てみよう。意外なところで差が出るかもしれん。これもデータの一つだ・・・・・・・・・」

 

 自分としてはそれはないと思います。と言いかけて口をつぐむ。この人は少し短気なところがある。言うとまずい。 

 

「流石です。ではこのままもう少し見てみましょう。私は引き続き、この二人の戦闘データの数値化を進めます」

 

「ああ、分かった・・・・・・・・・・・・」

 

 そこから数分後、結局私の想像通りに事は運び、両方が死んだ。

蛮野の指示通りにヴァグヴァイザーⅡを起動し、時間を少し戻した。こちらで用意したガシャットギアデュアルβを手に取り、現場へ向かった。ガシャットに線を引き、たしか………ブレイブと言ったか。そのブレイブにガシャットを投げ、すぐにその場を離れた。

 

 その時は、そのままで済んだ。だが、この後に私にとって予想外のことが起きた。

蛮野が別にやるべきことがあるといわれ、私はモニターを観察していた。画面の中で、自分の作ったハイパー無敵ソルティと金色のギザギザが目立つ、エグ何とかが争っている。これで計画は最終段階。

自分に返せる恩人への例はここまでーーと思っている間に、決着がついた。結果はエグ何とかの敗退。手際よくハイパー無敵ソルティの時限爆弾のスイッチを入れた瞬間、同時に画面の中でエグ何とかの変身が解け、人間の姿になった。

 

「………………永夢?」

 

 それ(・・)は口をついて出た。永夢とはなんだ? モニターに映っているこの少年の名だというのか?

 

「君は………永夢。………私は、現夢………」

 

 モニターの画面をなぞり、つぶやいた。その瞬間、全ての記憶が私の中で大きな花火となり、爆発し、体を、脳を駆け巡った。

 

「………………永夢!!!!」

 

 この少年は、私の息子だ! すっかり大人になってはいるが、面影がある!

 

「………わ、私は………」

 

 そして、私は気づいた。これまで自分が作ってきたものが何に使われるのか、恩人と思っていた存在は、狂った科学者だということ。

私は自分用にと作っていた変身道具の一切を持ち出し、研究所から飛び出た。

怖かった。

あの研究所にひしめく超兵器のすべてを、自分が作ったという事実が。

 

 がむしゃらに走り、近くの茂みに飛び込んだ。

暫くすると、ふいに長らくあっていない最愛の妻、エリのことが気にかかった。

あの歳では、きっともう永夢は独り立ちしただろう。あの家で一人のはずだ。

 

私は走った。

 

彼女が待つ家へ。

 

そして、辿り着いた。

 

あの家に………エリはいた。

 

 窓からのぞくと、エリは食事をしていた。 一人で。テーブルの上に置いているのは、私の遺影。それを目の前に置き、昼食を食べている。

 

10年以上も離れていたんだ。恐らく私はもう死んだ人間となっているんだろう。警察が行方不明者として現場近くを探してさえいれば、すぐに見つかったろうに。

 

エリを抱きしめたい衝動にかられた。玄関なんかに回り込まず、このまま窓を破って彼女に触れたい。「ごめんね」と、「愛してる」そして「ただいま」と言いたい。

 

 私は窓に手を伸ばし………そのまま手を下ろした。

いま彼女と会えば、分かれるのが惜しくなってしまう。だが、蛮野は私を必ず見つけるだろう。そうなれば………彼女の身にも危険が及ぶ。そんなことはできない。

 

窓から離れ、家を背にして歩き出す。

 

蛮野の計画通りに行けば、世界が終わってしまう。

 

だが、そんなことは絶対にさせない。

 

「エリ………君は、私が守る。例え死んだ後でも………

私がどこにいても、君がどこにいようとも………………」

 

 私は変身し、拳を強く握った。必ず、未来を守る………!私と、永夢で!

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 私の名前は、宝生エリ。今日も夫の写真と一緒に食事をしている。

 

永夢も独り立ちし、この家で私は一人暮らし。自分一人にはあまりに広すぎる。

 

「はあ、この家を引き払って、アパート暮らしも悪くないかも………ん?」

 

 ふと窓を見ると、妙な錆色の着ぐるみ? 鎧? のようなものが背を向けて歩いていた。

 

「………あれは………コスプレ?」

 

 妙なものを見たその瞬間から、なぜか私は家を引き払うことを考えるのを辞めた。




これが、彼の、現夢、錆色のゲンムのすべて。
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