仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
これ以降はGMゲンム編は無しです。
「まあ待て、せっかく来たんだ。そんなに急ぐことはないだろう? ゆっくりして行け」
ゲートをくぐろうとした直後、なぜか私は見知らぬ部屋にいた。
当たりを見回すと、薄暗い部屋の奥の大きな椅子に偉そうに座っている怪人が私に語りかけた。
「…! 大首領様!」
いつの間にか同じ場所に転移していたシルバーカブトが驚きの声をあげた。
…! こいつが大首領!?
「よう、「トゥルーゲンム」会うのは初めてだな」
親し気に語りかけ、来やすそうに肩に手を置いてくる。………? こいつ、全く強く見えん………?
シルバーカブトやビルドは姿を見たり接近してみてその戦力を大体悟ったりするが………歩き方、気配………どれをとっても弱そうだ。とてもシルバーカブトが下に付くような存在とは思えん。
「友好の証だ。握手しても?」
「あ? ああ………」
特に断る理由もなく、考えなしに差し出された手を握る。その直後
「ところで………力に自信はあるかい?」
「何…!ッ!!!?」
握った拳を握りしめられ、そのまま私は倒された。なんという剛力だ!
「ぐ………! くそ………!!」
どれだけ力を込めても、返すどころかピクリとも動けない。
「どうした? そんな程度か?」
どこか落胆したような声色。急に喧嘩を売ってきてそれとは………いい度胸だ!
「なめ………るなよ!!!」
「ん~? …!おお?」
私のガシャットの能力。「基礎能力自動上昇」は1秒間に10%ずつ私のすべての性能を引き上げることができる。組み伏せられてから10秒………攻撃力も、耐久力も、俊敏性も倍。
「おおおお? なるほど、時間を置けば置くほど強くなるのか。フフ………いいぞ! もっと強くなって見せろ! もっと強くなって、もっと俺を楽しませろ!」
「上等………!」
そう言い合っている間にも私の能力値は上がっていく。大首領をはねのけ、今度はこっちが相手を壁に叩き込んだ。
「せい!!」
相手が体勢を立て直すよりも先に間合いを詰め、拳の雨を降らせる。渾身の拳を何度もたたきつけ、少し「死んだか?」とも思った。だが………
「いいぞ!もっと来い!!」
向こうも殴り返してくる。なんという強さだ! ボディブローを叩き込まれ、私の体が大きく傾く。
「いやっはあ!」
うめきながら顔をあげたのと同時に左フックが入り、吹き飛ばされた。
「まだ終わりじゃないだろう!?………ん?おい?」
私は、その場に倒れてピクリとも動かない………いや、動けない。今のでライダーゲージが………ほぼゼロに………し、死ぬ………
「………! やば、力加減間違えた………! おーい、大丈夫か?」
……………………………………………………………
…………………………………………
………………………
………
…
「大丈夫だ。全快した」
このガシャットの二つ目の能力。「体力リセット」30秒に一度、体力をゲージの最大値へ戻す能力だ。何とか間に合ってよかった。
ああ体が軽い。この能力が合って本当に良かった。疲労もなくなるから日常的に使いたくなる。
「………凄いな! 気に入ったぞお前!」
「よく言うな………全力で手を尽くしても、まだ手加減されている」
さっきまでの迫力はどこへやら。また最初のザコそうな雰囲気に戻っている。
「さあ、満足したなら行っていいか?」
正直疲労は取れても精神疲労は治らない。ササっと帰ってアリアの太ももで昼寝したい。
「まあ待て。褒美をやろう。来い」
「いや………私は………おい!」
断ろうとしたが、否応なしにワープされた。気が付くと私は暗い部屋の中にいた。部屋の中には星の数………いやそれ以上の黒いビー玉のようなものが浮かんでいる。
「………で? これのどこが褒美なんだ?」
「クク………触ってみろ。どれでも一つな」
と、言われても何が何だか分からない。私は適当に近くに合ったものを手に取った。
「――――――ッ!!!!!?」
――――――――――――――――――――――――
【STANDING BY………………COMPLETE】
【EXCEED CHARGE】
「木場ァァァァ!!!」
「乾ィィィィィ!!!」
――――――――――――――――――――――――
「こ………これは………宇宙?」
「ククク………それは、分岐した宇宙の一つ。俗にいう「ありえた可能性の世界」だ」
確かに見えた。一瞬だったが、仮面ライダーに変身して戦う赤い身体に銃を持ったライダーと黒い体に金の線を持ち、金の剣を振るう仮面ライダーが。
「この二人は、どうして戦っているんだ?」
「赤い方は仮面ライダーファイズ乾巧。片方はオーガの木場勇治だ。人間を信じ続けた怪物と見捨てた怪物の決闘だ。その世界には人間はもうほとんどいない。
人間の進化系、「オルフェノク」に変異している。それも俺が作った分岐した世界の一つだ。
オルフェノクに変異する確率が大きくなっていた場合を仮定した世界。
結果は御覧の通りだ。なかなか面白い。その世界を俺は「パラダイスロスト」と名づけている。なかなか面白いぞ」
「なら………この部屋の球体はすべて………!」
信じられない。平行世界の知識は多少はあったが、まさかこんなにも………!
「………ということは、私の世界も?」
「ああ、基本的に仮面ライダー程度の力を持った人間一人に対して平均2万通り以上パラレル世界は存在する。今度はこっちを見て見ろ」
「む………!」
――――――――――――――――――――――――
「融合! アイゴー! ヒアウィーゴー!」
【フュージョンライズ!
ウルトラマン!ウルトラマンベリアル!ウルトラマンジード!プリミティブ!】
――――――――――――――――――――――――
「これは………?」
「それは「ウルトラマン」系列の世界だ。まあ何か分からんだろうが………この部屋には様々な世界がある。他には………こんなのはどうだ?」
「む?」
――――――――――――――――――――――――
【最上級の神の才能クロトダーン!クロトダーン!ゴットマキシマム!X!】
「ブェーーーハハハハハ!!!!!」
――――――――――――――――――――――――
「こ………これは………私!?」
「それも分岐の一つだ。名前は「トリロジー」異世界に行かなかった方が行いを改めなかった場合、そうなる。自分を客観的に見てどうだ?」
「………………嫌悪感しかないな。悪いが」
最近、昔の自分を思い出すとぞっとする。なぜあんな冷酷な行動ができたのか自分でも疑問に思うくらいだ。今の自分になれて本当に良かったと改めて思う。
「どうだ? なかなか面白いだろう?」
「………………一つだけ、いいか?」
「なんだ?」
「………私のような思考になった私は他にもいるのか?」
ふと出た疑問。いくつも平行世界があるのなら、あるいはと思った。
「………………お前は珍しく、約10億通り以上の分岐がある。
だが………お前一人だけだ。他の奴らは、さっき見たように畜生ばかりだ」
「………………………そうか」
こういう風な考えは、自分一人だけか………
「さて、ここからが本当の褒美だ。お前にお前が帰ろうとしている世界への行き方を教えてやる」
「何………いいのか?」
「ああ。ワープゲートを意識せずに、自分が生きたいところの特徴や思い出を思い浮かべればいい。お前のその力はお前のイメージに依存するからな。出来ると思え。それが「心意」と言う力になる」
「………ああ。やってみる。[ゲート]クリエイト…[事象]異界転移。[対象]目の前約2メートル」
目の前に窮状のゲートが現れた。すぐに予感する。ここが自分の帰るべき場所だと。
まあ、ゲートはすぐに閉じたが。
「どうした? 行かんのか?」
「ああ。先に家族を呼んでくる………それじゃ」
「おう。なかなかお前は面白かったぞ。気が向いたらまた来い」
私はアリアや皆を呼ぶため、またゲートを開いてくぐった。
なんとなく想像つく人もいると思いますが、大首領は全力は全く出していません。
せいぜい0.00………%くらいですかね。