仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
現夢に閉じ込められた直後。パラド視点
狭い研究所の中で俺はしばらく考え事をしていた。
「扉は外からしか開けられない………窓もなし、瞬間移動も発動不可、か………」
状況は最悪だけど、あいつは確かに「時が来れば外へ出られる」と言った。あとは俺がその「時」を作ればいいはずだ。
「ふう………」
ため息交じりに近くの端末の電源を入れ、中のデータをあさってみる。
「………!これは」
大量にあるファイルの中に一つ。奇妙なものがあった。「閉じ込められている君へ」と言う名前のファイルが一つ。期待を込め、ファイルをクリックして開いた。
………そこに書いていたのは、俺の想像を超えたものだった。
[端末を使って情報を見るのもいいが、まずは自分自身を理解してみよう]
「………!フザけやがって!!」
八つ当たり気味に放り投げ、近くの椅子を蹴り飛ばした。
すると、椅子の下に紙が貼ってあったようだ。倒したから気付けた。
嫌な予感がしつつも、一様手に取ってみる。
[八つ当たりして椅子を蹴っただろう?そう怒るな]
「ハッ!フザケんな!!!」
紙を破き、空中にばらまく。倒れた椅子を起こし、しばらく座って頭を整理しようと思った。
「………………自分自身を、理解しろ………か………」
引っかかっているものと言えば、唯一それだけ。俺と言えば………Obiパラドクスと融合して、そこからロイミュードに………
「ロイミュードを知れってことか………?」
すぐに立ち上がり、机の引き出しや本棚の資料集をひっくり返した。
「らりるれろ、ろ、ろいみゅ―ど………」
あいうえお順のぶ厚い辞典のようなファイルから、どうにかロイミュードの項目を探す。
「ロイミュードの代表格………ハートロイミュード、メディックロイミュード、ブレンロイミュード………それぞれ戦闘、回復、知能に優れた三種………」
読み進めていくうちに、またメモを見つけた。
[ロイミュードは破壊された時にすべからく空中でコアが霧散する。これはインターネットと同じではないかと私は考えている。空中に溶け込んだ魂は、あるいは端末が発する電波と同じなのでは………?]
書き方的に、これは俺に向けたものではないだろう。
何の気なしに残したメモ、と言う感じだ。
「ネット………電波………空中に………!」
そこまで考えて、俺は気づいた。このメモは俺に言っている。[コンピューターウイルスの君ならば死者と対話できる可能性がある]と。
俺は目を閉じ、念じた。
イメージは、自分の体が溶けて液体になり、やがて蒸発し、空気中に解ける感覚………
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「会うのは初めてだな、パラドクス」
「………あんたは………確か………ハートロイミュード」
赤服の青年が目の前に立っている。腕を組み、こっちを値踏みしているみたいだ。
「俺に干渉してきたのは、お前が初めてだな。お前のことは少し前から見ていた。強いんだな」
「………ハッ、それはObiか?それともこの俺か?」
勿論、自分で言うのもなんだけど俺はObiパラドクスの方が強いと思ってる。当り前だ。
「両方とも、だ。それで………用件は分かってる。俺の力が欲しいんだな?」
「………ああ、蛮野をが作ったロイミュードとバグスターの融合態。それを超えるためにだ」
ハートは少し考えるそぶりを見せ、やがて頷いた。
「分かった。お前が慕う永夢と言う男は泊進ノ介の仲間だ。泊は俺の初めての人間の友達だからな………力を貸そう。俺の仲間もそう言っている」
「………………ああ、ありがとう………」
体が熱い。新たな力の流れを感じる。
「………ハート、ブレン、メディック、チェイサー………そういう名前なのか」
力を得るとともに、ハートたちの記憶も俺の中へと流れ込む。
皆、いい笑顔をしてるな。
それぞれ辛く、苦しかったろうに、皆、笑顔で………
誰かのために、盾になり、
裏切ったふりをし、
最後の力を振り絞って、
皆、生きていた。
これが………そうか、
これが、錆ゲンムの言っていた、例答か。
少しだけ………分かったような気がする。
「………………まだ………行くぜ………」
ファイルを持ち上げ、別のものを探す。
「………オルフェノク………これは?」
[オルフェノク、人間が死んだときに、急激な進化を伴って変位する進化系。体は主に灰色を基調にしたものであり、かなりの生命力を誇る。また、オルフェノクだけがスマートブレインと言う会社のベルトを使って変身することが可能。]
参考資料の挿絵を見て思い出す。少し前、Obiパラドクスと引き分けた時に俺が見たものの中にいた。
「確か名前…………何だったっけ………?」
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「ここが………ウルフオルフェノクの記憶の世界………」
道を歩いていると、土手に寝っ転がっている男が視界に入った。
「あんた、名前は?」
ものぐさそうに上体をあげ、こっちを睨んできた………いや、目つきが悪いだけか。
「巧、乾巧」
それだけ言って、仮面ライダー555、ウルフオルフェノク、そして乾巧は立ち上がった。
「俺はパラドだ。宜しくな」
お読みいただきありがとうございました。