仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE   作:桐生 勇太

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26話:それでいい

 扉を開けると、目の前に机が置いてあり、上に手紙が置いてあった。

 

「これは………?」

 

[君が扉の外に出たということは、どうやら私の仮説は正しかったようだ。

君は、今多くの者たちの生涯と融合した状態にある。暫くは見たこともない人間のことを長きにわたる友人に感じてしまったり、行ったこともない場所に苦い思い出を感じることもあるかもしれないが、じきなれるはずだ。

多くの者たちと融合した聡明な君の事だ。察しているだろうが、私は宝生現夢。永夢の父親だ。

蛮野の野望を打ち砕くためにも、君の力が必要だった。

あるいは私はもう死んでいるかもしれない。

その時はどうか、私も君の一部にしてくれ。

PS.命の意味は分かったかい?]

 

「ああ………沢山の奴らの一生を見たよ。そいつらの苦しみや、満足感。残したもの。

俺は、すげえって………思ったよ。俺も生きるぜ、懸命に!」

 

 紙を投げ、壁を破って走り出す。

 

頼む………!死ぬな!あんたは、まだ………永夢のために、生きるべきだ!

 

「もっと速く!ナスカ!ダークカブト!力貸してくれ!【超加速】【クロックアップ】!」

 

 一瞬で蛮野のラボに着いた。塀を飛び越え、敷地内に着地した途端…

 

[侵入者ヲ確認、排除ヲ開始。設定LEVEL1ヲ起動]

 

 地面から4、50体のクロノスに変身するロイミュードが湧き出てきた。

 

「邪魔すんな!行くぜブレン!ハッキング!」

 

 自分の頭に人差し指を軽く当てると、同時にすべてのクロノス達の活動が止まった。遅れて我ながら恐ろしいとさえ思った。

 

「少し前だったら死んでたな………本当に俺、強くなってる………」

 

 前なら、クロノスに俺が勝てるわけがない。それが、今となっては触れることもなく一瞬で屠った。力を得た喜びとこの圧倒的すぎる力に同時に俺は恐怖した。

 

 どこへ行けばいいのかわからず、あたりを見回した時、爆発とも違う、何かが崩れる音がした。

 

そして、俺は察した。間に合わなかったのだ。

 

壁を破り、中の惨状を見た。全てが焦げた部屋。瓦礫の合間に、真っ黒に焦げた現夢が倒れている。

 

「……………」

 

「まだ、生きてる………でも………」

 

 現夢は、もう助からない。この世界のどこにも、ここまで傷ついた男を治せるものはいない。試しにメディックの治癒能力を使ってみたが、効果は見込めなかった。

 

「現夢………悪い………間に合わなかった………でも、もしかして、これもあんたの予想通りかい?」

 

 せめて………生きられないのなら、このまま消えないでくれ。

 

俺はゆっくりと手を伸ばし、現夢の頭を引きちぎった。

 

頭蓋骨を割り、露出した脳にかぶりつく。

 

俺はコンピューターウイルスで、人にも感染できる。

 

なら、現夢の脳の細胞を取り込んで感染し、ウイルス感染細胞にすれば記憶や知識、感情を取り込めるはずだ。

 

俺の中で生きてくれ。

 

俺の目を通して、永夢を見守ってくれ。

 

俺の考えにあんたの知識を足して、永夢を導いてくれ。

 

………涙が、溢れ出る。

 

殺したくなかった。

 

出来れば救いたい。

 

でも無理だ。

 

悔しい。

 

悲しい。

 

苦しい。

 

新たな力を得る高揚感と、

 

命を奪う自分への嫌悪感。

 

相反する二つの感情が、俺の中で荒れ狂う。

 

胸が痛い。息が苦しい。

 

力がみなぎる。士気が上がる。

 

この感情は………二つ同時には普通ないものだ。

 

………そうか。

 

これがそうか。

 

これが人間の持つ矛盾か。

 

 

 

俺は矛盾(パラドクス)か。

 

 

 

それでいい。

 

 




覚醒したパラド。文句なしで、史上最強の怪人と言えるでしょう。
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