仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
鏡飛彩視点
「ダメだ………このシャッター、ビクともしねぇ…」
どうしてもシャッターを破れず、監察医の貴利矢が悪態をついた。
「となれば………」
「右と左の道、後は後ろの下に降りる階段しか道はないな………来た道を戻るのは論外だ」
やれやれといったふうに檀黎斗がため息をついた。
「俺は右を行く」
特に深い理由はない。ただ何となく、右に行くべきだと思った。
「自分も行こうか?」
貴利矢が俺の横に立ったが、俺は首を振った。
「いや………この道は狭い通路だ。爆速ホースではむしろ動きにくい………それに」
「それに?」
「なんとなく、俺だけがいくべきだと思う」
貴利矢は俺の顔をじっと見た後、ため息を一つついた。
「分かった。おい神、お前は自分と一緒だ。そこの階段に行くぞ」
「なら俺は左だ」
それぞればらばらの方向に進み、しばらく歩くと広い空間に出た。
「どこだ?ここは………」
「ここは試験場。現夢が作った兵器たちに適当なものを破壊させて最初期のデータを収集する場所だ。もっとも、今のお前にとっては試練場、と言った方がふさわしいが」
「…ッ!誰だ!?」
声のした方向を見ると、痩せ身の男が立っていた。
「よお、勇者」
「………誰だ?お前は」
「お前の敵さ。俺はゲーム『タドルレガシー』のラスボスバグスターだ」
ラスボスバグスター………まだ生き残りがいたのか。だが、妙だ。
「なぜ仲間の命を弄んでいた蛮野の研究所にいる?お前に仲間への情はないのか?」
「………俺の記憶は、蛮野によって消されている。だから、俺はあいつらバグスター連合の仲間達の事を覚えていない。現夢の話によれば、俺は自衛隊が他のバグスターを襲った時に密かに回収されていたらしい」
「なら俺はお前と戦う理由はない。退け」
無視して横を通り抜けようとした俺の肩を奴は強くつかんだ。
「ところがそうはいかないんだよなあ。俺と賭けをしてもらおうか」
「賭け事に俺は興味がない。遊び相手が欲しいのなら他を当たれ」
「そう言うな。きっとお前は乗ってくる。飛び切りの「姫」を用意したんだ」
「………何?」
奴は俺から離れると、天幕のようなもので何かを蔽っている場所に行き、仰々しく布を取り去った。
「!!!………………小姫!」
天幕に隠されていたのはベッドだった。そして、その上に、いつか救うと決めた、最愛の女性が、百瀬小姫が美しいドレスを着て座っていた。
俺は奴を突き飛ばし、小姫に駆け寄った。
「小姫!俺だ!」
「………………」
小姫の反応はなかった。うつろな瞳は、何も見ていない。あの時と違い、同じ言葉を繰り返すこともない。ただ、静かに、そこにいる。
「小姫………」
「安心しろ、まだ自我がないだけだ。自我を入れればすぐにお前が知っている姫になる」
「………どうすればいい!?どうすれば小姫を………!」
「簡単さ。そこにある青い持ち手の電極を姫に差すんだ。それだけでいい」
すぐに俺は立ち上がり、机の上に置いてある電極に手を伸ばした。
が、その手を奴に掴まれて止められた。
「何のつもりだ!」
「まあ待て、いったろ、賭けをしようって。これから俺とお前が戦って、お前が勝ったらあの青の電極を姫に刺せ。そうすればお前の記憶と変わらない姫に合える。 が、逆にお前が負ければ俺はこの赤い電極を使って姫に間違った記憶と自我を送る。そうなれば姫の最愛の男はお前じゃない。俺になる」
「貴様………!」
俺はゲーマドライバーを腰につけ、ガシャットを起動した。
「術式レベル150!変身!!」
【タドルファンタジー!タドルレガシー!】
【デュアル!ガシャット! ガシャット! ガッチャーン! デュアル・レベルアップ!
辿る巡るRPG! タドルファンタジー! アガッチャ! 辿り着いた世界! 神々のレガシー!】
「さあ始めようか!お前が城に幽閉された姫を救うように、俺は姫を城に幽閉し、救いに来た勇者を倒す!変身!」
【バッド・レガシー!!!】
【辿る遺跡!蘇りし騎士!バッドレガシー!!】
見たこともないガシャットを使って、奴は変身した、俺に似ている、紫色のタドルレガシー。
「俺のために作られた特注のガシャット!さあ、姫をかけて俺と戦いな勇者ブレイブ!」
勇者ブレイブVS覇者スレイヤ